【感想・ネタバレ】わたしが消えるのレビュー

あらすじ

第66回江戸川乱歩賞受賞作!
綾辻行人氏(選考委員)、推薦。
「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」

元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。
途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。
これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。
刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。

残された時間で、自分に何ができるのか。
「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー!

文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても読みやすくて面白かった!
最後は感動(涙)3人で一緒にたくさん話をすればノートもいらないね。
最後に残る記憶…自分なら何だろう。素敵なものであってほしい。

ちょうどお盆中に作中でもお盆のところを読んで、しかも偶然にも作中の曜日が今年と同じだった。
さらに、名前を少しだけ変えているけど場所的にももしかして母校のことじゃないかなーとか。
なんか読んでいて嬉しくなるポイントあって嬉しかった。

表紙が何かに似てるなーと思ってて、自分の本棚見てたら一発で分かったw

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2024年08月20日

Posted by ブクログ

静かなミステリと思ってたら、読み進むにつれ広まり絡まる展開に引き込まれてしまった。
"クルーカット"の通称とか、渋いんだけど、ちょっとくすぐる感じもすごく好き。

最後に残される記憶、私は何だろうな。
それを不安だと考えてしまう"門前さん"の生きてきた日々を思うと、心がきゅーっとなった。

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2023年03月18日

Posted by ブクログ

本編のラストはややできすぎな感じがするが、身元不明者の謎解きや、自身の境遇と重ね合わせる描写は面白かった。
スピンオフ的な「春の旅」は、短いがとても良かった。

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2025年08月29日

Posted by ブクログ

 読みたいと思いながらも、ずっと積んでた一冊です。はじまりは一見すると地味なんだけれど、段々と大きくなる感じかな…でも最後は、いい感じにまとめてくれる作品でした。

 元刑事の藤巻はある日軽度認知障害の診断を受け、娘には迷惑をかけたくないと強く思う。ある日、娘が訪ねてきて、実習先の施設で認知症を患う身元不明の男性、門前さんについて調べてほしいと依頼を受ける。徐々に明らかになる、門前さんの過去とその正体、門前さんを狙う謎の勢力…そして、藤巻と娘の関係性の変化など、読みどころ満載です。

 認知症が進行し、記憶が消える中、最後まで残された記憶って…どんな記憶なんだろう?もし、私が認知症になったら、どんな記憶は残るのかな??どんな記憶なら、幸せだったと思えるだろうか??

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

面白かった。さすがは乱歩賞受賞作。

と、同時に既視感。私の好きな佐々木譲氏や伊岡瞬氏を彷彿とさせるか。まぁ題材もよく練られているとはいえどっかで読んだなとモヤってしまった。

けなしてないんです。他の作品も読んでみたいな、好きな作家が増えて良かったと思っているし。

おじさんが義憤する話っていいよね。

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2024年09月06日

Posted by ブクログ

元刑事の藤巻は、介護施設に保護された認知症患者の身元調査依頼を引き受け、老人男性の生きた証を探し始めると、次々と見つかる不穏な物証。この老人は一体何者なのか。自分の過去の事件も絡んで危険な目にも遭遇するが、最後はスッキリと解決。
読みやすい文章に、この身元探しがどう展開していくのか適度な不穏感、一気読みで楽しめました。久々に江戸川乱歩賞作品で満足しました。

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2024年06月01日

Posted by ブクログ

マンションの管理人で、元刑事の主人公の藤巻は認知障碍の宣告を受ける。先の不安を思いながら、大学生の娘の研修先である介護施設で保護されている認知症患者の身元調査の依頼を引き受けることに。妨害や脅迫と事件が動いて行く。その裏に隠された真実とは…。

江戸川乱歩賞受賞作ということで手に取った作品。
まずは読みやすかった。どんどん話に引き込まれていきました。
藤巻と警察との確執、家族との関係、認知症への恐れなど、いろいろと絡みあって進んでいきます。
記憶がポロポロとこぼれ落ちていってしまい、なにもわからなくなる直前、最後に残される記憶は、いったい何だろうか…人生を奪われた男性が記したノートの言葉が印象深かった。
もっと暗くなるのかなと思ったけど、読後感は良かったです。
前日譚にあたる短編「春の旅」はほっこりでした。

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

主人公が軽度認知障がいと診断されたところから開始するが、もっと重度の認知症患者が登場し正体を探る。もう認知症関係なく、身元調査がどんどん壮大にハードボイルド感も溢れる展開に。ジャケ買いしたことを忘れて2冊買ってしまった。

