井上雄彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前巻で清春に勇気を与えてくれたヒーローのヤマ。
彼の病状が進行し、起き上がることもできなくなってしまう。
わかっていたこととは言え、読んでいるこちらまでショックだ。
体はもちろんのこと、体が動かないことは心をも蝕んでいく。
前向きだったヤマが清春たちにぶつけてくる言葉を
酷いと責めることもできず、涙するしかない。
どうしてやることもできず、気持ちがわかるからこそ
何をすることもできない。
それでもヤマに返信した清春のメール文には心打たれた。
ヤマに救われた清春の姿を見て、救われた野宮。
車椅子バスケ日本代表に選ばれた清春を雑誌で見て奮起し
放り出していた教習所に通いだす。
野宮にとっては本当 -
Posted by ブクログ
ネタバレ戸川清春の物語が主。
彼が障害を負った後、なぜなのかという苦しみと
それを誰にも言うことが出来ない苦しみに苛まれる中で
微かでも希望を取り戻す話だ。
なんで俺が、あとどれくらい生きられるのか
そう思っていた清春に
ヤマがジェットコースターにたとえて
そんな暇はないと言い切るシーンは印象的。
本当に恰好良い。
彼と、そして虎との出会いが本当に大きい。
虎の前ですべてを話し、
自分の足を見ようとしてくれない父
自分の足を見せることができず避けてしまう幼馴染みのことを
自分の中で多少なりとも整理できた清春が
安積に足を見せるシーンもまた印象深い。
清春も偉いが、驚くとか軽々しく大丈夫というとかでな -
Posted by ブクログ
11巻は野宮が主人公。
物語を経るにつれ徐々に作者に似てきた彼は、
この巻ではもはや井上雄彦その人である。
だから、
描き手の感情移入の度合いがものすごいことになっている。
思わず身震いしてしまうくらいに。
リアルは、
三人の主人公が、
それぞれの障害を乗り越える話だと思うのだけれど、
戸川は当然体の障害を、
高橋は傲慢な心の障害を乗り越える。
では野宮はどうだろう?
ぼくは最初「社会のルール」かなーと思った。
でも、この巻を読んでいて考えを改めた。
それは「運」だ。
「ツイてない」という障害をどう乗り越えていくか、
それが野宮の話である。
そして、
神のいたずらとも言える不運を乗り