ヒキタクニオのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレターゲットの痕跡もこの世から消し去る「消し屋」が主人公。
恋人の蘭子(おかま)と一緒に沖縄へ向かったところ、
とある天才を自殺させるという依頼が来る。
やくざの組長を消した後、沖縄へ向かうフェリーの中で物語は始まる。
遺体を始末しながら、いかにターゲットを消していくかを描いて、最初から惹きこまれる。
途中から無邪気な天才・天願の少年時代の壮大な「実験」が挿話的に入るが、
これがまた面白い。
死にそうにない男を「自殺させる」仕事をどうやって完遂するか。
展開は意外だった。
急転直下。
読み終わって、もしかしたらこれも全て作戦だったのかとも思うけど、真相はわからない。
消し屋の仕事だけでなく人間ドラマの部分もかなり濃厚。
そしてレビューを書き終えて知った、
これは3作目だったのね。。。
前2作を読んでたらもっと感動ポイントがあったかも。
ちょっと残念。
遡って読もう。
ヒキタ氏はまだ2冊目だが相当文章と見せ方がうまいなと思う。
なんだか映像的。
かなり読み手を意識して、いかに物語世界に引きずり込むかを心得ているように思う。
計算なしでこれをしていたら天才だと思うけど、どうなんだろう。
まあ計算でも天才的です。 -
Posted by ブクログ
普通のサラリーマンとして生活する主人公は、突然に娘をさらわれ、殺される。
秋葉原で出会った警官オタクの「ポリ子」に、
最初は怪しみながらも共鳴し、ともに犯人探しを始める。
自分の手で犯人を殺すために。
ポリ子に紹介されたオタク仲間は皆異質だ。
シリコンフェチ、ラバーフェチ、手を下さずに絵図を描く絵図男。
後一歩で犯人にたどり着く、そこで容疑者逮捕のニュースが入る。
それは本当に真犯人なのか?
復讐の夢はついえてしまうのか?
最後のオチを書くのは容易いが、それはここではあえて書かない。
ただこの話は、後半でまた大きく、はねる。
ヒキタ作品を好きな人も初心者も、入りやすい一冊だと思う。
ただしあたしはこの作品は、人には勧めない。勧められない。
小説としては面白いが、ヒキタ氏のオタクであったりフェチズムへのスタンスが、
あたしとはちょっと違うからかな?どうもしくっとこないからだ。
特に最後の方のポリ子の動きが、あたしにはうーむ。 -
Posted by ブクログ
「霞綱」「私の憂鬱な日々」「悲しき女子大生」「東京カワイイ中毒」
「男たちよ、泣くな」「老人と久美」「半分愛して」「苦々しい16歳」「私の出
逢った男子」
いっけん仲良しのOL三人組。でも実態はちょっと違う
本当はそこから抜け出したくてたまらないのだ(「霞網」より)。
"一般職OL、女子大生、キャバ嬢、文芸編集者、女子中学生、服飾デザイナー、女子
高生、雑誌ライター…"
さまざまな年齢・職業の女性たちをめぐる物語。
すべての話に毒があって、とても好みな1冊。
結果、女性は愚かだと言っているようないないような。
特にOLの話などはよくありすぎるほどありすぎて、自分の周りを考えてしまうほど。
知らぬ間にもがいている現代の女たちをよく描いていると思う。
貞操帯やらゲイやら草食男子やらヤクザやら、出てくる男たちも個性的だし。
またこの人のほかの本を読んでみたいな。 -
Posted by ブクログ
最初に「遠くて浅い海」を読んでしまったので、実は途中、二人の結末を思い出してなんだか余分な気持ちを抱えながら読む羽目になった。まぁそれは私のアンラッキーなので、これから読む方はまず、こっちを読んでから「遠くて・・」を読むことを推奨したい。
オカマの蘭子と福岡にやってきた消し屋の幸三。存在そのものを「消す」彼の今回の依頼は、野球賭博にからむもの。チームのスタープレイヤー・真壁を試合の間だけ、消してほしいというのだ。しかも命は取らず、真面目一辺倒の真壁を自主的にサボタージュさせてほしいと。幸三が目をつけたのは以前借金を作って妻子を置き去りにした真壁の真の父親である、大神。クスリを打ちながら大神が語る転落の模様は生々しくもあり、うら寂しくもある。
東京ボイスではボーカル、という糸でつながった複数の人生が綴られ、オーケストラのように各ポジションに順々にスポットが当てられたが、今回はピンでライトが強烈に当てられる。しかもひとえに真壁だけに。今回くっきりと描かれるのは光と、そうして、影だ。まっすぐに光に向かって歩む真壁には、その後ろの影に堕ちてゆく実父の姿は見えないし、大神からは逆光を背に、真壁はまぶしすぎるのだろう。
長年連れ添った妻にさえ、食べられないことをひた隠す、真壁が鶏肉を食べられない理由。冷めた鶏肉がたべものからなにか別の、冷たくばさつく物体に変わったとき、それまでは確実に親子だった2人の時間が別のモノに変わったのだろうと思う。