田中修のレビュー一覧
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植物の光合成には光が必要だ。ただし、光といっても色々な種類がある。まず思い浮かべるのは可視光線の七色(虹)に分けられる色別の光だ。実はこのうち、緑の光は光合成にそれほど役に立たない。なので葉は緑を跳ね返す。だから葉は緑色に見える。
この本ではこうした分かっているようで意外と知らない植物の数々の秘密を知ることができる。単純な構造に見えて複雑で優れている植物。動物は他の動物や植物を食べなければ生きて行けないが、植物は水と光と二酸化炭素があれば自らで栄養を作りだすことができる。人類の科学技術を全て注ぎ込んでも未だ葉っぱ一枚つくることは叶わないという。 -
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サツマイモの食用部は根で、ジャガイモの食用部は茎。
温州みかんの白い筋は、葉っぱで作られた栄養分が果実の中に運ばれる通路で、そこに栄養が含まれているから食べた方が良い。
おコメに「特A」が与えられるのは、香り、白さやつや、形などの「外観」、甘みや旨みの「味」、あり過ぎてもなさ過ぎても減点になる「粘り」、適度な「硬さ」の六項目の評価をクリアできたもの、とのこと。
おいしくて食べやすく、育てやすいものにするための品種改良にも触れているので、野菜の価格高騰に困っている今、温暖化に強く、安定した供給がのぞめる作物を開発してもらえると助かります。 -
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田中修
甲南大学特別客員教授。1947年京都府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学大学院博士課程修了。スミソニアン研究所博士研究員、甲南大学理工学部教授などを経て、現職
ラフレシアは大きさも世界一ですが、匂いの強烈さでも世界一の部類に入ります。 その匂いは動物の死骸が腐った匂い、トイレの悪臭のような匂いと言われています。 それはラフレシアの受粉活動に必要なハエをおびき寄せるためだそうです。
私たちは、「変わっている」というと、文字どおり、〝変〟なことと思いがちです。しかし、その目的がまともなものであり、変わり方が世の中のルールに反しないものなら、「変わっている」ことは、〝変〟なことではないはずです。 しかも、その変わり方が、独自の技術や特技を身につけたことによるものならば、他の人との横並びの競争をしなくてもよくなります。 もちろん競争をすることで、切磋琢磨することは悪いことではありません。それがどうしても必要なこともあるでしょう。 でもその一方で、他のものとは違う、自分独自の術を身につけ、他の人との無駄な競争をできるだけさける生き方もあるのです。
植物たちにとっては、ハチやチョウチョなどの虫こそが、子ども(タネ)をつくるための相手を見つけ、結びつけてくれるキューピッドです。植物たちは花の中にキューピッドを誘い込まなければ、花粉を運んでもらえません。そこで多くの花は、美しい色で装い、いい香りを放ち、おいしい蜜を準備して、懸命にキューピッドを誘い込む努力をします。 多くの花がいっせいに咲けば、この競争はとてつもなく激しくなります。そこで植物たちは、他の種類の植物と、開花する月日を少し〝ずらす〟という知恵を絞ります。 これが「花ごよみ」です。花ごよみは各月に、どのような草花や樹木が花を咲かすかが書かれたものですが、たとえば春に咲くサクラ、コブシ、ボケ、ハナミズキ、フジ、ツツジなども、同じ地域で少しずつ、開花の時期がずれています。
私たち人間で言えば、朝の通勤ラッシュをさけて、時差出勤をするようなものでしょう。 アサガオは朝早く、ツキミソウは夕方、ゲッカビジンは夜一〇時ごろというように、開花する時刻をずらします。
花の香りがクサいというのは、「花の香りは、いいもの」と思っている私たちにとっては、とても変わっているように思われます。でも、これらの植物の香りが変わっていることには理由があります。なぜなら多くの花が、花粉をハチやチョウチョに運んでもらうのに対し、これらはハエに花粉を運んでもらうからです。 だからキューピッドになってくれるハエの好きな香りを漂わせるのです。クサいにおいは私たち人間には悪臭に感じられますが、花粉を運んでくれるハエを誘うための香りなのです。ですから、ハエたちには魅力的な香りなのでしょう。
