あらすじ
残忍な男によって、目の前で妻と娘の命を奪われたユ・ミョンウ。犯人は捕まらず、未解決のまま15年を迎えた。犯人が古書に異常な執着を持っていることを見抜いたユ・ミョンウは、犯人をおびき出すために古書だけを扱う〈記憶書店〉を開店した。そこに現れた4人の怪しい客。「この中に犯人がいる」と確信し、調査をはじめるが……。
家族を失った怒れる男のかつてない復讐劇が、いま始まる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
古書愛好家による殺人、復讐劇ということで、耽美なサイコサスペンスみたいな感じかなと思いきや、意外にも耽美さとか風情は皆無のイケイケドンドンな作風で、個人的には結構ツボでした。
クライマックスの決闘シーンin古書店では、もはや主人公が殺人鬼のヤバさをやすやすと凌駕しており唖然。
リモコン操作で書架やら床やらを動かしまくり、仕掛け満載の迷路に殺人鬼をおびき寄せる!(それって大体悪役側がすることじゃない。。。?)
この迷路がなかなかにチャーミング…というか古書店の風情とかはガン無視な仕様になっているのがすばらしい。釘まみれの床コーナーにはじまり、四方八方から飛んでくる木槌やナイフ、動物用の罠、感電する突起物、有刺鉄線製の網といった非常に原始的な代物が続々と登場。
殺人鬼は「ゆけ!ゆけ!川口浩!」みたいなノリとテンションで、こうした罠と格闘しながら古書店をズンズン進んでいき血まみれに。そして、その様子を嬉しそうに眺める主人公…。
ラストは、なななんと、2トンの塩酸が登場!あわれ、殺人鬼は溶けて排水溝へと流れていきましたとさ。というビックリドッキリな結末には、不思議と爽快な気分に。
描写力とか整合性とか緻密さとかさぁ、そういう細かいことはおかまいなしでいいじゃん!というタイプの読書を楽しめました。
Posted by ブクログ
翻訳者がいいのだろう とても面白く引き込まれて
しまった
妻子を殺され 殺人者ハンターに復讐を誓い
車椅子ながら古書収集家 大学教授としてマスコミに
顔を出して 批判されながらも15年
引退を宣言し予約制の記憶書店を開き
ハンターを引き寄せる
以外な展開でハンターがわかるが
最後の最後まで面白い
Posted by ブクログ
☆3.4
スピード感ある展開でするする読んでしまう。
訳が読みやすいのもあって、バイオレンスな予感と共にドキドキしながら先を追う。
作中で起こっているのはすごく凄惨だけど、体感あっという間に終わった感じがする。
ラストにかけてはジェットコースター並み。
教授の煮詰めに煮詰めた十五年が火を吹いたとも言えよう。
シリアルキラーに家族を殺された韓国の男、やるね。
Posted by ブクログ
目の前で妻と娘を殺されたユ•ミョンウ教授。15年経った今もその凶悪犯は捕まっていない。犯人の手がかりは、「古書に異様な愛着を持っている」ということのみ。
警察など当てにできないユ教授は犯人を誘き寄せるために古書だけを扱う『記憶書店』を開店する。そこに現れたお客さんのうち、犯人候補が4人に絞られ…。
ユ教授の復讐の物語。
設定が面白いと思い、また他であまり見かけたことが無かったので、ふらっと立ち寄った書店で即購入しました。
韓国文学を読むのは2冊目。文化が似ているところがあるからか、韓国に詳しくない自分でも違和感無く読めました。それに読みやすい訳だったように思います。
殺人の描写が狂気じみているので、途中ヴッとなってしまった…。グロが苦手な方は注意!
犯人を捕まえるためだけに15年間を費やしてできた『記憶書店』。訪れるお客さんとのやりとりの中で、犯人を探し出していきます。
15年越しの因縁の相手と闘うってハラハラドキドキですね。
復讐に重きを置いていて、殺人犯の生い立ちや動機にはあまりフォーカスされていません。
日本の作品だと、犯人に同情してしまうような描写があるものが多かったりしますが。
THE復讐劇。とことん復讐するところが見たい!という方にはおすすめ!
