あらすじ
江戸川乱歩賞作家が「地域の同調圧力」をテーマに描いた衝撃作。
ゾクゾクが止まらない、読む前には戻れないミステリー!
高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは?
人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。
やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。
外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。
いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
段々と明るみに出てくる繋がりがおもしろかった。事件当時の過去と事件を明らかにしようとする現在の時系列が同時並行で語られていて先が気になる構成だった。行き過ぎた同調圧力、皆が自分を守るため、自分の社会に溶け込む為に必死でそのおかしさに気づいていない。ただ、1度同調圧力がかかってしまえば行き過ぎるのには躊躇はほぼ必要ないほどぬるぬるいってしまう人間の弱さを感じた。
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400ページを超える作品でしたが、先が気になりすぎて一気読みしました。
二つの視点から、三つの事件を紐解いていくワクワク感と、町の雰囲気がどうこっちに影響してくるのかというハラハラ感もあり、読み応えがありました。
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自分の生い立ちや家族を知りたくて調べた結果、村八分にされて家族を殺された麻希、愛息子を殺した犯人が街の人だったと知って絶望する木本夫妻、自分はリコール隠しに怯えながら仕事を退職した真崎、
いろんな人が辛い過去を持っていて読んでて心痛んだけれども、読み進める手は止まらなかった
同調圧力に屈することなく生きていけるか、隠蔽とか人間の嫌なところが垣間見えた、
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佐野広実『誰かがこの町で』講談社文庫。
佐野広実の小説を読むのは第66回江戸川乱歩賞受賞作の『わたしが消える』と『戦火のオートクチュール』についで3作目となる。『わたしが消える』が非常に面白く、『戦火のオートクチュール』も高いレベルの小説であることに驚いた。
さて本作はどうだろうか。近々、某有料衛星放送でドラマ化されるらしく、味のある表紙イラストを隠すかのように俳優たちの写真のオーバーカバーが掛かっていた。
本作は地域の同調圧力をテーマにした見事で読み応えのあるサスペンス・ミステリーであった。程度の差はあれど、日本のどこの地域でも起きている同調圧力の嫌な現実が描かれている。良く言えば地元愛なのだが、地域の住人たちが結託し、盲信的に地域を守るということに執着する様子には背筋が寒くなった。
弁護士の岩田喜久子の法律事務所で調査員として働く真崎雄一は名古屋での仕事を終え、事務所に戻ると岩田から直々に奇妙な依頼を受ける。19年前、岩田が渡米していた時に一家で失踪した同級生の望月良子の娘を名乗る望月麻希という女性が岩田の事務所を訪ね、自分の家族の行方を知りたいと言うのだ。真崎は望月麻希が本当に望月良子の娘であるかを調べるために半年前まで麻希が暮らしていたという施設を訪ね、麻希にも直接事情を確認する。
突然、場面は変わり、木本俊樹と千春の5歳になる子供の貴之が行方不明になり、何者かに殺害され、変わり果てた姿で見付かる。この事件は望月麻希と関係があるのか……
真崎は望月家が埼玉の与久那町鳩羽地区の高級住宅街に暮らしていたことを聞き、現地へと向かう。その頃、麻希も自身の家族のことを調べるためにその住宅街を訪れていた。真崎が高級住宅街のことを調べるうちに19年前に起きた木本貴之殺害事件を切っ掛けに、その住宅街での住人たちの歪んだ行動が続いていることを知る。
作中に描かれるゴミ出しルールを監視するというのは自分もかつて経験したことがある。30年以上前に東北の田舎町の新興住宅地に家を買い、住み始めて数年後、ゴミの分別ルールが厳しくなった。今では当たり前に燃えるゴミとプラゴミ、燃えないゴミとアルミ缶、ペットボトル、新聞紙、段ボールなどの曜日毎の分別である。その地域には元々20軒くらいが暮らしていて、そこに100軒余りの新築住宅が立ち並んだのだ。分別が厳しくなると、新興住宅地が出来る前からの住人で区長が勝手にゴミ袋への記名を決め、住宅地内のゴミ停に出されたゴミの袋を開け、チェックし始めたのだ。そして、ゴミの分別の違反があると住人に直接注意するなどし、新興住宅地の住人からは問題視されていた。その後、市が桜の木の植樹を決めていた団地の中にある公用地を区長が勝手に早い者勝ちで自家菜園の用地にするなどしたことで、ついに住人たちの不満が爆発し、リコールされた。
その新興住宅地は様々な所からの移住者が集っていたので、極めて民主主義的に自治が行われ、住人同士も普通に交流していた。問題は昔からその地域に住んでいる住人たちだ。外からの移住者を余り良しとはせず、何かにつけて先輩面をして新興住宅地の住人を支配した上に、排他的な態度をあからさまに見せていたのだ。
今はその家も手放し、全く違う土地に移って、ポツンと一軒家に暮らしているので、嫌な思いをせずに住んでいる。
本体価格870円
★★★★★
Posted by ブクログ
真崎と、木本の2視点から話が展開された。
最初は、その時系列がわからず、読み進めていた。ただ、途中で2つの物語がリンクし始めて、状況を完全に理解すると、一気に物語に入り込めた。
逃げる、隠すに対しての人の弱さが書かれていたという印象を受けた。物語を客観視する分には、鳩羽がおかしいと思える。ただ、もし自分が住民になったら、声を上げることができるかと言われると難しいんだろうな…
同調圧力に逆らうことの難しさを感じつつも、客観視するとおかしな話だからもやもやしながら読んだ。
100%ハッピーエンドとは言えないけど、面白いお話だった。
ネガを挙げるなら、中盤の望月麻希の行動について、真崎の管理が甘すぎると感じてしまうところがあった。
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この小説の舞台はとあるニュータウン。このニュータウン渦巻いている同調圧力、身内保身は地域単位だけでなくより少数の集団でも起きうる事案だと感じます。
自身の身を守る為に他者を貶める。状況の主語が「自分」に変わるだけでこうも人は変わるのか、改めて恐怖感を覚えました。
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養護施設で育った麻希の失踪した家族を探す法律事務所の真崎
「安心安全の町」で起きた児童誘拐事件
2つの物語の真実とは…
読み応えがあって面白かった!