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2023年06月06日

Posted by ブクログ

第66回江戸川乱歩賞受賞作

元刑事の藤巻は、事故でケガをした際軽度の認知障碍を宣言される。
離婚した妻はすでに亡くなり、大学の娘はいるが迷惑はかけられないと思っていた。
娘の実習先の施設に身元がわからない認知症の人がいるので調べて欲しいと頼まれ、事件に巻き込まれる。

緩やかに始まるが次第に引きつけられてゆく。
自分の記憶がどこまで…という不安もありながらも認知症の人が気になるのはなんとも言えない。
調査を続ける藤巻の姿に元刑事としての矜持も感じつつ、胸にせまるものも感じてしまう。
そして、父と娘の揺るがない信頼関係もことばにできないほど。

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2023年05月26日

Posted by ブクログ

面白かった!これぞ江戸川乱歩賞って感じの作品。
前日譚に当たる短編も良かったです。 
ここ数年の乱歩賞受賞作の中では一番好き。

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

始めはライトなミステリーかなぁ?と思っていたのだけれど、読み進めるにしたがってがっつりミステリーだったし、門前さんをめぐる背景が壮大なものでびっくりしたけど面白かった!

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2022年12月17日

Posted by ブクログ

第66回江戸川乱歩賞受賞作。


特別養護老人ホームの門の前に、置き去りにされた身元不明の認知症の老人。老人の身元を突き止めてほしいと娘から頼まれた元刑事藤巻は、自らも軽度の認知障碍を患っており、他人事とは思えずこれを最後の使命と引き受ける。

始まりは地味な老人の身元調べ。
だけど、老人が隠し持っていた数枚の身分証明書が発見されたあたりからぐいぐいと謎に引き込まれていく。
深まる謎、何者かによる脅し、証拠品の盗難、そしてとうとう死者まで。このあたりになると緊張感で息もつけないほど。
そして次第に明らかになっていく真相。黒幕の正体は?一気に社会派ミステリの様相を帯びていく展開に読むのをやめられない。

何より、利用され人生を損なわれた一人の男の哀しい一生、そしてその末路である今を思うとやるせない。
最後の収まり方には様々異論はありそうだけど、あそこで黒幕が生き延びる結末は読者としては感情が許さないかも。

主人公の今後に思いを馳せると辛いけど、失った20年を取り戻すという決断に少しの希望も。
記憶がこぼれ落ち何もわからなくなる直前、最後に残る記憶は自分の場合はなんだろう?と考えてしまいました。

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2022年10月01日

Posted by ブクログ

奥深い内容で真実を追う姿に乗り移るように早く知りたいという衝動で読み進めた。認知障碍というものが珍しい病気でないと分かってきている現在だけれど実際に診断されたらどんな気持ちで残る人生を送らなくてはならないのか。そして実際に診断された主人公が身元調査を始めて巻き込まれていく事態は想像の上をいく。

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

介護施設で働く娘の依頼により、認知症を患う"門前さん"(施設の門の前に放置されていた)の身元を調査することになった父。
ただの身元調査だったはずが、いつの間にか警察組織の闇に迫っていき、公安や暴力団なども絡んだ大きな渦に飲み込まれていくーという展開にハラハラさせられました。

ぜ"門前さん"は、自分を偽って生きてこなければならなかったのか。
真実が明らかになったとき、彼の辛さや悔しさを想像すると胸が詰まりました。
認知症の症状が進行し、過去の記憶が消えていってしまうなか、、、最後まで残された記憶は、どうか幸せなものでありますように。
切なさが残る作品です。

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2024年08月05日

Posted by ブクログ

元刑事の藤巻は、事故をきっかけに認知障碍だと伝えられる。
そんな矢先に、介護施設でボランティアをしている娘から、認知症の患者さんで身元のわからない人がいるので、その身元を調べて欲しいと頼まれる。
しかし、それが何か大きな事件に繋がっていたのか、妨害や脅迫を受けることになる。
ただ、元刑事ということも手伝って、真相を知るまでやめる気にはならなかった。
ただ、事態は悪くなるばかり…一体この認知症の患者は何者なのか…
読み応えあり。

2024.5.6

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

第66回江戸川乱歩賞受賞作品。軽度認知障碍を患った元刑事の藤巻が身元不明人「門前」の過去に迫るうちに徐々に恐るべき真相が炙り出される。人間ドラマ・サスペンスものとしては面白いが展開の風呂敷を広げすぎ真相が飛躍しすぎたように感じる。主人公の認知症の設定ももう少し深みを持たせてほしかったように思う。

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2023年12月25日

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