奈須きのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『空の境界』特有の空気感は漂いつつも、別種の空気感も纏いつつ展開される閉鎖的な学園での妖精たちによる秘め事
本物の妖精の悪戯は度が過ぎた被害を齎してしまうがそれでも悪戯は悪戯。意思の方向性は持たない。けれど人間が妖精を使って悪戯を為すなら、度が過ぎた被害に加えて悪意が混じってくる
心を病むくらいに追い詰められている1年4組を取り巻く状況はそういったもの
悪意のターゲットはこれまで1年4組を向いていたから鮮花と式はこれまで無事に調査できていたのだろうけど、それが変わるのは焼け落ちた学生寮に入ってからか
その瞬間から鮮花は本格的に妖精を使役する美沙夜に狙われる形となってしまったわけだ
美沙夜はバラのような美しさと巌のような硬さを持つ人物だね。そんな少女が1年4組への憎しみを語った後に兄への恋慕を語るというのはちとギャップが有る
そもそも本エピソードでは黒桐幹也を思わせる玄霧皐月が登場する。それに加えて鮮花の立場を模倣するかのような黄路美沙夜が登場するなんて
美沙夜と鮮花は似ている。けど、そこで本格的に自身と兄の関係を皐月と美沙夜に重ねて同情するのではなく、「違う」と認識してすぐ対決姿勢に移る辺り、鮮花は好戦的なタイプだね
それはそれとして、幹也への恋心を語る際だけ少女漫画のような雰囲気を振りまく鮮花は微笑ましい
禁忌だなんだ言っているけど、この娘は芯から幹也が好きなんだねぇ
あと、鮮花宛の電話を取ってしまって微妙に不機嫌になる式は可愛らしい -
Posted by ブクログ
なんだろう。良い中二病というか、不思議な感覚がする本。2001年、確かに彼の本は書店に並んでいたような記憶がある。ただ、当時は何か青臭い気がして読めなかった。今となっては形月の影響ですごく神格化されているけど、ちゃんと読むとあのとき流行った理由も頷けるというか。なんか、オカルトっぽいものの下地があったんだよね。千と千尋も流行ったし、私は小学生で、学校でインターネットも見れるようになったんだけど、ネット黎明期を知ってる今の30代ぐらいの人にはけっこうヒットしたのかなという印象。作品の細部の表現とかはそんなにめちゃくちゃ好みでもないんだけどね。確かに年配の人は好きそう。
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Posted by ブクログ
第六章「忘却録音」編スタートの巻
この章は他の章と違って凄惨さは控えめな代わりに鮮花と式がお嬢様学校を舞台に探偵ごっこをやるものだから、それはそれで良さが有ったりする
この章でキーワードとなるのは『記憶』
忘れた記憶を届けられる善意か悪意か判然としない事件。そこに絡みつく記憶の忘却
それを調査するのが兄を好きになったきっかけを思い出せない鮮花と事故に遭う直前を思い出せない式の組み合わせなのだから面白い
本作のヒロインは絶対的に式なのだけれど、鮮花は鮮花でいいキャラしてるよな~と思ったり
幼少時に兄の幹也に恋した挙げ句、幹也に妹と認識されない為に他家へ養子に出た鮮花。式が昏睡から目覚めたと知れば都心のお嬢様学校へ転入。その行動力は尊敬してしまう
鮮花の想いは純粋だから曇りがない、見ていて非常に面白いもの。特に鮮花は式が評しているように冷静なようで居て感情表現が正直だから、彼女の登場は本作には珍しい彩りを齎しているね
そんな彼女が幹也の恋人である式と一緒に黒桐幹也を思わせる玄霧皐月が関わる事件を調査するというのだから尚の事絵面が面白いことに
お嬢様学校が舞台ならもう少し華やかさが有ったっていいのに、この巻から漂ってくるのは得体の知れない不気味さばかり
宿舎への放火に始まり、妖精の目撃、忘却記憶の手紙、そして刃傷沙汰へ…
抜け落ちた記憶がそれぞれを追い詰めていく展開から目が離せないね