石井淳蔵のレビュー一覧

  • ブランド 価値の創造

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     気鋭の学者が著したブランド価値論。岩井克人の「貨幣論」の考え方を汲んでいるところからして、個人的に非常にしっくりくるブランドのとらえ方だった。
     特に、自分にとっては、
    ・ブランドが静態的にとらえることはできず、商品とブランドが相互に影響しあう関係は動学的である
    ・消費者によって決まるのでもなく、制作者の思いで決まるのではない
    ・商品を識別するための名前=記号が、記号のメッセージを伝えるために商品を出していくようになることで、ブランド固有の価値が生まれる。
    ・ブランドの剰余価値は、実際に売買の対象となる
    などが重要な洞察。

     一方で、この書籍にある説明だけでは、考察にかける紙面が不十分で、

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    2021年08月10日
  • ブランド 価値の創造

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    読み返して涙した。単なるマーケ本ではない。ブランドという不思議な存在を題材に、資本主義ど真ん中で余剰価値を生まれるメカニズムを記した思想書である。
    マルクスの唱えた「商品」と、今現在(99年当時)の「ブランド」との比較からはじまる、情熱を帯びた知の探索。

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    2020年02月19日
  • ゼミナール マーケティング入門 第2版

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    大学院講義のテキストとして使用。

    タイトルは「入門」だが、内容は決して入門ではない。非常にロジカルで、読むたびに新たな発見がある。

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    2017年01月27日
  • マーケティングを学ぶ

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    わたしのようなマーケティング初学者からすると、マーケティングとはいかにモノを売らせるための技術である、なんていうひどく雑でひねくれた見方をしてしまうが、「本書では、企業の生活者・顧客との接点を、どうデザインするかに焦点を絞り検討してきた」(P301)とあるように、本書の目的にあるのは「生活者」といかに「接点」をみつけ、それを構築(「デザイン」)するかというのがマーケティングであると示され、曚を啓かされた。

    こんな始まり方をすると堅苦しいように感じるかもしれないが、誰もが知る企業の、成功例も失敗例もふくめた豊富な事例(ソニー、パナソニック、サントリー、伊藤園、P&G、花王、JTB、アー

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    2017年01月22日
  • マーケティングを学ぶ

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    マーケティングという名前の下で、アイデア発想やフレームワーク論に終始する本が多い中で、「マーケティング・マネジメント」という観点から、ブランド戦略・営業戦略のふたつの柱で、マーケティングのマネジメント方法を事例豊富に語った新書。
    それは結果的に、企業と生活者(顧客)との接点を、どうデザインするか?という観点を、立体的に語っている。
    素晴らしい。

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    2015年03月03日
  • マーケティングを学ぶ

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    ポジショニング、組織論、ブランドマネジメント、情報リテラシーなど、マーケティングに関する幅広いトピックスが網羅されている。構成も非常に体系的で、自分のような門外漢がマーケティングを学ぶには大いに参考になった。
    特に、組織形態のありようで経営判断が大きく変わりうることが具体的な事例(サッポロ・ドラフトワンなど)で示されており、新しい発見となった。ウチの会社の経営陣は伝統的に組織に手を入れるのが大好きでしょっちゅう組織変更があるが、どこまでその影響を認識しているのだろうかと考えさせられる。どう見ても気まぐれとしか思えない組織改編も多く、ある意味恐ろしくなった。

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    2015年02月20日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    とにかく文章の質が良い。
    ポランニーの「暗黙知」のような、記述しえない洞察のようなものがビジネスのブレークスルーにおいて作用する例が多い。それは、熟練の、あるいは熱意の求道者が、オブジェクトに棲み込むほど一体化した感覚を得て、初めて発動しうるのかもしれない。

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    2018年10月19日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    マーケティングの大御所、石井淳蔵の本。”経営者は跳ばなければならない”として、これまでの延長で事業を進めるのではなく、創造的に事業を創りだすビジネス・インサイトが必要なのである。前書きから惹き付けられることが多く、マーケティングにおける定性的研究の重要性が感じさせられる一冊だった。

    ①実証主義の限界(第1章 実証主義の経営を検証する/第2章 ビジネスインサイトとは何か)

     それまでは既に存在している市場を分析すること、つまり実証主義の経営が主流とされてきた。だが、それは裏を返せば既存のニーズを中心に分析しているため、自社にとって新しいニーズであっても市場では馴染みのあるものになりやすい。

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    2013年01月30日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    野中郁次郎のSECIモデルで言っている暗黙知と、M. ポランニーの暗黙知は違うという話を聞いて興味を持って買った本です。

    野中郁次郎の暗黙知は、たとえば、杜氏が上手にお酒を造る技術のことを言っていますが、SECIモデルはそれを形式知化することの重要性を述べており、つまりは、時間や手間はかかるかもしれないけれど形式知化可能な暗黙知を含んでいます。

    一方、M. ポランニーの暗黙知は決して形式知化することができないものを指しています。M. ポランニーは科学者なので、アインシュタインの例を使って説明していましたが、相対性理論が生まれる瞬間に使った知恵がそれにあたります。

    簡単に言うと、閃き

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    2012年09月28日
  • マーケティングを学ぶ

