牛島信明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前篇に引き続き、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの冒険が繰り広げられる。
前篇との最大の違いは、二人が多少なりともマトモ(?)な人間になっている点。ドン・キホーテは狂っているなりにも彼なりの論理があり、騎士道にかかわらないことに関しては博学にして明晰な頭脳をもつ、という性格が強化されており非常に存在感がある。
サンチョも、ただの愚か者ではなく、道化役へと進化して話を盛り上げる。
しかし、この頭のおかしな二人を周囲の人間が徹底的にからかい、嘲笑うという構図は前篇にもまして露骨で、本当に悪趣味な本である。
この点を抜きにすれば、ドン・キホーテ主従のテンポのいい会話などは実に楽しめるんだが・・・。