星友啓のレビュー一覧
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表紙では動画の倍速視聴、生成AIツールなどイマドキな話題が大きく取り上げられているが、意外にも本書のはじめ1/3くらいは読書法について書かれている。
本書で取り上げられる読書法の特徴は、速読について掘り下げるなかで知識のインプット方法としての読書をいかに効率的にするかというようなことを解説している点である。
読む前に目的を明確にして、目次や見出しに目を通し、メタ認知を持ち、読み進めながらリトリーバルを行う…このような本書で紹介されている読書法は、考えてみれば私もこれまで多少は無意識に行っていたようなものではあるが、実際一個一個の手順をしっかり意識して実践してみると、物を読み、知識を得るという行動について自分の中の感覚がかなり変わったと感じられた。
動画での学習についても基本は読書の場合と同様で、ただ動画には目次や見出しがないことが多いので、そこをAIツールに補助してもらい、大まかな動画内容を把握しメタ認知を行ったうえで視聴すると良いとのこと。
上記読書法のほか、マーカーや書き込み、書き写しによる暗記のより良い手法など、とにかくすぐに実践できる手法満載で、これからの勉強の質を一気にアップできるかもというワクワクが得られる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
「やりたくない」を 「ご褒美」に変える
テンプテーション・バンドリング
高校生のケンタ君は、「数学のワークを毎日3ページ進める」という目標を立てました。しかし、机に向かうとどうしても大好きなアニメの続きが気になってしまい、結局スマホに手が伸びてしまいます。「自分には自制心がないんだ・・・・・・」 と彼は落ち込み、勉強がどんどん嫌いになっていきました。
こうした状況に陥ってしまったのは、ケンタ君の自制心に問題があったからではありません。私たちの脳は、即座に快感を得られる 「誘惑(アニメ)」を優先し、成果が出るまで時間がかかる「努力(勉強)」 を避けようとする性質があるからです。意志の力だけでこの本能に打ち勝つのは、至難の業なのです。
| 行動科学もお墨付き
ペンシルベニア大学の行動科学者ミルクマン教授の研究では、参加者に「ジムで運動している時だけ、お気に入りのオーディオブックを聴いていい」というルールを課したところ、運動の頻度が劇的に向上することが示されました。
「やりたいこと」を報酬としてぶら下げることで、脳内のドーパミンが放出され、本来は気が進まないはずの行動が「楽しみなイベント」へと書き換えられるのです。
グラフにするだけで成績が上がる
記録と可視化でモニタリング
「今週はすごく頑張った!」と思っていても、実際に時間を計ってみたら大して勉強していなかった・・・・・・ということはよくあります。人間の主観的な感覚はしばしばあてにならないものです。
自分の思い込みと事実のズレを修正し、正しい方向に導くために 「モニタリング」が必要です。
| なぜ記録すると痩せるのか?
食べたものを記録するだけで痩せるダイエットがあるように、勉強も記録するのが非常に効果的です。
これは、「記録する」と決めた瞬間、脳がその行動をより意識的に監視し始め、対象となる行動(食べる、学習する)が改善されるという、心理学版の「監視効果」です。
脳の「監視システム(Monitoring)」が働き、目標と現状のズレを検知すると、自動的に学習戦略が修正・最適化されます。
また、記録が積み重なると、スモールウィン(小さな成功の感覚)を感じることができ、ドーパミンの持続的な放出を助けてくれます。 さらにそれが習慣化までの66日の壁 (P.144) を越える燃料となります。
スマホという名のスロットマシン
デジタル・ウェルビーイング
勉強しようと机に向かったのに、ふとした瞬間に通知音が鳴り、 気づけば1時間もSNSを眺めていた・・・・・・。そんな経験は誰にでもあるでしょう。
アプリ開発者たちは脳の「報酬系(ドーパミン)」の仕組みを巧みに利用し、ユーザーが画面に釘付けになるような心理的な仕掛けを設計しています。
無限に続くスクロールや、不定期に届く「いいね」の通知は、脳を絶えず刺激し、「もう少しだけ」と思わせる欲求を生み出すのです。
この「注意の奪い合い」が起きている現代社会において、個人の意志の力だけで戦おうとするのは、もはや無謀。テクノロジーによる誘惑には、テクノロジーを賢く使い、対抗するしかないのです。
| うまい距離のとり方が必要
そこで重要となるのが、「意図的に遮断すること」と「環境を整えること」です。「デジタル・ウェルビーイング」とは、デジタル機器と健全な距離をとって、自分の意思でテクノロジーを使いこなせている状態を指します。
特に学習においては、スマホの通知を物理的にオフにして、集中できる環境作りが不可欠です。一方で、音楽を聴きながら、あるいはSNSを気にしながらの「マルチタスク(ながら勉強)」は、脳に過度な負荷をかけ、学習効率を低下させることが研究でも明らかになっています。
|脳への物理的影響
最新の研究が勧めるのは、精神力で誘惑に勝とうとするのではなく、アプリブロッカーなどのツールを使って、誘惑をあらかじめシステム的に「無効化」しておくことです。
「物理的に見られない状態」を先に作っておけば、脳のエネルギーは無駄な葛藤に使われることなく、すべて知識の吸収へと注がれるはずです。 -
Posted by ブクログ
第1章 子どもの脳と心について知っておくべきこと
まとめ
①「すぐに叱る」子育て法は子どもの理解にとって逆効果。感情が昂っているときにしつけを試みても、子どもの脳は、それをうまく呑み込むことができない。
