山本義隆のレビュー一覧

  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    リニアは、資本主義の縮図。

    リニアは、漠然とした成長神話の象徴であり、それ以外に意味を持たない。

    資本主義とは、全体のパイの成長に依っており、拡大への欲望は無限。
    しかし、成長のためには、地球という資本がエネルギーとして必要。その地球資本が尽きようとしている。

    だからこその脱成長であり、脱リニア。

    明快だ。

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    2021年11月03日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    著者の名前は団塊世代には様々な事象を想起させる.p236に次のような総括がある.「明治から大正にかけての経済成長、すなわち富国化・近代化は、主要に農村の犠牲のうえに行われ、昭和前期の大国化は植民地と侵略地域の民衆の犠牲のうえに進められたのだが、戦後の高度成長もまた、漁民や農民や地方都市の市民の犠牲のうえに遂行されたのである.生産第一・成長第一とする明治150年の日本の歩みは、つねに弱者の生活と生命の軽視をともなって進めてきたと言わざるをえない.」第6章以降は小生の記憶と合致する部分もあり、さらに筆者の筆も佳境に入った感じで的確な視点で問題を暴き出しているのが、非常に面白かった.戦時中に優遇され

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    2019年07月11日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    今年2018年は明治維新から150年で、この150年は日本の近代化の歴史でもある。明治の文明開化に始まり、太平洋戦争を挟んで高度経済成長へと科学技術の進歩に支えられ、日本はひたすら邁進してきた。
    明治初期の日本は兵部省、工部省、文部省が中心となり科学技術を振興してきたが、第一次大戦を通じて総力戦体制に科学技術が重要であると分かると、科学者が率先して国力増強へと協力していく。1917年に理化学研究所が創設されるのは象徴的だ。科学者が自らの立身出世に躍起になっている姿が見える。
    太平洋戦争が終結すると、一転して「科学戦の敗北」「科学の立ち遅れ」がさかんに言われ、今度は「原子力の平和利用」が唱えられ

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    2018年11月11日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    日本の科学技術と日本的経営が行き詰まって行く過程をよく説明していると思う.では,どうすべきかについての著者の説明は,夢があるが,実現することは容易では無い.I habe a dream.それは叶うだろうか.

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    2018年08月20日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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    山本義隆氏の本を読みたかった。
    探してみると、本書が見つかった。
    薄い本である。しかも原発に関する書である。
    今まで私なりに原発や核兵器に関して、本を読んできた。
    氏の原発に対する考え方を知りたかった。浪人生時代を思い出し、あらためて生徒になった。
    先生の言葉を聴き逃すまいと、一文一文ゆっくり読んだ。原発は外交カードであったことを知り、目から鱗が落ちた。先生の知識量に圧倒された。また、先生の正義感と誠実さと優しさも感じられて嬉しかった。
    先生は20年前と少しも変わっていなかった。
    柔らかい表情の奥に光る野武士のような目の輝きを思い出した。

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    2018年06月09日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    明治以降の150年間の産業技術について、その負の側面を痛烈に気持ちいいぐらいバッサリと批判している。さすがこの人だという傑作だ。特に第6章「そして戦後社会」では、高度成長の裏にある公害問題について、産官学マスコミを強烈に批判している。御用学者の企業援護とそれに乗っかるマスコミ。それが次章の原子力発電につながる。この部分がハイライトと感じた。何度も読み返したい名著。

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    2018年04月15日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    明治以後の150年を、科学と技術という観点から見て書かれた通史。圧巻は5章以降で、戦中の戦時即応体制を作るために社会や政治経済の仕組みが総力戦体制に編成され、それが戦後の高度経済成長をも可能とした条件になったという。社会経済について1940年体制ということはすでに言われているが、科学、技術の面でそれが明らかとなっている。

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    2018年03月01日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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    福島の原発の災害をどうして招くことになったのか、その淵源を原子力爆弾の開発、さらには産業革命以前にまでさかのぼるなどさすがの一言につきる。ただここで書かれていることに賛成もするのだが、原子力推進派にはなかなか届かない言説になっている。
    これは山本氏に限らず反原発、脱検発の言い分が原発推進者にとどかないのと同じなのである。
    だからと言ってこの本の価値が減じることはない。この本の言い分が届かないという現状から出発しないと何もかわらないことが本当に日本人が考えるべきことなのである。
    産業界が力をもちすぎたことが 一つの悪夢の始まりだが、産業界に距離をおくひとに産業界の歯車をとめる力は生まれない。

