五十嵐大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻は散漫な印象だったけど、下巻は良い。「SOSの猿」に登場した歌い手雁子さんの名セリフが五感を伴って再現されるシーンがあって、そういうところは絵の力をまざまざと感じさせられる。
五十嵐氏の絵は、「海獣の子ども」でも証明済みだけど、自然や生命の圧倒的な力を描かせたらもう右に出る絵描きさんはほとんどいないのではないかというぐらい上手くて、小説の世界では非常に観念的であった「猿」が見事に具現化されている。
ここの物語ではイレギュラーな存在として登場し、ほぼ傍観者状態の「ナナ」だけども、彼女は恐らく違う世界から入り込んでしまった存在だね。小説版にも同じ名前の女性が登場するから。彼女の強い思いが閉じ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「宇宙をひとつの生命体とするなら、海を抱く地球は宇宙の子宮である」という思想と、その思想を表現するのに十分な絵の力があってこの物語は成立している。
よく指摘されているように、これはエンタテインメントとしてのコミックの枠からはみ出しており、人間と地球と宇宙の関係を語る叙事詩になっている。
目に見える結論がはっきりと出されていないため(もし出せば自己矛盾を起こしてしまう)、難解だと受け取られがちだけども、これはもう「考えるな、感じろ」の世界だね。
「本当に大切な約束は言葉にできないもの」って何度も出てくるけど、それは言葉にすることによって、言葉で救いきれなかったものたちが削ぎ落とされてしまうからで