②「コネクト&リダイレクト」とは、右脳のオーバーヒートを優しく落ち着かせてあげてから、未発達の左脳でも理解ができる落ち着いた状態で、やるべきこと、 やってはいけないことを説明する方法。
③子どもがカッとなったときに、一緒になって落ち着かせてあげることは、子どもが自分の感情をコントロールできるようになるためのトレーニングになる。
④「子どもの脳の9割は5歳までに完成する」は、認知能力の基礎が完成に近づくという意味。
⑤5歳を過ぎてからも脳は常に変化し続ける。
⑥長期に及ぶ恐怖や不安など、極度のストレスがかかると脳の自然な発達が滞る。
⑦身体的、精神的な虐待はもちろん、長期的な家族の不仲もストレスになる。育児放棄は、身体的な虐待と同じくらいの悪影響を与える。
⑧子どもの「サーブ」に大人が「リターン」することで、子どもの認知能力やコミュニケーション能力の自然な発達を促せる。
⑨子どものときに、しっかりとした信頼関係を持てる大人が一人でもいることで、 逆境に耐えられるメンタルの強さを身につけられる。
⑩脳のメカニズムの中心である社会性や感情の能力をサポートすることで、子どもの頭が良くなる。
⑪多様な体験を通してさまざまな能力を伸ばしてあげることが、脳を効率良く成長させるベストなサポートで、結果的に成績アップの近道になる。
⑫新しい習慣を身につけるには、一気に変えるより、ちょっとずつ習慣を変えていく方がいい。
⑬脳は間違えたときに最も効率的に学べるようにできている。子どもに「間違えたときこそ、脳が学ぶ最高のチャンスだ」とメッセージすることが大切。
⑭脳科学を子どもに教えると、「成長マインドセット」につながり、好奇心ややる気がアップする。さらに学力も向上する。
第2章 やる気がぐんぐん伸びる褒め方・叱り方
まとめ
⑮人間のやる気のベースは、「心の三大欲求」。人とのつながり(関係性)、自分が何かできるという感覚(有能感)、自分が決断したことを自分の意思にのっとってやっているという感覚(自律性)。
⑯子どものやる気を上げるには「心の三大欲求」を満たせる環境を考える。
・友達や他の大人たちとコラボしたり、触れ合ったりする機会があるか?
・達成感が得られるか。すぐにはできなかったとしても、できると感じられることか?
・命令でやらされていると感じないか? 細かく指導されて、自分から感を失っていないか?
⑰「内発的やる気」は、それをやること自体に動機づけられている状態。「外発的やる気」は、それをやったことによる結果に対するやる気。
⑱持つべきやる気は内発的やる気。外発的やる気は短期的に強いものの、長期的に依存していると、心にも体にも悪影響を及ぼす。
⑲子どもが何にやる気を見いだしているかをじっくり観察し、子どもの内発的やる気が出ているときは、外発的報酬をぐっと堪える。子どもが外発的報酬や罰によってやる気を出しているときは、徐々に外発的報酬や罰を取り除くプランを立てる。
⑳真実味のある褒め方をする:大げさだったり、抽象的な褒め方は避ける。「世界 「!」「日本一!」「なんでもできる!」はダメ。
㉑努力を適度に褒める:結果だけを褒め過ぎると、子どもはできそうなものばかりやるように。子どもの努力や頑張りのプロセスの方を褒めよう。
㉒褒めて釣るのは厳禁:褒めることでやる気をつり上げようと意図するのは厳禁。 子どもも気づくし、外発的やる気につながるので、要注意。
㉓比較によるやる気はダメ:周りとの比較で褒めるのは、結果や才能を褒めるのよりもたちが悪い。
㉔ステレオタイプを意識してしまうと、パフォーマンスが下がる。同様に、子どもにレッテルを貼ると、子どものパフォーマンスに悪影響が出かねない。
㉕子どもが間違えたときの声かけのポイント
・間違いは最高の学習の機会であることを伝える。
・チャレンジしたこと自体を褒める。
・ネガティブな主観を表さず、間違いを客観的に説明する。
・問題が子どもの学習進度に合っているかどうか考える。
・やり直しの場合は、やり方の方向性をアドバイスする。
第3章 伸びる子どもに育てるために親ができること
まとめ
㉖「しつけ派」の子育てをやり過ぎることで、子どもの心や体、社会的リスクにつながってしまう。
㉗「コントロール型のダメ子育て」の3大パターン
・パターン1 罰で脅す
・パターン2 過度な期待でプレッシャーをかける
・パターン3 罪悪感を植え付ける
㉘「のびのび派」の「自律サポート型」子育ては、子どもの心の安定と健全な社会性を育むだけでなく、成績や学校でのパフォーマンスまでアップさせる。
㉙自律サポートの基本要素は、共感、説明、自己決定の3つ。
・基本要素1 共感から始める:子どもが嫌がっているとき、まずは、子どもがやりたくない気持ちに理解を示してあげる。
・基本要素2 なぜやるべきかを説明する:やるべきことを押し付けず、子どもが理解できるようになぜやるべきかを説明してあげる。
・基本要素3 自分で決めてもらう:やり方にいくつかの選択肢を用意して、子どもが自分で決定できるようにする。
㉚甘やかし型」のダメ子育ての3つの要素、「同感」「身代わり」「回避措置」に陥ってしまわないよう、子どもに「同感」してしまうことを避ける。
㉛「過小評価」「批判」「拒否」は「突き放し型」のダメ子育て。子どもの感情を受け入れた上で、理性的にやるべきことを説明する、「自律サポート型」子育ての基本を意識する。
㉜子どもたちが、ついついゲームに夢中になってしまうのは、ゲームが子どもたちの心の根本的欲求を満たしてしまうから。
㉝「ダメなことペース」な声かけではなく、「バランスペース」の声かけに変えていく必要がある。
㉞子どもがやるべきこと、できそうなことを提案したり、子どもと一緒に何をするとバランスのいい生活になるのかを考えていくことが大切。
㉟テクノロジーとうまく付き合っていけるための3つのコツ
・TIPS1 使わないときは遠くに隔離する
・TIPS2 テクノロジーブレイクを使う
・TIPS3 親がロールモデルになる
