牛島信明のレビュー一覧

  • ドン・キホーテ

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    ドン・キホーテは、騎士道物語に深く影響され、自分を正義の騎士だと信じて旅に出る。風車を巨人と見誤る彼の姿は一見すると滑稽だが、その“勘違い”がむしろ、「今の世界のリアルさとは何か?」という問いを投げかけてくる。もしこの世界がディズニーランドのように作られた虚構だとしたら、リアリティを生み出すのは何だろう。それは、ドン・キホーテのように“信じて行動する意志”なのかもしれない、と思わされた。

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    2025年05月06日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    ネタバレ

    『ドン・キホーテ』はシンプルに読み物として面白い本です。

    その中でも最初の1冊目は特に面白い。

    冒頭の序文はとっつきにくいが本文に入ってしまえばすこぶる読みやすいです。

    思わずくすっとしてしまうようなユーモアあふれる文章が続いていきます。

    とりあえず1冊目を読んでみてそれで続きが気になるなら2冊目以降へと進んでいく。

    それくらいの気持ちでまずは十分なのではないでしょうか。

    大ボリュームに威圧されて1冊も読まないというのは本当にもったいないです。

    1冊目にこそドン・キホーテの面白さのエッセンスが凝縮されています。

    おまけに世界的に有名な風車の冒険にもしっかりとお目にかかることがで

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    2024年08月29日
  • ドン・キホーテ

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    奇妙奇天烈で破天荒な物語なんだけど、愛さずにはいられないなぜか心惹かれる物語。四の五の言わずにまあ読んでおけと言いたくなる本。

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    2023年09月29日
  • ドン・キホーテ 後篇三

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    訳者による解説は必読。この物語の卓越性が余すところなく触れられている。
    物語という形式の万能さを本作品は示している。

    最後の終わり方も見事。物語が物語で終止符を打つなんて華麗すぎる。

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    2023年02月02日
  • ドン・キホーテ 前篇二

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    劇中作も、素晴らしい出来。演技が意味を持つ。三重に入れ子構造になっている。
    とにかく、物語の多層構造を熟知した小説だ。

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    2023年01月13日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    翻訳が良い。
    今、読むとポストモダン的に響く。深読みができる。
    サンチョの存在が面白い。
    夢多きドンキホーテに対して、彼は冷静な現実の声を発するのだ。地に足が着いている。そこが単なるポストモダンではない由来だ。

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    2023年01月11日
  • ドン・キホーテ 後篇三

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    狂気が薄れていく主人公と、
    狂気を帯びていく登場人物たち。

    読む前は長すぎると思ってたけど、
    読み終えると全部必要な物語だったと思える。
    折に触れて読み返したい。


    p305
    人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う

    p407
    「ああ、旦那様!」と、サンチョが泣きながら叫んだ。「どうか死なねぇでくださいよ。それより、おいらのいうことを聞いて長生きしておくんなさい。

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    2022年11月28日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    読みやすい。
    加えてユニークな内容と文章なので、読んでいてちょっとワクワクするし楽しい。
    金だらいの件は思わず笑ってしまった。
    サンチョが所々で、人間関係や世の中に対する大切な心得を語り、読み手に教えてくれるのも良い。
    二巻も楽しみ。

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    2022年08月26日
  • ドン・キホーテ 後篇三

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    ラストになると、もう読者は間違いなくドン・キホーテとサンチョのことが好きになっているはずです。彼は確かに狂気を抱いていますが、誠実で、利他的で、知的で、ユーモラスで、魅力に溢れています。そのキャラの魅力と、メタ視点の構造が合間って、とんでもない傑作です。タイトルを知っているだけで人生終わらなくて本当に良かったです。

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    2022年08月11日
  • ドン・キホーテ

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    ネタバレ

    ドン・キホーテについては、高校世界史の授業(かれこれ20年前)で知識として知った程度のまま、ここまで過ごしていた。
    ただ近々、ドン・キホーテに関する舞台を観に行くので予習のつもりで読んだ。

    この本は、上下巻あるドン・キホーテの物語を一冊にまとめたもので、訳者の方がドン・キホーテとサンチョ・パンサの物語として読んでもらうために二人の物語に関わりのない章は割愛するなどしてまとめたものだ(訳者あとがきより)。
    挿絵ページもあり、全360ページほど。
    登場人物の喋り方もとても個性的で、楽しく読めた。

    読みながら、ずっと「これは何か私の知ってる何かに似ている」と思っていた。
    それは「かいけつゾロリ」

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    2022年01月01日
  • ドン・キホーテ 後篇三

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    狂っているように見えても、人間にとって大事なのはそこじゃない。ドン・キホーテが持っていた誠実さと真剣さと優しい心、それ故にみんな彼が大好きなのです。なんと愛おしきおじさんでしょうか。
    サンチョと司祭さんや学士さんたちと一緒に羊を追いかけている様子は想像しただけで幸せでいっぱいになります。
    …見たかったなぁ。

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    2021年11月07日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    高潔で気高く勇敢な精神的美徳を兼ね備えた騎士ドン・キホーテ。