衝撃すぎる真相
同調圧力、集団心理、自己保身…
ここまでではないにしても誰にでも起こりうる問題だと感じた
Posted by ブクログ
同調圧力というものがどれだけ怖いのか、自分たちの『当たり前』が世間の『当たり前』とは違う事に気づかず、一つの事件をきっかけに町民たちの結束は益々強くなっていき反抗するものは許されない…
時系列がポンポンと飛ぶので少しわかりにくいところもありましたが、最後には点と点が綺麗に繋がる作品でした
Posted by ブクログ
「同調圧力とムラ社会のいやーな本を読むぞ」と手にした本。
しょっぱなから予想以上に狂っていました。不快をあびれます笑
それと同時に「正しさとは?」を考えさせられる場面も。
違法はダメ。でも正しい事をして自分が家族が不幸になる未来しかなかったら?正しさって状況とか誰にとっての正しさかによって変わるものだなと。いじめる奴がいなくなればいい、会社が当たり前に法を守ればいい。でもそうではない。世の中理不尽ですね。
Posted by ブクログ
あらすじを読んで興味を惹かれて購入した。
施設で育った19歳の女性がある法律事務所に19年前に行方不明になった彼女の家族について相談が持ち込まれる。
彼女の家族は埼玉県にあるかつてのニュータウンへ引っ越したあと失踪していた。安心安全な街をうたうその地域は独自のルールがありそれに従わなかった彼女の母親と地域住民が揉めていたらしい。法律事務所の助手をしていた真崎が調査に乗り出すが、自身の娘と彼女が重なり。。
同調圧力の理不尽さに辟易とするが多かれ少なかれ現実社会にもあるなと少し恐怖した。4.0
Posted by ブクログ
WOWOWの連続ドラマの原作。
養護施設で育った麻紀は、自分の本当の家族を探すうちに、ある町から失踪したという事実に突き当たる。あるきっかけで、法律事務所の真崎と調査をはじめた麻紀は、失踪していた家族がかつて住んでいた街は、異常な雰囲気で外部からの侵入者を排除し、監視、妨害活動が行われていたのである。
物語は、現在と過去の事件が交差して進行していく。日本社会の多数への変な同調圧力、よそ者排除の心理を巧みについた問題作。あり得ない話だが、あり得そうな怖い日本社会を描いている。
Posted by ブクログ
伝染病のように知らないうちに感染してしまっている“同調圧力”。自分は鳩羽地区の住民のようには絶対ならないと言い切れない不安にさらされ、誰もがそうなりえるという恐ろしい可能性に気づいてしまう。
「正しさ」を盾にしたその空気の圧力に抵抗できる人はどれくらいいるのだろう。
もう現実に存在していてもおかしくないそんな町の暴走は狂気に限りなく近づいていく。
主人公の真崎にも弁護士の岩田にも木本夫人にも自分の弱さに負けた過去があり、時を経てその弱さと向き合う生き方が現実でも集団が生む狂気の歯止めになるのかもしれない。
Posted by ブクログ
面白かった。
人々の行動が、絶妙に「あり得る」と思えるラインであった。本気で街を嫌いになる。
このあとまた新しい事件は起きるかもしれないが、それはあずかり知らぬことである。コンパクトに勧善懲悪な気持ちよさが味わえた。
Posted by ブクログ
同調圧力。現実にあったら、かなり恐ろしい。でも本当にあり得そうな構成に感服しました。最後もう少しスッキリさせてくれると嬉しかったのですが、内容的には仕方ないのでしょうね。実写も気になります。