オ・ヨンアのレビュー一覧

  • 大都会の愛し方

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    映画が今年ベスト級に良かったので、原作も。若いころに読んでいたら確実に多大な影響を受けていただろうな…という傑作だった。映画は原作をとてもていねいに扱っていてそこも良かったのだけれど、やはり原作は当事者ならではの生感や踏み込みが段違いで、激烈にエモかった。

    これが自伝じゃなかったら天才だよ、と思わせるようなリアルなディテール。けんかのエピソードがどれもとてもいきいきとしてチャーミング。口が悪くて皮肉屋だけど情が深い主人公の、都会人らしい気質。どんな人ともずっとそばにはいられないという予感が通底しているので、すべての言葉がたまらなく切ない。

    バーで読んでいたのだけれど、何度も人目をはばからず

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    2025年08月16日
  • 百の影

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    ネタバレ

    あっさりと日々を暮らしているように見えるウンギョと、不思議な柔らかい雰囲気を纏ったムジェさんの、そのどちらにも孤独の影は確実に忍び寄っていることを、「影法師」の存在で思い知らされた。自身について多くを語らない2人だけれど、それがかえって、それぞれが抱えているものの大きさを表していると思う。
    本人さえきっと気づかないうちに絶望の深みに入り込んでしまって、自力では抜け出せなくなっているような状態のときに「影法師」が立ち上がってくるのかなと思った。
    冒頭に戻ると、ウンギョを助けにきたムジェさんというたった一人の存在の有り難さが身に沁みる。予備知識なく読み始めても、ページを進めていくうちにだんだんと、

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    2025年08月04日
  • ママにはならないことにしました

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    女性なら必ず考える子供を持つことへの不安を、しっかり言語化してくれている。男性にも是非読んでほしい。

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    2025年06月26日
  • かけがえのない心

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    他者に寄り添うことや、死や生への向き合い方について深く考えさせられる本。著者のチョ・へジンさんの鋭くも温かな視線が存分に伝わってくる作品だった。ドラマの中でしか触れたことがない海外養子縁組について知るきっかけにもなった。本文に出てきた“生きる幽霊みたいな大人”にはなりたくない。

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    2025年02月21日
  • かけがえのない心

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    国際養子に出された主人公。
    捨てられた生命、救われた生命、生まれくる生命、様々な生命を感じる物語。

    翻訳者も書いているが、人の本心なんてものは誰にも分からず、自分の本心でさえも誤解するものなのだと思う。
    そんな中で打ち捨てられた事があっても、どうにか生きていく。
    読後は深い感慨に耽った。

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    2024年11月10日
  • 大都会の愛し方

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    これは私たちの、私の物語。
    あとがきにあるように、多くの人から寄せられた声、クィアっていったらその通りなんだけど、無視されて、逆に吊し上げられて、罵られて、うるせー!でもそんなの関係ないって、生きてる、恋して、出会って別れる孤独な私たち。
    連作でありながら、一人称の「俺」(ヨン)はすべておなじ存在であると同時に異なる存在でもあるという。自嘲ぎみだけどいちばんくつろげる場所を見つけてのびのびして、絶対にその子を、その場所を守ろうとする俺。いたいけな風で、ちょっとかっこ悪いけどそこがグッとくる年上にいかれる俺。イケイケゴーゴーで、ナンパなんかしちゃって?運命?と出会う俺。ひとりになって、おなじよう

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    2024年10月22日
  • ママにはならないことにしました

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    子どもを持つかどうか考えているときに出逢った一冊。読んでよかった。

    お金の問題以外にも悩みはたくさんある。

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    2024年10月10日
  • かけがえのない心

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    この本を読むまで、韓国の国際養子縁組という社会問題のことを全く知らなかった。
    国籍、そして生みの親を失うという二重のアイデンティティの喪失と、どこへ行っても避けられない差別と偏見。「私は何者なのか」と問い続ける人生の悲哀。

    不可逆性を多分にはらみながらも、少しずつ重なり合う登場人物たちの人生、その構成の緻密さが圧巻。生命に敬意を持ち丁寧に描く著者の眼差しが温かく良い読後感でした。

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    2024年03月03日
  • 百の影

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    ウンジェとムジェの会話が愛おしくて心地よい。
    "2000年代韓国文学における最も美しい小説"に納得。美しい小説の裏には、2009年に起きた「龍山惨事」もインスパイアされており、今もやはり憤りを感じずにはいられません。あとがきのファン・ジョンウンさんの言葉も心打たれました。

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    2024年02月07日
  • 大都会の愛し方

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    ネタバレ

    自由奔放な女性の親友、学生運動に参加した過去を持つ男、バーテンダー、保守的な思想を持つ母を登場人物に、儒教やキリスト教の考えが残る保守的なソウル社会の中で生きるマイノリティの存在を鮮やかに描いた作品。