こうした植物たちの生き方は、それぞれの植物たちが懸命に工夫を凝らして、生きる姿そのものです。変わっていることは、ともすれば、よくないことのように思われます。しかし、変わっていることこそが大切なときもあるのです。 その見きわめはむずかしいかもしれません。 でも変わっていることで他人と自分を差別化し、目指しているものを争うことなく手に入れられるのならば、あえてみんなと同じに〝変わっていない〟ことを選択する理由など、果たしてあるのでしょうか。
植物たちは自分ならではの力や価値をもち、かしこく競争をさけながら、長い歴史の中で、それぞれが〝実り〟のときを迎え、りっぱにたくましく生きています。競争をさけることは決して負けではありません。本章で紹介した、競争をさけた植物たちを考えてみてください。 ハエトリソウやヒガンバナが、工夫を凝らして身につけた独創性のあるしくみは、時代や場所が変わっても、りっぱに評価されるものです。 競争をさけている植物たちは、決して負け組なんかではありません。逆に、競争をさけるために身につけた工夫やしくみを生かして、自分たちの存在感を示し、多くの植物たちとともに、りっぱに生きているのです。
私たちも他人と異なる力をもって、地域や社会の役に立てば、大切にされ、評価を受けることができます。自分だけの〝実り〟を手に入れ、他人と競うことなく求められる存在になることができるのです。
能力が十分に発揮できない環境であっても、与えられた場でめげることなく、精いっぱい生き抜くという、この植物の〝かしこさ〟には感服せざるを得ません。
私たちはともすれば、完全であり、完璧であることばかりを求めがちで、いつも「何かが欠けている」と、不安を感じてしまいます。でも、「必ずしも、完全、完璧であることを求める必要はない」ということを教えてくれる植物たちはたくさんいます。この章ではそうした植物を、紹介したいと思います。
ダーウィンは、「この世に生き残るのは、最も力の強いものでも、頭のいいものでもない」につづいて、「〝変化〟に対応できる生き物だ」という言葉を残しています。あるいは同じ意味で、「この世の中では、最も強いものが生き残るのではなく、最もかしこいものが生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できるものである」とも言われます。これには諸説あり、ダーウィンの言葉ではないという説もありますが、誰の言葉であるかは別にして、その内容は十分に納得できます。
私たちは「若いときには、言葉や感情にトゲや角が多くあるが、年齢を重ねると、トゲや角が取れて人間性が丸みを帯びてくる」と言われます。そこでこのような生き方に「ヒイラギ人生」という語が当てられます。 ただしヒイラギが、トゲをなくした丸い葉っぱをつくり出すのは、年齢を重ねて性質が丸くなり、トゲや角が取れたからだけではありません。年齢を重ねたヒイラギは、そこからさらに何年も生きつづけます。ですから、「虫に食べられるなら、自分が食べられることで、若い葉っぱが食べられるのを防ぎたい」と考え、これまでの姿を手放して、種をつなぐ役に立とうとしているはずなのです。
私たちは、年齢を重ねるとトゲや角が取れて人間性が丸くなることだけを、「ヒイラギ人生」と表現しがちです。しかし、それでは不十分かもしれません。 私たちも歳を重ねたら、「自分が、自分が」と自分の人生ばかりを完璧なものにしようとするのではなく、若い人の役に立つようになるべきなのです。トゲや角が取れて人間性が丸くなると同時に、若い人たちの役に立ってこそ、ほんとうの「ヒイラギ人生」と言えるのです。
動きまわれる動物と、動きまわらない植物のどちらが生き物として優れているかということを決める必要はありません。しかし、植物が動きまわらなくても生きており、繁栄している姿を見ると、動きまわれることだけが、生き物としての完璧な姿であると考える必要はないでしょう。また、それこそが生き物として繁栄する要因ではないとも考えねばなりません。
