あらすじ
騎士道物語に夢中になりすぎた郷士とその従者の荒唐無稽な話と思われがちなこの長編古典『ドン・キホーテ』を,ふたりの人間性に焦点をあてて真の面白さを浮き彫りにした画期的な編集.
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Posted by ブクログ
ドン・キホーテは、騎士道物語に深く影響され、自分を正義の騎士だと信じて旅に出る。風車を巨人と見誤る彼の姿は一見すると滑稽だが、その“勘違い”がむしろ、「今の世界のリアルさとは何か?」という問いを投げかけてくる。もしこの世界がディズニーランドのように作られた虚構だとしたら、リアリティを生み出すのは何だろう。それは、ドン・キホーテのように“信じて行動する意志”なのかもしれない、と思わされた。
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ドン・キホーテについては、高校世界史の授業(かれこれ20年前)で知識として知った程度のまま、ここまで過ごしていた。
ただ近々、ドン・キホーテに関する舞台を観に行くので予習のつもりで読んだ。
この本は、上下巻あるドン・キホーテの物語を一冊にまとめたもので、訳者の方がドン・キホーテとサンチョ・パンサの物語として読んでもらうために二人の物語に関わりのない章は割愛するなどしてまとめたものだ(訳者あとがきより)。
挿絵ページもあり、全360ページほど。
登場人物の喋り方もとても個性的で、楽しく読めた。
読みながら、ずっと「これは何か私の知ってる何かに似ている」と思っていた。
それは「かいけつゾロリ」シリーズだった。
お供であるサンチョ・パンサの話し方は、ゾロリのお供であるイシシノシシと似ている(田舎っぺな話し方、髭づらであることも同じだ)。
ドン・キホーテは思い姫ドゥルシネーアの美しさのために冒険をしているが、ゾロリがお姫様とお城を手に入れるために冒険をしているというところも似ている。
別にパクリとか真似とかそういう次元の話をしたいのではなくて、つまり、このドン・キホーテには、子どもから大人までワクワクする要素が詰め込まれていて、そういうものの原点ともいえるのではないかと思ったのだ。
子供時代にゾロリの冒険を読んで笑っていた私は、大人になってドン・キホーテとサンチョパンサの冒険を読んで笑っていた。
世界史の教科書に出てくる本だから難しく考えてしまって読んでこなかったことをもったいなく思った。
サンチョパンサがドン・キホーテの狂気を知りながら、時にずる賢く、時に人情的に、ドン・キホーテの話を強く否定することなく話を合わせてあげているところに、私は妙に感動した。
おかしなことを言ってる人の話は、長々と聞いてあげることだけでも大変なことだ。こんなに話をあわせて、付き合ってあげて、一緒に怪我までして、なんて良い奴!と思った(もちろん、サンチョパンサにも打算はあるけど、彼の本質は善だと私は思った)。
人と接することの真髄を、サンチョパンサに見た気がした。
ドン・キホーテの最期は、正気に戻り、あれほと傾倒した騎士道物語を否定して亡くなる。
弱っていくドン・キホーテに、サンチョパンサは一緒にまた冒険に出ようと励ましすらする。
死ぬ前にドン・キホーテ(アロンソ・キハーナ)が遺した遺言があまりに立派で抜けのない内容であることから、彼が元来、とても立派で
、賢く、好人物であったと分かる。
読みはじめた時は「ドン・キホーテって、頭がおかしくなった人の話」という程度の認識だったのに、読み終わるときには、ドン・キホーテはたんなる狂人はない、愛すべき人であり、知的で思いやりのある紳士であることが分かって、彼の死、彼との別れが悲しくなった。
いつか、短縮版ではない本も読んでみたい。
いつになるかわからないけど、きっと読もう。
Posted by ブクログ
ボケることが幸福と水木サンがゆうてたけど、まさにそのお手本。サンチョとの掛け合いがオモチロイ。
もっともっと旅は長いはずで、会田訳がよいらしい。色々読み比べてみたいが!出来るかな。
Posted by ブクログ
イカれおじさんの傍迷惑であり愛おしい旅の記録。
今で言う重度の厨二病を発症したおじさん(おじいさん?)が騎士の旅に出るのは何となく知ってましたが、思ってたよりボコボコにされるし血は出るし、妄想と思い込みで相手に怪我をさせるしで、本当に迷惑かけまくってて引きました。
当時のギャグ漫画的表現でしょうか?(どれだけダメージを受けても死なないし次の回では完治してるやつ)また、話の中で「ドン・キホーテ」の本が出版されていて贋作について登場人物が怒ったりなどメタ的表現もあり、現代ではよくあるギャグ的表現がこんな昔からあったのか…と驚きです。
後半ではこれが単なるギャグ的な小説ではなく、登場人物の思慮深さや本質が垣間見え、さすが聖書に次ぐベストセラーと言われるだけあるなと思いました。
中年もすぎたおじいさん(多分)が騎士の旅、滑稽で愚かですが、それは人生にとって無駄な時間なのでしょうか?
