セルバンテスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ映画なんかで「まるで風車に挑むドン・キホーテだな」なんてセリフが出てきたりする有名な物語。
だけど名前は知っているが内容を知らなかった。
内容は、イメージしていたのと大きく違いました。
歳をとったドン・キホーテが、自分の人生で何事も成し遂げていないのに歳を取っていく虚しさから、物語の中に逃げ込めば虚しさを忘れられるのではないかと冒険の旅に出るという内容。
いまだに読まれているだけあり、多くの人がきっと共感する内容なのでしょう。
現代でも、例えば人生が虚しくてゲームにはまって全国ランク上位になってしまう、というドン・キホーテのような人がいることでしょう。
「風車に無謀に挑む物語」ではなく「人生の虚しさから物語に逃げ込む物語」なんですね。
そしてドン・キホーテは冒険の果てに、友や家族の大切さに気付くという何とも綺麗な終わりです。 -
Posted by ブクログ
本書は、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテス(1547~1616年)が発表した『ドン・キホーテ』(前編1605年、後編1615年)を、およそ1/6ほどに短縮した抄訳である。物語は、騎士道物語の読み過ぎで、現実と物語の区別がつかなくなった郷士(アロンソ・キハーノ)が、自らを遍歴の騎士と任じ、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」と名乗り、痩せ馬のロシナンテに跨って、農夫のサンチョ・パンサを従者として引き連れて冒険の旅に出かけるもの。ドン・キホーテは、自分を取り巻くあらゆる事象を騎士道物語的な設定と認識し、次々とトラブルを引き起こすが、それ以外の点では至って理性的で思慮深い人物、また、サンチョ・パンサは、無学ながら、時に機知に富んだ言い回しを使って、奇行を繰り返す主人に現実的な忠告しつつも、それを聞き入れられずに災難に巻き込まれる人物として描かれている。
2002年にノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54ヶ国の著名な文学者100人の投票による「史上最高の文学百選」で1位を獲得するなど、今日に至るまで、文学界はじめ様々な分野に影響を与えてきた作品であるが、なぜ、17世紀初頭のスペインでこの物語が生まれたのか、セルバンテスはこの物語で何を表現したかったのかは、本書のあとがきに書かれていて、大変興味深い。
スペインでは、15世紀末から16世紀前半にかけて、レコンキスタ(ヨーロッパ大陸からのイスラム勢力の駆逐)を完成させる一方、新大陸を発見し、そのほとんどを植民地にして、国家として隆盛を極めていった。16世紀半ばから17世紀前半までの約80年間はスペインが史上最も繁栄した黄金世紀と呼ばれ、その繁栄の様は「太陽の沈まない国」と形容された。しかし、細かく見ると、1588年のアルマダ海戦で、スペインの無敵艦隊がイングランドに敗れた頃から、その衰退の兆しは見え始めており、『ドン・キホーテ』はそうした時期に書かれているのだ。つまり、スペインが、カトリックによる世界制覇という、身の程をわきまえない願望にとらわれて、無茶な戦争を繰り返し、次第に身をすり減らして衰えていく姿と、その中で翻弄された自分の人生を、『ドン・キホーテ』という愛情の籠った風刺として描いたのである。
また、全く同じ時期に、イングランドにはシェイクスピアがおり、1605年には4大悲劇のひとつ『リア王』が書かれている。
(大人としては)そうした歴史的な背景も踏まえて読むと、この世界でもっとも有名な物語のひとつを、更に楽しみながら読めるように思う。
(2020年5月了)