私たち人間も、見えない完璧を求めて、「足りない、足りない」とどん欲に求めつづけるのではなく、植物の自給自足とともに、動きまわらない生き方を、少し取り入れていく必要があるようにも思われます。
高山植物に、美しくきれいであざやかな色をしている花が数多く存在するのは、空気が澄んだ高い山の上では、紫外線が多く照りつけるからです。 強い太陽の光が当たる、畑や花壇などの露地で栽培される植物の花も、紫外線を吸収するガラスの温室で栽培される植物の花より、ずっと色あざやかです。これも紫外線を含んだ太陽の光を直接受けるからです。
私たち人間も、ひとりでは生きていけません。何かを食べることを考えても、「つくる人」「運ぶ人」「売る人」などのつながりがあります。 趣味や特技は自分のものといっても、他の人とのつながりなしにできるものは、ほとんどないでしょう。 私たちの暮らしの中にも、多くのつながりの中に、〝助け合う〟という気持ちでつながる絆があります。この絆が地域、組織、社会に広く張りめぐらされ、太く強いものになって機能すれば、私たちの世界も、より心豊かに暮らせる社会になるのかもしれません。 -
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ネタバレ植物には、月下美人、オオオニバス、セコイアなど目立つすごさもありますが、本書では秘められたすごさが紹介されています。田中修「植物はすごい」、2012.7発行。①成長力(生産能力)がすごい(光合成)。キャベツ、5㎎のタネが4ヶ月で1200gに(24万倍)。植物は自分たちの食料だけでなく地球上の全ての動物の食料を賄っている ②栗の実の防御:鋭いイガ、硬い鬼皮、渋皮 ③病原菌の退治:ネバネバ(ムチン):山芋、オクラ、モロヘイヤ ④有毒物質で守る:アジサイの葉(青酸)、チョウセンアサガオ(アトロピン) ⑤紫外線の活性酸素と闘うために、抗酸化物質であるビタミンC、Eを体内に ⑥夏の暑さと乾燥に負けないよう、葉っぱは水を蒸発させてからだを冷やしている。また、冬に向かって、葉っぱに中に凍らないための物質(糖分)を増やして寒さをしのいでいる(凝固点降下)。
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よく知られたフルーツから、あまりよくは知らないフルーツまで50種の楽しい蘊蓄話。とにかくフルーツにはビタミンなどの栄養が豊富なのには驚く。ビタミンCをはじめポリフェノール、ビタミンE、ビタミンA、βークリプトキサンチン、ヘスペリジン、ペクチンなどの食物繊維、アントシアニン、カロテン、クエン酸、・リンゴ酸・酒石酸などの有機酸、ミネラル(カリウムやカルシウム)、ブドウ糖、果糖など、それぞれの果物によって多少はあるが、「こりゃ、毎日フルーツを食べるべきだ」とつくづく思ってしまう。温州ミカンを食べていると肝臓障害の目安のrーGTPの数値が、アルコール類を飲む人でも上がらないというのだ。さっそく酒飲みの女房に教えた。紫外線によって活性酸素が増えるのを防ぐために、ほとんどのフルーツにはビタミンCが豊富なのだというには、思わず膝を打った。ブルーベリーのアントシアニンは、目にいいことはよく知られているが、ビタミンEは若返りのビタミンと言われるそうだ。もちろん、食物繊維は整腸作用がある。いいことずくめではないか。色や香りの話もあり、香りの成分はリラックス作用がある。フルーツの効能以外にも話題は豊富だ。イチジクは、世界で最も古いフルーツのひとつだそうだが、なるほどアダムとイブのあそこにイチジクの葉っぱが使われていたよね。二十世紀梨は、苗が千葉県松戸市のゴミ捨て場から発見されたのを鳥取県へ持っていって育てたそうだ。日本のフルーツの収穫量1位は温州ミカン、2位はイチゴ、3位はリンゴ、4位はブドウ、なるほどね。パッションフルーツのパッションは情熱の意味ではなく、十字架をさす。花のおしべとめしべが十字架みたいに見えるから。マンゴスチン、チェリモヤ、ジャックフルーツ、ドラゴンフルーツなんて、知ってた?
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植物達の脅威的な生きる力に、
いつも感動させられる!
