神谷美恵子のレビュー一覧
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五賢帝の1人マルクスアウレリウスが夜な夜な書き綴った自分を省み、戒める為のノート、自省録。
伴侶が死んだ、子供が死んだ、仲間が死んだ、明日は自分かもしれない。
仲が良かった家臣が裏切った、忠実な家臣のふりをしているがもう宮廷に自分の味方はいないかもしれない。
能力を買われて皇帝に選ばれた、だけど本当は哲学を専攻する学者になりたかった。戦いの日々で机に座る暇はもう自分の人生には残されていない。
人生の中で多くの恐怖や不安に苛まれてきたアウレリウスがそれでもストア哲学と不動心に救いを求め、自分を律し邁進していく姿が文章から想起されて胸が熱くなった。 -
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思想はエピクテトスの影響を受けていると言われている通り、自由意志を以って悪徳を排除せよという主張が繰り返される。本書では指導理性という用語が頻繁に使われている。エピクテトスのような冗長な表現は少なく大変読みやすい。
皇帝としては内政・外政ともに超多忙で、ストレスも相当なものだったはず。エピクロス派であれば避けるべきと言われる状況だっただろう。しかし彼はストア派の徒であり、公への奉仕が善という価値観で生きている。皇帝ゆえ受けるストレス、お追従への自惚れ、平穏な暮らしへの憧れ等を振り払うべく、内省が繰り返される。
また宇宙から見れば人間なんてどれほど小さい存在か、と言う視点も繰り返される。人間の一 -
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この本を手に取ったいきさつを忘れてしまったが。今の時代だからこそ、というよりも本に記してあるように、いつの時代でもきっと、生きているうちに、もっと言えば窮地に立たされた時、或いは幸福至極な時に、自分自身に問うていみたり、答えてみる言葉だと思う。仕事の中で対象者の「生きがい」について深く考える立場でありながら、自分自身、なぜその言葉を表出することがなかったか、その理由が何となくわかったような気がする。他人の「生きがい」なんてそうそう語るものじゃないし、「生きがい」そのものの持つ意味すらこの本に巡り合うまで本当にわかっていなかったんだなとつくづく思い知らされた。自分の中で再び言葉を噛み締めて再読し
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ネタバレ
マルクス・アウレリウス帝
・マルクス・アウレリウス帝(ローマ帝国最後の五賢帝)のパルティア戦役→勝利→
帰還兵たちが新感染症(天然痘か麻疹と言われている)をローマに持ち込んだ=『アントニヌスの疫病』→
6000万人のローマ帝国で、1000万人の人が死亡→急激な人口減少→ローマの経済力の減退→
国家の安全保障に揺らぎ→ゲルマン民族がドナウ川口境を脅かすようになっていく。
・マルクス・アウレリウス帝「まもなく土は我々全てを覆い隠してしまうだろう。
次に土自身も変化し、更には次から次へと無限に変化して行く。
この変化と変形の波の動きと、その速さを考えて見る者は、諸々の死すべきものを軽蔑するに至るであろう。
全て君の見ているも -
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いま読んでる
「生きがいということばは、日本語だけにあるらしい。〜 “ただ漫然と生の流れに流されて来たのではないことがうかがえる”」
「こうした論理的、哲学的概念にくらべると、生きがいということばにはいかにも日本語らしいあいまいさと、それゆえの余韻とふくらみがある」
フランス語で近いのは“raison d'être” (存在理由)
「ためらわずに行動するためには反省しすぎることは禁物なのであるから。しかし、深い認識や観照や思索のためには、よろこびよりもむしろ苦しみや悲しみのほうが寄与するところが大きいと思われる」
「ひとは自分が何かにむかって前進していると感じられるときにの -
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フランクルの「夜と霧」、エディスイーガーの「選択」と並び、自分の書棚に残しておきたい本が1冊増えました。テーマは「生きがい」です。
精神科医、神谷美恵子さんが、ハンセン病患者との交流を通じて本当の生きがいとは何なのか?7年かけて考察しています。
少し厚い本でしたが、心理学の本としては思ったよりも平易に読むことが出来ました。彼女がアカデミックな分析よりも、患者の発言や、作品など実体験を通じた考察を好んで引用しているためです。
初めてハンセン病患者の療養施設(愛生園)に収容されたとき、患者の多くはどれほど絶望したのか。その中で、どんな発見をしていったのか?
わたしたちが日頃大切だと「思い込んで -
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神谷美恵子さん(1914-1979)は、津田塾大などで教授を務めた精神科医です。ハンセン病患者の方たちが暮らす「長島愛生園」で、精神科医として長く勤務されました。彼女の著書、『生きがいについて』『こころの旅』などは、多くの人の人生の指針として、今も読み継がれています。ハリール・ジブラーン(1883-1931)は、レバノンに生まれた詩人で、日本では、神谷さんの紹介によるまで、あまり知られていませんでしたが、その作品は、アラビア諸国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、南米、中国にまで親しまれているそうです。
私がジブラーンの詩を知ったのは、ブログの記事によってです。今までに味わったことのない壮大さ、 -
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分厚い本だけど、読み進めやすく感じた。難しい言葉はあまり出てこない(1966年に著わされた本なので見慣れない表現はあるけど)。
思うところはたくさんあった。
・「この人精神科医?医者の文章じゃないでしょ?」とまず思う。…これは私の知識不足。神谷美恵子さんは本当にすごい人なのだと知った。他の著書もまた読みたいと思う。
・50年以上前に書かれたものなのに、今の時代にもすごく通じるところが多い。しかもさりげなく(?)今の時代への警鐘も含まれている。
・私自身に思いを重ねて読んだ。うまく言えないが「自分はこれでいいのだ」と思えた。生きがいを求める心は、ハンセン病患者のように肉体的精神的に追い詰 -
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これはとても良い本でした。
神谷美恵子さんのことはずっと気になりつつ未読で、昨年初めて「生きがいについて」を読んでみた。さすが名著の誉れ高いだけあって面白くて興味深くて読みごたえのある本で。で、この平凡社STANDARD BOOKSも手にとってみた。いいわーこれ。生きがいや自殺について、ハンセン病に取り組むなかで出会った患者さんについて、そのほか、自身の幼少期のこと、小学2年からスイスに住んだことが自分を形成したこと、子育てに苦労したこと、などについてもコンパクトにまとまっていて、神谷美恵子導入書として最適! こういう方だったんだなあ。
神谷美恵子さんの日記も角川文庫から出ているようなので読ん