山本義隆のレビュー一覧

  • 重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学
    文章が読みやすくて引き込まれる!おもろい!
    (あと作者の方にお会いしたことあるけど凄くかっこいいの!落ち着いてらっしゃるのに磊落で、刀みたいに目が鋭くて素敵)
    古代ギリシアの哲人が非接触力をどんな思考上のフレームで把握していたのか?宗教上の要請が如何に近代の科学者の理論を構築させたか?興味深いテーマ...続きを読む
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す
    リニアは、資本主義の縮図。

    リニアは、漠然とした成長神話の象徴であり、それ以外に意味を持たない。

    資本主義とは、全体のパイの成長に依っており、拡大への欲望は無限。
    しかし、成長のためには、地球という資本がエネルギーとして必要。その地球資本が尽きようとしている。

    だからこその脱成長であり、脱リニ...続きを読む
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻
    著者の名前は団塊世代には様々な事象を想起させる.p236に次のような総括がある.「明治から大正にかけての経済成長、すなわち富国化・近代化は、主要に農村の犠牲のうえに行われ、昭和前期の大国化は植民地と侵略地域の民衆の犠牲のうえに進められたのだが、戦後の高度成長もまた、漁民や農民や地方都市の市民の犠牲の...続きを読む
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻
    今年2018年は明治維新から150年で、この150年は日本の近代化の歴史でもある。明治の文明開化に始まり、太平洋戦争を挟んで高度経済成長へと科学技術の進歩に支えられ、日本はひたすら邁進してきた。
    明治初期の日本は兵部省、工部省、文部省が中心となり科学技術を振興してきたが、第一次大戦を通じて総力戦体制...続きを読む
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻
    日本の科学技術と日本的経営が行き詰まって行く過程をよく説明していると思う.では,どうすべきかについての著者の説明は,夢があるが,実現することは容易では無い.I habe a dream.それは叶うだろうか.
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
    山本義隆氏の本を読みたかった。
    探してみると、本書が見つかった。
    薄い本である。しかも原発に関する書である。
    今まで私なりに原発や核兵器に関して、本を読んできた。
    氏の原発に対する考え方を知りたかった。浪人生時代を思い出し、あらためて生徒になった。
    先生の言葉を聴き逃すまいと、一文一文ゆっくり読んだ...続きを読む
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻
    明治以降の150年間の産業技術について、その負の側面を痛烈に気持ちいいぐらいバッサリと批判している。さすがこの人だという傑作だ。特に第6章「そして戦後社会」では、高度成長の裏にある公害問題について、産官学マスコミを強烈に批判している。御用学者の企業援護とそれに乗っかるマスコミ。それが次章の原子力発電...続きを読む
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻
    明治以後の150年を、科学と技術という観点から見て書かれた通史。圧巻は5章以降で、戦中の戦時即応体制を作るために社会や政治経済の仕組みが総力戦体制に編成され、それが戦後の高度経済成長をも可能とした条件になったという。社会経済について1940年体制ということはすでに言われているが、科学、技術の面でそれ...続きを読む
  • 熱学思想の史的展開3 ──熱とエントロピー
    熱学はその問題意識において地球環境の理解と不可分に結合していた。文庫版で3巻にわたり熱学史の発展を通じた熱学思想の展開を眺め、現代社会において熱学的な環境観の重要性を説いている。こんにち熱力学と呼ばれる学問はそれ自体厳密であり、三つの法則をもって閉じている。機械的自然観と独立な、一つの自然観的側面の...続きを読む
  • 熱学思想の史的展開2 ──熱とエントロピー
    ワットの蒸気機関が出てきて話は佳境へ。てっきり熱力学の始祖はカルノーだと思っていたのだが、カルノー自身は熱とエネルギーの等価性を認めていなかったとは知らなかった。しかしそういった物理学的には「よくわからない」状態で熱機関が実用に供されていた事実には驚く。つまり熱機関を動かしてみて初めて熱力学の原理が...続きを読む
