奈須きのこのレビュー一覧
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シリーズ本編は本巻で締めくくりとなります。
前半は、幹也の妹の黒桐鮮花(こくとう・あざか)が通う礼園女学院で起こった事件を解き明かすため、鮮花と転校生に扮した式の二人が学園内で調査をおこないます。後半は、式が幹也たちのもとから姿を消すとともに、町で殺人鬼による事件が次々と起こり、幹也が式のゆくえを追うとともに事件の真相にせまっていきます。
中巻では、荒耶宗蓮のような魔術をつかう強敵が現われ、下巻ではさらに物語のスケールが大きくなるのかと思いきや、意外にもスケール・ダウンして幹也と式の関係性をていねいにえがくことに焦点があてられているように感じました。こうした物語の構成に、80年代伝奇小説から「セカイ系」の流行をくぐり抜けて生まれた「新伝綺」の特色を見いだすことが可能なのかもしれません。 -
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19歳の黒桐幹也(こくとう・みきや)は、魔術師の蒼崎橙子(あおざき・とうこ)の事務所で働いています。彼は、2年前に交通事故に遭って以来、記憶をうしなった両儀式(りょうぎ・しき)という少女のことを気にかけており、彼女が昏睡状態にあったときにも彼女のもとをくり返し訪れていました。式の心には、「識」と呼ばれる別人格が宿っており、識の殺人衝動を内に抱え込んでいます。彼らを中心にして巻き起こる、不思議な出来事の謎をえがいた物語です。
上巻では、ビルからの飛び降り自殺が相次いで起こる事件や、不良少年たちに襲われた少女の復讐劇などがあつかわれています。
世界観も文体も、甲田学人の作品などの比較的硬派なライトノベルに近いものを感じます。下巻の「解説」を担当している笠井潔が、本作がオカルト的な設定を借りながらも、卑俗な現実世界を越えたところに真の世界ないし真の私を求める理想主義的な「観念的倒錯」を反転させて世俗の論理への還帰を志向していることを指摘しています。笠井も『ヴァンパイヤー戦争』などの伝奇小説を執筆しており、本作の著者が大きな影響を受けた作家だけに、現代的な伝奇小説のありかたを的確にとらえた評価だと感じました。 -
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ネタバレFate/Grand Orderというソーシャルゲームにてコラボがおこなわれていたので、そこから興味を持って購入、読破しました。Fate/Unlimited Blade Worksのときと似ているw あのときもdアニメストアで、名前は聞いたことあったなあからの、だったなあ、とぼんやり。
これが同人誌として出されたもの、というのでびっくりしました。いやね、二次創作ものでいくらか出ているのも知っています。【ひぐらしのなく頃に】とか。わたしはその世代でないのでなんとなくしか知りませんが、だいぶ、凄かったようですね。
同人誌関係って、ゲームやアニメや漫画ものがやっぱりメインで、小説ものって、ひっそりとそこに在る、みたいな感じで、ブワーッ、と盛り上がるというか、そんな感じではない、っていう、そんなイメージだったのです。一時期そっち関係にハマっていた時分としては、二次創作の小説も少しはあったけれどもやはり多くはなかったなあ、という。
ライトノベル、とも言えるし、そうでない、とも言える。ライトノベルの定義はイラストが挿絵として多いとかでしたっけ。そうならばこれは挿絵はあまりないですし、萌えとかそういうものがそこかしこに散らばされているわけでもない。ただ人が死に、人が生き、血が舞い、体が伏す。
二重人格で、殺したがりで、中性的な美しい人間で、着物と赤い革のジャケットを着こなす。
そんな“両儀 式(りょうぎ しき)”。
式に振り回され、師匠に振り回され、なにがしかを調べるにあたっては右に出る者がいない、悪も善もない一般市民。
そんな“黒桐 幹也(こくとう みきや)”。
そういった二人の青春物語であり、恋愛物語であり、人生。