【感想・ネタバレ】なぜゲームをすると頭が良くなるのかのレビュー

あらすじ

「ゲームなんて時間の無駄ではないか」と思っている人は少なくないでしょう。しかし、最新の脳科学や心理学の研究によると、ゲームにはさまざまな効用があるといいます。たとえば……。 ●ゲームで海馬が大きくなって、活性化する ●アクションゲームは短期記憶、空間認識能力など理系の力を育てる ●マルチタスクの能力も上がる ●RPGやパズルゲーム、ストラテジーゲームで、問題解決能力が上がる ●「マインクラフト」などのサンドボックスゲームやパズルゲームで、クリエイティビティが上がる ●ゲームで脳が若返る ●メンタルや、周囲との関係性も改善する効果がある などなど……。一方で、「ゲームをすると成績が下がるのではないか?」「暴力の原因になるのでは?」「集中力が下がってしまう?」と心配する人もいます。しかし、これまで行われた研究によると、ゲームをやりすぎてしまうと成績に悪影響が出てしまうものの、適度にやる分には影響はなく、むしろ、成績アップにつながる可能性も報告されています。そして、「ゲームをすると暴力的になる」「集中力が下がる」ということを示す信頼性の高いエビデンスは見当たりません。では、「やりすぎ」にならない、適度なゲーム時間というのはどのくらいなのでしょうか? そして、ゲーム時間を無理なく減らしていくにはどうすればいいのか? 本書ではこうした疑問について、科学的エビデンスに基づいてアドバイスを行います。本書ではそのほか、マインクラフトのメタバース空間を用いて、教育と医療を融合させる著者の取り組みや、ゲームを用いた治療法「DTx」(たとえば、アメリカの連邦機関であるFDAは「Zengence」というゲームを高血圧の治療法として認可しました)、ゲームによって授業や仕事の目的を達成しようとする「シリアス・ゲーム」など、ゲームの可能性を活用した新たな取り組みも紹介します。 ●ゲームにハマるビジネスパーソン ●受験とゲームを両立したい学生さん ●子どものゲーム時間が気になる親御さん ●社員のモチベーションを上げたい管理職の方々 ●日々子どもたちをサポートする教育者 ●脳科学や心理学の豆知識が気になる読書家 本書を読んでいただければ、読者の皆様それぞれのニーズに合った情報やヒントが必ず見つかるはずです。最新のゲームの科学の知見をぜひお役立てください!