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    この本を読む前は、マーケティングという言葉をなんとなくイメージで理解し、マーケティングはなんとなく大切なんだろうなぁという理解だったが、読んだあととなっては、マーケティングなしに商品を売り続けていられる企業は単に運がいいだけなんだと思うようになった。

    いまの自分の職場から見て、いまの会社はあまりマーケティングをしているように思えないのが残念。ただ、これからマーケティングを行おうとがんばってはいるのかな。

    ちょっと話を変えて、文系・理系の話。
    自分は今まで文系・理系という言葉を思い浮かべるときに、なんとなく、感性的・論理的といったようなイメージで対比させていたのだが、このマーケティングの話を

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    2012年05月29日
  • ブランド 価値の創造

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    マーケティングの一分野であるブランド・マネジメントについて講学的に知ろうと読み始めましたが、説明のアプローチはかつての言語論や記号論そのままです。「ブランド」が製品の技術や使用機能の従属性から離れて生成発展していく説明は十分成功していると思いますが、言語論や記号論の知識がない読者はちょっと辛いかもしれません。ただし、こういった一連の概念に慣れると応用が利くので、知っておく価値は小さくないと思います。

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    2012年02月14日
  • ブランド 価値の創造

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    経済学と文学を繋いでいる視線。この感性は石井氏の才能だと思う。



    以下引用など

    ブランド自然説…消費者の選択が決着をつける。つまり、ブランド制作者の意志とは無関係に、消費者はブランドを選ぶのだということ。
    ブランド・パワー説…消費者にいかに選ばれるかよりも、制作者がそのブランドに込めるところの価値を消費者にたいしていかに首尾一貫した形で伝え、啓蒙するかが重要だという意見。
    (P10
    →岩井克人『貨幣論』


    差異と包括性によるブランドイメージの向上


    ふつうの商品→「欲望が主で、商品は従」
    ブランド→「ブランドが主で、欲望が従」(p179


    「消費者は価値あるものを選択する」という理

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    2011年08月05日
  • マーケティングを学ぶ

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     マーケティングとは関係のない仕事をしているが、参考になる。どんな仕事をしていても、状況としてマーケティングの考え方が必要になる。よくまとまっていて勉強になる。創造的適応を意識したい。

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    2011年05月16日
  • マーケティングを学ぶ

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    王道マーケティングを学ぶなら、この1冊で十分。
    コンパクトに非常によくまとまっている。
    後は、現実の世界に触れるのみ。実践、実践、実践!

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    2019年01月16日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    「ケースに棲みこむ」「知の暗黙の次元」

    なんとかっこいいことか。友人は、この本はまだ社会科学の次元に達していないというが、僕としてはその次元を超えているという印象です。方法論としては十分に社会科学に適用できているし(本書は経営学に適用している)、あとはその「知の暗黙の次元」に達するかどうかは棲みこんだうえでの運に委ねられる。

    まちがっても「就活」というケースには棲みこんではならないな笑
    だって手段を目的化するようなものだから。

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    2010年10月22日
  • ブランド 価値の創造

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    三田祭論文の参考になるかなあと軽い気持ちで読み始めた本書でしたが、内容が思ったよりもまともだったので、論文のことなど何処へやら、いつのまにか一読者として楽しんでいました。
    なぜ「内容が思ったよりもまとも」ということをわざわざ明記したのかと言いますと、俺が「ブランド」という語そのものに対してちょっとした嫌悪感を抱いている部分があったからでありました。
    いわゆる「ブランド」という語には金持ちが○○の一つ覚えみたいに何も考えずに「ただ周りが持ってるから買ってる」っていうイメージが付きまとったり(なんて保守的な考え!)、また、ただ顕示したいがために買ってるんだろう・・とか、「ブランド」で売れるんだった

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    2010年08月02日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    主にマーケティング理論と科学の基本を用いながら、マーケ対象に入り込み、その視点(インサイト)でニーズを分析することの重要性を説いている。ポランニーの認知学の要素も入り、ものの見方を大きく変える入門書としてオススメ。この本の良さを書くと文章が稚拙となるが、何回も読み直してちゃんと意味するところを押さえたいと思う。

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    2011年08月29日
  • ブランド 価値の創造

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    かなり引き込まれた。著者が分かりやすく説明しようとしていることが文章から伝わってきて、好印象だった。ブランドというものは、消費者の欲望にも、そのブランドを創ろうと熟慮してデザインした経営者にも還元されない、独立した概念と化す。(中古)

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    2009年11月21日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    経営学・経営研究パラダイムの転換を、身をもって教えてくれる。つまりは、実証主義の超克だ。

    わかりにくい概念を、様々な文献を参照しつつわかりやすく解きほぐしてくれる。また、個々のケースの紹介・分析も、簡にして要を得ている。とても知的刺激に満ちた本だ。

    「ビジネス・インサイト」を学び得るかについては、この本を読んだあとでもやや懐疑的にならざるを得ない。ただ、経営学がこうした知をうまく消化できれば、経営者育成の歩留まりは向上しそうだ。

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    2009年10月04日
  • ビジネス・インサイト 創造の知とは何か

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    読みやすい本ではありません。
    安易に使われすぎている「インサイト」の本来の意味をあらためて認識させてくれます。

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    2009年12月14日