あらすじ
「目標達成」と「働き方改革」の間で翻弄される日本のビジネスパーソンたち。
ブラック企業から人々を救え! 時代が待望した文庫書下ろし小説。
「カトク」とは、ブラック企業が社会問題化する中、大企業の違法な長時間労働を専門に取締る目的で、東京と大阪の労働局に作られた「過重労働撲滅特別対策班」の略称。
主人公は、カトクの最年少監督官・城木忠司。
ある過去の出来事がきっかけで、民間から労働基準監督官に転身した彼は、女性上司の村井真理班長の指導の下、今日もこの国の第一線で働く人々の苛酷な現実に誠実に向き合い、悩みながら奮闘します!
筆者は『狭小邸宅』はじめ、ブラック企業描写に定評のある新庄耕さん。
すべての働く人必読の、文庫書下ろし長篇小説です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
働くおじさん、おばさんの姿が、等身大に描かれている。仕事、なのか、理想、なのか、正義なのか、お金なのか、何を求めて足掻いているのだろうか。
自分自身わからなくなることも多い。
生活を成り立たせるためなのかな。僕は。
Posted by ブクログ
最初は、ただただ労基署の仕事の一部を企業ごとのケースに沿って紹介してるようにしか思えず、途中から読むのを辞めようかと思った。ただ、その"途中"から主人公に関しての話、序盤に出てきた不動産会社についての話が再度出てきて…最後の最後で少し面白かった。
読んでいてよかったと思う。
ただ、ニューカルマのような生々しさはなかったように思う。おそらく、労基署という特殊に思われる仕事だからなのか。
Posted by ブクログ
働く。。。ことを改めて考えた。
自分の中で何が一番大切か?企業には利益が一番だろうが
人には心がある。
折り合いのつけ方が大切。
でも洗脳してしまう企業体質は撲滅させてほしい
Posted by ブクログ
2018.09.08読売書評。
労基署の過重労働撲滅特別対策班の最年少監察官が、ブラック現場に直面。 主人公の苦い過去も明らかに。曖昧な決着といえるが、人殺しと過労自殺、過労死させた会社、並べて裁くことの難しさを感じる。
Posted by ブクログ
新庄耕らしい現代日本で実際にありそうな小説である。ブラック労働環境が主題だが、主人公は労働者ではなく、彼らの味方である監督当局の役人であるところが新しい。
その役人の活躍というか仕事を、4編の物語を通して描いている。各編とも、物語の結末を最後まで書かずに終えており、その余韻は読者に任せるのも嫌いではない。
でも、これらの小編を通して主人公が変わっていく様は、どこか既視感があり、もっと尖ったストーリーが欲しいと思った。ブラック労働ぶりにも負けないような、個性というかシナリオがないと、小説なのに現実に負けてしまう。
まだまだ視点の独自性が他の追随を許さない作者なので、今後の作品のさらなる発展を期待している。
Posted by ブクログ
私の勝手な決め付けで思い込みですが、労基署へ駆け込む人は大雑把に分けて二通り、「つらすぎる思いをして、悩みに悩み抜いて相談しようと駆け込んだ人」と、「適当に働いていたら不愉快な待遇を受けたから、ダメモトでチクってやると駆け込んだ人」がいるのではないかと。
本当に気にかけなければならないのは、誰にも相談できず、もちろん労基署に駆け込むこともできず、たったひとりで悩んでいる人。
労基署のことも、本作に出てくるブラック企業に勤める側の社員同様、お役所だと決め付けていました。でも、どこの職場にもいろんな人がいるように、お役所仕事に徹する人もいれば、どっちがブラックだと思うほど働いて、どこにも声を上げられずにいる人を救おうとしている人もいる。
死ぬほどがんばってはいけない。
Posted by ブクログ
企業や労基署のことを調べて書いているんだろうということは分かるけど、肝心のお話が面白くない。
ただ仕事内容が知りたいだけなら小説を読む必要がないので。調理次第で良くなりそうだけど、リアルに寄せた結果、薄味になっている印象を受けた。
「国に守られている人には分からんだろうが〜」みたいな紋切型のセリフが多いのも合わなかった。そういう考えの人が取材中多かったかもしれないけど、それに対する主人公の考えも紋切型で、昇華されていないのが気になった。
Posted by ブクログ
労基署職員の奮闘を描いた短編集。
それぞれのエピソードで出てくる会社と上司のブラックぶりに嫌な気分になる。でもこれが現実なのかな。
最後のエピソードが終わって、あっさり終了したけど、続編ありきなんだろうか。若干の肩すかし感がある。
主人公の経歴には単純に疑問。労基の職員って、そんな感じで中途でなれるもんなのかな。
Posted by ブクログ
大企業の過重労働を特別捜査する東京労働局「カトク」班の青年の奮闘ぶりを描く文庫書き下ろし小説。
「ブラック企業」や「働き方改革」など、昨今は労働に関する事件や話題が増えている。長い間、労働組合では解決出来なかった労使間の意識改革が求められている。「死ぬほど働かなくてもいいんです」という当たり前の言葉が、異様に重く感じる。