星友啓のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
スタンフォード大学オンラインハイスクールの日本人校長による初の著書。スタンフォードのあるシリコンバレーで筆者が体験した、世界最先端科学に基づく「生き抜く力」を7つの講義形式にして紹介しています。
「生き抜く力」の具体的な三要素は「聞き取る力」「共感する力」「与える力」。意外にもスーパーリーダーに共通しているのは、こうした人を思いやる利他的マインドに基づく共感力に満ちた謙虚さであるそうです。競争社会とはいえ、人生はコラボに満ちています。人生を様々な人々とコラボしながら生き抜いていくためのこの三要素の磨き方が、様々な研究者のトレーニング方法と共に説明されています。
私がなるほどと思ったのは、「与える力」には、その力を自分に向けた「自分をいたわる力」も含まれているということ。自分に優しくし、不完全であることが人間である証であると意識し、自分の感じていることそのものを受け入れることができる人は、ストレス耐性も強いそうです。自分をネガティブな心の状態から救う救世主は自分しかいないからです。
また、幸せには「人生の意義を持っていること」と、喜びや満足など「よい気持ち」を実際に体感することの両輪が大切だということですが、ものを買ったり身体的欲求を満たしたりして得られる幸せにはすぐに飽きがくる「快楽順応」という限界があり、その快楽的幸せと対照的なのが、生き甲斐や人生の意義による幸せだということです。例えば、収入は幸せ要素の一つですが、年収800万を超えると、収入と「よい気持ち」の相関がなくなるという研究結果もあるそうです。
他にも、感謝力の効用は感謝された側よりも感謝する側にあるということ、謝る力の重要性、論理の力の限界(ルールや正論に終始しない、ルールや正論を客観的かつ批判的に見つめて相手に寄り添う、相手の間違いはとりあえず心にしまっておく、相手の逃げ道を確保する)、など、哲学者ならではの筆者の視点が多く紹介されています。
私は社会的成功を求めているわけでもないので本書は興味本意で読み進めましたが、最後に紹介されているスタンフォード大心理学者フィリップ・ジンバルドー名誉教授の「生き抜く力を完成させた生きがいに満ちた人生のための7つのヒント」(過去、現在、未来をバランスよく使いこなす、生涯をかけて学びを大切にする、「情熱リスト」で自分の熱意を育む、シャイな自分を捨て社会でみんなとつながる、自分をリメイクし続ける、社会派の「はみ出し行動」を大切にする、社会の変化に貢献するヒーローを志す)は、とても胸にストンときました。 -
Posted by ブクログ
成果や知性を誉めてしまうと、自信ややる気が増すどころか、逆の結果になる。
教えることは新しい知識やスキルの獲得により子供の視野を広げうる一方で、考え方やものの見方を制限してしまう危険性を孕んでいる。
ストレスの正しい利用法。
適度なストレス反応は自分にとって良い効果をもたらしうると理解する。
ストレスを感じたり、なぜそう感じているかを考える。心の中でシミュレーションして「もしも」のシナリオを考える。
テストは学びを生み出す道具。
学んだことをちょくちょく思い出すテスト
学んだことを思い出しながらまとめる癖をつける
学ぶ前にこれから学ぶことの診断テストをする
テストや思い出し練習が長期記憶や学習効果の向上 につながると知る
違った考え方で同じものを理解しようとするやり方で、学習の効率が上がる。
脳のプラスティシティー(可塑性)今できなくとも、練習していけばできるようになる。柔軟に学習していける。
自分で決めて考えられる子供になる環境作り
例えばどんなこと?具体例
どうしてそうなるの?理由、根拠
反対の意見はどんな?反対の立場の想像
似ているのはどこ?共通点や違い
そうするとどうなる?帰結や結果予測
思考のきっかけをつくる。
哲学的ロールモデル
探求、批判、立証
EdTechエドテック 教育とテクノロジー -
Posted by ブクログ
