気鋭の学者が著したブランド価値論。岩井克人の「貨幣論」の考え方を汲んでいるところからして、個人的に非常にしっくりくるブランドのとらえ方だった。
特に、自分にとっては、
・ブランドが静態的にとらえることはできず、商品とブランドが相互に影響しあう関係は動学的である
・消費者によって決まるのでもなく、
...続きを読む制作者の思いで決まるのではない
・商品を識別するための名前=記号が、記号のメッセージを伝えるために商品を出していくようになることで、ブランド固有の価値が生まれる。
・ブランドの剰余価値は、実際に売買の対象となる
などが重要な洞察。
一方で、この書籍にある説明だけでは、考察にかける紙面が不十分で、現実の投資や事業運営において説明しきれない論点も多く残っている。例えば、
ー消費者の支持を受けるためにブランドが満たすべき要件は何か。
ーこうした支持を受けるためには、どれくらいの投資と時間がかかるのか、それは十分ROIがとれるものなのか
など。
序 ブランドを支えるもの - 消費者の欲望か制作者の思いか
第一章 ブランドが支える企業の成長
第二章 ブランドだけがブランドの現実を説明できる
第三章 ブランドの創造的適応
第四章 ブランドの価値論
第五章 ブランドの命がけの跳躍
第六章 消費者とブランド価値
おわりに メディアとメッセージの交錯