地下沢中也のレビュー一覧
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購入済み
未完の傑作
この漫画よりも絵が好きであったり、思い入れのある漫画はたくさんあるが、何度読んでも初めて読んだ時と同じような鳥肌が立つ漫画はこれしかない。
素晴らしいSF漫画。
ずっと三巻が出るのを待っているが、恐らく未完のままに終わる気がする。
それだけが残念。 -
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□(以下唐突な雑文)
現れた箱猫は、くけけと嗤って、唐突に僕に聞いた。
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幸せになりたいかい?
そりゃそうだ。
誰だって、好きで不幸になりたいとは思わないよな?
もし、この世から不幸を無くす機械なんてのが出来たら、君はどう思う?
そうだな、例えば不幸掃除機とでも名付けようか。
うん、そりゃそうだ。どんなヒネクレ者でも欲しがるに違いない。
そいつが、全人類の不幸を消して回ったとしたらどんなもんかね?
そいつぁ素晴らしい? 正に理想郷かい?
さて。ちょいと質問だ。
「嘘」が全く無い島があったとしよう。
この正直島に住む住民は、みな嘘を付かない。
というか、嘘という「概念」がない。
故に、「嘘」という言葉もない。
本音と真実しか言わないし、嘘をつく必要が無かったんだ。
嘘みたいな話だが、19世紀に入るまでそういう島は本当にあったんだぜ?
さて。
ソレが故に、だ。
ここでは、誰もがそうであるが為に。
この島では、「本当」「正直」「真実」という言葉も概念も、同じく存在していないんだ。
つまりそれらは普通のことで、美徳とは成り得ない。
「嘘」が蔓延る世の中だからこそ、「真実」「本当」は尊く輝くというわけだがね。
「嘘」がなけりゃあそれらに大した価値は無いってな事だ。嘘そこが真実の価値を釣り上げているんだぜ?
じゃあ聞こう。
「不幸」が無くなってしまったその時に。
「幸せ」というのは、存在するのかい?
{不幸}が無くなってしまったら、{幸せ}を感じることは出来るんだろうかねえ?
そいつが消してしまったのは。
本当に「不幸」だけだったのかい?
箱猫はくけけと、不吉ったらしく嗤った。
□(以上唐突な雑文おわり)
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SF好きならコレを見逃すな。
「星雲賞」ノミネート漫画はコイツで決まりだ!
と個人的に息巻いている漫画がある。
それも10年以上も前から。
ちょいとコアな漫画雑誌「コミックCUE」で連載していた漫画で、2001年名にようやくコミックスが出ると発表されてから雑誌が休刊、それ以後6年の沈黙、僕らが諦めつつも待ち望み続けた本が、なんか突然発刊されていた。
書店で発見驚喜乱舞…したのが2年前ぐらい前。 そして最近続刊発行。
何度かこの漫画の紹介を書こうかとも思ったものの、本として手に取れないのでは紹介する意味もないと見送っていたのだが、この単行本化を機にここぞとご紹介。喰らえ。
□「預言者ピッピ」 本編あらすじ。
某月某日。
カウントダウンが世界各国のTVに映し出される中。
大都市ロサンゼルスは、マグニチュード8.5の直下型地震の直撃により、跡形もなく壊滅した。
ただ一人の、人的犠牲者も無く。
□
少年タミオには、兄のように慕う友達がいる。
それが、地震予知研究会が開発した、少年の姿をしたヒューマノイド型スーパーコンピューター、「ピッピ」。
彼は、地球上から計測されたデータを吸い上げてシミュレートし、地震を予知することで災害を回避する為に開発された確率計算ロボット。
ロサンゼルスの大地震を誤差1秒以下で予知したのも、彼だ。
だが、ある事件により、彼は突然機能を停止。
再び目覚めた時には、彼にはある変化が起こっていた。
世界から不幸の種を取り去ることを願うピッピの開発者の一人、タミオの父は、次第に自分の仕事……ピッピを開発してしまった事に疑念を抱くようになる。
その鮮やかな予測、いわば「予言」に驚喜に沸く世界の模様を見つめながら。
「……仮にも一つの大都市が失われたというのに、この馬鹿騒ぎはなんだ? この歓声は350万のロス市民の命が救われたことの歓びなんかじゃない…これは単に見せ物に沸く客だ! これから起こる大地震と都市の崩壊を、期待して見つめている世界中の目…無意識せよテレビの前の世界中の人間が願ったんだよ、予言通りロサンゼルスに死が訪れることを…」
人類の幸福を願って作り上げた筈だった。
だが。
我々が作ったものは、何だったのか?
果たして、人類に「ピッピ」は必要なものだったのか?
