・「達也さんにはわからないでしょう。愛する人とともに生きることを許されたあなたには」
「達也さんの人生が順風満帆だったとは思いません。僕には想像もできないような陰惨な経験だってしてきたと思います。
そうでなければ、あんな風に世界と戦おうなんて思えないでしょうから」
「でも達也さんは一人じゃない。過去
...続きを読むのことは知りませんが、現在と未来は、一人じゃない」
「分かっているんです。僕は一人じゃなかった、今だって死のリスクを冒して付き合ってくれる仲間がいる」
「こうなってしまったのは誰のせいでもない。僕自身の選択です。
ベストではなかったかもしれないけど、正しい選択だったと思っています」
「あなたは強い人だ。愚かさに縋らなければならない弱さを理解はできても、共感はできないでしょう」
「僕は弱いから、自分の本心を押さえ続けていられる自信がない。彼女と一緒にいたい、彼女を自分と同じにしたいという欲に耐え続けられるか、自分でも分からない」
「弱さが免罪符になるなんて思ってません。僕はただ事実を告白しているだけです」
・「お前は彼女のことが好きなのか?どういう意味で好きなんだ!」
「俺は深雪を愛している」
「ちゃんと女性として愛しているのか?妹として愛しているだけじゃないのか?」
「お前にそんなことを言われる筋合いはない!お前こそ外見に惹かれているだけだろう!」
「外見を好きになって何が悪い!」
「外見だけで好きになったと言われても信じられるものか!」
「外見だけじゃない!俺はきっと彼女の全てを愛せる!」
「深雪のことをよく知りもせずに何が愛だ!軽薄な一目惚れってやつじゃないか!」
「一目惚れの何が悪い!彼女を初めて見た時、俺は運命を感じたんだ!」
「運命だと?そんなものが根拠になるか!」
「お前だって、婚約者に選ばれたのは、偶々彼女と血のつながりがあっただけだろ!それだって運命じゃないか!」
「俺と深雪とは、十年以上の積み重ねてきた時間がある!過去の時間は事実。運命とやらはただの思い込みだ。
俺が深雪の婚約者だということも既に決まった事実だ!」
「大人の都合で決められた事実など、俺は認めない!深雪さんには俺の方がふさわしい!」
「深雪を一番愛しているのはこの俺だ!深雪は渡さない!誰にもだ!」