高橋則明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本日読み終わりましたが、実に3年かかってしまいました。
とても読みやすい本ですので、本気で読めばそんなにかからないと思います。
医者等の待ち時間の暇つぶし用途にしていたので、読む機会自体が少なくてこれだけの期間がかかってしまったというだけでした。
スティーブ・ジョブスさんがトップだった頃の apple 社の話ですので、とても興味深く読み進めました。
テーマは「シンプル」これだけです。
結果的に成功した会社の話ですので、どんな題材でもそれなりに面白いとは思いますが、本書は特に「いかに apple がシンプルという考え方を重視していたか」という点を重点にしています。
むしろ「シンプルさ」の重要性を、apple という具体例をふんだんに用いて主張している感じです。
結構同感しながら読めました。
僕の周りの小さい世界(仕事場)でさえ、無駄に複雑にめんどくさくして、手順を決めたがる人が多いのですから。(笑)
この本を読ませたい同僚が腐るほどいます。(笑) -
Posted by ブクログ
ウイルスが最近熱い。病原体としてもだが、進化や発生の過程でも大きな役割を担っている。しかも、歴史に与えた影響も甚大。スケールの大きい感じがいいなぁと思ってたら、某ジャレド・ダイアモンドと共同研究したりしていたみたい。道理で。
動物(ヒトを含む)はウイルスや細菌を保持しているもので、ある意味ウイルスや細菌の塊。
人類は(少なくとも)一度人口が激減したことがあり、その時に人類が保持している微生物の多様性も減少した。また、人類が熱帯雨林を出たことで、他の猿と接触する機会が減ったことも人類が接触する微生物の種類が減ることにつながった。これに加え、熱を使って調理することでも微生物との接触が減少した。
これによって安全になった一方で、微生物に対して脆弱になったと思われる。
この後、人口が増加し人口密度が増加したこと、牧畜を初めて家畜との接触が増えたこと、さらに道路・航路・空路などを通じて移動が激増したことが、未知の微生物との接触機会を増加させた。さらに、医療も微生物の拡散に貢献してしまっている。注射を通じてHIVやC型肝炎が広がったのが例だ。また、輸血も血だけでなく病原体も広げる。さらには、移植もそうだ。特に異種移植にはその危険性が高い。人から人へ感染することはない狂犬病だが、角膜移植を通じて感染したという事例が10件ほど有る。(!)
新型の病原体の発生は、動物からヒトへ感染するところから始まる。
最前線に位置するハンターに協力してもらうことで、パンデミックの発生を未然に防ぐことが出来るのではないか。
バイオテクノロジー、GIS、モバイルテクノロジーの発展がこの分野を大きく前進させている。(例えばCall data recordから、インフルがどう拡大するかの予測ができる)→デジタル疫学
感染防止にはワクチン・手洗いが重要 -
Posted by ブクログ
ネイサン・ウルフのパンデミック新時代を読みました。
人間と微生物やウィルスとのかかわりを解説した本でした。
人類の生い立ちを遡って類人猿とウィルスの関わりが解説されていて、人類が一度絶滅の危機に瀕するほど個体数が減少してしまったために、感染症に対する耐性が低くなってしまっていると解説されています。
また、昔は悪性のウィルスが発生したときに局地的に感染が広がる(アウトブレイク)だけだったのが、現在は世界が航空機の交通網によりつながったことにより、広く世界中に感染が広がってしまう(パンデミック)リスクが大幅に増加してしまったことが解説されています。
ジャレド・ダイアモンドの銃・病原菌・鉄と関連する解説もあって面白く読みました。
人間はたくさんの微生物と一緒に生きているので、微生物を絶滅するのではなく、身体の中に良い微生物を増やすことが重要だ、という解説は面白いと思いました。