最期に正気に戻り本人は後悔しますが、サンチョと2人で(色んな意味で)ありえない冒険は絶対に色褪せることの無い素晴らしい日々だったのでは無いかと思うし、実際そうやって人生を諦めずに一歩踏み出せる人間がどれだけいるでしょうか?
つまらない人生を諦めて生きるか、向こう見ずでも悔いなく生きるか?ということについて考えさせられました。
Posted by ブクログ
スペインの田舎騎士ドンキホーテは、騎士道物語を読みすぎて現実と区別がつかなくなる。
遍歴の騎士となって、世の不正を正そうと旅に出る話。
ドンキホーテのほとんどが妄想的な話なので、途中読むのに飽きてしまいそうになったが、最後に正気を取り戻す時は泣けた。
著者セルバンデスの生涯と、騎士道物語、歴史背景を掛け合わせながら書かれた作品だと後で知り、びっくりした。名作はやはり深い。
Posted by ブクログ
人の思い込みは面白い
友情物語、1人親友がいればいい
迷惑をかけるとはどういうことか?
周りの優しさ
受け止めてあげる、心
弱者と強者
親切心
人柄の良さ
騎士道物語
中世
ブレイキングバッド
グリーンブック
最高のふたり
グッドウィルハンティング
スペインの小説
笑える
暖かい
短い
読み継がれている
犯罪者
弱いものを助ける
思い込みでもいい、弱いものを助ける人柄すごい
突き進むのってすごいわ
Posted by ブクログ
好きなアーティストのドンキホーテをモチーフにした楽曲を聴いたのををきっかけに、「そういえば読んだことないな」と思って読んでみました。
久々に海外の物語小説を読んだのですが、なんか不思議な感覚にさせられる話でした。自分の見てる世界や、周りの見てる世界がどう違うのか、何が正しくて何が正義なのか、正しいことは正義とイコールなのか、色んなことを考えさせられました。
後書きを読んで、実際はもっと長編だということを知って仰天しました。いつか余裕があったら読んでみたいです。
Posted by ブクログ
全世界で聖書を除く歴代発行部数NO.1(5億部)
岩波文庫版6冊もあって無理なので岩波少年文庫版で。
真面目領主キハーダは騎士道物語読みすぎで
50才すぎついに自分が騎士
ドン・キホーテ・デ・ラ・ラマンチャとなり
ちょっとお馬鹿なサンチョパンサ、ロバのロシナンテと想いを寄せる姫を求めて騎士道の旅に。
風車を巨人と想い挑む場面は超有名。
Posted by ブクログ
本書は、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテス(1547~1616年)が発表した『ドン・キホーテ』(前編1605年、後編1615年)を、およそ1/6ほどに短縮した抄訳である。物語は、騎士道物語の読み過ぎで、現実と物語の区別がつかなくなった郷士(アロンソ・キハーノ)が、自らを遍歴の騎士と任じ、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」と名乗り、痩せ馬のロシナンテに跨って、農夫のサンチョ・パンサを従者として引き連れて冒険の旅に出かけるもの。ドン・キホーテは、自分を取り巻くあらゆる事象を騎士道物語的な設定と認識し、次々とトラブルを引き起こすが、それ以外の点では至って理性的で思慮深い人物、また、サンチョ・パンサは、無学ながら、時に機知に富んだ言い回しを使って、奇行を繰り返す主人に現実的な忠告しつつも、それを聞き入れられずに災難に巻き込まれる人物として描かれている。
2002年にノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54ヶ国の著名な文学者100人の投票による「史上最高の文学百選」で1位を獲得するなど、今日に至るまで、文学界はじめ様々な分野に影響を与えてきた作品であるが、なぜ、17世紀初頭のスペインでこの物語が生まれたのか、セルバンテスはこの物語で何を表現したかったのかは、本書のあとがきに書かれていて、大変興味深い。
