佐野広実のレビュー一覧
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ネタバレ地下鉄の私服警備員として働く明美。私服警備員として地下鉄に乗りながら困っている人やトラブル対処をして働いている。明美にはこの仕事を始めた理由がある。明美の恋人である要一が2年前に地下鉄で亡くなったのだ。防犯カメラを見ると、後ろ姿の犯人が映っていた。明美はその犯人を捕まえたいという思いを抱えながら地下鉄の私服警備員として働いている。本当にこのような私服警備員がいるのかはわからないけど、鉄道って本当にいろいろなお客さんがいるから、いろんな出来事があるんだろうなと思いながら読んだ。子どもを誘拐され身代金の引き渡しに駅にやってきた母親、駅にあるコンビニの万引き、乗客同士のトラブルなどなど…。いろいろな
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マンションの管理人で、元刑事の主人公の藤巻は認知障碍の宣告を受ける。先の不安を思いながら、大学生の娘の研修先である介護施設で保護されている認知症患者の身元調査の依頼を引き受けることに。妨害や脅迫と事件が動いて行く。その裏に隠された真実とは…。
江戸川乱歩賞受賞作ということで手に取った作品。
まずは読みやすかった。どんどん話に引き込まれていきました。
藤巻と警察との確執、家族との関係、認知症への恐れなど、いろいろと絡みあって進んでいきます。
記憶がポロポロとこぼれ落ちていってしまい、なにもわからなくなる直前、最後に残される記憶は、いったい何だろうか…人生を奪われた男性が記したノートの言葉が印象 -
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第66回江戸川乱歩賞受賞作
元刑事の藤巻は、事故でケガをした際軽度の認知障碍を宣言される。
離婚した妻はすでに亡くなり、大学の娘はいるが迷惑はかけられないと思っていた。
娘の実習先の施設に身元がわからない認知症の人がいるので調べて欲しいと頼まれ、事件に巻き込まれる。
緩やかに始まるが次第に引きつけられてゆく。
自分の記憶がどこまで…という不安もありながらも認知症の人が気になるのはなんとも言えない。
調査を続ける藤巻の姿に元刑事としての矜持も感じつつ、胸にせまるものも感じてしまう。
そして、父と娘の揺るがない信頼関係もことばにできないほど。
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佐野広実『戦火のオートクチュール』祥伝社文庫。
島村匠名義で刊行された『マドモアゼル』を加筆修正、改題、文庫化。
第66回江戸川乱歩賞受賞作の『わたしが消える』が非常に面白かったので、本作も読んでみることにした。
歴史ミステリーである。なかなか面白い。
雑誌のライター結城真理は、母親の大学時代の友人の松村弘子からあることを依頼される。長らく疎遠だった真理の母親の結城智子が持つ祖母の形見の血塗られたシャネルスーツの謎を解くために母親の智子と共にパリに飛んで欲しいというのだ。
真理と智子の動きを監視する外務省の外郭団体を名乗る大津真一という人物が二人の調査を妨害しようとする。
祖母の千 -
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第66回江戸川乱歩賞受賞作。
特別養護老人ホームの門の前に、置き去りにされた身元不明の認知症の老人。老人の身元を突き止めてほしいと娘から頼まれた元刑事藤巻は、自らも軽度の認知障碍を患っており、他人事とは思えずこれを最後の使命と引き受ける。
始まりは地味な老人の身元調べ。
だけど、老人が隠し持っていた数枚の身分証明書が発見されたあたりからぐいぐいと謎に引き込まれていく。
深まる謎、何者かによる脅し、証拠品の盗難、そしてとうとう死者まで。このあたりになると緊張感で息もつけないほど。
そして次第に明らかになっていく真相。黒幕の正体は?一気に社会派ミステリの様相を帯びていく展開に読むのをやめられ