  • 熱学思想の史的展開1 ──熱とエントロピー
    スゴいの一言。熱という概念の確立にこれほど多くの科学者の取り組みがあったとは。しかし限定された観測データから本質を見つけていく作業というのは、現代の素粒子科学にも通じるものがあるのでは。熱素を探す姿勢というのは重力子を追い求める姿と重なるような気も。
  • 熱学思想の史的展開2 ──熱とエントロピー
    科学史書の読み方としてはいろんなスタイルあるだろうが,当時の科学者たちがどのように考え推察したのかを追体験するのは非常に興味深い。
    現在の熱力学の教科書では天下り的にカルノーサイクルが導入されるものと思うが,カルノーがこの最大効率を持つ熱機関に至ったことはカルノーの自然観からすれば当然であった。彼は...続きを読む
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
    福島の原発の災害をどうして招くことになったのか、その淵源を原子力爆弾の開発、さらには産業革命以前にまでさかのぼるなどさすがの一言につきる。ただここで書かれていることに賛成もするのだが、原子力推進派にはなかなか届かない言説になっている。
    これは山本氏に限らず反原発、脱検発の言い分が原発推進者にとどかな...続きを読む
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
    誠実な思考。その積み重なり。
    ひとことを導き出すために、多くの言葉が選ばれていることがわかる。
    「特別にユニークなことが書かれているわけではありません」と著者がいうとおり、書かれていることは、すでによく知られていること。
    それだけに、著者の論の進め方は、説得力がある。
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
    3月11日の大震災、その後の福島の原発事故が発生し、いまだ自分の
    中でもやもやした感情が残っている。
    この著者は、今回の原発事故は科学技術幻想の肥大化が招いたものだ
    と指摘する。科学技術とは、技術者が経験主義的に形成してきたもの
    だが、原子力は純粋な科学理論のみに基づく点が異なり、それが人間
    のキャ...続きを読む
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
     著者があとがきで断わっているとおり、とくに新しいことが書かれているわけではないのかもしれない。しかし、これまで「進歩」の名のもとで語られてきた自然支配へとシフトした科学技術の進展と、それに乗じた軍事技術の開発と一体で、かつ利潤のために不正と不公正を生まずにはおかない資本主義の発展との延長線上で、福...続きを読む
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと
    アルファブロガー池田信夫氏が「残念ながら読んではいけない本になってしまった、、、」と書かれていたので、政治的なことで山本先生もつい力が入って過激で刺激的な文になってしまったか、と思っていた。
    が、池田氏が駄目出ししていた「正気で書いているのかどうか疑わしい。」という表現。苦笑を誘うような部分である。...続きを読む
  • 熱学思想の史的展開1 ──熱とエントロピー
    「重力と力学の世界」につぐ書籍で、熱力学を学ぶ、物理学、電気工学、機械工学、化学などの学生にはぜひ読んでおいてほしい背景知識である。
    本書では、自然科学の発想のきっかけがつかめるかもしれない。
    高校、大学の理科系の授業は、結果しか教えないので、おもしろくないと感じる人もいるだろう。どういうきっか...続きを読む
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す
    リニア新幹線中止で見直すべきでしょう。運行には大量の高価なヘリウム、原発前提の膨大な電力がかかるうえに地下か深くを走るため難工事かつ地下水脈にも影響があり、少子高齢化で採算も取れそうにない。元総理から3兆円融通してもらったからあとに引けないか。なかなか刺激的な指摘で、隠れがちなリニア利権の闇を暴いて...続きを読む
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す
    リニア中央新幹線の孕む多方面にわたる問題点を、諸々の文献に依拠しながら、明快にわかりやすく紹介する啓蒙の書。エネルギー効率的にも社会経済的にもまったく割に合わない「時代錯誤」の代物であることが示される。そして何故そのような時代錯誤がまかり通るのは、成長発展を本質的に前提とする資本主義がすでに行き詰ま...続きを読む