Posted by ブクログ
海外でもアジア圏だからか読みやすい。違和感のない文章に比喩も気にならない。15年かけて犯人に復讐する準備をした教授は犯人と思しき人物の特定をし、疑いのあるyoutubeに犯人特定するための尾行をお願いする。そこから教授ではなくyoutubeの尾行録となる。
どんでん返しを読むのが初だと驚きもあるが読み慣れてくると感動はなくなってしまう。
YouTubeが犯人と思しき人は児童虐待と殺人愉快犯、いずれも法を犯している人で同時に逮捕されてしまう。
Posted by ブクログ
・ミステリーのなかでも、謎解きというよりはスリラー要素が強い
・韓国文化に関心があり読んだ。
■韓国っぽさを感じたところ
・冒頭から、「女性安心帰宅サービス」。日本で検索するとALSOK=企業のサービスが一番上にヒットする。日本の夜道の方が安全!とまでは言えないが、公的サービスが求められるレベルなんだな。
・「半地下」。日本なら、珍しい物件だね〜倉庫があってイイネ〜とポジティブな捉え方をされるのではないかしら。映画『パラサイト』でもあったように、韓国だと狭くて暗い、怪しさの象徴なんだなあ
・「脱北傭兵」。日本の小説では、公安だのFBIだのの方が頻出のような。
それ以外は日本に置き換えても読めそう。「水原ならまあ今からでも行けるか…」「ソウル言葉」などのキーワードに対して解像度が上がったら、もう少し楽しめたかしら。
■みんなこわすぎる
(そもそも自分は、「怒ってる人」が苦手なので、登場人物が怒っているだけで描写以上のこわさを受け取る節があります)
・ハンターがオンナをころすシーン、こわすぎる。肉屋用の機器…?踵を切って血を抜く…?なに…?
・15年前の事件、こわすぎる。いらいらして他人に当たる教授も、妻と娘をころすハンターも、みんなこわすぎる。
・ハンター父、屋根裏おじさん、こわすぎる。
・アッパとその子どもの不穏な空気、子どもによる追跡、YouTuberに煽られて衆目のなか手をあげるアッパ、こわすぎる。
・傭兵探偵チームの暗躍、釘撒菱、有刺鉄線の雨、硫酸シャワー、こわすぎる。
予約客の中から、教授が候補を絞り込んだ時点で、アッパ以外の人々がどう怪しいのか あまりピンときていなかった。教授にしか分からない、歩き方や眼光にハンターっぽさがあったようだが、これだけの情報から、(あくまで一般文化人の教授が、)どうやって犯人を特定するんだ?…と思っていた。そんな解決方法とは。やはりお金isパワーなのか。
・最終的に探偵チームは、木工職人(悪人)とハンター(悪人)とDVアッパ(悪人)を始末して、「正義」かのように幕引きとなるが、やってることはハンターと変わらないよなあ。
■ハンター
・ハンターが、オンナをころすときは冷静に監視カメラの死角を選んで歩けるのに、教授に対しては感情を抑えられず無防備に姿を曝してしまうというのも、オンナはただゲームの装置で、人間だと思っていないんだな〜と深読みしてしまった。
作者がその点を意図して書いたのか、単に事件への執着心を表現したつもりかは不明です。教授が「自分より弱い者を〜」と言っているので前者も含まれているのかな?
・地下迷宮に飛び込むハンター、あまりにも幼稚で オンナをころしていたひとと同一人物とは思えない。教授が常に一枚上手で、痛快どころか哀しくなってしまった。
こんなやつが15年も逃げおおせるなんて信じ難い。
・YouTuber一人称の描写は、結局どこまで真実なんだろう?木工職人のくだりが偽装だとすると、特に気になる。
Posted by ブクログ
純粋で力強い復讐劇! 妻子の命を奪われた大学教授が古書店を開いて殺人鬼を待つ… #記憶書店
■あらすじ
大学教授でありテレビのコメンテーターとしても活躍中の主人公は、かつて殺人鬼に妻と子の命を奪われていた。その事件で犯人は、主人公と格闘した結果、貴重な古書を残して逃走することになったのだ。
犯人をおびき寄せるために大学教授を引退して古書店を開くことに。古書店にはいかがわしい客たちが訪問してきて…
■きっと読みたくなるレビュー
復讐劇であり対決もの、プロットしては比較的シンプルで優しい文章、読みやすいですね。そして背景やら小道具は現代風なものが使われているにもかかわらず、古書や古文書というアイテム登場して前時代的な雰囲気も漂います。なかなか良いバランスではないでしょうか。
なにより古書店を開いて敵をおびき寄せるという設定が興味深い。舞台はビブリア古書堂なんだけど、語られる話は報復や殺戮という全く違う内容でイイ! 相反する世界観にどっぷりと浸ることができました。
また登場人物たちも、やたら際立っていてシンプル。特に殺人鬼(ハンター)が分かりやすくエグくキモい、そして主人公の復讐心も同じくらい鬼気迫っているの。他のキャラもどこかで聞いたような犯罪者をイメージできちゃうし、なんか怖いんですけど…
できれば一般人目線として、心のよりどころになるような癒しキャラがいると、さらによかったかなと思いました。
そしてどの国も文学や歴史があり、そして哀しい事件もある。海外の本を読んでいると、学ぶことが多いですね。
■ぜっさん推しポイント
潔い。本作の一番推せるところは、潔さ。
復讐劇というのは後悔の念や無情さを表現する作品も多いのですが、本作は純粋に敵を殺るだけのお話。下手な教訓や道徳心を入れないところが素晴らしいですね。特に終盤は圧巻でしたね、鬼気迫る復讐を見させていただきました。