【感想・ネタバレ】かけがえのない心のレビュー

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Posted by ブクログ

この本を読むまで、韓国の国際養子縁組という社会問題のことを全く知らなかった。
国籍、そして生みの親を失うという二重のアイデンティティの喪失と、どこへ行っても避けられない差別と偏見。「私は何者なのか」と問い続ける人生の悲哀。

不可逆性を多分にはらみながらも、少しずつ重なり合う登場人物たちの人生、その構成の緻密さが圧巻。生命に敬意を持ち丁寧に描く著者の眼差しが温かく良い読後感でした。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

原題『단순한 진심』


“でも、何より恐れていることは別にありました。ウジュが私に似ること、私の一番さびしくてかよわい姿に似ることでした。”(p.233)

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2021年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正しい答えを示すのではなく、
迷いながら主人公たちが自分なりの答えを選んでいくところがいい。
だから読んでいる私自身も、私だったらーと考えられる。
テーマは重いのに、決して派手な展開にせず、どこかドキュメンタリーのように物事が淡々と進んでいくのも、読み手に考えさせる余白が生まれてよい。

自分の過去を探すため、というところから始まっていながら、いつしかそこから話が転がりだし、展開していくのもいい。

養子とか、韓国が舞台とかそういうのとは関係なく、
「わたしがいることの意味」を考えさせてくれる良作だと私は思う。


※蛇足だが、唯一苦しかったのが登場人物の名前。
 似た名前が多くて、頭の悪い私はときどき誰が誰だか わからないときがあった。

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2023年10月02日

Posted by ブクログ

ナナは、別れた恋人の子供を妊娠していた。そしてその子供に「宇宙」(우주)という名前を付けようと決めた。そしてその日、ソヨンという韓国人の女性から二通目のメールが届いた。その女性は、ナナのインタビューを読んで、フランスに養子に出されるまで過ごした場所や、そので会った人たちを探しながら、最終的にはナナの昔の名前である「ムンジュ」の意味を見つけ出すまでの過程を映画にするという。妊娠初期に飛行機で韓国まで旅をするなんて、常識では断るべきものだったが、ナナはどうしても断れなかった。ナナは、子供の頃に線路で泣いているのを、それに気が付いた機関士が拾い上げ、一年間も世話をしてくれたという。なんとしてもその機関士とその母親に会いたかった…。そして、この旅は、ナナの人生の空いた穴を埋めるものだった。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

小説ではなく、ノンフィクション作品を読んでいるようだった。
訳者・オ・ヨンアさんのあとがきより
〈2012年までに約16万人を超す子どもたちが海外に養子に出された〉

朝鮮戦争で、米国軍人との間に生まれた混血児や
戦争孤児をアメリカに送ったのが始まりだそうだ。
「基地村(キジチョン)」(性産業)の歴史にも胸が痛くなる。

『梨泰院(イテウォン)』を華やかな映像から知るのも楽しい。
でも、本を読みその歴史に目を向けるとまた違って見えてくる。

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2022年06月06日

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