スペインでは、15世紀末から16世紀前半にかけて、レコンキスタ(ヨーロッパ大陸からのイスラム勢力の駆逐)を完成させる一方、新大陸を発見し、そのほとんどを植民地にして、国家として隆盛を極めていった。16世紀半ばから17世紀前半までの約80年間はスペインが史上最も繁栄した黄金世紀と呼ばれ、その繁栄の様は「太陽の沈まない国」と形容された。しかし、細かく見ると、1588年のアルマダ海戦で、スペインの無敵艦隊がイングランドに敗れた頃から、その衰退の兆しは見え始めており、『ドン・キホーテ』はそうした時期に書かれているのだ。つまり、スペインが、カトリックによる世界制覇という、身の程をわきまえない願望にとらわれて、無茶な戦争を繰り返し、次第に身をすり減らして衰えていく姿と、その中で翻弄された自分の人生を、『ドン・キホーテ』という愛情の籠った風刺として描いたのである。
また、全く同じ時期に、イングランドにはシェイクスピアがおり、1605年には4大悲劇のひとつ『リア王』が書かれている。
(大人としては)そうした歴史的な背景も踏まえて読むと、この世界でもっとも有名な物語のひとつを、更に楽しみながら読めるように思う。
(2020年5月了)
Posted by ブクログ
先日読んだ本に触発され海外古典にも目を向けようと思い立ち、有名な割に内容があまり知られていないドンキホーテを読んでみることにしました。
が、岩波文庫版で全6巻という超長編だということが判明した途端、一気に読む気が失せました・・・
なのでとりあえず妥協策として岩波少年文庫の方を読んでみることに。(1冊にまとまっているからなんと1/6の量!)
騎士道物語の読み過ぎで妄想にとらわれ、自身も遍歴の騎士として旅をし、その行く先々で嘲笑されるドンキホーテと従者サンチョの物語です。
レビューを読むと皆、「こんなにユーモアのある話だったなんて」「声に出して笑いました」などと面白い話に満足をしているようでしたが、私はむしろ、急に意味なく攻め込まれる相手に同情したり、逆に騎士道に則った行動を哀しく感じたり、嘲笑される二人を切なく思ったりと、楽しく嗤う気持ちになれませんでした・・・
ただ、ドンキホーテに対するサンチョのつっこみや、ことわざを用いながらする会話などは意外と奥が深く、現代にも通じる教訓じみたコトバもあり、意外に感動しました。
サンチョは普段はマヌケだけどたまに機転がきくし、真理を突いた会話をしたり、性格もかわいくて、サンチョ大好きです。彼がいるので☆増やしました。。
Posted by ブクログ
『ドン・キホーテ』ってどんなお話しだっけ?読んだことなかったので読んでみました。
騎士道物語を読み過ぎて本の中で読んだ魔法、戦い、決闘、愛のささやき、ありもしない馬鹿げたことが真実だと思慮分別をすっかりなくした紳士アロン・ソキハーノが自ら騎士(ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)になって物語の冒険を実際に行う
イカれた(* ̄m ̄)爺さんの話しwww
イカれた話しはどんな展開になるんだろうかとちと不安だったけど(笑)
むちゃくちゃだけどwww 紳士だから筋の通った話しをして感心させてたり、
学はないけど正直者で機転のきいた従者のサンチョ・パンサ
ドン・キホーテ主従に悪ふざけをする公爵夫妻
紳士を正気に戻そうとする同じ村の学士(サンソン・カラスコ)
ドン・キホーテの話しは出版され、ドン・キホーテの狂態や従者のサンチョのご愛嬌な話しを楽しみにしていたり・・・
とても面白い物語でした
おだやかで、人に善意をもって接する、人びとに愛されていた善人アロンソ・キハーノ(ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)のお話し楽しかった♪
原作の1/6
Posted by ブクログ
昔の作品なのに楽しく読めました
現在でも小説の読み過ぎで頭がおかしい人が出てきてもおかしくない
そこに普遍性を感じました
周りの狂人(主人公)に対する態度が暖かくて微笑ましかったです
Posted by ブクログ
何となく、どんなストーリーなのか断片的にしか知らなかったのを初めて読んでみた。「従者」サンチョを従えて騎士道物語の妄想に取りつかれてあちこちで騒動を起こす男。序盤からひどい返り討ちに遇い、「よく死なないな」と変に感心してしまうくらいこっぴどくやられる。サンチョもよくこんな主人についていくなあ、と。
