山本義隆のレビュー一覧

  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

    Posted by ブクログ

     リニア中央新幹線構想を知ったのは昭和の時代で随分前のことになるが、超伝導というすごい技術を使うようだけれど、そんなに速くしてどうなのかなという程度の、あまりに素朴な考えしか持っていなかった。
     また最近は、トンネル掘削による大井川水系への悪影響を巡って、JRと静岡県が揉めているニュースを耳にすることが多かった。

     本書は、リニア中央新幹線に関する問題点を一つずつ暴いていく。
     巷間言われているのとは異なり、相当な電力を必要とし、原子力発電からの供給が想定されていること。超伝導マグネットの冷却材として液体ヘリウムが使われるが、ヘリウムは希少資源で日本は100%輸入に頼っていること。事故が発生

    0
    2021年04月12日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    原発による放射性物質の汚染は、子孫に対する犯罪だとする著者の意見は、納得できるものでした。

    原発はクリーンであると教科書的に習ってきたけれど、それは誤りでした。

    原発それ自体はクリーンだとしても、その前後はクリーンではないということもあります。
    原発の原料調達から汚染は始まり、数万年後まで放射線は出続けるということです。

    数万年後は、人類が存在しているかもわからず、存在していても言語や絵が伝わるかわかりません。
    立看板や警句は意味をなさない可能性があります。

    数万年という単位は、人類の管理不能な単位であるということかもしれません。

    0
    2021年01月27日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     もうそろそろエネルギー政策をはじめとして無批判に科学技術を享受するだけではいけないとぶっといメッセージが伝わって来る。

     日本は、明治維新以後、西欧の科学技術を輸入し、帝国主義を背景に軍事力を高め、日清戦争や日露戦争を通じて自らの科学技術に自身を深めた。
     その後日本は、大陸の植民地化を推進し、さらに無謀な太平洋戦争へと突き進み、2発の原子爆弾で降伏を選択した。
     この間、西洋の科学技術を取り入れるため、多くの科学者や理系の技術者を育成するとともに、軍事産業につながる産業の育成にも尽力していた。
     産官学の総力戦は戦後になっても、経済戦争にとって変わっただけであり、戦前戦中に育成した技術者

    0
    2020年08月17日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦を挟んで戦前と戦後で変わらず継続されているものとして、官僚制があることはよく知られていたが、科学者も全く変化なく研究を続けていたことに気づかされた。戦争責任などの大義からの追求とは、目的を持った行動なのだとつくづく思った。

    0
    2019年03月17日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

     さすがに、学究の分野に進めばノーベル賞級の研究者といわれるだけあり、客観的で、説得力のある著述だ。

    0
    2012年05月21日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     2011年3月11日の福島第一原発の炉心溶融・水素爆発事故を受けて、どうして日本で原子力発電が推進されてきたのか、その歴史的な経緯を振り返りつつ、原子力事故が隠される背景に探りを入れている。ページ数から分かる様に、それほど深い考察をしている訳ではないが、著者の専門分野との関わりを示しつつ、著者の考えを明らかにしている。

     本書は三章構成となっており、第一章では日本の原子力政策に岸信介元首相が果たした役割を強調しつつ、兵器転用の含みを残すための民生利用だったことを明らかにしている。
     第二章では、そもそも、原子核物理学から原子力工学へ至るためには、電気科学理論から電気工学へ至るのに比べ、比較

    0
    2012年01月25日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    福島出張のお供にチョイスしました。
    「福島の」とついてはいるものの、中身は日本の潜在的抑止力としての「核」としての原子力への取り組みからはじまり、誰も制御できないものになっていった過程、そして日本がアジアに、そして世界にどのような態度を示していくべきなのかということを訴えています。
    福島にいる人々は明らかに被害者であったものの、この国は、世界的に見れば加害者なのです。なんともやり場のない…

    0
    2011年12月23日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    原発がなぜここまで推進されてきたのか。不安視する声が聞こえてこなかったのか。そんなことが分かる内容です。結果として誰にも止められなくなってしまっていると感じます。

    0
    2011年11月09日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    かっては日本物理学会を100年推し進める才能と期待され、現在は科学史著述家として活躍されている山本義隆さんの書下ろしです。
    戦後、アメリカで提唱された「原子力の平和利用」を、当時の総理だった岸信介が、日本で国策として始めたのは、必ずしも将来の電気需要を見込んでの判断ではなく、核兵器保有国としての将来性を考えてのことでした。やがて、国策は、国是となり、政治家、官僚、学者、企業が一体となり原発プロジェクトが、推し進められました。
    国是は、決して過ちを犯さないはずのものです。最先端の科学技術が集約されているはずの原発への、科学的な批判や検証が省みられることはありませんでした。多くの専門家の発言がそれ

    0
    2011年09月16日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    科学史に精通した著者によると、原爆製造から派生した原発技術は、核分裂という物理学理論から生み出された科学技術であり、それまでの経験主義的な技術先行で、理論が追いついてきた事例と異なっていると述べている。このような原発技術は未だ未完成であり、数万年にわたって管理が必要な放射性廃棄物の問題など、人間の感覚や想像を超える制御不可能なものと主張する。人間の能力を超えるものが存在するという認識は大事であると思った。裏表紙に記された一文には、日本の原子力ムラについての状況がシンプルに(一文としては長いが)的確に表されている。

    0
    2011年09月11日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    科学と技術という視点で近代日本を振り返った一冊。
    科学技術という言葉にあるように、日本人には科学と技術を混合してしまっている人が特に多い。その理由を歴史的な背景から分かりやすく説明してくれる。

    0
    2024年01月17日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    岩波新書
    山本義隆 近代日本150年


