奈須きのこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ミステリの如く橘佳織の死因に迫っていく鮮花。少ない手掛かりから根気強く真相に迫っていく彼女の姿には有能さを感じさせるね
ただし、見える範囲の証拠から想像を膨らませる彼女には手が届かない領域が有るようで
それが1年4組で行われていた非道と橘佳織が死を選んだ理由だね
鮮花に対し幹也が提示するのは葉山英雄の外道さ、そして純真な人間による発想かな
幹也は鮮花と比較すれば綺麗事を信じる側の人間と言えるから鮮花が呆れるような安直な推測をする。でもそれが鮮花には足りないピースとなって真相を推理するのに役立つわけだ。
「…だからお前には解らないんだ」という台詞は直前に鮮花がモヤモヤと考えた凡人と天才の発想差 -
Posted by ブクログ
『空の境界』特有の空気感は漂いつつも、別種の空気感も纏いつつ展開される閉鎖的な学園での妖精たちによる秘め事
本物の妖精の悪戯は度が過ぎた被害を齎してしまうがそれでも悪戯は悪戯。意思の方向性は持たない。けれど人間が妖精を使って悪戯を為すなら、度が過ぎた被害に加えて悪意が混じってくる
心を病むくらいに追い詰められている1年4組を取り巻く状況はそういったもの
悪意のターゲットはこれまで1年4組を向いていたから鮮花と式はこれまで無事に調査できていたのだろうけど、それが変わるのは焼け落ちた学生寮に入ってからか
その瞬間から鮮花は本格的に妖精を使役する美沙夜に狙われる形となってしまったわけだ
美沙夜は -
Posted by ブクログ
なんだろう。良い中二病というか、不思議な感覚がする本。2001年、確かに彼の本は書店に並んでいたような記憶がある。ただ、当時は何か青臭い気がして読めなかった。今となっては形月の影響ですごく神格化されているけど、ちゃんと読むとあのとき流行った理由も頷けるというか。なんか、オカルトっぽいものの下地があったんだよね。千と千尋も流行ったし、私は小学生で、学校でインターネットも見れるようになったんだけど、ネット黎明期を知ってる今の30代ぐらいの人にはけっこうヒットしたのかなという印象。作品の細部の表現とかはそんなにめちゃくちゃ好みでもないんだけどね。確かに年配の人は好きそう。
-
Posted by ブクログ
第六章「忘却録音」編スタートの巻
この章は他の章と違って凄惨さは控えめな代わりに鮮花と式がお嬢様学校を舞台に探偵ごっこをやるものだから、それはそれで良さが有ったりする
この章でキーワードとなるのは『記憶』
忘れた記憶を届けられる善意か悪意か判然としない事件。そこに絡みつく記憶の忘却
それを調査するのが兄を好きになったきっかけを思い出せない鮮花と事故に遭う直前を思い出せない式の組み合わせなのだから面白い
本作のヒロインは絶対的に式なのだけれど、鮮花は鮮花でいいキャラしてるよな~と思ったり
幼少時に兄の幹也に恋した挙げ句、幹也に妹と認識されない為に他家へ養子に出た鮮花。式が昏睡から目覚めたと知