牛島信明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2017年15冊目。
読みすぎた騎士道物語に取り憑かれ、自らを騎士だと思い込み旅立ってしまった男。
すべての災難を「これは遍歴の騎士だからこそ起こる試練だ」とむしろ幸いと捉え、
自分の助けを待っている人がいるという勘違いから生まれる尋常じゃないタフさ。
盲信の利点。その姿は、滑稽でありながら勇ましく、どこか羨ましくもある。
勘違いも徹底すれば役に立つ。(やりすぎて被害を受けている人たちも大勢出てくるが)
基本的に気楽に笑いながら読めるコミカルさの中だからこそ、時々現れる至言が際立つ。
章ごとに短編のようにオチがきちんとある場合が多いから、毎日少しずつ読んでも十分楽しめる。
古典だからといって気構える必要が全然ない素晴らしい作品だと思う。 -
Posted by ブクログ
アベジャネーダの贋作ドン・キホーテを経 て発表された真打ドン・キホーテの続篇。
著者セルバンデスは、徴兵で左腕を失うも 執念で創作し続けた点、敬愛する水木セン セに通ずるものを感じずにいられない。
出事村を旅立つドン・キホーテの狂気が盤 石であることに安堵した読者は多い筈だ。
しかし、これまでは「ドン・キホーテの狂 気と、人びと」であった構図が「人びとの 狂気の中にあるドン・キホーテな狂気」と いう構図へと鮮明に変化していることに気 づく。
傷夷後、徴税官となるも横領のかどで投獄 されたセルバンデスが失わなかったドン・ キホーテへの想いが立体的になる、そんな 続篇の幕開け。 -
Posted by ブクログ
前扁(1)がドン・キホーテ ビギニング、前扁 (2)がスピンアウト作 サンチョ・パンサである とすれば、本書はドン・キホーテを出自村から追随 してきた牧師と床屋(何か職業において象徴的だ) アラウンド・ドン・キホーテの物語ということに なる。
彼らの手によって捕縛されたドン・キホーテは出自 村に連れ帰られることとなり、ドン・キホーテの物 語は一旦終わる(著者セルバンデスが出兵→傷痍→ 徴税官に就職→横領→懲役といった著作活動以外の 場で忙しかったため)。
後扁が始まるまでの間、アベジャネーダが著した贋 作ドン・キホーテが生まれたのも、このドン・キ ホーテ帰村を当時の読者がひどく嘆いたことに寄る ところは大きい。