ネタバレ急速に進むグローバリゼーションやITの進化にともない、教育の現場も進化している。スタンフォード・オンラインハイスクールの校長である著者がそのオンラインハイスクールの「学育」の状況を紹介するとともに、今後の教育、学育の将来を語る内容。パーソナライズド・ラーニング、アクティブ・ラーニング、プロジェクトベースド・ラーニングなどの学習の最先端を紹介。スタンフォード・オンラインハイスクールについては、「持てる者」の恵まれた学習環境といえるもので、こういう点でも格差はひろがっているのだろうな、と思った。また、アメリカの教育いや学育環境の進化のダイナミックさは「らしいな」という感じ。ひるがえって日本はどうか?日本の今をよく知らないのでなんとも言えないが、それほど進化していないのではないか?進化が必ずしも良いものとは言えないが、社会が急速に変化していく現在、教育も変化していく必要はあるだろう。また大人の今後の学習についても紹介されていて、私も学習環境の未来を享受し、存分に活かしたいと思った。
読んで損はなかったかな。 -
Posted by ブクログ
・人間のワーキングメモリ(意識下に同時に留めておけるももの個数)は3〜5
・ワーキングメモリのキャパシティは幼少期から10代後半にかけて増えていく。
→4〜15歳まで平均66%
・ワーキングメモリはトレーニングで拡大できない。
・話を聞きながらのノート取りは、
書く内容、文字を書く位置などの様々な作業を同時に伴うため、ワーキングメモリへの負担が大きい。
・メリハリ式(話を聞いた後で内容を書き出す)は脳科学的に非常に効果が高い。
・ワーキングメモリの負担を減らすには、
視覚や聴覚などあらゆる機能を織り交ぜて学ぶこと。
・seductive details・・・目的の学びに必要のないものはワーキングメモリの負担になりやすい。
なのでグラフィックが必ずしもいいとは限らない。
・休憩なしで勉強や作業を続けるとワーキングメモリの機能が低下する。
→アメリカで成果を残す社員の仕事パターンを分析したところ、52分仕事して17分休憩の結果だった。
・温度は寒いより暑い方が学習効率は下がる。
→複雑な作業をしている時の方が影響受けやすい。
・リドリーバル
→学習の後に理解度をテストをやった場合、
テキストを読み返す場合と比べて記憶の定着率が50%ほど高くなったなどの報告がある。
・ブレインダンプ法
→脳の中から学習した情報を一気に掘り起こし言葉にしてアウトプットすること。
→記憶の定着、まとめる力、思考力がつく。
→思い出せなかったことでも記憶に定着しやすい。
・スペーシング法
→1日勝負の短期集中よりも時間を空けたスペーシングをしたグループの方が長期的な学びの定着にはるかに効果があったことが1979年の研究で証明されている。
・インターリービング
→1つの題材に集中して学ぶのではなく、似たようなジャンルを混ぜ合わせて学ぶことで、両者の違いや類似点などが頭の中ではっきり整理される。
・学習効果に与える影響として学習者の知性や才能の割合が10%、メタ認知が17%である。
→メタ認知の能力をあげることで、問題解決能力や応用力がUPする。
・ダイニング=クルーガー効果
→能力の低い人が自身の評価を誤って認識し過大評価すること。
・新しいことを学んだときにはドーパミンが分泌される。
→学ぼうとするだけでも効果あり。
・予測を立てて、間違った時こそ報酬系が活性化して大きな学びが得られる。仮説が重要。
・脳にとって学びとは、間違いを修正すること。
・メンタライズとは、人の考えや気持ちを脳が汲み取ろうとする機能。
→ワーキングメモリとは反比例と考えられていた。
・ピア学習ができなければ、架空の相手を思いながら学んだことを教えるだけでも学習効果が高い。
・言語の発音能力は3歳までに固定される。
・前頭葉は年齢とともに小さくなっていく。
・言葉で説明できない体に染み付いた記憶=手続き記憶。
・学んだ時の情報がエピソード記憶として海馬に蓄積される。蓄積されたエピソード記憶は睡眠中にその記憶に関連する脳の各所で再放映される。そこからニューローン回路で発火が起きて意味記憶として長期記録される。 -
Posted by ブクログ
