牛島信明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『ドン・キホーテ』はシンプルに読み物として面白い本です。
その中でも最初の1冊目は特に面白い。
冒頭の序文はとっつきにくいが本文に入ってしまえばすこぶる読みやすいです。
思わずくすっとしてしまうようなユーモアあふれる文章が続いていきます。
とりあえず1冊目を読んでみてそれで続きが気になるなら2冊目以降へと進んでいく。
それくらいの気持ちでまずは十分なのではないでしょうか。
大ボリュームに威圧されて1冊も読まないというのは本当にもったいないです。
1冊目にこそドン・キホーテの面白さのエッセンスが凝縮されています。
おまけに世界的に有名な風車の冒険にもしっかりとお目にかかることがで -
Posted by ブクログ
ネタバレドン・キホーテについては、高校世界史の授業(かれこれ20年前)で知識として知った程度のまま、ここまで過ごしていた。
ただ近々、ドン・キホーテに関する舞台を観に行くので予習のつもりで読んだ。
この本は、上下巻あるドン・キホーテの物語を一冊にまとめたもので、訳者の方がドン・キホーテとサンチョ・パンサの物語として読んでもらうために二人の物語に関わりのない章は割愛するなどしてまとめたものだ(訳者あとがきより)。
挿絵ページもあり、全360ページほど。
登場人物の喋り方もとても個性的で、楽しく読めた。
読みながら、ずっと「これは何か私の知ってる何かに似ている」と思っていた。
それは「かいけつゾロリ」 -
Posted by ブクログ
高潔で気高く勇敢な精神的美徳を兼ね備えた騎士ドン・キホーテ。
その美徳は通常、それ自体が絶対的価値のように思われるが、そういった内面的な美徳の価値いかんが、いかに外部に影響されるかを如実に物語っている爆笑ストーリー。
騎士道物語の読みすぎで
現実と空想の境目がなくなり
空想そのものが現実となったドン・キホーテにとっては
通りがかりの羊飼いは敵に見え「ハイヤー!」と立ち向かっていけば、通りがかりの棺を運ぶ神父さん達を不届き者として叩きつけて追い散らす、そうかと思えばコイツは頭が狂ってるよと思われて棍棒でボコボコに殴られ、元々4本しかなかった奥の歯は、しまいには2本しかなくなってしまう。
-
Posted by ブクログ
2017年15冊目。
読みすぎた騎士道物語に取り憑かれ、自らを騎士だと思い込み旅立ってしまった男。
すべての災難を「これは遍歴の騎士だからこそ起こる試練だ」とむしろ幸いと捉え、
自分の助けを待っている人がいるという勘違いから生まれる尋常じゃないタフさ。
盲信の利点。その姿は、滑稽でありながら勇ましく、どこか羨ましくもある。
勘違いも徹底すれば役に立つ。(やりすぎて被害を受けている人たちも大勢出てくるが)
基本的に気楽に笑いながら読めるコミカルさの中だからこそ、時々現れる至言が際立つ。
章ごとに短編のようにオチがきちんとある場合が多いから、毎日少しずつ読んでも十分楽しめる。
古典だからといって -
Posted by ブクログ
アベジャネーダの贋作ドン・キホーテを経 て発表された真打ドン・キホーテの続篇。
著者セルバンデスは、徴兵で左腕を失うも 執念で創作し続けた点、敬愛する水木セン セに通ずるものを感じずにいられない。
出事村を旅立つドン・キホーテの狂気が盤 石であることに安堵した読者は多い筈だ。
しかし、これまでは「ドン・キホーテの狂 気と、人びと」であった構図が「人びとの 狂気の中にあるドン・キホーテな狂気」と いう構図へと鮮明に変化していることに気 づく。
傷夷後、徴税官となるも横領のかどで投獄 されたセルバンデスが失わなかったドン・ キホーテへの想いが立体的になる、そんな 続篇の幕開け。 -
Posted by ブクログ
前扁(1)がドン・キホーテ ビギニング、前扁 (2)がスピンアウト作 サンチョ・パンサである とすれば、本書はドン・キホーテを出自村から追随 してきた牧師と床屋(何か職業において象徴的だ) アラウンド・ドン・キホーテの物語ということに なる。
彼らの手によって捕縛されたドン・キホーテは出自 村に連れ帰られることとなり、ドン・キホーテの物 語は一旦終わる(著者セルバンデスが出兵→傷痍→ 徴税官に就職→横領→懲役といった著作活動以外の 場で忙しかったため)。
後扁が始まるまでの間、アベジャネーダが著した贋 作ドン・キホーテが生まれたのも、このドン・キ ホーテ帰村を当時の読者がひどく嘆いたことに