田中修のレビュー一覧
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田中先生の本は基本どれも似たような内容。植物学を少しでもかじった人には当たり前でも、一般人は知らないようなあたりで、読めば感心できる程度の難易度のことを取り上げて書いている。最先端の学説や数式とは無縁で、いい意味で古きよき一般向け学術書の趣。
『植物はすごい』は様々な植物を取り上げたが、これはサクラ、朝顔、ゴーヤ、トマト、トウモロコシ、苺という身近な植物6つをそれぞれ別の章にして、その「不思議」の謎を解くという形で解説している。
面白さは一冊目の方が上だが、これはこれで使い道がある。サクラと苺以外は夏に観察しやすいので、子どもの夏休みの自由研究に使える。親が読んで、ここに書いてある実験をすれば、立派なものができそう。中学生なら自分で読めばいい。中学生の上の子と小学生の下の子で一緒に実験・観察させれば、親も楽だ。
中公新書で子どもは手に取りにくいが、半端な自由研究の本より使えると思う。 -
Posted by ブクログ
植物って、確かにすごい。そして面白い。
特に後半の、植物が紫外線や熱、寒さから身を守る戦略については興味がそそられた。
日中の気孔からの水分の蒸発を防ぐために、夜二酸化炭素を取り込む仕組みを作り出したサボテンなどのCAM植物。
それから、次世代を作り出す仕組みの話も。
温州ミカンが日本原産ということ自体知らなかったけれど、この種のないミカンも、花粉が種を作る力がないだけで、雌しべがほかの品種の花粉を受粉すればきちんと種ができるそうだ。びっくり。
無花粉スギの話も面白い。
無花粉なので、種はできない。
花粉ができる杉の花粉で受粉させることで種を作るそうだ。
しかしそれだと、花粉ができる杉かもしれない可能性もある。
確かめるには花を咲かせる十数年後!となるところだが、植物の背丈を伸ばすジベレリンという物質をかけることで、なんと2年で見極めることができるとか。
ところでヒノキの香をのもととなる物質は、ヒノキオールというらしい。
本書を読むと、結構いろいろと日本語の植物名がそのまま使われているものが散見されて面白い。
日本にしかない種が多いということでもあるんだろうなあ。 -
Posted by ブクログ
田中先生の本はかなり集めている。
読みやすく、体系的に描かれていて頭に入ってきやすい。
この本は今までの著書に書かれている内容も書かれており、語り口調のためかまるで講義を聴いている気分になる。
カラーの図や絵もふんだんに入っており、内容が高度な理科の教科書のようだ。
レベルは今までの本と同じくらいを想定しているが、よりわかりやすく書かれている。
見てくれはやや幼稚だが、侮ることなかれ。
植物の芽がいつ作られるのか、なぜ緑なのかをわかりやすく解説している。神戸の桜の狂い咲きの理由についても。
しかし、なぜか後半読みにくかった。実験の図が多いからかな。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
木の背丈が3メートル伸びたら、下から1メートルのところにあった枝の位置は、何メートル高くなるか?
アサガオの花は、なぜ規則正しく朝に開くのか?
キクの花はどうして一年中売られているのか?
―などという問題を楽しく考えているうちに、いつの間にか植物についての基礎が身につきます。
[ 目次 ]
1 植物たちの不思議なパワー
2 発芽に秘められたしくみ
3 成長に込められた術
4 根っこと葉っぱの仕事
5 植物たちの防衛力
6 ツボミの誕生
7 花々の感性
8 植物たちの「性」
9 結実と成熟の謎
10 植物たちを利用する人間の知恵
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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田中修(1947年~)氏は、京大農学部卒、同大学大学院博士課程修了、米スミソニアン研究所博士研究員、甲南大学理学部助教授・教授等を経て、同大学特別客員教授・名誉教授。専攻は植物生理学。植物に関する一般向け書籍の執筆多数。
本書は、題名の通り、我々が日頃目にしている植物たちの生態の「すごさ」を、具体的に紹介したもので、目次と内容は以下である。
第1章:自分のからだは、自分で守る・・・植物は食物連鎖を通して地球上の全ての動物に食糧を賄っている。(一部の)植物はトゲで(動物に食べられないように)体を守っている。
第2章:味は、防衛手段!・・・植物は渋味や辛味、苦味や酸味で体を守っている。
第3章:病気になりたくない!・・・植物は香りなどで病原菌の感染を防いでいる。
第4章:食べつくされたくない!・・・植物は毒で体を守っている。
第5章:やさしくない太陽に抗して、生きる・・・植物は過剰な太陽光から体を守るために、様々な仕組みを持っている。
第6章:逆境に生きるしくみ・・・植物は寒さや暑さから体を守るために、様々な仕組みを持っている。
第7章:次の世代へ命をつなぐしくみ・・・植物は種や花粉が無くても子孫を作る仕組みを持っている。
私は、近年の昆虫ブームの火付け役の一つである(と私は思っている)丸山宗利氏の『昆虫はすごい』(2014年)(尚、本書は2012年)も以前読んだが、擬態や共生などの昆虫の形・生態にもまして驚いたのは(改めて認識したと言った方が正確だが)、それらの形・生態は「進化」の結果だということであった。即ち、彼らの形・生態は、その個体が意図したわけではなく、偶々生じた(突然)変異において、生存に有利な形・生態が自然選択され、その膨大な積み重ねによってそうなったものなのだ。我々は、あまりにも精巧な形・巧妙な生態を、思わず「(何らかの意図に基づく)戦略」と考えてしまうが、当人たちはそんな「戦略」を立てていたわけではないのである。
そして、そのことは植物についても同様に当てはまるのであり、本書で紹介された植物の「すごさ」も進化の結果なのだ。進化のプロセス・仕組みとは、本当に驚くべきものである。
植物の「すごさ」、面白さがわかると同時に、「進化とは何か」を考えさせてくれる一冊と言えるだろう。
(ただ、文章が淡白で、似たような記述の繰り返しが多いのは難。文章表現にもう少し工夫があれば、より印象の強い本となっただろう)
(2022年12月了) -
Posted by ブクログ
元大蔵官僚である著者が、日本型資本主義の形成とその背後にある文化的背景について論じるとともに、今後の日本がめざすべき社会のありかたについて考察をおこなっている本です。
まずは、アメリカ型のグローバル資本主義と、サブプライム・ローンに端を発する世界経済危機によってその権威が失墜した経過についての解説がなされ、つづいてバブル経済と崩壊後の経済の低迷に苦しむ日本社会についての説明がなされています。
その後著者は、山本七平などの日本文化論を参照し、「空気」にもとづく意思決定がなされる日本社会のありかたの問題点の指摘がなされるとともに、渋沢栄一が「士魂」に根ざした経済活動についての考察をおこなっていたことに着目して、日本の社会が陥っている危機を打開する可能性を見いだそうとしています。
著者は大学時代に、民俗学的な観点を導入して日本の政治の分析をおこなった京極純一に学んだ経験をもっており、本書でも京極が柳田國男とならんで必読書としていた山本七平の日本人論の解説に多くのページが割かれています。ただ、日本人の文化的特殊性にもとづいて日本経済の特質を解明する立場と、純粋に経済史的な観点から日本経済の歴史と現状を分析する立場とのあいだには、なお大きなへだたりが存在しているように感じてしまいます。