㊱テクノロジー時間の効果的な減らし方
・TIPS1 2週間で15分ずつ減らす
・TIPS2 心の三大欲求を満たす代替物を用意する
・TIPS3 子どもに考えさせる
第4章 メンタルも知能もぶっとく育てる科学メソッド
まとめ
㊲子どものメンタルがアップすると、子どもの知能もアップする。
㊳子どもの成功体験を強調するために、外発的報酬を与えてはいけない。
㊴外発的報酬に基づく自己肯定感は短期的には強いが、長期的には悪影響。
㊵ネガティブな気持ちを無理に抑え込んだり、無理に忘れようとするのは逆効果。
㊶求めるべき自己肯定感は、「現実の自分をありがたく思う気持ち」。なぜなら、「自己受容」「自己価値」ともに、いいことずくめだから。
㊷「求めるべき自己肯定感」を高めても、子どもはナルシシストにならない。
㊸「ディスタンシング」で、自分の心に適度な「距離」を置くことで、くよくよと悩むネガティブな気持ちのスパイラルから抜け出せる。
㊹PERT呼吸法は一日1回、寝る前に子どもと一緒にやる。
㊺「マインドフルネス」の核とは、自分の意識を今感じていることや考えていることに向け、そうした感覚や考えを、そのまま無条件に受け入れること。
㊻マインドフルネスは、心に良い影響を与えるだけでなく、頭も良くなる。
㊼「TGT」とは「Three Good Things」の略で、寝る前に、子どもと「今日あった3つのいいことなんだった?」と話す時間を数分作ること。
㊽利他的なマインドで優しく接すると、周りが自分をどう見ているかという不安な気持ちがなくなり、自己肯定感が上がる。
㊾「親切リフレクション」で「親切の日」に子どもと一緒に5つのいいことをする。
㊿利他的なマインドで人に親切な行動をとると、自己肯定感と幸福感が一気に上昇するのは、人間の持つ根本的な欲求を満たすことができるから。
第5章 子育てがつらい科学的理由と対処法
まとめ
51親の育児ストレスは、全世界的に見ても非常に高くなってきている。
52現代社会では、親に対する子育てのプレッシャーが高まっている一方、人類のDNAはワンオペ子育てをするようにできていない。
53子どもの多様性と、ネガティビティー・バイアス、そして子どもの脳の発達速度など、子育てのイライラは心や脳のメカニズムから自然に湧いてくる。
54大切なのは育児ストレスについて知ること、仲間を見つけること、自分の気持ちと向き合うためのストレスマネジメントのスキルを身につけること。
55子どもの「悪い」「ダメ」「できない」は子どもの成長で当たり前のこと。子ども自身が劣っている、性格が悪いなどと結論づけない。自分も悪くない。
56いったん自分の「するべき」という思い込みを振り返り、柔軟に子どものニーズに対応しようという心構えを持つことが大切。
57習慣を変えてから、2カ月くらいは辛抱が必要。 -
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第1章 できる人こそゲームを楽しんでいる
ここでのキーワードは「シリアス・ゲーム」(serious game)。
ゲームといえば、もともとエンターテインメントが主たる目的なわけですが、ゲームのいい側面に注目して、エンターテインメント以外、つまり、教育やビジネスを目的として作られたゲームのことを「シリアス・ゲーム」といいます。
もともとエンタメだったものを、エンタメでない「真剣」(シリアス)な目的のために作ったゲームということです。
第1章まとめ
・ゲームをすることで、短期記憶の役割を果たす海馬の灰白質が増大したり、ワーキングメモリーを支える前頭葉(背外側前頭前野)が拡大、活性化するなど、脳自体が変化します。
・ゲームをすることで手先などの筋肉を動かす小脳も拡大し、活性化します。
・「ゲームの悪影響」を実証する研究は、主に「ゲーム依存症」と言っていいほどゲームをやりすぎてしまった場合に限定されています。
・今、急速に広がっているシリアス・ゲームは、ゲーム自体で授業や仕事の目的を達成しようとするもの。授業や仕事にゲームのエッセンスを取り入れるゲーミフィケーションとは異なります。
第2章 もはや科学の常識! ゲームで頭が良くなる
第2章まとめ
・シューティングゲームやアクションゲームは、空間認識能力と注意力を高めてくれます。
・ゲームをやることで、ワーキングメモリーや短期記憶の能力も上がります。
・空間認識能力やワーキングメモリー、短期記憶を良くすることは、理系の力を伸ばすことに直結します。
・ゲームプレーヤーは、マルチタスク時のタスク切り替えコストが格段に短いという研究結果があります。
・歳をとってからゲームをプレーしても、空間認識能力のアップや、ワーキングメモリー、短期記憶の向上、マルチタスク能力の向上が期待できます。
・RPG、パズルゲームや「三國志」などのストラテジーゲームで、問題解決能力がアップします。
・ ゲームをプレーすると、「固定マインドセット」から抜け出すことができ、より私たちが持つべきである「成長マインドセット」を身につけることができます。
・マインクラフトなどのサンドボックスゲームやパズルゲームで、クリエイティビティを高めることができます。
第3章 ゲームが犯罪者を生む?都市伝説を科学が論破
第3章まとめ
・ゲームが暴力の原因になるという仮説に対する、信頼性の高いエビデンスはありません。少なくとも、「ゲームが暴力の原因だ!」、あるいは「ゲームと暴力は全く関係ない!」といえるほど、ゲームと暴力の関係は単純ではありません。
・ゲームは、やりすぎてしまうと成績に悪影響が出てしまうものの、適度にやる分には影響はありません。むしろ、成績アップにつながる可能性も報告されています。
・うつや不安などのメンタル要因や、家庭内暴力などの環境要因を取り除くと、 ゲームと集中力の相関に有意な差は認められません。
第4章 ゲームにハマりすぎる人の特徴って?