    『1984年生まれ、キム・ジヨン』でも描かれた韓国社会の問題。ルーツとする宗教や事情が異なるにしても、保守的な思想の絡み合う社会の中における多様性の問題という点では共通するのかもしれない、そして日本社会を描く作品では直視するしかない辛い感覚が薄れるから韓国文学を手に取れるかもしれない。

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    2024年01月11日
  • 脱コルセット:到来した想像

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    長い間かかったが読み終わった。
    美の呪いが以下に女性差別と繋がりがあるかを、経験のレベルで書いてある本。

    理論としては書籍”美とミソジニー”から生まれた脱コルセット運動だけあって、そちらが詳しいが、こちらと合わせて読むことで実践がわかる。
    おすすめ。

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    2023年11月29日
  • ママにはならないことにしました

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    私は第一子を出産したばかりだが、同じ女性として、本書の内容に共感することばかりだった。子どもを産んでも、産まない選択をしても、女性に悩みは尽きないなぁと思った。

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    2023年03月18日
  • すべての瞬間が愛だった やさしさにちりばめられた僕たちの世界

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    そんなに有名だったと知らずに手にした本。
    読みはじめてすぐ、空気が伝わってきました。
    こうした本は困ります。
    手放せなくなるし、思い出して何度も読みたくなるので、近くに置いておく必要があるから…。

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    2022年12月25日
  • ママにはならないことにしました

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     子どもを産み育てる理由は聞かれないのに、子どもを産まないという意見には理由が問われることに違和感を持っているので、自分と同じ人はいなのかなと思って読んでみた。本当は、子どもを産み育てる理由について知りたかったけど、そういう本が見つからなかったので。

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    2022年12月10日
  • ママにはならないことにしました

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    たくさんのことを考えた読書だった。産みたくないわけではないが、何も考えずに産めるほど簡単な選択ではない。産むならちゃんと育てたい。子供は社会からの預かり物で20年経ったら社会に帰すと言うけれど、子のスキャンダルは親の責任問題として捉え続けられる社会のどこが預かり物なのか。韓国の社会では日本よりも深刻に捉えられている少子化問題。でも、社会が困るから産む、という選択もできない社会。気持ちが痛いほどわかって、何度もページを繰る手が止まった。


    p.22 「子供を生まずに暮らしたい」と決めたわけじゃないんです。ただ私は仕事が大切です。頑張る力が100あるとしたら、子供がいれば90を使わないといけな

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    2022年10月13日
  • ママにはならないことにしました

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    本が付箋だらけになった

    冒頭から救われる思いで読んだ。
    私は著者やインタビュー対象者たちのようにしっかりとした考えを持って自分の人生を生きてはいないが、わたしたちが悩み、話題にしてきたすべてのことについて触れられていて驚いたし、多くの話に共感できた。
    なんとなく違和感を抱いたりモヤモヤしたりしていた事柄の正体もわかったような気がして、また、自分の選択(この本のタイトルそのままの意味ではなく)についても自信を持てそうな気がした。

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    2022年10月02日
  • ママにはならないことにしました

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    "会社で男性社員たちが「結婚したから子どもは何人ぐらいの予定なんだ」と、まるで自分に権利があるかのように軽口をたたいているのを目にするたびにちゃんちゃらおかしいと思ってました。女性は自分が妊娠と出産を体で体験しなければならないのだから、そう言えますけど、男性の意思決定はゼロだと思いますよ。"(p.105)


    "子どもを産まない女性は「けしからん女」で、子どもを産まないことに合意した男性は 「いい人」と評価されるのは、「子どもを産まない女と暮らしてくれる男は実に懐の深い男だ」 という認識から来ている。"(p.182)

    "韓国社会では女性が出産

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    2022年09月18日
  • かけがえのない心

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    原題『단순한 진심』


    “でも、何より恐れていることは別にありました。ウジュが私に似ること、私の一番さびしくてかよわい姿に似ることでした。”(p.233)

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    2021年10月20日
  • 続けてみます

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    韓国文学好きだなって自分でも思ってるんだけど、この本の最高なところは、主人公が妊娠への嫌悪感を露わにしているところ。
    私が知らないだけかも知れないけれど、妊娠出産を嫌がる女の話を私は初めて読んで感動した。自分も妊娠出産をしたくない人間だけど、世の中にはそれを美化してさも「良いこと」であるかのように(リスクを無視して)見せてる表現が沢山あるから、この作中でそんな女に出会えて安心した。
    ナギもいい奴で、ここにセクマイぶち込んでくるあたりが結構好きなんだけど、とりあえず妊娠を嫌悪する女が主人公として登場した時点でこの作品は最高です。

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    2021年08月15日
  • 大都会の愛し方

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    すごい面白かった!
    そもそもクィア文学を初めて読んだけれど、すごく共感できるし、よかった。
    文章でなかなか男を愛する人の心情が語られるのを見たことがないから珍しかったし、読んでいて楽しかった。

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    2021年06月05日