    その美徳は通常、それ自体が絶対的価値のように思われるが、そういった内面的な美徳の価値いかんが、いかに外部に影響されるかを如実に物語っている爆笑ストーリー。

    騎士道物語の読みすぎで
    現実と空想の境目がなくなり
    空想そのものが現実となったドン・キホーテにとっては
    通りがかりの羊飼いは敵に見え「ハイヤー!」と立ち向かっていけば、通りがかりの棺を運ぶ神父さん達を不届き者として叩きつけて追い散らす、そうかと思えばコイツは頭が狂ってるよと思われて棍棒でボコボコに殴られ、元々4本しかなかった奥の歯は、しまいには2本しかなくなってしまう。


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    2021年03月31日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    2017年15冊目。

    読みすぎた騎士道物語に取り憑かれ、自らを騎士だと思い込み旅立ってしまった男。
    すべての災難を「これは遍歴の騎士だからこそ起こる試練だ」とむしろ幸いと捉え、
    自分の助けを待っている人がいるという勘違いから生まれる尋常じゃないタフさ。
    盲信の利点。その姿は、滑稽でありながら勇ましく、どこか羨ましくもある。
    勘違いも徹底すれば役に立つ。(やりすぎて被害を受けている人たちも大勢出てくるが)
    基本的に気楽に笑いながら読めるコミカルさの中だからこそ、時々現れる至言が際立つ。
    章ごとに短編のようにオチがきちんとある場合が多いから、毎日少しずつ読んでも十分楽しめる。
    古典だからといって

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    2017年04月02日
  • ドン・キホーテ 後篇一

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    「無鉄砲な男が真の勇者になるのは、臆病者が真の勇気にたどりつくよりはるかに容易ですからの......少なすぎるカードで負けるよりは多すぎるカードで負けるべきじゃと申しあげたい。」(第十七章より)
    ここにきて本当にカッコいいドン・キホーテ。

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    2016年07月18日
  • ドン・キホーテ 後篇三

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    遂に本編をもって、一連のドン・キホーテ作品が完結してしまう。

    この事実はシリーズを通じて読んだ方にのみ訪れる寂寞の足音を痛感させるものだった。

    ドン・キホーテは自らの狂気から目覚め、正気のうちに死ぬのだ。そしてこのことは、私たちが愛したのは、彼の狂気そのものではなく礼節と正義の心であったことを知らしめる。この主人公の旅は誰の心にも潜む狂気を暴いていく正義の旅だったことを知らしめるのである。

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    2015年08月13日
  • ドン・キホーテ 後篇一

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    アベジャネーダの贋作ドン・キホーテを経 て発表された真打ドン・キホーテの続篇。

    著者セルバンデスは、徴兵で左腕を失うも 執念で創作し続けた点、敬愛する水木セン セに通ずるものを感じずにいられない。

    出事村を旅立つドン・キホーテの狂気が盤 石であることに安堵した読者は多い筈だ。

    しかし、これまでは「ドン・キホーテの狂 気と、人びと」であった構図が「人びとの 狂気の中にあるドン・キホーテな狂気」と いう構図へと鮮明に変化していることに気 づく。

    傷夷後、徴税官となるも横領のかどで投獄 されたセルバンデスが失わなかったドン・ キホーテへの想いが立体的になる、そんな 続篇の幕開け。

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    2015年07月21日
  • ドン・キホーテ 前篇三

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    前扁(1)がドン・キホーテ ビギニング、前扁 (2)がスピンアウト作 サンチョ・パンサである とすれば、本書はドン・キホーテを出自村から追随 してきた牧師と床屋(何か職業において象徴的だ) アラウンド・ドン・キホーテの物語ということに なる。

    彼らの手によって捕縛されたドン・キホーテは出自 村に連れ帰られることとなり、ドン・キホーテの物 語は一旦終わる(著者セルバンデスが出兵→傷痍→ 徴税官に就職→横領→懲役といった著作活動以外の 場で忙しかったため)。

    後扁が始まるまでの間、アベジャネーダが著した贋 作ドン・キホーテが生まれたのも、このドン・キ ホーテ帰村を当時の読者がひどく嘆いたことに

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    2015年07月16日
  • ドン・キホーテ 前篇二

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    本編は、サンチョ・パンサの編であるといって過言 ではないと思う。

    憂い顔の騎士ドン・キホーテが入山してしまったため、サンチョはメッセンジャーで あり、レスキューであり、入山してしまった主と外界を取りもつ唯一の接点なのである。

    頼りのない忠誠心を抱え、それでも誠実でありたいと願い、自身が選んでしまった主のために奔走す る。 そう、サンチョはまさに私のこそ中にいるのである。

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    2015年06月30日
  • ドン・キホーテ 前篇一

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    ある貴族の発狂=ドン・キホーテ誕生の瞬間が生々 しく描かれる一冊。知り合いの強力なプッシュにより触れていく。

    行く先々でボコボコにされるあたりはよく語られる 流れですね。しかし、ドン・キホーテの多くが「イタいおっちゃん」を愛でるというスタイルであるのに対し、原作である本書においては、むしろドン・ キホーテと「周囲の人たち」の物語である点が強調されていると思います。

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    2015年06月23日
  • ドン・キホーテ

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    ボケることが幸福と水木サンがゆうてたけど、まさにそのお手本。サンチョとの掛け合いがオモチロイ。
    もっともっと旅は長いはずで、会田訳がよいらしい。色々読み比べてみたいが!出来るかな。

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    2015年02月05日