第4章まとめ
・20分ほどバズルゲームをやるだけで、気分がポジティブになったり、リラックスした状態になることが確認されています。
・ゲームには、自分のメンタルだけでなく、周りとの関係性も改善する効果があります。
・ゲームの中でのつながりは、リアルでの人間関係や社交性にもいい影響をもたらします。
・ゲームを適度にやっている人(A)、やりすぎている人(B)、全くやらない人 (C)に分けた場合、メンタルやパフォーマンス、人間関係について調査すると、Aが最も良好、次いでB、Cとなりました。
・私たちが強くゲームに惹きつけられる理由は、ゲームが心の根本的な欲求である「つながり」「できる感」「自分から感」を満たしてくれるから。
・ゲーム依存症になりやすい人の特徴は、孤独を感じていること、自己肯定感が低いこと、成績が低いこと。
第5章 こうやって付き合うべき!科学的ゲームの攻略法
0歳~5歳は要注意
目安としての「1日2時間まで」ですが、さらに例外があります。それは小さな子どものゲーム時間に関するものです。
「我々の子どもが家でテクノロジーを使う時間は制限しています」
Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズが、2010年の New York Times のインタビューの中で、そう答えたのはなかなか有名な話です。
そしてやはり、これまでの研究でも、ゲームを含めたデジタル機器の影響に関して、特に0~5歳の子どもたちの場合は注意しなくてはいけないということが明らかにされてきました。
たとえば、アメリカの小児科学会のガイドラインによれば、2歳未満の子どもたちには、タブレットやゲームなどのスクリーンの使用は極力限定すべきで、使用する場合でも、テレビ電話や大人が一緒に見るなどに限るべきとしています。
また、2~5歳でも1日あたりのスクリーンの使用は1時間以下に抑えて、なるべくインタラクティブなゲームなどを選んで、大人と一緒に見たりやったりするようにと推奨されています。
こうしたガイドラインは、最近になって普及し始めましたが、子ども向けのスクリーン時間のガイドラインが登場するよりもだいぶ前に、「子どもの早期教育にいい!」という触れ込みで、有名なキャラクターの幼児向けテレビ教材が売り出されていたことがありました。
ところが、このテレビ教材を子どもに見せ続けることによって、子どもの認知能力は上がるどころか、大幅に下がってしまったのでした。
それもそのはずで、子どもたちには平面の画像を立体空間に解釈する能力が備わっておらず、平面のTV画面を見ても、大人に想定できるようなレベルで子どもの学びを促すことができないからです。
たとえば、大人であれば、テレビの画面に出てきた影の色のついた丸い図形を見て、「これは球体を表している」とわかります。それはこれまでの学習で、2次元の図形を3次元の立体に解釈するスキルを身につけてきたからです。
ところが小さな子どもは、まだその認知スキルを身につけていません。そうした認知スキルはまさに、おもちゃで遊んだりして、五感で3次元の世界を体験することで身についていくものです。
だから、テレビやゲームばかりで子どもをスクリーン漬けにしてしまうと、必要な認知スキルを身につける体験を十分に与えることができなくなってしまうのです。
言葉の習得についても、学ぶべき言葉がスクリーンやスピーカーから、ただ聞こえていればいいわけではありません。テレビやタブレットから流れる音声よりも、親や子どもをサポートしている人が目を見ながら話しかけたほうが、子どもの記憶に残りやすく、言語スキルの習得に効果が高いこともわかってきています。
そうしたエビデンスをもとに、やむを得ず小さな子どもにスクリーンを見せるときは、大人と一緒にインタラクティブな形をとるべきだと先ほどのガイドラインなどで推奨されています。
小さな子どもの場合にはスクリーンは極力避けて、小学校に入るくらいまでは大人と一緒にやるようにするなど、制限をかけるようにしましょう。
だから、「ゲーム禁止」の声かけだけではなく、「生活バランス」の声かけに変えていく必要があるのです。
たとえば、
「ゲームばっかりやっていると運動できないから、外に遊びに行こう」
「ゲームもいいけど、やりすぎるとバランスが悪いから、違うことをやろう。何をやろうかな?」
など、子どもがやるべきことや、できそうなことを提案したり、何をするとバランスのいい生活になるのかを子どもと一緒に考えていくことが大切です。
ゲームの代わりの見つけ方
それではゲームの代わりにどんなことをしたらいいのか?
