オ・ヨンアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
翻訳者のことを気にせず読み始めたら、あまりに自然な訳だったので作家が日本語で書いたのかと錯覚した。 逆にいわゆる意訳で本当に作家のニュアンスを正しく伝えているのか、不安になりよくよく訳者の略歴を見て納得した。 ああこれくらい両方の国に根をおろすと、こんな翻訳ができるんだと思った。
さて本の内容はすばらしい翻訳と相俟ってとても読みやすく、いろいろな発見に満ちていた。
子なしで生きると決めた理由は皆それぞれ違うだろうけど、その周囲の反応が韓国伝統の家族主義やジェンダー問題などが入り混じってとてつもない迷路に入ってしまった気がした。 日本は韓国ほどではないにしても、周囲の圧はそれなりにあり、自分の体、自分の人生のはずなのに、もどかしい。
植物や動物と同じでヒトも子孫を残すことが義務なのかと思ってしまうこともありつつ、結局どう納得したらいいのか、わからない。 でもだからこそ、この先も考えていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ギュホへのとても深い愛情と他愛無くも眩しい想い出が語られる4つ目の話は、切なくて胸がギュッと締め付けられる。ギュホが現れないかと期待しながら読んでしまった。大切な人と過ごす瞬間の尊さ、煌めきの描写が本当に素晴らしいし、恋の始まりはロマンチックでときめきまくりでした。その反面、疲労、孤独や寂しさなどもしっかり描かれているのがリアルでとても良かった。オ・ヨンアさんのあとがきにある"明るいさみしさ、前向きになるほかないさみしさを知る作家"という表現がまさしくその通りで素敵です。"パク・サンヨンの大都会の愛し方とは、おそらく空間に伴う感情と出会った人との瞬間を克明に記録することであったのかもしれない"。主人公の軽い語り口調や、人生を受け入れている感じが切なくも救われる面白さがある。クマ吉とうさみちゃんが出てきた時は笑ったし、嬉しかった。1人の人生と感情の変遷を見れたという心地良い満足感があります。良い物語を読みました。
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Posted by ブクログ
「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい。」
人生なんて、「どうでもいいことと、どうでもいいもの」
子供の頃から母親に繰り返し聞かされて、どこかでその言葉に縛られているソラとナナ。
姉妹と壁一枚を隔てた半地下で育った幼馴染のナギ。
生きるということは、思い通りにならないクソの繰り返しで、自分も大した人間ではないけれど、3人で肩寄せ合って笑ったり悲しんだりして、毎日は続いていくし、そういうのってそう悪いものでもない。
「続けてみます。」って続けていってみるしかないよね。
ナギが不良の男の子を愛してしまって、絶対に報われないし非常に軽く扱われる中で、ボコボコに殴られて、それを享受(初めて真っ直ぐに自分に向けられた行為だから)して、彼が折ってくれた歯(彼の痕跡)も治さないの、そういう恋愛もあるのかと、驚いた。 -
Posted by ブクログ
映画が今年ベスト級に良かったので、原作も。若いころに読んでいたら確実に多大な影響を受けていただろうな…という傑作だった。映画は原作をとてもていねいに扱っていてそこも良かったのだけれど、やはり原作は当事者ならではの生感や踏み込みが段違いで、激烈にエモかった。
これが自伝じゃなかったら天才だよ、と思わせるようなリアルなディテール。けんかのエピソードがどれもとてもいきいきとしてチャーミング。口が悪くて皮肉屋だけど情が深い主人公の、都会人らしい気質。どんな人ともずっとそばにはいられないという予感が通底しているので、すべての言葉がたまらなく切ない。
バーで読んでいたのだけれど、何度も人目をはばからず号泣しそうになってしまった。わたしは「メバル一切れ宇宙の味」が好き。 -
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ネタバレあっさりと日々を暮らしているように見えるウンギョと、不思議な柔らかい雰囲気を纏ったムジェさんの、そのどちらにも孤独の影は確実に忍び寄っていることを、「影法師」の存在で思い知らされた。自身について多くを語らない2人だけれど、それがかえって、それぞれが抱えているものの大きさを表していると思う。
本人さえきっと気づかないうちに絶望の深みに入り込んでしまって、自力では抜け出せなくなっているような状態のときに「影法師」が立ち上がってくるのかなと思った。
冒頭に戻ると、ウンギョを助けにきたムジェさんというたった一人の存在の有り難さが身に沁みる。予備知識なく読み始めても、ページを進めていくうちにだんだんと、何をテーマとしているのかが分かってくる。彷徨ったときに寄り添ってくれる、手を差し伸べてくれる誰かの存在が大きな救いとなったりすることを、無理なく描いている作品だった。
考えることと伝えていくこと、想像力を働かせて他者と接することが重要であり、それが少しずつでも人々の間に広がっていけば、誰もが生きやすい世の中になるのではないか。
あとがきも素晴らしかった。 -
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これは私たちの、私の物語。
あとがきにあるように、多くの人から寄せられた声、クィアっていったらその通りなんだけど、無視されて、逆に吊し上げられて、罵られて、うるせー!でもそんなの関係ないって、生きてる、恋して、出会って別れる孤独な私たち。
連作でありながら、一人称の「俺」(ヨン)はすべておなじ存在であると同時に異なる存在でもあるという。自嘲ぎみだけどいちばんくつろげる場所を見つけてのびのびして、絶対にその子を、その場所を守ろうとする俺。いたいけな風で、ちょっとかっこ悪いけどそこがグッとくる年上にいかれる俺。イケイケゴーゴーで、ナンパなんかしちゃって?運命?と出会う俺。ひとりになって、おなじように寂しいおじさまをひっかけて、でもやっぱり運命を失った穴から、沈み込んでしまう俺。
痛くて、悲しくて、でもなんだか笑っちゃう。
とにかく訳がいい。軽やかで読みやすくって。大好きな、イ・ランさんの『悲しくてかっこいい人』のオ・ヨンアさん。他の翻訳本も読みたいな。
ジェヒ がとにかく痛かった。なんだか思い出の、いちばん柔らかいとこにぐっときた。
大学時代その頃のわたしが、わたしたちがここに描かれていた。これが青春。これを青春と呼んだ…。なんでこんなに、リアルで、宝物みたいな小説が書けるんだろう。その痛みをほんとうに知っているからなんだろう。なんて安心できるんだろう。
海外の方の動画で知って、映画からドラマを調べて辿りついた原作の、『大都会の愛し方』。本当に読めて良かった。
とつぜんのギャクマンガ日和に吹き出したが。