牛島信明のレビュー一覧
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ネタバレイカれおじさんの傍迷惑であり愛おしい旅の記録。
今で言う重度の厨二病を発症したおじさん(おじいさん?)が騎士の旅に出るのは何となく知ってましたが、思ってたよりボコボコにされるし血は出るし、妄想と思い込みで相手に怪我をさせるしで、本当に迷惑かけまくってて引きました。
当時のギャグ漫画的表現でしょうか?(どれだけダメージを受けても死なないし次の回では完治してるやつ)また、話の中で「ドン・キホーテ」の本が出版されていて贋作について登場人物が怒ったりなどメタ的表現もあり、現代ではよくあるギャグ的表現がこんな昔からあったのか…と驚きです。
後半ではこれが単なるギャグ的な小説ではなく、登場人物の思慮 -
Posted by ブクログ
全6巻の感想をまとめて。
長編作品ということでなかなか挑戦する気持ちになれなかった作品だったけど、いざ読んでみるとテンポの良い冒険譚に引き込まれ、最後まで楽しく読むことができた。
ドン・キホーテが本物の騎士ではなく、騎士道物語に影響された騎士であることが物語の最大かつ重要な特徴で、前編では彼の狂人っぷりが物語を呼び、後編では彼の思い込みが物語を育むといった具合に、この特徴が物語の魅力の大部分を占めていたし、自分自身もとても気に入ったポイントだった。
作中には何組かのカップルが登場し、いずれも問題を抱えてドン・キホーテの騎士道精神を刺激するが、それぞれが読み応えのあるストーリーで良かった。冒 -
Posted by ブクログ
創作である騎士道物語を現実にあった存在だと思い込み、自身も遍歴の騎士となった狂人ドン・キホーテの最後の冒険。
従士サンチョ・パンサと共にその狂人ぶりを周りから揶揄われ、笑われながらの旅。当人たちはいたって真面目に旅を続けているつもりでも、その滑稽さはやはり可笑しく、しかし少し虚しさも感じた。
前編の出版が1605年、後編が1615年と、およそ400年前に出版された本作だが全く古臭さを感じない。メタ的な表現が多数盛り込まれていたり、一見喜劇として書かれている中にも登場人物に当時のスペイン国民の精神性がよく表されており、現代でこれほど評価されているのも頷ける作品だった。