「ゲーム禁止」がダメな理由の2つ目は、この問いに深く関係しています。
「ゲーム禁止」のアプローチがダメな2つ目の理由は、ズバリ、ゲームが私たちの心の3大欲求を満たしてくれるからです。
前述したように、ゲームは「つながり」「できる感」「自分から感」をたっぷりと満たしてくれます。
それだけに、私たちの心の3大欲求は、ゲームに向いてしまっており、シンプルに 「ゲームはダメ」と言ったり、自分自身で潔くやめようとしても、それだけではなかなかゲームから目を逸らすのは難しいのです。 そ
さらに、ゲームを無理やりなくしてしまえば、それまでゲームをやることで満たされていた心の3大欲求を満たすことができなくなってしまいかねず、心にぽっかり穴が空いてしまうかもしれません。
日常の中で満たすことができない心の3大欲求を、唯一ゲームが満たしてくれている状態だとしたら、そのゲームを突然やめてしまったり、取り上げてしまえば、心のリスクにさらされてしまう危険性だってあるのです。
それでは、どうしたら良いのか? ゲーム時間を減らそうとするときに、考えるべき重要なことは、ゲームの代わりに、心の3大欲求を満たしてくれるような活動を、 新たに自分の生活のリズムに足していくこと。
「つながり」「できる感」「自分から感」をなるべく多く、深く満たせるような活動とゲームの時間を入れ替えていくのが大切です。
どんな活動がいいかは十人十色ですが、いくつか代表的な例を挙げておきましょう。
第5章まとめ
・ゲームプレーは1日平均1時間~2時間くらいまでがベスト。
・ゲーム時間をいきなり大幅に減らそうとしたり、禁止したりするのは逆効果。
・ゲームの代わりに何をやるかについて、考えたり話し合ったりしなければなりません。
・ゲームの時間を減らそうとするときは、ゲームの代わりに心の3大欲求を満たしてくれるような活動を、新たに自分の生活のリズムに足していくことが大事。
・ゲーム時間を科学的に減らすポイント: ①2週間で15分ずつ減らす ②心の3 大欲求を満たす代替物を加える ③トリガーを考える ④スケジュールに組み込む。
・リアルの友達と「コラボ型」のゲームをやることで、暴力的な感情が抑えられ、周りと共感したり、信頼し合ったり、初めて会った人とでもポジティブなやり取りができるようになったりします。
・対戦ゲームによる「フロー体験」で、ストレスが解消できます。
第6章 「ゲームは遊び」は古すぎる! シリアス・ゲームが世界を変える
自己決定理論によれば、私たちのやる気、モチベーションには大きく分けて2種類があります。「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」の区別です。
まず、「内発的モチベーション」を持っているとは、何かをやること、それ自体に動機づけられている状態のことです。
たとえば、ギフトの中に入っている「ブチブチ」(緩衝材)。一つひとつのブチブチを潰したい。そのことで、何かもらえたり、やらないと何か悪いことが起きるわけでもない。でも、ブチブチを潰すとなんだかそれ自体で満足してしまう。それを求めてプチプチを潰すことに動機づけられている。
そうであれば、ブチブチ潰しは、内発的なモチベーションになっているわけです。
それに対して、「外発的モチベーション」は、何かをやること自体に動機づけられているのではなく、それをやることによって得られるお金や地位、その他の報酬や、それをやることによって避けられる罰則などによる動機づけのことです。
たとえば、部屋の掃除は絶対やりたくないけれども、やらないと叱られるからやる。これは、掃除をやらないことによって発生する「叱られる」という罰が怖くてやっているので、外発的モチベーションに動機づけられているということになります。
つまり、内発的モチベーションは報酬や罰がなくても「やりたいからやる」。外発的モチベーションは「ご褒美目当て」や「罰逃れ」の動機づけのイメージです。
そして、内発的モチベーションと外発的モチベーションの2種類のやる気には、超重要な事実が2つあります。
まず第1の事実は、外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまうということです。
以下のような場面を想像してみてください。
9歳で4年生のけんとくん。この前買ってもらったノートパソコンで、タイピングの練習ゲームをして遊んでいます。タイピングは始めたばかりで、楽しくて楽しくて、それだけをいくらでもやってしまう。
この場合、タイピング・ゲームをやること自体に動機づけられているので、けんとくんは内発的に動機づけられているといえます。
さて、ここで少し変化球を加えていきます。
「次のタイピング・ステージをクリアできたら、100円あげるよ」
つまり、けんとくんが内発的なやる気を持っているところに、あえて「お小遣い」という外発的報酬を与えるのです。
すると、けんとくんは、お小遣いがもらえないとタイピング・ゲームをやらなくなってしまう。
これは、けんとくんがもともと持っていたタイピング・ゲームへの内発的なやる気が、お小遣いの報酬による動機づけに乗っ取られてしまったことを意味しています。
一度そうなると、こんどは外発的モチベーションのお小遣いをもらわないと、 ピングをやる気にならなくなってしまうのです。
これが、外発的モチベーションが、内発的モチベーションを根絶やしにしてしまう仕組みです。
この現象は20世紀末に発見され、自己決定理論という心理学理論のブームのきっかけとなりました。
厄介なやる気と持つべきやる気
なるほど、外発的な報酬が内発的なやる気を打ち消してしまう。それはわかったが、それでは何か都合が悪いのか?
かえって、外発的な報酬を得ることで、やる気が上がったり、ポジティブな気分になり、自分を肯定する気持ちが高まるのではないか?
ボーナスや役職が上がるとわかっていれば、仕事のやる気も上がるもの。目指している大学への入学という目標があるからこそ、きつい勉強も頑張れる。
仕事でも勉強でも、結果に追われながら世知辛い毎日を過ごす私たちにとっては、 外発的報酬にさらされながら、モチベーションが上下するのは避けがたい現実!
