吉川凪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ブラックユーモアコメディ短編集
日頃短編集って物足りなさ感じてなかなかお気に入らないけどこれはちょうどいい長さでオチついて読みやすい。普段本読まない人も読めるんじゃないかな〜
・世界で1番弱い妖怪
本のタイトルにもなってる話。世界で1番弱い妖怪のところ行ったらどうしようかな〜
・スマイルマン
毎月100人笑うと死んでいく悪魔に取り憑かれた。自分が生き残るため他の人を犠牲にしてもかまわない精神を日頃みんな隠して生きている
・アリ人間、キリギリス人間
「残りの寿命が30歳でいられるけれども10年間老人になる」という条件が。たしかに周りの人が契約していたら自分も、と思ってしまうかも。みんなが老人の -
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韓国の翻訳家・作家のチョン・スユンさんによる、『万葉集』や『古今和歌集』などの和歌65首をめぐるエッセイ。
百人一首や学校の授業で習った有名な和歌ばかりですが、今まで持っていた和歌のイメージと違い、とても透明感があって時空を超えて現代にやってきたように感じるのがとっても不思議!
まず最初にハングル訳と共に和歌が横書きに書かれているのもとても新鮮で、言葉がより今に近く感じられます。
チョン・スユンさんの韓国での生活の中でこの和歌から感じられる想いはとても興味深く、チョン・スユンさんの感想は何となく授業で教えこまれたような日本人の私たちの感想とは違ってキラキラして新鮮に感じました。
ハングル -
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短編作品集なので、一つずつ簡単に感想を書いていく。
第一部
「デザート」
最初はよく分からず、『付き合った男性がデザートに見える』という世界なのかな……と思いながら読み進めると、ラストで実は『全ての人がデザートに見える世界』という事だった。単純に面白いし、お腹が減る。デザートが食べたくなる作品。
「宇宙流」
囲碁の話は半分も判らないし、読んでいてもイマイチ頭には入って来ない。そこから宇宙飛行士を目指す主人公が絡み合う。主人公が事故で宇宙飛行士を諦めた後、どんでん返しで『障がい者を宇宙へ』となるのは、すごいと思えた。囲碁の部分はやっぱりわからないままだったけど、世界が反転するとはこういう -
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『闇に包まれた穴の底には、龍が横たわっているような気がした。(中略)年寄りたちの言うには、そうした穴は龍が冬眠をする穴ぐらだそうで、龍は夏になると穴からはいずり出てきて天空に飛び立ち、冬になると再び穴に舞い戻ってくるという。穴の付近の雪が解ける理由は、龍の吐く息が穴から噴き出してくるせいらしい。ぼくはその言い伝えを知っていたので、穴の底でひとりぼっちにさせられたとき、龍に食われてしまうんじゃないかと怖くてたまらなかった』―『ラシャムジャ/穴の中には雪蓮花が咲いている』
「絶縁」というテーマのアンソロジー。村田沙耶香が作品を寄せているというので読んでみたのだけれど、その他のアジア圏の作家の短篇 -
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日本の作家と共作しませんかと問われた韓国の作家チョン・セラン氏が「アジアの若手世代の作家が同じテーマのもと短編を書くアンソロジーはどうか?」と編集部に逆提案。それで編まれたのが本書だとか。
今回のテーマは“絶縁”。人によって、国や地域によって、こんなにもいろんな“絶縁”があり、それぞれが自分だけの「生」に翻弄されながらそれでも生きていくしかないのだな…。誰かに代わってもらうわけにはいかないものね。
作品ごとに作者紹介に加えて訳者解説やあとがきがあるのがうれしい。世界が広がるような一冊でした。テーマを変えたり執筆者の顔ぶれを入れ替えたバージョンも読んでみたい! -
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とてもおもしろかった!
さまざまな妖怪が出てくるショートショート集。
どの妖怪も見た目はグロテスクなのに、どこか抜けていたり、慌て者だったり、やけに丁寧だったり…そんな妖怪たちが突然人間界にやってくるから、人間たちは大騒ぎ。妖怪たちの自由さ、おおらかさに比べて人間達の了見の狭さ、欲の深さには呆れつつ、でも現実に妖怪が来たら同じような言動をしそうだな、というシュールさがスパイスになっている作品ばかり。
子どもから大人まで楽しめる作品。
著者は中学を中退して工場で働いていて、小説とは無縁の生活だったにも関わらず、ふとしたことでインターネットの掲示板に作品を投稿し、それを読んだ人たちがアドバイスを -
Posted by ブクログ
・星新一的SF世界観と小川洋子的な静けさが同居した、読んでいて非常に心地の良い短編集であった。
・架空の舞台を用意することで、現実世界を舞台にしていては表現することができないもの、もしくは表現することが許されないものを描き出すことができるというのがSFの特徴であり、強みである。しかしその特徴ゆえにSF小説は私にとってあまりに強すぎるメッセージ性をはらんでいることがあり、私はSF小説というだけである程度身構えてしまう。しかしこの小説は私の先入観を良い意味で裏切ってくれた。
著者チョン・ソヨンは、誰もが持ちうる、私達を取り囲む世界に対する希望や絶望といったようなものを寄り添う筆致で描いている。S -
ネタバレ 購入済み
SFの枠を超えた美しい短編集
宇宙人や未来技術をテーマにしたSFでありながら、新潮クレストで出ていても違和感がないような、美しく静謐な短編集。(逆にハヤカワではなさそう)
SFの説明は極限までミニマルにそぎ落とされ、SF要素に相対した(多くは複雑な過去を持つ)主人公たちの気持ちを推し量らせる形でそのリアリティを醸している。
表題作の「となりのヨンヒさん」はやはり秀逸
凡百の「ハートフルな」異星人交流物とは全然違う、新しい形の絆。最後にヨンヒさんが主人公にかけた「言葉」は、彼女(彼?)の故郷の衛星の美しい火山のように、私の心にも煌きを残していきました -
Posted by ブクログ
ネタバレ古書愛好家による殺人、復讐劇ということで、耽美なサイコサスペンスみたいな感じかなと思いきや、意外にも耽美さとか風情は皆無のイケイケドンドンな作風で、個人的には結構ツボでした。
クライマックスの決闘シーンin古書店では、もはや主人公が殺人鬼のヤバさをやすやすと凌駕しており唖然。
リモコン操作で書架やら床やらを動かしまくり、仕掛け満載の迷路に殺人鬼をおびき寄せる!(それって大体悪役側がすることじゃない。。。?)
この迷路がなかなかにチャーミング…というか古書店の風情とかはガン無視な仕様になっているのがすばらしい。釘まみれの床コーナーにはじまり、四方八方から飛んでくる木槌やナイフ、動物用の罠、感 -
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Posted by ブクログ
一気に読みきれなくて、積読を繰り返していた。今日訪れた敏馬(みるめ)神社に柿本人麻呂の句碑があり万葉集ゆかりの地と記されていた。道中のバスの中で、この本のページをめくりながら、家で腰を落ち着けて読めなかった理由がなんとなくわかったような気がする。
ここに登場するのは古の恋の歌が大半を占める。居ても立っても居られないような心情やら、人に見られては恥ずかしいやら、こっそり涙を流す寂しさについてやら、、、どれもこれも落ち着いた雰囲気ではないのである。勿論中にはゆったりとした気分にさせられる句もあるにはあるが、人の心の移ろいを見事に切り取って歌にしたものばかり。それに短文エッセイを組み合わせ、訳された