作者はスタンフォードオンラインハイスクールの校長を務める方。オンライン高校でありながら全米ランキングでも上位に食い込む秘訣に興味が湧いた。実際に読んでみて、納得できる部分が多く子供の教育を考える上で参考になった。
最も共感できるのは、哲学を中軸に据えたカリキュラムであること。自分自身高校時代に倫理の授業を選択し、授業の中で複数の本の勉強会を実施したことで、宗教から実存主義まで幅広い人の考えに触れることができた。そこをきっかけとして「より善く生きる」とは何かを考えて生きてきたことで、自分の人生に深みが出たと思う。子供にも高校から、人生とは何かを考える機会を持って欲しいと思う。
授業もディスカッション中心という点は非常に魅力的だと思う。社会に出て思うのは、自分の意見を論理的に述べることができるというのは必要最低限身につけておかなくてはならない能力で、それはディスカッションを通してしか身につかないということ。答えのない問題に対して、色々な立場を想定し、その中で意見を考えることで、多角的なものの見方が身に付く。この訓練を高校時代から積めるというのは非常に重要と感じた。
オンライン授業にもポテンシャルを感じた。高校という多感な時期に同年代の子供と同じ空間を共有しないのはどうなんだろう、と思っていたが、むしろ自由に授業スケジュールを組めることで、学校外の活動がしやすくなり、より開かれた社会的なコミュニティへの参加が可能になる、という側面があると気づいた。ボランティア団体に所属して午前中はその活動をするもよし、スポーツのプロフェッショナルを目指して、特別なコーチからレッスンを受けるもよし、可能性は無限である。オンラインは非常に有力な教育ツールになりうる。
子供の意思次第であるが、このようなオンラインスクールも勧めていいかもなと思った次第である。 -
Posted by ブクログ
【感想】
今現在のオンライン教育はどのように変貌しているのか。予想通りの部分や思いがけない事例など数多くのことを学ぶことができた。オンラインでは、コミュニティを作ることが難しいとされていたが、独自の時間割を作ることで、週4日のカリキュラム編成を実施し、残りの一日は課外活動に当てていた。また、生徒自らが学習プランを作成するDesignYourLearningなどなど。驚きの連続であった。教科書もノートもますます減っていく社会のおいて教育のあり方を深く考えさせられた。
【アクションプラン】
・「ゲーミフィケーション」の実施。目標達成カードを作成する。
・ティーチングではなく、コーチングをメインの授業にする。
・自分が考えて行動するような指示。例えば、授業は予習した内容の議論やいきなり何かをやらせてみてその時必要な知識を調べるなど。教える→練習の流れの脱却。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ”エンパシー”
この言葉がとても重要であることを実感するための本である。”共感”これが生き抜く力だということだ。オバマ氏のスピーチやダライラマの講義に出てきたりするそうだ。知らなかった。と、同時に非常に嬉しかった。ビジネスで生き残るためと言いつつも、根本は非常に人間的な部分であることを。
生き抜く力の基本要素は3つ。
①聞き取る力
②共感する力
③与える力
①聞き取る力をつけるためには、【アクティブ・リスニング】
・パラフレーズ(相手の話したことを言い換え確認する)
・クエスチョン(相手のいうことを確認しながら詳しく聞く)
・エンパシー(相手の気持ちに共感を示す)
「その気持ちわかる!」は禁句。「多くの人がその状況なら〇〇と感じると思います」「〇〇と感じてしまうのも無理もないですね」
・フォーカス(相手の話に集中していることを示す=相槌、表情)
避けるべきDON’T
・決めつける
・話の腰を折る
・アドバイスする
・否定する
②共感する力をつけるためには、【思いやり瞑想】
(似ているところのリストづくり(Shared Identity)もおすすめとのこと)
③与える力をつけるためには、【親切リフレクション】
・週1日親切の日をつくり、人のためになることを5つする
・5つの行動を6つの視点から振り返る
→どんな親切をしたのか?