そう、こうした指摘は実に的を射ています。しかし、だからこそ要注意なのです。
なぜならば、外発的な報酬に基づく自己肯定感は短期的に強いものの、長期的に依存していると、心にも体にも、悪影響を及ぼします。これが157ページで述べた、 もう1つの超重要な事実です。
たとえば、お金による経済的な動機づけを求め続ける人は、総合的な自己肯定感が低くネガティブ思考に陥りがちで、うつや不安を抱えやすい。
ステータスや見た目の良さなどを求める場合も同様。精神面以外にも頭痛や肩こりなどの身体的健康にも影響が出たり、友人、恋愛、家族など、人間関係にも問題がでてくることが報告されています。
ことに高校生や大学生では、外発的報酬を求め続けることで、タバコや酒、ドラッグなどに依存してしまうリスクが高まるので要注意です。
つまり、外発的な報酬で気分が良くなり、一時的にやる気が上がったように見えても、それでよしとしてはいけないわけです。
ですから、私たちが持つべきやる気は、外発的な報酬からではなく、内発的なやる気なのです。
ゲームが世界を変える理由
しかし、これは非常に厄介です。内発的なやる気を維持したくても、この世の中は外発的な動機づけに溢れています。
ステータス、給与、学歴、知名度。学びや仕事での実際のやりがいや達成感のその先にある、報酬や数値目標による動機づけがこの世の中には溢れかえっています。そうした仕組みなしには社会が回ってはいきません。
それでは、その現実を受け止めた上で、私たちが内発的なやる気を維持するためにはどうしたら良いのか? その鍵となるのが前述の心の3大欲求です。
「つながり」(関係性)、「できる感」(有能感)、「自分から感」(自律性)を感じている状態だと、私たちは心の健全を保つことができる。また、そうやって心が満たされるような事柄に対して私たちは内発的に動機づけられるのです(第4章「DNAがゲームを求めている」55ページ)。
つまり、「つながり」「できる感」「自分から感」を満たせるような活動をすることが私たちの内発的やる気を維持することにつながり、継続的なモチベーションにつながるのです。
ここにきて重要なのがゲームです。何度も書いてきたように、ゲームは心の3大欲求を満たすのに非常に優れています。つまり、内発的やる気を掻き立てて、サポートしてくれるのです。
ゲームで目的を達成したり、難しいステージをクリアすることで「できる感」が掻き立てられ、自分から進んでやるので「自分から感」も得られ、さらに、コラボ型やネットゲームでは他の人たちとの「つながり」も感じることができます。
ゲームのそうした内発的なモチベーションをサポートする効用こそが、外発的モチベーションに偏った現代社会に必要とされているのです。
現代の経済、社会システムは、より明確化された数値目標を立てて、それに見合った報酬を与えることで、急速な成長を遂げてきました。
私たち人間の社会的営みに、数値化や報酬を与えることで外発的な動機づけを付与するプロセス。その意味で、現代社会の発展はモチベーションの外発化の歴史でもあったわけです。
しかし、そうした外発化の傾きは、私たちの心を疲弊させてしまいます。まさに前述のような外発的モチベーションの厄介な性質が顕わになってしまったのです。
実際、老若男女にわたり、メンタルヘルスは全ての先進国で深刻なグローバル問題になってきています。
モチベーションの外発化の行きすぎた社会で、私たちの内発性に立ち返って、社会のシステムを改善していくことはできないか?
テスト、偏差値、学歴で外発化された教育プロセスに、楽しくて子どもたちがやりたくなるような学習の仕方を導入できないか?
数値目標に追われて心をすり減らす仕事場ではなくて、従業員みんなが内発的なや気を燃やせる職場を作りたい!
心の3大欲求を満たすことで、すり減った心を医療的にサポートする新しい方法は?
教育、ビジネス、医療など、さまざまな分野で、内発的なモチベーションを取り戻す。私たちが持つべきやる気を取り戻すための社会変革への叫びが、急速に広がりつつあるゲームの応用の背景にあるのだと私は考えます。
それだけに、ゲームの良さとリスクをしっかりと理解して、ゲームとうまく付き合っていくことが、これから私たちが持つべき生き抜く力となるのです。
第6章まとめ
・現在私は、マインクラフトのメタバース空間を用いて、教育と医療を融合させるプロジェクトをすすめています。
・ゲームやソフトウェアをベースにした治療法を「デジタルセラピューティクス」(DTX)と呼びます。2025年1月の時点で、20のDT×がFDAに認可されています。
・今後、Deep Well の技術を用いて、面白さも医療効果も両方兼ね備えたゲームの治療薬が急速に広がっていくことが期待されます。
・シリアス・ゲームで学習すると、通常の授業や講義よりも、学習効果が高く、 記憶の定着にも効果を発揮することがわかっています。
・消費者がゲームをプレーすることで、商品のブランドイメージを高めたり、販促効果が生まれることを狙う「アドバーゲーム」が広がりを見せています。
・モチベーションには、行動自体に動機づけられている「内発的モチベーション」と、行動を行うことで得られる報酬などに動機づけられている「外発的モチベーション」があります。外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまいます。
・外発的モチベーションは短期的には強いが長続きせず、無理して長期間さらされていると、心や体のリスクがアップします。
・ゲームの内発的なモチベーションをサポートする効用こそが、外発的モチベーションに偏った現代社会に必要とされています。 -
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ネタバレスマホのデメリットばかり最近は強調され
スマホのいい面はほとんど言われないのは残念やと思いました。
これをスマホのメリットもいっぱい教えてくれます。
スマホも包丁と一緒で使いようなんです。
例えばSNSも人とのつながりを増やし幸福感を感じることができますよね。
祖父母や家族とのLINEでコミュニケーションしたり
友達と話したり。
勉強の時には集中力がとぎれるので
遠くの部屋においておくとか
寝る時にはブルーライトで寝れなくなるので
寝室には絶対に持ち込まないとか
いろいろ対策は必要です。
でも、今の時代はやっぱりスマホをほとんど持っていて
なるべく使いこなせていたほうがいい。
仕事の上でも役立つことが多い。PCと一緒で。
就職のときにも役立つのではないでしょうか?
