城繁幸のレビュー一覧
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ネタバレシルバー・デモクラシーに警告を鳴らし、持続可能な社会の実現を目指すための世代間格差の是正を提言する本。具体的な政策の提言が数多く記載されている。他国で導入されていて実績のあるものが多く、絵空事ではないと思った。
・雇用問題では「金銭解雇を含めた解雇ルールの明文化」「同一労働同一賃金」の法制化
・年金問題では「年金の事前積立方式の導入」「政府から独立した世代間公平委員会の設置」
・政治改革では「地方自治体における選挙権年齢の引き下げ」「被選挙権年齢の引き下げ」
・子育て・教育問題では「教育バウチャーの支給」「給付付き税額控除の導入」 -
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有能な人材が上に上がるわけではない、職業カーストが発生している日本。これは実感としてある。前職では、一応管理職候補として、採用された。子会社で私より年次が2つ上の先輩を見ていたが、私よりよっぽど優秀であった。社内でどう考えても私より有能なのに、私より上に出世するルートが用意されていない。不思議でたまらない。ただ、自分は上位側にいたわけで、危機感はないわけだが。
有能な人がその分の対価をもらえる合理的な日本にならないと、そのためには、年功序列ではなく、職能で対価をもらい流動的な雇用制度にならないと。日本は早めに、この決断を下さないと、先が暗く、より自殺者が増えるかもしれない。。。難しい問題である -
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評価が難しい本です。
職能資格から職務資格へ、おそらくグローバルな競争環境に企業が置かれている今日、国策(日本版SOX法)で内部統制だ会計基準だと国際標準の基準を会社の中に入れると職能資格は、なくなっていく運命といいってもいいでしょう。
もはや、「いい大学」「いい会社」「職能資格による賃金体系」という昭和的な価値観はなくなっていかざるをえない状況にあると考えるべきです。
一方職能資格待望論の危険なところは、職能という意味でのキャリアと会社の中のポストではボリュームの間尺があわなくなった場合が想定されますが、肝心の会社間の人材流動化が不透明で少なくとも過渡期は混乱せざるをえないという現実を -
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「既存左派とは、いまや単なる保守派に過ぎない」
本書終盤や書かれているこの一文を含む節を読むだけでも十分に価値があった。入社以来会社の労組に対して感じていた違和感はここにあったのだ。社員の地位と給料にのみ焦点をあてて、グローバル視点でみた日本経済の弱まり、外からみた会社の立ち位置を無視して、単調かつ一方的にリストラ反対のシュプレヒコールをあげる。
世代間格差が広がって、将来に対する安定感など夢の中でも期待できない(していない、というのが正しいかも)若手世代には既存権益を死守する老害として見えてしまうのだ。
筆者が書いているとおり、「今や対立軸は労使間ではなく、世代間にこそ存在する」のだ。 -
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ネタバレ-若者はワガママになるべきなのだ。それもとんでもなく自己中心的で反抗的態度をとるといい-(P235 あとがきより)
私自身が「3年で辞めた若者」だったため、思わず購入。
この本自体は3年で辞めた若者を非難するものではなく、
3年で会社を辞める決断をした「平成的価値観」を推奨し、
むしろ、辞めざる負えない状況を作り出した、
学歴主義・年功序列などの「昭和的価値観」を是正し、
「労働者が適正な報酬を得られるシステム」を確立し、次世代をにらんだ利益配分システムを作らなければならないと述べている。
今の世代の若者はユトリで会社を辞めるわけではない。
むしろ、より自分の生き方を考えて「昭和的価値観 -
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切れ味鋭い城さんの新書。城さんやmy news japanの渡邊さんも常々言っているが、若者にとっては、企業が簡単にクビにできるような法律を政治がさっさと決めてくれるように動いた方がいいと思う。正社員を守ろうとすればするほど、簡単にクビにできないから企業は採用を抑えようとして正社員のパイが減るし、運よくもぐり込んでも残業させられるばかりで新しい人間は入ってこない。仕事がどうしても合わないケースなんてあるに決まっているのだから、もっと流動性の高い世の中にすることが企業にとっても若者にとっても望ましいと思う。それは子育てなどでキャリアの一時中断を余儀なくされる男女にとっても重要。再挑戦がしにくい今
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Posted by ブクログ
この表紙と著者の知名度で、あまり売れていないのではないだろうか?
分かりやすく、そしてたとえ著者の指摘や物言いが気に入らなくても要所要所の著者のポイントは確信を突いているので、見事な本。
AIJ投資顧問の失敗の件、自分は関係ないと思っていました。
建物でいえば3階にあたる厚生年金基金の運用を失敗したということは、我々が支払っている2階部分の厚生年金を溶かしてしまったということ、その穴埋めは行わなければならないので、税金という形で埋めなければならない=我々にも関係してくる、という事実。
公務員給与削減の一環として、新卒採用を半減するという効果の無い案に56%の国民が評価する、と言ってしまって -
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前著の「若者はなぜ3年で辞めるのか?」がその理由の分析主体であったのに対し、本書は実際に辞めた人間のケースレポートを軸に論を展開している.
いずれの登場人物も年功序列制度などの「昭和的価値観」に対してノーを実行に移した人達である.
著者は構造改革や自由競争に対して肯定的意見を述べる.
搾取された若者を実力に応じた条件で働かせるためには、既得権益者である年功序列制度で高給を取っている年長者の給与を分配しないといけないのだと言う.
上記の論に対して左翼が反対するが、対案を出すことができないという著者の意見には同意できた.
構造改革でパイの奪い合いになって、市場が衰退してしまい、正直者が駆逐されてし