佐野広実のレビュー一覧
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巨大都市東京に、血管のように張り巡らされた地下鉄路線。
今日も多くの人が行き交う、その地下鉄の安全を確保する私服警備員たちの活躍を描く。
かつて国鉄には鉄道公安官がいたが、彼らは公務員であり、警察官であった。
対して地下鉄の保安員は、民間警備員。
公権力は持たず、武力はなく、捜査権もない。
地下鉄の安全を護るのは、犯罪、事故が起きないように自然に誘導する。
特殊な職場に集まってきたメンバーは、それぞれがいろいろなものを抱えている。
そのヒューマンドラマと思いきや、話しは一転してスリリングな場面展開へ。
一件落着して、平和を取り戻し、また彼らは地下鉄路線内に散らばっていく。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
穂村明美の恋人は、駅構内で何者かに襲われて命を失った。
事件の手がかりを掴めればと、私服警備員となった明美は、様々な事情を抱えた乗客たちが起こすトラブルに遭遇していく。
以前は警視庁で防犯課に勤務していて、亡き父の友人である主任統括官の三木の助言や同期の町村(夫が東京メトロの職員)原口(会社員から転職した見た目、派手)奥野(元会社秘書、眼鏡で静か)たちとの交流もあり、さまざまな事件に心痛めながらも乗り越えていく。
第一話 「誰かを探していますか」〜誘拐事件で息子を亡くした母親がしたこと。
第二話 「誰が見捨てたのですか」〜置き忘れていたものは骨壺で受取人は。
第三話 「誰の命令ですか」〜 -
Posted by ブクログ
介護施設で働く娘の依頼により、認知症を患う"門前さん"(施設の門の前に放置されていた)の身元を調査することになった父。
ただの身元調査だったはずが、いつの間にか警察組織の闇に迫っていき、公安や暴力団なども絡んだ大きな渦に飲み込まれていくーという展開にハラハラさせられました。
なぜ"門前さん"は、自分を偽って生きてこなければならなかったのか。
真実が明らかになったとき、彼の辛さや悔しさを想像すると胸が詰まりました。
認知症の症状が進行し、過去の記憶が消えていってしまうなか、、、最後まで残された記憶は、どうか幸せなものでありますように。
切なさが残る作品で