腸の中の微生物の状態により肥満が発生するという研究もあるそうなので、「腸内微生物ダイエット」なんてものがそのうち流行るんじゃないかな、と思ってしまいました。 -
Posted by ブクログ
まったく便利な時代になったものだと思う。どこにいてもネットにはつながるし、様々なデバイスから目的のファイルにアクセスできる。重いPCを持ち歩かなくても作業は行うことはできるし、シェアも簡単。まさにクラウドさまさまである。
しかし、人類に先駆けること何百年も前に、同じような環境を手にしている生命体がいた。それがウイルスである。彼らは人間同士が相互に接続された世界を、まるでクラウド・コンピューティングのように利用し、自分自身をビットのように複製してきたのだ。
かつてパンデミックを引き起こしたスペイン風邪ウイルスや、HIV(ヒト免疫不全ウイルス=エイズウイルス)のような悪性のウイルスは世界中を席巻してきた。また、2009年に豚インフルエンザウイルスが人類を脅かしたことも、記憶に新しいことだろう。
このような猛威に対し、人類だって手をこまねいて見ていたわけではない。突発的なウイルスを絶滅するべく、強力な医薬品を開発してきたのだ。だがウイルスもまた、さらに強力な進化を遂げて対抗する。その関係は、まるでイタチごっこなのである。しかし、約800万年に及ぶ人類の長い歴史の中で捉えると、このような関係になったのは、ごくごく最近のことであるという。
著者のネイサン・ウルフは、行動力あふれる気鋭の生物学者。小さすぎて肉眼では見えないが、どこまでも広大なウイルスの世界に乗り込み、パンデミックの拡散防止に勢力を注いできた。ついた呼び名が、ウイルスハンター界のインディー・ジョーンズ。
本書の前半部では大部分のページを割いて、長い進化の歴史における人類とウイルスとの関係、その変遷を生物学的に読み解いている。
両者の運命的な出会いは、人類の祖先が狩りを始めた約800万年前に始まった。ひどく汚れ、血も流れる狩りという営みは、一つの種から別の種へと感染因子が移動するために必要な条件をすべて備えている。
それは獲物となる動物との接触が増えただけではなく、獲物の持つ微生物との接触が増えることも意味していた。狩りは、人類の祖先にとって画期的な出来事であったのと同じくらい、微生物世界にとっても重要な出来事であったのだ。
次にターニングポイントを迎えるのが、森からサバンナへ移り住むという出来事である。それは決まったテリトリーでの生活から遊動民の生活に移ることであり、そうした変化に伴い新しい状況に対応するということは、さぞやきつい体験であったことだろう。あまり知られていないが、人類の祖先にはその数を大きく減らした時期があり、絶滅寸前にまで追い込まれていたのだという。
人口が減るということは、微生物にとって大きなビジネスチャンスである。数が減り、同質性を増した集団になることは、保持する微生物の多様性が減ることを意味するのだ。これは一見良いことのようにも思えるが、諸刃の剣である。人類が、病気と戦う防御戦術の一部を奪われたという側面もあるのだ。さらにそこへ、熱を使って食べ物を料理するという歴史的変化も起こる。これら二つの要素は結果的に、人間と接するウイルスを、よりエンパワーメントされた状態に仕立て上げることとなった。
だが、最も決定的な役割を果たしたのが、1万年から5千年前にピークを迎えた飼育・栽培革命である。この革命が人類の祖先に与えた大きな影響は、大規模な定住型コミュニティを築けるようになり、かつては一過性のものだった微生物も長く存続できるようになったということだ。
その後の人口の増加と、相互に接続された世界は、私たちをパンデミックの時代へと押しやることとなる。都市化、交通手段の発達に加え、移植や注射なども広く行われるようになり、病原微生物が拡散し、被害を与えるためのまったく新しい経路が開かれたのだ。