「植物のいのち」
田中修著 中公新書
成熟したリンゴからは、エチレンという気体が放出される。
エチレンが空気中にわずか八万分の一という低い濃度で含まれるだけで、ツボミは開かず、花はしおれることが知られている。
「拡散」
昼と夜の長さに反応する性質は、「光周性」
「越冬芽」
植物が、一定期間、寒さを体感することで、花を咲かせるようになる性質を「春化(バーなりゼーション」
葉っぱの中の水分に糖が多く含まれるほど、葉っぱの凍る温度が低くなる。「凝固点降下」
抗酸化物質の代表は、ビタミンCとビタミンEです。
花や果実の色素は、抗酸化物質。その一つがアントシ二アン
「アク(灰汁)」 シュウ酸カルシウムの「針状結晶」 パイナふぃとんップルやキゥーイなども。
フィトンチッド、ファイトアレキシン、アレロパシー物質などはあ、そのために植物が身に着けている物質。
植物の葉や幹から放出される香りは、フィトンチッドと呼ばれます。「フィトン」とはギリシャ語で「植物」を指し、「チッド」は、ラテン語で「殺す」という意味です。つまり、
フィトンチッド」は、植物がカビや病原菌を遠ざけたり、退治しtがり、繁殖を抑えるための香りです。
「頂芽優勢」
「ロゼットrosette)
「両性花」
「雌雄異熟」
「精細胞」
「自家不和合性」
「閉鎖花」
「有性生殖」「無性生殖」
人間の体は約37兆2千億個の細胞からできている -
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植物に毒があるのは食べられないようにするためと病原菌などから身を守るためである。実際には食べられないと困る事情もある。
①注意!有毒物質をもつ身近な植物ージャガイモ、スイセン、ヒガンバナ、イヌサフラン、チョウセンアサガオ、ユウガオ、ベラドンナ、アジサイ、ヨウシュヤマゴボウ、ビワのタネ、スズラン、キョウチクトウ、マメ、ドクセリとドクニンジン、バイケイソウなど
②人間以外の生き物に毒になる物質ージョチュウギク、クスノキ、ヒノキ
③毒が薬にも!植物から生まれたお薬ーイヌサフラン、トリカブト、クソニンジン、ヤナギ、ニンニク
④上手に摂ると役に立ってくれる植物たちーヘマトコッカス、コーヒー、グレープフルーツ・じゃばら・茶、トウモロコシやジャガイモがつくる物質
⑤薬の効果を無効にしてしまう植物ーグレープフルーツ、納豆、キャベツ
⑥長寿と植物~ガン・認知症と植物の話ーダイズ、ニンニク、オリーブ、ウコン
科学的な裏付けが書いてある極めて役に立つ本だ。 -
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植物はすごいんです。あっと驚く不思議がいっぱい。そして賢い仕組みまで。すごい。
猫の額ガーデナーの私はしゃがんで花や野菜を見るのが好き。種まきも好き。
夏の朝、TVをつけると、「子供電話相談室」の録音風景を放送していた。学校が休みになると始まるこの放送がカーラジオから聞こえると、お~っと車を止めて聞いてきた。その回答者が書かれた本を見つけた。
「トマトの種の周りのヌルヌルは何のためにあるの?」「それはね。すぐ芽が出たら食べられないでしょう」え!
種をまくには洗ってこのヌルヌルを取らなければいけないのです(今は接木をした苗を買ってくるが)。あらためてなぜ?といわれると先生の回答を待たなくてはならない。この番組は面白かった。子供たちの「なぜ?」にはっとさせられた。
ちょうど本屋さんで目に付いたので読んでみた。確かに何気なく見ている中に「不思議」は一杯あるものだ。
植物のすごさ、巧みさ、アッパレさを紹介するときには、植物のもつ”ふしぎ”をいろいろ取り上げます。そして、その”ふしぎ”に潜むしくみや工夫について、分かりやすい植物を例にあげて説明していました。
第1話 サクラの”7ふしぎ”
なぜ、ソメイヨシノの開花は”はなやか”なの
第2話 アサガオの”7ふしぎ”
なぜ、青かった花が赤紫色になるの
第3話 ゴーヤの”7ふしぎ”
表面のブツブツは何の役にたつの
第4話 トマトの”7ふしぎ”
トマトは野菜か果物か
第5話 トウモロコシの”7ふしぎ”
なぜ黄色と白色の粒が混じっているの
第6話 イチゴの”7”
タネの働きは
第7話 チューリップの”7ふしぎ”
なぜタネで栽培しないの
知っていることも知らなかったことも。
生きていることは植物だけに限らない”不思議”に囲まれている。”不思議なこと”に気がつくことは、どんな環境にあっても、どんな分野であっても年齢にかかわらず、面白い。そしてこうした回答本があることが嬉しい。