→誰のためになるのか?
→どうしてその行動をとったのか?
→その行動をとってどんな気持ちになったのか?
→同じ目的のために他の行動はあったのか?
→さらに相手のためになることはあるか?
※これに関してジャーナリングもおすすめ。日付と感じたことを書く
・次の親切の日の前には前回の親切の日を思い出しながら、計画を立てる。
・できるだけこれまにやって来なかった親切行動を計画する。
・生きがいや幸せを感じられるようになる。
極上のコラボを実現させるには生き抜く力が必要。【コラボの基本6法則】
法則1:コラボ相手の話をじっくり聞き取る(聞き取る力の発揮)
法則2:コラボ相手の心に共感する(共感する力の発揮)
法則3:具体的に明確なコミュニケーションをする(与える力の発揮。どう伝えると相手のためになるか)
法則4:「引っ張る」と「折れる」のバランスを取る(グループ全体の力を最大限発揮するのがリーダーの役目)
法則5:コラボ相手とウィンウィンの関係を築く(目的やニーズ、動機付けをオープンに話すことが必要)
法則6:フィードバックに気を付ける
フィードバックに気を付けるとは?
〈前提〉
・評価者の癖が大きく出てしまうことを肝に銘じておく。
・ポジティブな要素を意識的に組み込むことが必要
・良いパフォーマンスを定義するのが極めて困難。数値に現れないパフォーマンスが全体のせいかを支えている。基準の満たし方は無数に存在する。
〈3つのコツ〉
①客観的な基準にすがらず、自分個人としての気持ちを率直に伝える
→相手の行動がこちらにどんな結果をもたらし、自分がどんな気持ちになったかを具体的に伝えましょう。
②「私ならこうすると思うけど、どう思う?」
→自分ならどうするかをいって相手の考えを促しましょう
③抽象的な基準でなく具体例で私的
→何がよかったかをすぐに具体的に伝える
→パフォーマンスそのものを指摘し、それがよかった、また、どうしてよかったかを伝える
感謝の磨き方
・感謝日記をつける
・感謝すべきことを3つ挙げる
・今より悪かったときのことを思い出す
・短期間好きなことをやめてみる
・視覚的なリマインダーを使う
究極の謝罪法
①してしまったことが何かを、謝る側がはっきりと認める
②謝る側が謝れる側の苦しみや不都合を認め、心からわびる気持ちを伝える
③つぐないをあらわしたり、問題解決や今後の方施策を提案したりする
”論理の平和利用”
①感情的にならない
②違う意見があることを認める
③意見が変わることにオープンになる
④論理に厚く苦しくならない
ケンカしない論点整理話法
①他の意見に言及する
②他の意見の根拠や強みを認める
③他の意見の弱みや問題点を指摘する
④自分の意見とその根拠を示す
⑤異なる意見にオープンな姿勢を再確認する
許す力のカギは、自分をネガティブな心の状態から救う救世主は自分しかいないということ。
難しい会話への向かい方
・会話の目標を定め、会話を外側から見る視点を設定
・会話の「シャドーボクシング」で不安やストレスを軽減
・ポジティブな事柄にはおもいっきり主観のスイッチをオンに!
・ネガティブには「客観スイッチ」をオン!
・敵と自分の共通の土壌を模索する
論理の力の限界を知っておくこと。
論理の平和的利用法4つのポイント
・ルールや正論に終始しない
・ルールや正論を客観的かつ批判的に見つめて相手に寄り添う(同じ目線に立っていることを印象づける)
・相手の間違いはとりあえず心にしまっておく
・相手の逃げ道を確保する
Dr.Zの域外人生の7つのひんと
①過去、現在、未来をバランスよく使いこなす
②生涯をかけて学びを大切にする
③「情熱リスト」で自分の熱意を育む
④シャイな自分を捨て、社会でみんなとつながる
⑤自分をリメイクし続ける
⑥社会派の「はみ出し行動」を大切にする
⑦社会の変化に貢献するヒーローを志す