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    2012年04月23日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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    誠実な思考。その積み重なり。
    ひとことを導き出すために、多くの言葉が選ばれていることがわかる。
    「特別にユニークなことが書かれているわけではありません」と著者がいうとおり、書かれていることは、すでによく知られていること。
    それだけに、著者の論の進め方は、説得力がある。

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    2012年02月17日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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    3月11日の大震災、その後の福島の原発事故が発生し、いまだ自分の
    中でもやもやした感情が残っている。
    この著者は、今回の原発事故は科学技術幻想の肥大化が招いたものだ
    と指摘する。科学技術とは、技術者が経験主義的に形成してきたもの
    だが、原子力は純粋な科学理論のみに基づく点が異なり、それが人間
    のキャパシティの許容範囲を超えた技術を生み出す結果になってしま
    ったという。
    脱原発社会に向けた説得的な批判を読み、腹落ちのする内容だったと
    思う。

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    2011年12月30日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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    アルファブロガー池田信夫氏が「残念ながら読んではいけない本になってしまった、、、」と書かれていたので、政治的なことで山本先生もつい力が入って過激で刺激的な文になってしまったか、と思っていた。
    が、池田氏が駄目出ししていた「正気で書いているのかどうか疑わしい。」という表現。苦笑を誘うような部分である。決して池田氏がいうように他者を罵倒したものではない。
    読むべき本である。
    ちなみに苦笑を誘う表現とは「処分場閉鎖後、数万年以上というこれまでにない・・・したがって、・・・各地方自治体や国民に広く理解、協力を得る必要があり・・・」という原発推進者の一文である。数万年・・・。苦笑せずにはいられないだろう

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    2011年09月01日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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     著者があとがきで断わっているとおり、とくに新しいことが書かれているわけではないのかもしれない。しかし、これまで「進歩」の名のもとで語られてきた自然支配へとシフトした科学技術の進展と、それに乗じた軍事技術の開発と一体で、かつ利潤のために不正と不公正を生まずにはおかない資本主義の発展との延長線上で、福島の「事故」が起こるべくして起きたことをこれほど明晰に見通させてくれる書物に出会ったのは、これが初めてである。著者が専門とする16世紀に、知と技術が自然の模倣から、自然の支配へと移行したこと、そしてその頃にはまだあった自然への畏敬がその後失われていったことから、科学主義的な幻想が生まれ、そして科学技

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    2011年09月01日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    知らなかったリニア計画の問題点を知ることができ、漠然と必要性は感じないが、まあ良いことなんだろうと思っていた認識が変わった。
    静岡県がリニア工事に反対しているのも明確な理由があり、それを詳細に伝えず単なる嫌がらせをしているという印象を与えるマスコミ報道にも問題を感じる。

    筆者は全共闘の指導者でもあり、資本主義の限界という視座で論評しているが、ではどのような社会にしていくべきかの答えを出せないまま、反対運動でしか行動できていないのが今日の左翼運動の限界かもしれない。

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    2025年11月09日
  • 福島の原発事故をめぐって――いくつか学び考えたこと

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     なるほど。山本義隆は、東大物理を卒業し、東大大学院で素粒子論を専攻していたのだね。東大全共闘議長で鳴らした人だった。その後予備校の講師をしていた。1941年生まれというから、80歳を超えているのか。この本は、2011年8月に出されている。山本義隆が70歳の時だ。
     なぜ福島原発事故が起きたのか?そして、原子力発電とはどんなものか?を、①日本における原発開発の深層底流。戦後政治史。②原子力発電技術の未熟さと隘路、そして稼働の実態と原発事故。技術論。③科学史から見た原発という構成で書かれている。原爆開発と原子力発電開発は、双子のようなものだと読みきって説明している。
     私は、原子力の平和利用は可

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    2025年05月09日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    リニアは夢の技術だから、困難はあっても進めてほしい――と漠然と思っていたが、どうやら違うらしい。