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Posted by ブクログ

■第1章まとめ
・ゲームをすることで、短期記憶の役割を果たす海馬の灰白質が増大したり、ワーキングメモリーを支える前頭葉が拡大、活性化するなど脳自体が変化する。
・ゲームをすることで手先などの筋肉を動かす小脳も拡大し、活性化する。
・「ゲームの悪影響」を実証する研究は、主に「ゲーム依存症」と言っていいほどゲームをやり過ぎてしまった場合に限定される。
・今、急速に広がっているシリアス・ゲームはゲーム自体で授業や仕事の目的を達成しようとするもの。授業や仕事にゲームエッセンスを取り入れるゲーミフィケーション異なる。
■第2章まとめ
・シューティングゲームやアクションゲームは空間認識能力と注意力を高める。
・ゲームをやることでワーキングメモリーや短期記憶の能力も上がる。
・空間認識能力やワーキングメモリー、短期記憶を良くすることは、理系の力を伸ばすことに直結する。
・ゲームプレーヤーは、マルチタスクの時のタスク切り替えコストが格段に短いという研究結果がある。
・歳を取ってからゲームをプレーしても空間認識能力のアップやワーキングメモリー、短期記憶の向上、マルチタスク能力の向上が期待できる。
・RPG、パズルゲームや「三國志」などのストラテジーゲームで問題解決能力がアップする。
・ゲームをプレーすると「固定マインドセット」から抜け出すことができ、より私たちが持つべきである「成長マインドセット」を身につけることができる。
・マインクラフトなどのサンドボックスゲームやパズルゲームでクリエイティビティを高めることができる。
■第3章のまとめ
・ゲームが暴力の原因になるという仮説に対する信頼性の高いエビデンスはない。少なくとも「ゲームが暴力の原因だ」或いは「ゲームと暴力は全く関係ない」と言えるほど、ゲームと暴力の関係は単純ではない。
・ゲームはやりすぎてしまうと成績に悪影響が出てしまうものの、適度にやる分には影響はない。むしろ成績アップに繋がる可能性も報告されている。
・うつや不安などのメンタル要因や、家庭内暴力などの環境要因を取り除くとゲームと集中力の相関に有意な差は認められない。
■ゲームはやらないよりやった方がいい。場合によってはやり過ぎの方がやらないよりまし。イギリスの10〜15歳の子供たち5000人を対象に充実感や社交性、感情の働き、多動性や集中力などの調査が行われた。ゲームを全くやらないグループ1日1時間以下だけやるグループ。1〜3時間やるグループ。3時間以上やるグループ。これら4つのグループに子供たちを分類して結果を分析したところ、1番良い結果が得られたのは「1時間以下」のグループ、2番目が「全くやらない」と「1〜3時間」のグループ、3番目が「3時間以上」のグループだった。
■「自己決定理論」
 人間のモチベーションのベースは、
・人とのつながり(関係性)
・自分が何かできるという感覚(有能感)
・自分が決断したことを自分の意志に則ってやるという感覚(自律性)
である。これら「心の3大欲求」が満たされると私達の心は健全な状態を保つことができる。また、そうやって心が満たされるような事柄に対して私たちは動機づけられている。この「心の3大欲求」はシンプルに「つながり」(関係性)、「できる感」(有能感)「自分から感」(自律性)とイメージすればよい。
■ゲーム依存症の原因はやり過ぎではない
・これまでの研究で明らかになってきたゲーム依存症になりやすい人の特徴の一つは、周りとの関わりが少なく、孤独を感じていること。つまり、ゲームのやり過ぎで周りとの関係性がなくなったり、孤独を感じてしまうのではなく、それとは逆に、周りとの関係がなかったり、孤独を感じていたりすることでゲームに依存しやすくなってしまうもの。
・学校の成績の低さや自己肯定感の低さもゲーム障害の原因になることがわかっている。
・自分の意志に基づいて「自分から感」を感じて、自律的に行動することが少なく常にコントロールをされながら生きていかなくてはいけない状態が続いているならば、これもゲーム障害につながりかねない。
■第4章のまとめ
・20分ほどパズルゲームをやるだけで気分がポジティブになったり、リラックスした状態になることが確認されている。
・ゲームには自分のメンタルだけでなく、周りとの関係性も改善する効果がある。
・ゲームの中でのつながりはリアルでの人間関係や社交性にもいい影響をもたらす。
・ゲームを適度にやっている人(A)、やりすぎている人(B)、全くやらない人(C)、に分けた場合、メンタルやパフォーマンス、人間間系について調査すると、Aが最も良好、ついでB、Cとなった。
・私たちが強くゲームに惹きつけられる理由は、ゲームが心の根本的な欲求である
つながり」「できる感」「自分から感」を満たしてくれるから。
・ゲーム依存症になりやすい人の特徴は、孤独を感じていること、自己肯定感が低いこと、成績が低いこと。
■他のことを忘れてしまうくらいゲームに没入する。そうした体験を心理学では「フロー」という。ゲームに限らずスポーツなどでも、今やっていることに鋭く集中してノリノリの「ゾーン」状態に入ることがあると言われている。時間がすごく遅く感じた入何をやっても思うようにことが運んだり、とても満足して目の前のことに取り組んでいられる状態のこと。
 フロー体験はリラックスや満足感を与えてくれるだけでなく、自己肯定感が上がるなど、心にとってポジティブな結果につながる。ゲームはフロー体験を生み出すのに非常に適していることが知られている。
■第5章まとめ
・ゲームプレーは1日平均1時間〜2時間くらいまでがベスト。
・ゲーム時間をいきなり大幅に減らそうとしたり、禁止したりするのは逆効果。ゲームの代わりに何をやるかについて、考えたり話し合ったりしなければならない。
・ゲームの時間を減らそうとするときは、ゲームの代わりに心の3大欲求を満たしてくれるような活動を新たに自分の生活リズムに足していくことが大事。
・ゲーム時間を科学的に減らすポイント
①2週間で15分ずつ減らす
②心の3大欲求を満たす代替物を加える
③トリガーを考える
④スケジュールに組み込む
・リアルの友達と「コラボ型」のゲームをやることで、暴力的な感情が抑えられ、周りと共感したり、信頼し合ったり、初めた会った人とでもポジティブなやり取りができるようになったりする。
・対戦ゲームによる「フロー体験」でストレスが解消できる。
■自己決定理論によれば、私たちのやる気、モチベーションには大きく分けて「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」の2種類ある。
 「内発的モチベーション」を持っているとは、何かをやること、それ自体に動機づけられている状態のこと。
 「外発的モチベーション」は何かをやること自体に動機づけられているのではなく、それをやることによって得られるお金や地位、その他の報酬やそれをやることによって避けられる罰則などによる動機づけのこと。
 外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまう。
■第6章のまとめ
・ゲームやソフトウエアをベースにした治療法を「デジタルセラピューティクス」(DTX)という。2025年1月時点で20のDTXがFDAに認可されている。
・シリアス・ゲームで学習すると、通常の授業や講義よりも学習効果が高く、記憶の定着にも効果を発揮することが分かっている。
・消費者がゲームをプレーすることで、商品のブランドイメージを高めたり、販促効果が生まれることを狙う「アドバーゲーム」が広がりを見せている。
・モチベーションには行動自体に動機づけられている「内発的モチベーション」と行動することで得られる報酬などに動機づけられている「外発的モチベーション」がある。外発的モチベーションは内発的モチベーションを壊してしまう。
・外発的モチベーションは短期的には強いが長続きせず、無理して長期間晒されていると、心や体のリスクがアップする。
・ゲームの内発的なモチベーションをサポートする効用こそが、外発的モチベーションに偏った現代社会に必要とされている。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