    近代の軍事技術や戦後の原子力開発など 国策と結びついて発展した科学技術を批判した本


    近代批判というより、現代の原発批判の元に 近代の国策と結合した科学技術の姿を見出して 批判の対象としている


    戦後の原子力開発を いつでも核武装できるという意味で、潜在的軍事力として位置づけ、近代の軍事技術の流れを引き継ぐという論調


    科学者が政府の言いなりになったことや、科学技術が 日本を大国化させたこと の責任を問うのは無理があると思う









































    0
    2023年08月28日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    日本の技術開発の経緯がどのような積み重ねや研究土台・開発環境の下で今日に至っているのかをまとめてくれており、過去から現在に至るまで研究開発の成果が実際に戦争、政治、搾取等に利用されている現実に対して強く問題提起している一冊である。

    技術開発は恩恵を生み出したその一方、兵器、原子力問題、自然破壊、利権等、多くの損害を生み出していることは理解しておくべき良識である。なのにソーシャルメディアからの発言を見る限り、現代人でそれを理解できていない人というのが随分と多い気がしてならない...。

    産業革命からたった150年でこの技術進化...、自分は死んでるけど100年後の地球がちょっと心配な感じが少し

    0
    2025年11月15日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

    Posted by ブクログ

    2つの構造線を貫く地下トンネル。乗っていた車両に事故発生。300mの高低差を登り、命からがら脱出できたがそこは冬山。救助到着はいつになるのか・・。想像するに恐ろしい。超高速を生み出すのは超電導。機構の複雑さが、故障確率を上げる。最新技術の超特急だが、「乗ってみたい!」と思わない人が35%。その気持ちも肯ける。全長247kmのトンネル掘削。残土運搬のトラックは1日8000台、それが何年も続く。環境破壊に一役買いたくない。リモート環境定着で移動の需要も減った。行きつく先は破綻の道。リニアは世界をリードしない。
    しかし、「脱成長」を語る第4章は余計。本章で提言される「地域分散ネットワーク型」社会を作

    0
    2022年02月22日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    黒船到来から始まった近代日本は2018年に150年を迎えた。本書はその歴史と2011年の福島第一原発事故での科学技術幻想の終焉を描く。日本がこれから取るべき方向はどこなのか。

    0
    2022年01月30日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    明治から現代にかけて、科学研究体制がどのように・誰に担われてきたのかを史料や関連著作から読み解く本。科学と広い語が使われているけど、工学、物理学を中心に、重工業系の産業との関係性がメイン。医学・生物学は本書の範囲外。
    経済発展のちに戦時の富国強兵を目的に、政府主導で作られてきた体制が、福島原発事故などをきっかけに破綻しつつあるとの指摘がされている。
    「科学盲信」という表現がされているのだけど、科学を発展させることで国富がかなうと、「国富」とはなんなのかを省みなかった。それが公害や原発事故につながっていると。
    だからといって科学研究の推進を否定するものではないと思うのだけど、研究倫理やリベラルア

    0
    2021年10月24日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    評価が難しい本。戦時中までは概ね肯ける内容だが、戦後それも最近になるほどイデオロギー色が強く、プロパガンダになる。
    戦前戦中の話は初めて知ったが興味深い。科学者が戦中が最も良かったと評価しているのは有名だが、科学振興体制がその頃に出ていたとは知らなかった。
    著者の評価軸は二つあり、戦争⇔平和、合理的⇔封建的となっているが、戦争までは戦争平和を問わず封建的で人民を搾取、戦中は合理的な面はあるが戦争しているとして、兎に角否定している。
    一方、戦争中に科学や工業が進んだこと、平等化合理化が進んだこと事実はしっかり書かれている。特に平等、各個人の尊重が進んだことは、戦争という非常時でなければ起こらない

    0
    2021年09月01日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

    Posted by ブクログ

    リニアについては以前からその需要に大きな疑問を感じており、南アの自然をぶっ壊すクソ事業と捉えつつも、その程度でしか考えていなかったのだが、本書を読むとこの事業が日本没落の象徴事業で、如何にヤバいかひしひしと理解でき、自分の無知をひどく恥した。。。

    事業の影響をリアルに受けるのは多分現在20代以下の若者と子供たち、だと思う。

    折角汗水たらして作り上げたとしても需要が全く無く維持に莫大なコストがかかるとすれば、何の価値も生み出さない徒労以外の何物でもなく、失った時間と資源も戻ってこなければそれはもう損害以外の何物でもない...。

    人口減の日本の中で、都市(東京)への人口集中を加速させる。何よ

    0
    2021年08月16日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

    Posted by ブクログ

    科学史家によるリニア中央新幹線についての批判的考察。エネルギー多消費、緊急時の安全性、採算性、東京一極集中の加速、トンネル建設に伴う環境破壊など、論点が網羅されている。推進側のものも含めて、典拠がしっかり記されているので、気になった話題についてはそれに当たるのが良いだろう。

    リニアの考案者と言われる技師は、エネルギー浪費の観点からリニアに反対するようになったとのこと。現行の新幹線よりもエネルギー多消費であることは、推進側も含めた共通認識のようだ。

    0
    2021年07月21日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

    Posted by ブクログ

    明治から始まる歴史の流れを科学技術に絞って展開
    原発を推進する、核不拡散条約に同意しないスタンスの人達が持っている思想や背景をイメージする助けになる

    経済成長を目指すべきかそもそも違う視点を見出していくのか。
    いろんな意見はあるけど国を国民一人ひとりと見るのか俯瞰して国という記号を見るのかによって考えは大きく変わる。自分は前者でいたいが後者にも共感してもらえる話を展開できるようになりたい

    0
    2019年04月14日