    世界最速の鉄道はこの国に必要だろうか?
    地方を切り捨てて成り立つ6000万人のメガロポリスは必要だろうか?
    コストよりも安全性よりも速度を追求するべきなのだろうか?
    どの国も追い付こうと思わない「世界をリード」する技術を磨いてどうするのか?そこまでして世界に誇りたいのか?何を?
    時代錯誤だ。昭和のままだ。「もう一度、昭和を」というおじさんたちの暴走。五輪しかり万博しかり。もうやめよう、その発想。

    この国は、自らイノベーションを起こせなくなり、バージョンアップできなくなり、既得権益層に金を落とす

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    2024年07月08日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    リニア新幹線中止で見直すべきでしょう。運行には大量の高価なヘリウム、原発前提の膨大な電力がかかるうえに地下か深くを走るため難工事かつ地下水脈にも影響があり、少子高齢化で採算も取れそうにない。元総理から3兆円融通してもらったからあとに引けないか。なかなか刺激的な指摘で、隠れがちなリニア利権の闇を暴いています。今やリモートも普及したし、超短時間移動のニーズがあるか疑問ですね。国力低下しているなかで時代遅れの国威発揚のナショナリズムに振り回されたらかないませんね。

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    2023年07月08日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    リニア中央新幹線の孕む多方面にわたる問題点を、諸々の文献に依拠しながら、明快にわかりやすく紹介する啓蒙の書。エネルギー効率的にも社会経済的にもまったく割に合わない「時代錯誤」の代物であることが示される。そして何故そのような時代錯誤がまかり通るのは、成長発展を本質的に前提とする資本主義がすでに行き詰まっているにも関わらず、それにしがみつくメンタリティがあるからだと指摘する。それにしても、本当に様々な面で負の遺産となりかねないリニア計画について、何故マスコミは大きく取り上げないのだろうか。今更止められないということか。今までこの問題にあまり関心がなかったため、日々のニュースを見る中でリニアについて

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    2022年08月07日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    リニア中央新幹線は要らない、と常々思っていたのですが、この本を読んで、その思いを強くしました。
    この本によると、少なくとも次のような観点から、リニア中央新幹線は不要、といえそうです。
     ○工事のコスト
     ○工事による環境負荷
      ・トンネルを掘る際に出る残土の対応
      ・様々な水系への影響
      ・森林をはじめとする生態系への影響
     ○運用コスト
      ・ハイスピードにともなうエネルギー消費増
      ・超伝導状態を維持するためのコスト
     ○事故時の対応の難しさ
     ○人口減にともなう需要減
     ○WEB会議システムの充実による、移動の必要性減
    書くのが面倒ですが、これ以外にも不要な理由があります。

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    2022年03月11日
  • 近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻

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    戦後の高度経済成長の核となるものが「戦時中」にある、というのが一番インパクトが大きかったかな。具体的には1942年の食糧管理制度、1938年の国民健康保険法。戦争するには合理的な編成が必要となり、貧富の格差は是正され平等化・一元化される。これが戦時動員体制であるが、実はこの体制と福祉国家体制は類似しているのだ。


    士族を由来とする技術エリートは、江戸時代から続く「職人」とは別格におかれ、軍事技術の必要性から特権的立場を得るようになる。学徒出陣で文系の学生は戦地に送られたが、理系の学生の多くは出陣を免除されていた。敗戦直後、科学者の内部からその反省は語られず、「科学戦で敗北した」という戦争指導

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    2021年07月17日
  • リニア中央新幹線をめぐって――原発事故とコロナ・パンデミックから見直す

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    保守政党、中央官庁、財界の権力集合体に対してこの本を読んでいる間、ずっと腹がたちまくっていた。
    計画当初と今では環境がまったく違うので、もうリニア新幹線はいらない。
    リニア新幹線が地下鉄だなんて知らなかった。
    南アルプスの自然を破壊しないでほしい。
    日本は撤退するのが昔から下手。
    太平洋戦争、原子力発電所、オリンピック…。
    マスコミも客観的なデータを出さないで報道しているし。
    読みやすいので、多くの人に読んでほしい。

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    2021年05月19日