妄想から戦いを挑むドン・キホーテは迷惑千万で滑稽な存在にしか見えなかったが、他国に戦争を仕掛ける国などは仕掛けられた相手からすれば、滑稽に誇張されてるとは言えドン・キホーテのように写るのだろう。そんな批判精神も含んでいるのだと思えた。
迷惑な男だが時には人に笑いを与え、そして「正気に戻してやりたい」という人達からは慕われているなど、憎めない面も持っている。学がなくても所々でいい働きをするサンチョも含め、「猪突猛進で迷惑でも、愛すべき存在」。かのディスカウントストアの名前はこんな思いを持ってつけられたか。
Posted by ブクログ
『ドン・キホーテ』はかなり長い作品らしいです。その中から、つじつまが合うように抜粋して編集してあるのが、この岩波少年文庫版です。この作品にどっぷり浸かって読む分には滑稽で面白いですが、ちょっと引いた目で眺めると、悲しいお話になります。
岩波少年文庫版の『ドン・キホーテ』です。
訳者によると、本当の『ドン・キホーテ』は前編と後編があって、
本書だと360pくらいの分量なのだけれど、
それは1/6くらいに短縮されたものらしい。
大長編なんだね、『ドン・キホーテ』って。
その名前をよく聞くけれど(お店の名前だったりもしますね)、
どんな物語かは知らなかった。
騎士道物語のパロディということで、
騎士道物語を読みふけり、没頭しすぎて、ついに騎士道物語を現実と
とらえてしまったある男が、騎士・ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャとして
従者のサンチョとともに遍歴の旅を重ねるコメディです。
こんなね、頭がおかしくなった主人公を笑いものにするような物語かと、
最初は読むのも、なんか疲れるし、これから読み進めるのもおっくうだ
なんて思って、ちょっとづつ読んでいったのですが、
読み進めてみると、そんな主人公や学の無い従者をバカにするようなだけの
物語ではないことがわかってきました。
人のあたたかみがあります。
ドン・キホーテも従者のサンチョ・パンサにも、ただの愚者ではなくて、
気の利いた聡明なところがでてくるし、そういう感じで読めて良かったです。
スペインの小説ということで、現代でも読まれている本だから19世紀くらいに
書かれたんだろうと予想していたんですが、実際は17世紀初頭に書かれた本でした。
訳者によって、文章を噛み砕いて綴られているとは思うものの、
名作は時を超えるんだなぁと感心してしまいました。
あとがきにも書かれているんですが、この物語は善悪二元論じゃないんですよね。
善いところも悪いところも、同じ人間に備わっている。
簡単に善悪に分かつような書き方がされていないです。
そのへんも現代人が読んでも面白いところなんじゃないでしょうか。
この本を読んだら、戦争に走ったブッシュ前大統領なんかをドン・キホーテだ
なんて揶揄できたかもしれません。
まぁ、彼が戦争物語に心酔していたかはわかりませんけれど。
Posted by ブクログ
かの有名なドン・キホーテ
ドン・キホーテっていう騎士(になりたい?)おじいさんと
サンチョパンサとロシナンテの名前は知ってたけど
実は未読だったので
読んでみました。
最初の4章くらいは
ドン・キホーテのきちがいっぷりにひいちゃって
つまんないから読むのやめようかと思ったんですが
ひまだったので読んでたら
だんだん面白いような気になってきて、
結論→面白かったです^^
なんだよーおもしろいじゃん!笑
ドン・キホーテが気ぃ狂っててこわいんですが
さいご訳者あとがきにもかいてあったけど、
ドン・キホーテの奇行をあざ笑っていいのか賛美(はしないけど)していいのか
狂気なのか正気なのか
馬鹿なのか利口なのか
あいまい性というより両方の同時的認識が「ドン・キホーテ」なのではないか、みたいな
なるほどー
ほんとはもっと引用があったりこの6倍くらい長いお話らしい。
でもそんなに読めないし、ちょうどいいかな
最後正気にもどったけど、
何かに夢中になるのってこわいなーとか、物語ばっかり読んでるとこうなっちゃうのかなー
とかは思わなかったけど。笑