【感想・ネタバレ】遠くて浅い海のレビュー

あらすじ

人を殺し、その人の生きて来た痕跡まで消してしまう「消し屋」。ひとつ仕事をやり遂げた船旅のおわり、オカマの蘭子と沖縄へ向かう消し屋に、奇妙な依頼が舞い込んだ。ターゲットは若き天才。しかし殺すのでなく、自殺に追い込んでほしいという。若くて健康で金持ちの天才を、どうやって自殺させる? 天才の邸の客となった消し屋が、彼の人生を辿りはじめると、忌まわしくも哀しい記憶がゆっくりと蘇ってきた…大藪春彦賞受賞の傑作。『消し屋A』の続篇。

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Posted by ブクログ

予想以上によかった。血の臭いは全くしなかった前作の「消し屋A」と違い、如何に消すか、に焦点が当たっていて楽しめた。
ただ、田舎の村が云々、という話にありがちなパターンだったのが非常に残念。

どうでもいいが、なぜか頭の中で天現と雅楽師の東儀秀樹がかぶった。天才だからか?

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2010年01月06日

Posted by ブクログ

殺しの天才vs医薬界の天才。

この作品の面白いところは、ただ相手を殺害するのではなく、自殺するよう仕向けなければならないところ。
2人の天才が様々な頭脳戦を繰り広げ、お互いの内面を掘り下げていきます。

どこまで相手の心(精神)に入り込み、決定的な一打を与えることができるか。
それを追求し、逆に内面をジワリジワリと追いつめられていく恐怖。

非常に面白い内容でした。お薦めです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ


美しい。
透明できらきら儚くて、切ない。


血生臭いのに妙に乾いた天才と、妙に純粋な透明感のある、生を軽やかに浪費する天才と。
二人の天才の危うい関係を軸に、そこに配置される登場人物たちもまた、細い線の上でくるくると危なげに生き急いでいる。

ジェンダーの狭間で揺れる蘭子。バランスの悪い自分を持て余して乾いている麻。狂気の血を押さえつけながら冷たい炎を内に秘める小橋川。


愛すればこそ乾き、完成してしまったらもはや先は虚無。



ハッピーエンドでもなんでもないのに、こんなに共鳴できる小説は、なかなかお目にかかれない。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

消し屋の話よりもターゲットの半生の回想シーンの方が遥かに面白くてめちゃくちゃ感情移入させた上でよくわからん理由で自殺しちゃうのついていけない。ここまで感情移入させたんだからなんか違う方法があるのかな?と思わせての肩透かし。面白い点は沢山あるけど俺は何がしたいのかわからない。ヒロイン役もあっさり殺したしなあ。

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2022年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ターゲットの痕跡もこの世から消し去る「消し屋」が主人公。
恋人の蘭子(おかま)と一緒に沖縄へ向かったところ、
とある天才を自殺させるという依頼が来る。

やくざの組長を消した後、沖縄へ向かうフェリーの中で物語は始まる。
遺体を始末しながら、いかにターゲットを消していくかを描いて、最初から惹きこまれる。

途中から無邪気な天才・天願の少年時代の壮大な「実験」が挿話的に入るが、
これがまた面白い。

死にそうにない男を「自殺させる」仕事をどうやって完遂するか。
展開は意外だった。
急転直下。
読み終わって、もしかしたらこれも全て作戦だったのかとも思うけど、真相はわからない。

消し屋の仕事だけでなく人間ドラマの部分もかなり濃厚。


そしてレビューを書き終えて知った、
これは3作目だったのね。。。
前2作を読んでたらもっと感動ポイントがあったかも。
ちょっと残念。
遡って読もう。

ヒキタ氏はまだ2冊目だが相当文章と見せ方がうまいなと思う。
なんだか映像的。
かなり読み手を意識して、いかに物語世界に引きずり込むかを心得ているように思う。
計算なしでこれをしていたら天才だと思うけど、どうなんだろう。
まあ計算でも天才的です。

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2012年02月14日

Posted by ブクログ

『消し屋A』の続編。
今回はちょいと、お涙頂戴なニュアンスもあったかな。
スピード感が、それ程あるってわけじゃないのに、グイッと引き込まれる世界観は相変わらず。

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2011年12月07日

Posted by ブクログ

自殺させる、っていう経過はおもしろかったんですが…蘭子の心理がよくわからなかった。
「消し屋A」を読んでない所為か?

最後、天願の心に入り込んだのはすごかったですねぇ
でも天願があんなに脆いとは思わなかった。

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2010年09月08日

Posted by ブクログ

◆殺すだけでなく、その人物の生きて来た痕跡までも消してしまう「消し屋」。仕事を一つ終え、オカマの蘭子とともに沖縄へ向かった消し屋のもとに、若き天才を自殺させてほしいという依頼が舞いこんだ。どうやって天才を追い詰めるのか。沖縄の地に忌まわしくも哀しい記憶が蘇る。大藪春彦賞受賞の傑作。
◆ヒキタ クニオ
1961年、福岡県生まれ。イラストレーター、マルチメディア・クリエーターを経て、作家に。2000年に『凶気の桜』でデビュー。2006年、『遠くて浅い海』で第8回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

◆ところどころ、気持ち悪いし、常軌を逸した人の喜びや苦悩にこちらの感覚も麻痺しそうになるけど、予想していたストーリーと違って、面白かった!

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

最初の方は面白くないな〜と思いながら読んでたけど、最後らへんが結構面白かった。
巧妙なトリックがある訳じゃないんだけど、というかむしろシンプル?
でも最後にそうなるのかー、と。
沖縄の方言を聞き慣れてると、「〜さぁ」つけるだけじゃ無理があってなんか笑っちゃった。笑

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

天才VS天才
良いですねこの図。内容を知らないで読み、登場する殺し屋とオカマ、うーんヒキタ氏ワールドだなあ。

天才科学者とそれの命を狙う殺し屋、ひとつ屋根の下に暮らし、互いのことを理解していく。
ラス前は「えーそんな安易な感じになっちゃう?」と思ったが、ラストはなかなか心にクル展開。楽しく読めたな。シリーズだったのを知らなかったが、前作も読んでみよう。

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2017年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少し長く感じた。
天才対天才という体だが、あまり主人公からは天才を感じられなかった。

描写はすばらしいのだが、説明が長すぎると感じる事もあった。

ただ、ストーリー自体はそんなに悪くなく、登場人物も少なく、すっきりして読むことができた。

淡々と暴力の描写を書くことで、よりバイオレンスが増していた

ちょっと蘭子の行動が理解出来なかったけど、男だから理解できないのか??
と思った。

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2017年07月18日

Posted by ブクログ

 沖縄と天才っていうキーワードが、吉田秋生の漫画「YASHA」を思い出させた。天才消し屋が天才を自殺に追い込むっていう筋が面白そうだったので読んでみたんだけど、キャラクターの行動範囲がかなり狭かったためか、小さくまとまってる感じがして、思ったより面白くならなかった……。その分、天才の過去話が出てくるわけなんだけど、彼の「頭の中を覗く」のは消し屋だけでよかったと思うので、読者が頭の中を覗いてしまったのは逆効果だったかなぁと。
 終盤ある人物がかなり思い切った行動に出るのだけど、その動機をさくっと説明してあるのがなんだかもったいない~。

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2009年11月30日

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