フランシス・フクヤマのレビュー一覧
-
4.1 (9)
Posted by ブクログ
ネタバレはじめに
1戦争、ニヒリズム、耐え難い不平等を超えて
エマニュエル・トッド
現代世界は「ローマ帝国」の崩壊後に似ている
・私たちの生活を変えるでしょう。存在しなかったら、私たちはより悪い状況におちいっていたでしょう。
・人類には「歴史」の感覚が必要。
・私たちは謙虚でなければいけません。
・長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか:「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。
・ある種の健忘症のようなもので…ショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう。…ショックが大きすぎました。そのため、私たちはかっての自分との -
4.1 (9)
-
4.1 (9)
Posted by ブクログ
何時の時代にも「考えてみるべきであろう」というテーマは在る。そんなことに関する話題を提供してくれるのが本書である。豊富な話題を提供してくれる一冊であると思う。
本書は識者達へのインタビューや鼎談、対談を色々と集めて纏めたモノである。幾つもの読み応え在る内容を纏めている。新聞の特集、その下敷きになるフォーラムというのが下敷きになっているようである。
幅広い話題が取上げられているが、敢えて一口で纏めるのであれば「揺らぐ世界の中で進む技術革新という様相が導く先は?」というようなことになるのだと思った。
ロシア・ウクライナ戦争のような大規模な軍事衝突が展開している他方、各国で民主主義体制が揺らいでいる -
4.1 (9)
Posted by ブクログ
「人類の終着点」とはエグいタイトル。終着点と言いつつ、副題で「戦争、AI、ヒューマニティの未来」と。未来、それが明るいのか暗いのかはわからないけど、歴史が続くのであれば、決して終着ではない。一方、今の不透明・混乱な時代に生きる我々からすると、今後どうなるのか=終着ということだろう。
民主主義の問題、資本主義の問題、リベラルの問題、、、、今の世界を覆う問題を解説するものは多い。しかし論点が複雑で、自分の理解が大雑把でも正しいのかどうか自信がなかった。この本は、インタビュー・対談方式の構成で、体系立ってはいないけれど、わかりやすく解説されている。
グローバリゼーションとテクノロジーが、急速に世界 -
-
Posted by ブクログ
200ページ強の大冊だが、リベラリズムの発展経緯を細かに述べている.新自由主義・ネオリベラリズムの登場による経済格差の顕在化を憂いているが、それ以上の現代のアメリカの状況を危惧していることに驚いた.数多くの著書や文献に目を通して、自説の補強に絶え間ない努力をされている姿勢に感心した.ロシアや中国、ハンガリーなどの権威主義体制も批判しているが、言論の自由の保護が世界的に危ういものになりつつあることへの警告も発している.p125にあった「トランプをはじめとする現代の保守派が彼らが忌み嫌うポストモダニズムの理論を一言でも読んでいることはありえないが..」のフレーズは我が国の自民党の輩にも与えたい語句
-
Posted by ブクログ
ご多分に漏れず、よく知らないのに知った気になってました。まずはフランシス・フクヤマ氏に対する偏見・誤解から脱出し、近しい所ら辺へ辿り着ける入門書なんだろうと思います。対話形式ですし、感覚として新書に近いです。
私は「成長」に対し懐疑的というか、神話めいた印象を拭うことができなかったのですが、成長のない世界はゼロサムの略奪ゲームになるという指摘は発見でした。また、国民は共同幻想(この単語は使われていません)というか、物語を共有することで構築されるとか、その物語は人種や民族や宗教ではダメだとか、基本に立ち返る言説が頻出する本でした。良かった。 -
4.1 (9)
Posted by ブクログ
エマニュエルトッドのロシア観、ウクライナ戦争論が独特で、至近のトランプとゼレンスキー対談も相まって興味深く読んだ。本人はロシア寄りの発言をしている訳ではないようだが、そう見える上に一理ある。