このような一切合切が、ウイルス視点で考えると、クラウド環境が急速に整備されていくということにほかならない。人間による移動手段の革命は、微生物にとって接続性の革命でもあったのだ。これらのテクノロジーが作った結びつきは、人間の感染症の性質を永久に変えたし、それが広まる効率も決定的に変えたのである。
そして現在争点となっているのは、これらのパンデミックをどのように阻止することが可能なのかということだ。本書の後半部では、この点に関しての詳細な解説がなされている。
答えの一つに、デジタル疫学というものがある。たとえば、情報機関がどのようにテロ行為を予防するのかということを想像してみると分かりやすい。もっとも有効なツールは、見張り役となる小集団にフォーカスを絞込み、会話を傍受するということである。そのノウハウを疫学に活用するのである。
住んでいる場所や活動が理由で、どうにも微生物に感染しやすい人々というのが存在するのだという。アフリカやアジアの一部で、今なお狩りと獲物の解体に従事する野生のハンターたちである。彼らを注意深く観察することで、ウイルスの異変をすばやく検知することができるのだ。
検知の次は、感染経路をどう予測するかということになる。代表的なツールの一つに、GIS(地理情報システム)があげられる。テキストメッセージを利用した単純なシステムを築き、すべての重要な医療情報を位置情報とともに可視化・共有化することで、劇的な効果を産むことができるのだ。これらのツールを総合的に使えば、アウトブレイクを監視し、防止する方法を根本的に変えられるかもしれないというところまで来ているそうだ。
将来的には、アウトブレイクの検知をクラウドソース化するのが、理想であるという。各感染者から送られてきた少量の情報を集めて、アウトブレイクの発生とその後の拡大をリアルタイムに描ける日も、そう遠くはないだろう。
こうして見ると、ウイルスと人間とのせめぎ合いが単体同士に閉じた話ではなく、ネットワーク同士の問題となっている様子が伺える。そこに立ち向かうべく、著者が模索しているシステムは、まさに「地球規模の免疫系」を作るような試みとも言えるだろう。
よくよく考えてみれば、これほど見事なソリューションも稀有ではないだろうか。監視や予防という観点に立つことにより、生命科学の問題に対し、社会科学的なアプローチで答えを出せるということなのだ。
人間同士が結び付くことによって引き起こされたパンデミックを、更なるつながりを持って解決する。結果的に本書は、人間同士が相互に結びつくことの功と罪を、ウイルスを起点に描き出しているのだと思う。人類最古のパートナーは、やはり奥が深い。 -
購入済み
超有名なあの公告
think differrent の広告キャンペーンの背後にあるものは、シンプルの哲学だった!知っていることも知らないことも満載で面白い。
-
Posted by ブクログ
<無料ビジネス>にまつわる本。
経済学とか消費・サービス・モノ・人材に関わる本があると
つい手にとってしまうほうで、
こちらの本もそんな流れで手にとってお買い上げしました。
"There's no such thing as a free lunch."
この世にタダのものなどない。
果たして本当にそうなのでしょうか?
「自由」を意味するfree,
「無料」を意味するfree.
その2点の領域を掘り下げた本です。
1、無料とはなにか?
ここで、無料が一種のマーケティング手法として
使われた経緯のお話。
当時、使い道のわからなかった「ゼラチン」を
デザートとして人々に魅力を広めた営業マンのお話。
ここでフリー戦略の芽が出ています。
2、デジタル世界のフリー
情報はフリーになりたがる?
情報の無料化、無料ビジネスが生み出す新しいあり方について
3、無料経済とフリーの世界
お金の発生しない「非貨幣経済」。
非貨幣経済を支配するものとは?