スマホ使えない人よりも
スマホ使えてPCも使える人を採用したいじゃないですか。
だからスマホを恐れすぎず
良い面をみて使い慣れる事が大事やと思いました。
そしてユーチューブで受け身で見るよりも
アウトプットしたり
ゲームアプリで能動的にやることが大事だと。
いっぱいこの本から学べますよ。
ぜひ子どもたちにはスマホ使いすぎではなく、うまく活用できる子になるよう育てたいと思ったら
この本を親が読んでみてくださいね(*^^*) -
Posted by ブクログ
ほんますごい意外やったのだ。
なぜならスタンフォード大学はアメリカだから
アメリカで教えてる生き抜く力って
他者を蹴落とし
勝ち残るサバイバル力みたいなものを想像してたんです。
でもここで教えられるのは
利他力なんです。
人のことを思いやる力。
人を応援したり
親切にしたり
自己犠牲的ではなく人に貢献することが
幸福感を余計に感じるように人間はできているんだって
実験などで証明もされているんですね。
おそらく利他力が多い人はめちゃめちゃ気持ちいい状態になるのでしょう。
だからまたやりたくなるんだなと。
寄付もそうだし。
ボランティア活動も。
お金儲けをしてお金持ちになってFIREしても燃え尽き症候群が多いのは
他者に尽くすことが少ないからなのかもしれない。
うちの親も昔からすごく親切が多かった。
わたしもほんま見習わなあかんことですが、
この本を読むとこういう理由だったのか?ってすごく納得しました。
これをうちの子供達にも教えたいなって思いました。
生き抜く力は=利他力なんだなと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を読むきっかけは、知人からのおすすめでした。私は昔から忘れっぽくて、本を読んでも「読んだ瞬間はいいけれど、すぐに内容を忘れてしまう」という悩みをずっと抱えていました。だからこそ、この本のタイトルを見て「まさに自分のための本だ!」と思い、手に取りました。
読んでみてまず驚いたのは、「読む=インプット」にはさまざまな方法があり、速く読むことが必ずしも良いわけではないということ。私は以前、速読の本を読んで「とにかく目を速く動かす練習」をしていましたが、実はそれが間違いだったんだと気づきました。音読してもいい、ゆっくり読んでもいい、そして何度も戻って読むことこそが大切――この考え方がとても新鮮で印象に残りました。
特に、「目を閉じて思い出す(リトリーバル)」という方法は実際にやってみて効果を感じました。内容を思い出そうとすることで、記憶が定着しやすくなるという実感があり、「自分だけが物覚えが悪いわけじゃなかったんだ」と安心できました。
また、仕事でモチベーションが下がることがある中で、本書で紹介されていた「自己効力感」「自発性」「つながり」「目的意識」というキーワードも印象に残りました。自分で目的を持って行動することが、学びの定着にもつながるという考え方に強く共感しました。
読後は、学びを「ただ読む」だけで終わらせず、「思い出す」「目的をもって読む」ことを意識していきたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
別の本でスタンフォード大学にオンラインハイスクールがあると知り、またその校長が日本人とのことで読みました。
内容は、オンライン授業の活用事例や最近の教育トレンドなどが書かれていました。
教育関連の本をよく読む方なので1時間半ほどで読み終わりました。
とても、要点がまとめられていて読みやすいです。
この内容から日本の高校に行くのってどうなんだろうと考えさせられました。
特に公立高校を選択するとステレオタイプな授業ばかりになってしまうなと感じました。
進路を決めるのは、子どもですが選択肢を多く提供することは親のしてあげることができるサポートだと思います。
このサポートをしすぎても自分で考える子にならないしすごく難しいとこではありますが…
子育てに答えはないので、いっぱい会話して悔いのない進路を決めてくれたらいいなと思います。 -
Posted by ブクログ
■第1章まとめ
・ゲームをすることで、短期記憶の役割を果たす海馬の灰白質が増大したり、ワーキングメモリーを支える前頭葉が拡大、活性化するなど脳自体が変化する。
・ゲームをすることで手先などの筋肉を動かす小脳も拡大し、活性化する。
・「ゲームの悪影響」を実証する研究は、主に「ゲーム依存症」と言っていいほどゲームをやり過ぎてしまった場合に限定される。
・今、急速に広がっているシリアス・ゲームはゲーム自体で授業や仕事の目的を達成しようとするもの。授業や仕事にゲームエッセンスを取り入れるゲーミフィケーション異なる。
■第2章まとめ
・シューティングゲームやアクションゲームは空間認識能力と注意力を高める。
・ゲームをやることでワーキングメモリーや短期記憶の能力も上がる。
・空間認識能力やワーキングメモリー、短期記憶を良くすることは、理系の力を伸ばすことに直結する。
・ゲームプレーヤーは、マルチタスクの時のタスク切り替えコストが格段に短いという研究結果がある。
・歳を取ってからゲームをプレーしても空間認識能力のアップやワーキングメモリー、短期記憶の向上、マルチタスク能力の向上が期待できる。
・RPG、パズルゲームや「三國志」などのストラテジーゲームで問題解決能力がアップする。
・ゲームをプレーすると「固定マインドセット」から抜け出すことができ、より私たちが持つべきである「成長マインドセット」を身につけることができる。
・マインクラフトなどのサンドボックスゲームやパズルゲームでクリエイティビティを高めることができる。
■第3章のまとめ
・ゲームが暴力の原因になるという仮説に対する信頼性の高いエビデンスはない。少なくとも「ゲームが暴力の原因だ」或いは「ゲームと暴力は全く関係ない」と言えるほど、ゲームと暴力の関係は単純ではない。
・ゲームはやりすぎてしまうと成績に悪影響が出てしまうものの、適度にやる分には影響はない。むしろ成績アップに繋がる可能性も報告されている。
