新庄耕のレビュー一覧
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ネタバレ勤務先は業績不振、将来への不安から主人公はマルチ商法に手を出す。
はじめはうまくいかないが有力な子会員を得たことで月収70万円を手にするようになる。しかしそれと引き換えに子会員から体の関係を求められる。枕営業。彼女がいなくなると途端に収入はダウン。体の関係があったと噂されグループにもいづらくなる。
せっかく足を洗ったのに借金苦から再びマルチに手を出す。マルチの借金をマルチで返済しようとする愚かさ。今度のグループの社長は一見善良なようで実はとんでもない悪党。自社製品のせいで健康被害が出ようが知ったことじゃない。
ラストはちょっと小説的にすぎるけれど中盤までの強引な勧誘によって周囲から人が離れていく様子は読み応えがあった。殺伐とした職場の描写は胃が痛くなりそう。
マルチの世界は狭い。ニューカルマの社長がウルトリアの石黒と裏で繋がっていたのは怖い。石黒と金村もグルだったのだろう。一度ハマった人間はリストに載って別のマルチに狙われる、そういうシステムがあるのかもしれない。 -
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新庄耕さんの2冊目は「ニューカルマ」でした。
大手企業に勤める主人公が、マルチ商法的なネットワークビジネスに手を染めていく物語です。
読んでみて私にも身に覚えがありました。もう30年以上も昔の話になりますが、その手の会社の商品を勧められたり、ねずみ講みたいな組織の会員に勧誘されそうになったり。そして勧めたり勧誘したりする人は罪の意識は全くないのです。そうすることが自分にとっても相手にとっても幸せになるかのようなロジックで話されます。
既に会員になっていた知人から結婚祝いにその会社の高価な鍋セットをいただきましたが、その鍋たち(フライパンや大小のお鍋)は30年以上経過した今も現役で使っていますので、品質には問題ないのかもしれません。ねずみ講式に会員を増やしていくというビジネスモデルにこだわらずに商品の品質だけで勝負していたら、もっと成功していたかもしれません。
昔のようなマルチ商法ではすぐ摘発されてしまいますが、現代は改良に改良を重ね?限りなくホワイトに近いグレーなビジネスモデルになってきているため、従業員は負い目や引け目を感じることなく堂々と販売や勧誘しているようです。
まぁ100%ホワイトな企業など見つけることが難しいと思いますが...そうすると、一般の企業もマルチ商法会社も大して存在意義に差がないという話になってくるわけで、ややこしくなってきます。
今後も犯罪や社会や性別、年齢の境界がどんどんボーダーレス化していくように思います。果たしてその先にある未来は明るいのかなぁ... -
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新庄耕さんの作品は初めて読みました。
「狭小邸宅」がデビュー作で、2012年の「すばる文学賞」を受賞されています。すばる文学賞は「純文学」の公募新人文学賞でありエンターテイメントではなく芸術性が重視されます。そのためか?過去の受賞作の一覧を見ても知らないものばかりでした。
「狭小邸宅」はブラックな不動産屋での日常が舞台となります。休日なし、毎日帰宅は日付けが変わってからという毎日。主人公もそんな会社を辞めたいと思いながら働くも結果の出ない毎日。
そんな主人公を新興宗教の洗脳と同じやり方で、会社に貢献する戦士に育てあげていきます。ブラックな会社は社員を使い捨て要員としか見ていないことはわかっているのに、そこから抜け出せないサラリーマンの悲哀が描かれています。
本著が純文学作品であるということは意識せずに、すらすらと読めてしまいました。予想を裏切る結末だとか、どんでん返しとかも全くなく、たんたんと物語は進みますがどんどんページをめくってしまい、気が付いたら読み終えていました。
今まで、純文学=芥川賞作品=理解できない=読む気がしない、という苦手意識がありましたが、今後はそんな枠に囚われることなく、読みたいと感じた本を読むようにしたいと思いました。 -
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「地面師たち」からたどり着きました。
青年がマルチ商法にハマった先の盛衰や破綻が描かている。