お金だけでは語れない
「価値創出」ビジネスの世界、FREE。
現代の経済のあり方をよく表現している本です。
350ページのハードカバーは
読みこむのにちょっと多めですが
とても興味深く読めました。 -
Posted by ブクログ
【ポイント】
プロローグ
14/あたらしいフリーを理解するものが今日の市場を粉砕し、
明日の市場を支配する。
過激な価格の過去と未来について・・
20/(ジレット)無料で配った安全カミソリが、やがて替え刃の需要を作った。
20世紀にフリーは強力なマーケティング手法になったが、21世紀にはフリーは全く新しい経済モデルになる。
モノの経済である原子経済(アトム)ではなく、情報通信の経済であるビットの経済へ
39/「フリーミアム」:
香水サンプルは実費がかかるので生産者は少量しか配布できなかった。
一方、デジタル製品では、5%の有料ユーザーが95%の無料ユーザーを支えている
46/「予想どおりに不合理」 行動経済学が「アンカー(錨)」と呼ぶもの
72/(フリーの歴史)20世紀に特筆されるべきことは、潤沢さがもたらした大きな社会的、経済的変化。
20年前のフォーチュン誌TOP100は地中から何かを掘り出すか、天然資源をモノに変える会社だった。
現在は、モノを作る会社は32社しかなく、アイデアを加工したり、サービスを提供する会社だ
77/今まで有料のものが無料になると「質が落ちた」と考えやすいが、元から無料だったら、質が悪いとは思わない。
85/消費者からは安いことと無料の間には大きな差がある。
ものをタダであげれば、バイラルマーケティング(口コミ)になるが、1セントでも請求すれば、全く別の苦労して顧客をかき集めるビジネスの一つになる。
「無料はひとつの市場を形成し、いくらであろうと有料になると別の市場となる」
89/行動経済学は、フリーに対する我々の複雑な行動を「社会領域」おける意思決定と「金銭領域」における意思決定に分けて説明する。
95/有料のもの選ぶ理由は、目当のものがえられないリスクを下げるため。
有料には保証がつくが、フリーには保証がない。
102/コンピューターの情報処理能力、デジタル記憶容量、通信帯域幅は「安すぎて気にならないレベル」にある
104/★今日のコストをもとに決めるのではなく、明日に要するであろうコストから価格を決める。
110/半導体は、物質よりも智恵がはるかに重要となる製品。
アイデアは事実上コストを要せず、無制限に伝わっていく。
アイデアとは究極の潤沢な商品で、伝達のための限界費用はゼロなのだ。「ミーム」
169/「流動性」という言葉は金融用語だと思われているが、テクノロジーでは「規模」と呼ばれる。
「インターネットは誰もが自由、無料にアクセス出来る流動性のマシンだ」
174/ブリタニカ→WIKIPEDIA
価値収入という計測できる価値を縮小させて、我々の集合知という計測できない価値を増やした。
「冨は計測しにくい形で再分配される」
240/お金が市場での重要なメッセージではなくなり、「注目(トラフィック)経済」と「評判(リンク)経済」という、非貨幣要因が浮上する。
244/ページランクは、「評判を扱う金本位制なのだ」。
ラリー・ペイジはグーグル経済の中央銀行。
彼らは、通貨の価値を保つように、ページランクのアルゴリズムを微調整している。
307/(タダと闘う)フリーと戦うのは簡単。単純に無料のものよりよいもの、少なくとも無料版と違うものを提供すればよい。
(日本語訳解説)
343/「競争市場では、価格の限界費用まで落ちる」
「テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用は年々ゼロに近づく」130
「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、限界費用の高い情報は高価になりたがる」
「多くのアイデア商材の価格は、フリーの万有引力に引っ張られる。それは、抵抗するよりもむしろ生かす方法を模索せよ。」
「潤沢になってしまった商品の価値は他へ移るので、新たな稀少を探して、換金化すべき」
348/「潤沢さを価値にして伸びる企業」と
「新たな稀少を価値にして伸びる企業」 -