・うつや不安などのメンタル要因や、家庭内暴力などの環境要因を取り除くとゲームと集中力の相関に有意な差は認められない。
■ゲームはやらないよりやった方がいい。場合によってはやり過ぎの方がやらないよりまし。イギリスの10〜15歳の子供たち5000人を対象に充実感や社交性、感情の働き、多動性や集中力などの調査が行われた。ゲームを全くやらないグループ1日1時間以下だけやるグループ。1〜3時間やるグループ。3時間以上やるグループ。これら4つのグループに子供たちを分類して結果を分析したところ、1番良い結果が得られたのは「1時間以下」のグループ、2番目が「全くやらない」と「1〜3時間」のグループ、3番目が「3時間以上」のグループだった。
■「自己決定理論」
人間のモチベーションのベースは、
・人とのつながり(関係性)
・自分が何かできるという感覚(有能感)
・自分が決断したことを自分の意志に則ってやるという感覚(自律性)
である。これら「心の3大欲求」が満たされると私達の心は健全な状態を保つことができる。また、そうやって心が満たされるような事柄に対して私たちは動機づけられている。この「心の3大欲求」はシンプルに「つながり」(関係性)、「できる感」(有能感)「自分から感」(自律性)とイメージすればよい。
■ゲーム依存症の原因はやり過ぎではない
・これまでの研究で明らかになってきたゲーム依存症になりやすい人の特徴の一つは、周りとの関わりが少なく、孤独を感じていること。つまり、ゲームのやり過ぎで周りとの関係性がなくなったり、孤独を感じてしまうのではなく、それとは逆に、周りとの関係がなかったり、孤独を感じていたりすることでゲームに依存しやすくなってしまうもの。
・学校の成績の低さや自己肯定感の低さもゲーム障害の原因になることがわかっている。
・自分の意志に基づいて「自分から感」を感じて、自律的に行動することが少なく常にコントロールをされながら生きていかなくてはいけない状態が続いているならば、これもゲーム障害につながりかねない。
■第4章のまとめ
・20分ほどパズルゲームをやるだけで気分がポジティブになったり、リラックスした状態になることが確認されている。
・ゲームには自分のメンタルだけでなく、周りとの関係性も改善する効果がある。
・ゲームの中でのつながりはリアルでの人間関係や社交性にもいい影響をもたらす。
・ゲームを適度にやっている人(A)、やりすぎている人(B)、全くやらない人(C)、に分けた場合、メンタルやパフォーマンス、人間間系について調査すると、Aが最も良好、ついでB、Cとなった。
・私たちが強くゲームに惹きつけられる理由は、ゲームが心の根本的な欲求である
つながり」「できる感」「自分から感」を満たしてくれるから。
・ゲーム依存症になりやすい人の特徴は、孤独を感じていること、自己肯定感が低いこと、成績が低いこと。
■他のことを忘れてしまうくらいゲームに没入する。そうした体験を心理学では「フロー」という。ゲームに限らずスポーツなどでも、今やっていることに鋭く集中してノリノリの「ゾーン」状態に入ることがあると言われている。時間がすごく遅く感じた入何をやっても思うようにことが運んだり、とても満足して目の前のことに取り組んでいられる状態のこと。
フロー体験はリラックスや満足感を与えてくれるだけでなく、自己肯定感が上がるなど、心にとってポジティブな結果につながる。ゲームはフロー体験を生み出すのに非常に適していることが知られている。
■第5章まとめ
・ゲームプレーは1日平均1時間〜2時間くらいまでがベスト。
・ゲーム時間をいきなり大幅に減らそうとしたり、禁止したりするのは逆効果。ゲームの代わりに何をやるかについて、考えたり話し合ったりしなければならない。
・ゲームの時間を減らそうとするときは、ゲームの代わりに心の3大欲求を満たしてくれるような活動を新たに自分の生活リズムに足していくことが大事。
・ゲーム時間を科学的に減らすポイント
①2週間で15分ずつ減らす
②心の3大欲求を満たす代替物を加える
③トリガーを考える
④スケジュールに組み込む
・リアルの友達と「コラボ型」のゲームをやることで、暴力的な感情が抑えられ、周りと共感したり、信頼し合ったり、初めた会った人とでもポジティブなやり取りができるようになったりする。
・対戦ゲームによる「フロー体験」でストレスが解消できる。
■自己決定理論によれば、私たちのやる気、モチベーションには大きく分けて「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」の2種類ある。
「内発的モチベーション」を持っているとは、何かをやること、それ自体に動機づけられている状態のこと。
「外発的モチベーション」は何かをやること自体に動機づけられているのではなく、それをやることによって得られるお金や地位、その他の報酬やそれをやることによって避けられる罰則などによる動機づけのこと。
外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまう。
■第6章のまとめ
・ゲームやソフトウエアをベースにした治療法を「デジタルセラピューティクス」(DTX)という。2025年1月時点で20のDTXがFDAに認可されている。
・シリアス・ゲームで学習すると、通常の授業や講義よりも学習効果が高く、記憶の定着にも効果を発揮することが分かっている。
・消費者がゲームをプレーすることで、商品のブランドイメージを高めたり、販促効果が生まれることを狙う「アドバーゲーム」が広がりを見せている。
・モチベーションには行動自体に動機づけられている「内発的モチベーション」と行動することで得られる報酬などに動機づけられている「外発的モチベーション」がある。外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまう。
・外発的モチベーションは短期的には強いが長続きせず、無理して長期間晒されていると、心や体のリスクがアップする。
・ゲームの内発的なモチベーションをサポートする効用こそが、外発的モチベーションに偏った現代社会に必要とされている。