ゲームの科学研究をもとにいかにゲームが有用であるかについて。

やり過ぎはよくないというのは当然として、程よくゲームと向き合えば、脳やメンタルヘルスに効果的であるとのことでした。

ネガティビティ・バイアスには惑わされない。


ゲーム好きとして、免罪符になりそうだ、と手に取った本。
ゲームの有用性についてだけでなく、悪影響についても述べられおり、さらにどう付き合っていくかの提案などもありました。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ


ゲームはやりすぎてはいけないが、やらないよりはやった方がいい!

それはゲームが脳機能をアップさせ、メンタル、パフォーマンス、人間関係にいいから。
ADHDの薬の代わりにも使われるほど。

ただ、やりすぎ、依存症になってはよくない。
DNAはドーパミンの刺激を求め続けてしまう。
1日1-2時間までにしよう。
ただただ止めるのではなく、ジョグなど他で心の3大欲求
(つながり、できる感、自分から感)を満足させるようにしよう

てなとこかな。

言ってることはまっとう。
でも、ビジネス誌のコラムで済む内容かもなあ。。。

第1章 できる人こそゲームを楽しんでいる
第2章 もはや科学の常識!ゲームで頭が良くなる
第3章 ゲームが犯罪者を生む!?都市伝説を科学が論破
第4章 ゲームにハマりすぎる人の特徴って?
第5章 こうやって付き合うべき!科学的ゲームの攻略法
第6章 「ゲームは遊び」は古すぎる!シリアス・ゲームが世界を変える

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

ここまでしっかりゲームのいいところ悪いところがまとめられている本はなかなか無いと思う。ゲームは「心の三大欲求」、関係性・有能感・自律性を満たす。現代社会はお金や地位など外発的モチベーションで成り立っている。しかし、ゲームは内発的モチベーションで満たしてくれる。シリアスゲームがより勉強の効果を発揮する、趣味を仕事にしてはいけないなどはこれが理由だろう。逆に0歳〜5歳は空間認識ができないため、画面を見続けることはいけないなど悪影響も書かれている。ゲームとの付き合い方を考える上でおすすめの一冊。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

全く常識とは逆をいくこの書名。ゲームは時間の無駄。勉強への集中力を欠くことになるので子どもにはさせるべきではない!しかし、この著者の主張は一々もっともで説得力に満ち、確かにゲームは頭を良くする効果があることを実感する。短期記憶力、マルチタスク推進力、空間認識力は間違いなく伸びる!そして人間関係構築力、集中力も伸びそうな気がする。ストレス解消効果は勿論大きい。ゲームを適正な時間(著者は一日2時間程度という)をすることをもっと考えた方が良いのかなと、ゲームをほとんどしない自分自身を反省した!しかし、ゲームに嵌ってしまうリスクも著者はしっかり説明してくれた。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゲーム禁止ではなく、他にできそうなことを提案
心の3大欲求を満たす活動を探す。
心の3大欲求はつながり、できる感、自律感。

トリガーをさがす
スケジュールに組み込む

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

最初の方に書いてあるように、ゲームは良い影響も悪い影響もそれはあるだろうけれど、「ゲームは悪」という主張をする側はそちら側の根拠しか書かれていないのは確かにと思う。目新しい主張はないけれど、こちら側の主張があっても良いよね。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ゲームをすることは良くないことという考えを科学的に必ずしもそうではないということを著者は述べる。時間などバランスは大事だが、ITリテラシーの向上にゲームも寄与しているものと感じていたので、事例を含めて確認できて良かった。内容の密度は物足りなさは全体感で少し感じた。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

眉唾な部分も多かろうゲーム規制論への反論として期待したものの、さもありなんといったレベルの能力活性論と、ゲームが伴う中毒性との兼ね合いでは、コンテンツ過多の時代におけるゲームの嗜好性はより危惧されるべきものとの考えはそう変わらなかった。
シリアスゲームの話題などは興味深かったが。

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・ゲームの効果が研究され、ポジティブな結果が判明している
・ゲームに魅力があるのは、ヒトの欲求を満たしてくれるから
・ゲームを取り上げる/全くゲームに触れずに過ごすのは心にネガティブな影響が有る場合が多い
・大切なのは「2時間/日」程度の適度 であること。この時間数は個人によって異なり、その人にとって日常生活がつつがなく送れており勉強や仕事等のやるべきことが滞りなく進むなら厳格に時間で限る必要は無い
・楽しくゲームしよう

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2025年06月23日

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