次第に「ピッピ」の予測は人智を外れた精度になっていく。
ついには、全世界に発信される記者発表の場で。
「予言」に懐疑的な記者が発した「してはいけなかった質問」と。
それに答えた、ピッピの
「不可思議で、とてもシンプルな」ある答え。
ただの記者会見の場での1シーンに過ぎなかった筈のそれは。
全世界を注目の元に、人類を未来を巻き込んだ事件へと展開していく。
「ピッピ」は暴走しているのか?
いや。
そもそも我々人間が、何処に向かって暴走しはじめたのだ?
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と、手塚治虫SFや、浦沢直樹のサスペンスが大好きな方には自信を持ってお勧め出来る、未来予知SF。
現在2巻までで、今後続く2巻ではジャンピエールジュネ監督の映画「ロストチルドレン」張りの、いろいろたまらないガジェットが盛りだくさんに出てて来る。
一見難解そうなテーマだが、小難しい話はあえて外すことにより、ストーリーの展開力というものを最大限に発揮。とても読みやすく怒濤の展開へと連れて行って貰える傑作。
少年タミオとピッピの純粋な心の交流は実にリリカルで、それを打算で取り巻く人類との関係が実にシニカルという、実にニクイ物語構造になっております。
興味もたれた方は、一読をお勧めいたします。 -
Posted by ブクログ
全てを予測できる超性能のマザーコンピュータを発明した人類が、未来を全て見通せてしまうが故に様々な問題からパラドクスに突き当たり破滅へと向かっていくSF漫画。
未来予知という題材から「人間の定義とは?」「自由意志とは?」といった哲学の様々な問題が浮かび上がり、それをコンピュータと人類が対話し、探求していくような形で物語が進行していく。
某所で紹介されていたのを見て読んでみたのだが、圧巻だった。すごすぎる。ある種の「SF超大作」と言われるような名作には自分の及びも付かないようななにか巨大な存在を感じることがあるが、この作品はまさにそういったセンスオブワンダーを感じる。
手塚治虫の火の鳥未来編に代表されるような人類の進化についての物語だが、この漫画は非常に視野が広くとってあり、倫理や道徳の問題から社会的な問題、果ては肉体と精神といった問題までカバーしつつ深いところまで降りていこうとしているのがよくわかる。
1巻の発売から2巻の発売まで非常に長い期間が空いたようだが、ぜひ描ききって完結させてほしい。 -
Posted by ブクログ
第1話から12年、第1巻から4年を経ての第2巻。
1巻はよくできたSFミステリという印象だったところが、2巻に来て一気に印象が変わった。1巻でも、未来を正確に予測してしまうことの倫理的な是非や生命の数値化可能性なんてけっこう重いテーマを扱っていた。とはいえ、それらはなんでも計算ができてしまうスーパーロボットと言うコンセプトをなじませるための導入に過ぎなくて、本当の主題はその先。
それはたぶん絶対的、超越的な悪とどう対峙していくかということ。正確無比なロジックを備えたロボットのピッピ、ひらめきを与えられたもう一人のロボット タミオ、そして突然変異の知性と野生の勘をあわせ持つ猿エリザべス、彼らがその”悪”と対峙することになる。通常の人間よりも(少なくとも部分的には)圧倒的に優れた能力を持つ彼らでさえも、今のところその”悪”に対しては無力でしかない。これから先、三者三様の対峙のしかたが、焦点になるんだろう。
ここまで絶対的、超越的な悪を設定すると、それは神話や宗教の領域に入る。おそらく作者自身、相当に神話や宗教を相当に意識しているようにみえる。
3巻以降もまだまだ続きそうで先が思いやられるのだけど、これは継続して読んでいきたい作品になりそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリー :☆☆☆☆☆
世界観 :☆☆☆☆☆
ビジュアル :☆☆☆
キャラクター:☆☆☆☆
読みやすさ :☆☆☆
オススメ度 :機会があればぜひ読んでみるべし!
ピッピは、地震予測のために作られた
スーパーコンピューター。
3歳のころからピッピと一緒に育ってきたタミオは、
ピッピが計算で予測すると、正確にそのとおりになるので
ピッピが預言者だと思い込んでいる。
逆上がりができるようになりたいから、
僕がそうなれるように願ってよ、と頼むけれど、
ピッピは困ったように笑いながら言うのだ。
「願うという言葉の意味が、
あいまいすぎてボクには理解できないよ」
タミオは笑ってこたえる。
「簡単だよ、そうなれ、そうなれって思えばいいんだ
ピッピがそう思えばそうなるんだから!」
タミオは医者に余命一年を宣告されていた。
ある日、タミオは交通事故で唐突に亡くなってしまう。
ピッピは、病気でタミオが亡くなることは予測していた(それこそ日時まで)だろうが、それは全く予測不可能な出来事だった。
生まれたときから一緒に居たタミオを失ったピッピは、
はじめて「願う」。