Posted by ブクログ
未来予想学者として著名なレイ・カーツワイル氏によるAI、ナノテクロジーなどの技術によって社会、人間がどのように変容していくかを論じた一冊。
テクノロジーの進歩は寿命の延長、大脳新皮質のクラウド、脳自体の機能拡張などの正の側面もあるが、戦争や犯罪などの負の側面も大きくなる可能性がある。
しかし、著者は「慎重かつ楽観的な姿勢」で未来を受容すべきであると語っており、この姿勢は興味深いです。
過去のテクノロジーの進化を見ても、失業者の増加などの経済的な側面や、人間の倫理観的な問題などの議論が起き、その結果として社会に溶け込んでいることを考えると、進歩した未来の魅力に人類は抗えないのではないかと感じます。
ここに記された内容の全てが実現するわけではないと思いますが、現在進行形で進んでいる各分野のテクノロジー進歩や、これから起こりうる可能性に備え、何を考えておかなければならないかという気持ちにさせてくれる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
2020年代半ばとなる2025年8月現在に本書を読んでいる身としては、2020年代にAIとバイオテクノロジーが融合し、多くの病気が解決するようになる、指数関数的なテクノロジーの発展によってほどなくして太陽光発電が主流になって化石燃料に頼らなくなり、垂直農業と人工肉によって食の問題が解決する、といった予測が非常に机上の空論に感じられる。
世界が良い方法に向かっているというのはハンス・ロスリングらが主張した通りだし、過去数百年に渡って指数関数的にテクノロジーが発展してきたのも事実だろう。
しかし本書後半でも触れられているように、政治がその足を引っ張る。
著者カーツワイル氏は民主主義が素晴らしく、民主主義も発展し続けてきた、と述べている。
しかし氏が根拠としてちらりと挙げたアラブの春などの民主化運動はほぼ失敗した。独裁者を倒したものの、民主的な社会体制を維持するのに必要な経験や民衆の学習レベル、生活水準などが伴っておらず、政治が不安定なままな国が多い。中国、ロシア、イランなどはかりそめの民主的さを身にまとっていて、氏のイメージする民主主義とは遠い。
それにまさに進行形で、多くの民主主義国ではポピュリズムが躍進し民主主義が機能不全に陥っている。
政治体制が伴わない中では、テクノロジーの進展も覆いを掛けられてしまう。
古代ローマ時代の崩壊といった、歴史上あった技術や文明の長期間の低迷も、反知性主義や民衆の変化への恐怖、為政者の権威への闘争などが間接的要因となった。
「風の時代」などと喧伝され、認知的操作を行う為政者が空中戦を繰り広げ、フェイクニュースや陰謀論に目を曇らされている民衆が多い中、そうした文明の低迷の兆しを強く感じてしまう。
ただまぁ、そうした宗教主体による長き低迷を打破したのは、外部からのテクノロジー輸入による啓蒙だったのも確かである。
現状、AIの後押しもあって様々な業界で技術は活性化している。
しかし未だ病気や怪我を直せずに苦しんだり亡くなったりしている人は身の回りにも多い。
温暖化による環境変化で猛暑、ゲリラ豪雨、洪水、山火事が世界中で頻発し、大規模な地震が各地で起きている。
都内にて健常に働き、平均的な収入を得て暮らしている身としては飢えや汚染された水などに苦しむことはないが、理想的なバランスで質のいい食材を購入できているかと言えば、まだ完全には遠い。様々な理由で物価が上がり生活レベルは年々下がり続けている。
私の友人知人親戚家族、大体仕事で忙殺され、病気と闘い、必死で節約し、なんとか生きている。
IT業界で働く身として、そして生成AIを活用しまくっている身として、テクノロジーの恩恵への理解も、テクノロジー発展の驚きへの共感も、テクノロジーによってより良い未来へと変わっていくことへの期待も大いにあるが、果たしてそれが10数年以内に劇的に変わるかというと、全然実感がわかないのが上記な印象である。
シンギュラリティの到来に伴い、技術は理解可能な域を超えるが、AIやナノテクノロジーと一体化した人間はAIやテクノロジーと戦うのではなく融合する、という主張に関しては、これまでやんわりと残っていたデジタルネイチャーへ全面没入する抵抗感をかなり解消してくれたように思う。