古い友人からの連絡を無視できなかったり、警戒しながらもセミナーに参加したり、結局、流さられるままに入会したり...と、その後も何度も「ここで踏みとどまればよいのに」と思う場面があった。
マルチで繋がる関係は結局のところ、金で繋がっているだけで、金が切れた瞬間に胡散霧散になるのところが興味深い。
主人公を取り巻くマルチに浸かってしまった人々の、一見利他のようでいて私利だけを追い求め、本音を隠し耳障りのよい言葉で懐柔していく様子には、全く別の生き物を見ているようだった。
さらに、マルチでの成功が潰えた頃には、平場の社会で築き上げてきた人間関係や信頼を失い、本人の価値観も歪んでしまい、全うな社会での再生の路も閉ざされてしまう。
おそらくこの主人公は、例に漏れず、揺るがない幸せや確たる人生が欲しかったんだと思う。
それをマルチの中に見出し、希求した。
ウルトリアからニューカルマへと、主人公は、より中枢部に近いところへ上り詰めるが、どこまで行っても、風向き一つでトカゲの尻尾切りをされてしまうところがイカロスの羽を見ているようでした。 -
購入済み
話題のNetflixオリジナルドラマの原作で、実際の積水ハウス地面師詐欺事件を題材にしたフィクション小説。面白くて一気に読んでしまった。傑作。
ただ、実際の事件とは登場人物や流れなどかなり改変されているので、実際の事件を知りたい方は「地面師」がおすすめ。そちらも読んでおくと、この人物のモデルはあいつか…とか分かってより面白い。
さらに、本書も「地面師」も地面師側から書いた本なので、被害者側の事情が薄く、「何でこんな内容で騙されたのか?」という疑問が湧いてくると思う。そうした場合は、「保身」を読むことをおすすめする。積水ハウスの内部事情や内紛など積水ハウス側から書かれたものなので、これで全体像が分かる。 -
Posted by ブクログ
広告で良く目にするネットワークビジネス。
自分がもし手を出してしまったら?を追体験させてくれるストーリーだった。
ネットワークビジネスには夢がある。武器に出来る能力も無く、会社に不安を抱きつつ過ごす日々に、成功のための裏ワザを教えて教えてくれる。
改めて巧妙で合理的な仕組みだと考えさせられた。それは深みに進んでしまうのも無理は無い。
本作ではその裏側と待ち受けているであろう現実と、伴う心情の変化を歯軋りしてしまう程のリアリティを持って表現している。
目の前の上手い話に乗っかるより、勉強して自分の武器を作り、今の仕事で実績を残して行くことこそが今の自分にとっては最も幸せになる方法かなと思った。
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Posted by ブクログ
マルチ商法をテーマにした本書。
途中までは、これ系のよくある話。パッとしない独身男性が、マルチ商法の世界に出会い、運よく成功していくというもの。
しかしある時からマルチが上手くいかなくなり、幼馴染に救われる、というのもありがちな展開。
そこから再び、主人公はマルチにハマる(?!)。
その企業名が「ニューカルマ」。最初のマルチとは異なり、社長の熱い想いと真摯な商品開発に、主人公は惹かれていく。
しかし結局、ニューカルマも「偽物」だったことが発覚。
商材が引き起こした健康被害に対して、強い自責の念を持つ主人公。それから、幕間に挟まれる、幼馴染との過去。その2つが交差するように物語が進んでいき、結末を迎える。
ありがちなテーマから始まった本書が、ちょっと意外な結末を迎えるのが面白かった。
筆者の前作の「狭小住宅」も面白かったけど、こちらも良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれも一気に読んでしまった。闇、、、
解説も面白かった。最後をハッピーエンドと見るか破滅の始まりとみるか。
私は闇だと思うし、、、依存症のように見えた。
主人公の妹との対比がすごかった。正当な道で自分の夢を目指した妹。をバカにしていてマルチにハマる兄。
そこは気づいたんだけど、タケシとの対比については解説を読むまで気づかなかった。世の中をよくしたい、何か社会の役に立ちたいという同じ思いのはずなのにベクトルがずれるとマルチ布教に。
そこでタケシと主人公の違いは、よく人を見ているかどうかというところではないかと思う。自分がよければいいというフィルターを通して見ていた主人公。親や他の人の状況を聞き取っていたタケシ。
身につまされる。