さて、人類の終着点。これは本書の対談に『歴史の終わり』のフランシスフクヤマがいる事からも、何かしらの不可逆的な転換点を示唆したタイトルだろう。こうした不可逆的転換論は、グローバル化が不可逆であり、すべての国が市場経済に統合されると主張したトーマス・フリードマン。「ワシントン・コンセンサス」の経済政策を推進し、発展途上国が自由市場に組み込まれる市場経済が最終形態と主張したジェフリー・サックス、EU統合が「 -
4.1 (9)
Posted by ブクログ
これからの世界について、今起きている戦争、AIの発展、資本主義、民主主義の今後など重要なテーマについて、複数の知識人たちの語りで展望が語られる。
ロシアのウクライナ侵攻を西欧ほどそのほかの国々は嫌っていないとか、戦後ロシアとドイツの接近こそアメリカが嫌っているとか斬新な切り口もあり、人口減少する先進国なので第二次世界大戦ほどの拡大戦争にはならないという見方もあれば、それはわからないという意見もある。
AIによるデータの大企業に寡占される様やソノ、IT企業組織はヒエラルキー型のトップダウンという保守的組織であるという指摘も興味深い。
ただAIはよくできて効率的なWikipediaのようなも -
Posted by ブクログ
筆者は、アイデンティティの尊厳が求められているとする。これを解決するアイデンティティの政治が必要であるが、これが解決が困難な状態が現れ、安易にジェンダーやLBGTのようなより狭い問題に集中する様になった。これにより、アイデンティティの尊厳を求める最も大きな中間層の要求に、既存の中道左派が応えられない事が、現在の課題であるとする。
移民を含めたより多くの人を巻き込むアイデンティティへの取り込みにより、解決することが出来るとするが、その具体的な方法は明確でない。
移民への言語等の文化教育も行き過ぎると、移民のアイデンティティを奪うことにもなりかねない。 -
-
Posted by ブクログ
本書では、現代の政治でアイデンティティが重要な役割を果たしている理由を理解しやすくるために、「アイデンティティ」を特定の意味で用いる。まずアイデンティティは、自分のなかの真の自己と、その内なる自己の価値や尊厳を十分に認めようとしない社会的ルールや規範から成り立つ外の世界とのギャップから生まれる。人類史上ずっと、個人は自分が暮らす社会とのあいだに葛藤を抱えてきた。ただし、内面にあるほんものの自己にこそ本質的価値があり、外の社会はそれをいつも不当に評価しているという考えが根づいたのは近代になってからである。内なる自己が社会のルールに合わせなければならないのではなく、社会のほうが変わる必要があると
-
4.1 (9)
-
3.0 (2)
-
4.1 (9)
-
3.0 (2)
-
4.1 (9)
Posted by ブクログ
戦争やAI、資本主義と民主主義など現在のさまざまな論点についての識者の発言をまとめた一冊。
大国の覇権ではなく、各国・地域の利害に基づく多様なつながりが増えている現代、米中問題とか対ロシアという近視眼的な見方では追いつかないというのはよく分かる。
個人的に面白く読んだのはAIの話。人間を超えるか、という問いの立て方になんとなく違和感を持っていたけれど、素人にはそれがうまく説明できず、漠然とした危惧にあおられたままだった。その違和感を詳細に言葉で説明してくれた感じ。
たとえば人口「知能」というネーミングが導く恐怖感とか、AIの背後でデータを学習させるために単純作業をする労働者たちが抱える問題、デ -
-
Posted by ブクログ
アメリカの政治学者フランス・フクヤマによる、古典的リベラリズムを擁護する本。リベラリズムを「人道的な自由主義」と呼び、「法の支配」による自由主義であり「寛容」が基本原則であると主張している。右派による新自由主義に基づく格差の拡大やポピュリズム、左派によるアイデンティティ政治や個人の自律の極端化を批判している。理解の難しい箇所もあるが、勉強になった。
「新自由主義経済学の欠陥は、財産権や消費者利益を崇拝し、国家の活動や社会的連帯をあらゆる面で軽視したことであった」p67
「近年、アメリカでは「批判的人種理論」をはじめ、エスニシティ、ジェンダー、性選好などに関する批判理論をめぐって、騒がしい争い -