過渡期は混乱が起きると予測されているが、その過渡期が一体どれだけ続くか。そしてどの程度の混乱規模となるか。その間の格差問題と環境問題の悪化スピードが懸念点だが、願わくば私が主観的にもその変化の時代を無事に乗り越え、ユートピアを体感できることを祈る。 -
Posted by ブクログ
2005年の超楽観的未来論「The Singularity Is Near」の続編であり本書は「The Singularity Is Nearer(末尾にerがついている)」
基本的に前著を踏襲しつつ、近年の生成AIの進歩などを含めて、2024年時点での進捗報告的な内容だそうだ。生成AIなど一部については予想通りに進んでおり、2029年にチューリングテストをパス、2045年にシンギュラリティ到達という予想は変わっていない。前著はいろいろ物議を呼んだようだが、本人としてはそれみたことか、と嬉々として続編書いたんだろうな。
ただ、テクノロジーの急激な発達により毎年の寿命の増加が1.0を超えて不老不死を達成できるとか、体内で病気の治療にあたるナノボット(ミクロの決死圏か!)とか、首をひねるような内容も多いが、ヒューマン・マシンインタフェース(攻殻機動隊!)はイーロン・マスクがとりくんでいるな(まだ初歩的だが)。SF的な読み物としては面白いかも。 -
Posted by ブクログ
・記号主義
・コネクショニズム:ネットワークを構成する人工ニューロンによって、
内容ではなく構造を通して知能をつくる
→初期はフィードバックの無い順方向の構造で排他的倫理和を要する問題が解けない
→ハードウェアの進歩で多層構造が用いられ、不変性に対応可能となった
・トランスフォーマー
:入力情報に関連する部分に計算能力を集中する超次元言語処理
⇔自分の思考の重要部分に注意を向ける大脳新皮質に類似
→正確性はパラメーターの大きさにかかる
・AIに足りないもの:文脈記憶、常識(訓練データに無い暗黙の知識)、
社会的相互作用(心の論理)
→計算能力の価格性能比、幅広い訓練データ、アルゴリズム改良による学習・推論の効率が指数関数的に成長することでギャップを埋める。
大脳新皮質をクラウドに拡張する
fMRIでの脳内の血流測定は脳の活動とは数秒のずれ
頭蓋骨外からの脳内検査は脳の活動場所とは数センチのずれ
⇔時間分解能と空間分解能のトレードオフ
→脳内に電極を直接埋め込むのは、現状はリスクが大きく障がい治療など限定的
→ナノロボットの技術革新でいずれは解決見込み
→大脳新皮質をクラウドに接続出来れば、回路基板により生物学的組織より速く情報処理
→知能は指数関数的に成長し、脳が情報・経験を処理するプロセス自体も変わる
情報技術の価格性能比は指数関数的に上昇している
→ただし情報技術の発展が経済成長に資する証憑が無い
→情報技術を経済成長の計算式の分母・分子の両方に含んでしまい相殺しているため
・仕事の未来
必要スキル低下・仕事の単純化→必要スキル高度化→仕事の完全代替
※完全代替→人間の仕事が異なる一連のタスクになる場合がある→実質的な必要スキル高度化
・経済統計
従来の製品・サービス:価格は限界費用に近づく
⇔情報テクノロジーは価格はほとんど変わらなくても有用性は大きく増加
→消費者余剰ベースでは生産性は伸びており、実際の繁栄に近い指標となる -
Posted by ブクログ
レイ・カーツワイル氏が"THE SINGULARITY IS NEAR”で2005年に予見したシンギュラリティがまさに迫っている。
あれから20年、いよいよ来るシンギュラリティへの現実味を現在の技術や動向を検証しつつ、前作ではややコンセプチュアルであった未来を、より具体的に詳述する。
昨今のChatGPTの普及はもとより、mRNA技術のコロナワクチンの驚異的開発速度、DeepMind社CEOのデミス・ハサビス氏のノーベル化学賞受賞など、まさにAIは我々の世界を一新しようとしている。彼の見方はやや楽観的過ぎるという批判はあろうが、技術的進歩は全てを解決するという彼の考え方に賛同する。
AGIが誕生するという2029年まであと4年。未来が楽しみになる一冊。