ジョンスコルジーのレビュー一覧
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老人と宇宙シリーズの第6巻。本書は4部構成となっている。最もインパクトがあるのは、最初の「精神の営み」だ。脳だけ摘出された貨物船の操縦士の話である。第5巻(戦いの虚空)でも登場していたが、その時も印象に残っていて、本書でも登場して嬉しくなった。
本書はコンクラーベとコロニー連合が睨み合う状態の中、新たな敵が現れる。そこを武力ではなく政治と外交で乗り切るのかが本作品の面白いところ。CDF兵士のウィルスンが、まさに宇宙を駆け巡るのだが、ページを捲ったら別の場所にいるなど、結構忙しい。途中でウィルスンとダニエルのロマンスがあるのかと期待させるところもあり、いろいろ楽しめる。 -
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本作品では主人公がゾーイとなり、まさに書名通り“ゾーイの物語”となっている。前作「最後の聖戦」の裏話的なものとなっているそうだが、前作のストーリーを忘れているので、新鮮な気持ちで読んだ。
個人的な読みどころは、登場人物のパワーバランスというか義理人情をベースに前進するゾーイやオービン族の姿かなと思う。ゾーイはオービン族と特別な関係があり、オービン族はゾーイのためなら平気で命を投げ出すといった特殊事情の中、オービン族はコンスー族との過去との関係があり、さらにコンクラーベやコロニー連合との関係など、複雑な人間模様(宇宙人模様?)が描かれる。特に難しいところはないが、シリーズものなので、前三部作は -
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スコルジーが、また新しい世界を作った。新種の疫病により、四肢麻痺状態に陥ったヘイデンと呼ばれる人たち。科学技術の進歩により、機械の身体をリモートコントロールして、他の人に交じって行動することができるようになった。主人公は自身もヘイデンであり、FBIの新任捜査官として、ヘイデンが関与している事件解決にあたる。いかにも映画になりそうな設定。主人公も、周囲の人たちも魅力的で、ミステリとしてもしっかり構成されている。ヘイデンを取り巻く政治的な状況は、現在、私たちが抱えているいくつもの問題と呼応していて、その意味でも面白い。続編の予定があるそうなので、この世界をまだ楽しめるらしいのも嬉しい。
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老人が兵士になる設定が面白い。読む前は、よぼよぼの爺さん婆さんが腰痛や高血圧に悩みながら戦うのかなと思っていたけど、違いました。でもこの兵士として仕立て上げる技術は、戦争に使わなければとてもいいのではないかと思った。高齢者の活躍の場を広げることになるし、そもそも介護の必要もない。あっ、でも兵士の場合は(不幸ではあるが)どこかで死んでしまうが、平和利用されたら最終的には介護の問題は起こってしまうか。
話が変な方向に行ったので戻します。
内容は、舞台設定はSFですが、ストーリーの根幹は冒険小説です。兵士になった老人が、どのように戦い、どのように死んでいき、どのような人と関係を持つか、夫婦関係な -
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「老人と宇宙」シリーズ第4弾は、ジョンとジェーンの養子であり、オービン族に意識を与えた天才科学者ブーティンの実娘ゾーイの物語。同シリーズ第3弾「最後の星戦」で描ききれなかった場面(とりわけ終盤のゾーイがガウ将軍とケリをつけてくるところ)を補完する作品との位置づけです。従って、基本的には前作と同じ時系列で展開していくので、「あぁ、あの場面の背景ではこんな事態が起こっていたのか」と楽しめる作品になっています。こう言うと、ただのサイドストーリー的な扱いになってしまいますが、そこはジョン・スコルジー、侮るなかれ。狼男との和解をガウ将軍に絡ませてくる展開に感心し、終盤に描かれるゾーイとオービン族の対話に
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銀河にちらばる惑星に進出した人類。そこは、様々な異星人が蔓延る群雄割拠の世界だった!人類を異星人から守るために設立されたコロニー防衛軍。主人公ジョン・ペリーは、なんと75歳にして防衛軍に入隊する。実は、防衛軍は75歳以上の老人にしか入隊の権利がないのだ!なぜコロニー防衛軍は老人しか受け入れないのか、そして異星人との戦争とは…!?
ジョン・ペリーの防衛軍での波乱万丈な軍隊生活を描く本書は、娯楽SFとしてまぎれもない傑作です。なにより主人公が老人であるという設定が、こんな素敵な結末を導き出すとは…!とてもわくわくしながら読み進めることができました。
著者のジョン・スコルジーがあとがきでも触れるよ