物江潤のレビュー一覧
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本のタイトルはなかなか攻撃的であるが、著者も繰り返すように本著は「ひろゆき氏」断罪ではなく、「ひろゆき氏的思想」の功罪を論理的に解いていてとても面白い。
塾経営を通して日々中高生と接する著者だけあり、昨今の学校教育や受験の現状を的確に捉え、そのような社会状況において「ひろゆき氏的思想」が如何に負の影響をもたらすか「信念」を持って解いている。
この「信念」をもつ生き方にたどり着く事の大切さが読後にジワジワとくる。数学的思考をもとに、ニーチェの思想も登場し、隙の無いロジックで個人的にはとても好きな印象だ。もし論理的展開が苦手な方は、その部分は斜め読みでも問題ない。
「それってあなたの -
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入試改革は狂っている。ではなく、狂っているように見えるというところがポイントです。この本によるとゆとり教育も長所はあったようです。詳しくは内容を読みましょう。一番共感したのは提言などをまとめた文章がとってもわかりづらいのは参加している委員すべての意見をまとめるからそのようになると言うところです。まさに公務員的。そして教育は誰もが受けたものなので、誰もが持論を持っている。そんなところもいろんな意見が噴出する原因なだと。入試改革をする委員が入試の事や科目のことすらまるでわかっていないと言うのも、的を得ている思いました。やっぱり塾の先生はいろいろ考えているなと思います。
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ゆとり教育は間違っていた、入試制度は不平等だ、など、とにかく批判されやすい教育制度。
この本では、主に大学入試の現場、すなわち大学入試は全てにおいて、知識の確認テストばかりであるのか、それに対して改善をしようと試みる大学が、どのような試験制度を設けているのかについて取り上げられている。
また、各試験のメリット・デメリットもあげられており、共通試験が、「共通」であるがために、制度改革をすることが難しい理由をわかりやすく説明している点で、コンパクトにまとまっており、タイトルの、「狂ってみえる入試改革」が少しずつ自分の中で氷解した。
延々に解決する見込みのなさそうな「教育改革」。分かりや -
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政治ド素人、そして「もうどの情報を信じればいいのか分からなくて困惑している人」としてはとてもためになった。
著者の物江さんという人のことはとりあえず信用して読み進めて大丈夫そうだなと思った。複雑なことの複雑さをきちんと説明して、安易な断定を避けている辺り、信頼して良さそうだし誠実だなと思った。
で、前半と後半で違う本になっていたのは、やっぱりちょっと気になった。
けれど、なんで吉本隆明の話をするのか、なんで吉本隆明の考え方が参考になると思ったのかの説明が丁寧だったので、こういう本になった理由には納得した。
「どのストーリーを信じるかじゃなくて、自分のストーリーを作れ」とか、「自分の本業に根 -
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著者が専門家ではないせいもあるだろうが、専門的な用語などが少なく身近な例が豊富で大変分かりやすく、社会科の基礎的な知識さえあれば誰でも読めて内容がわかるようになっている。
一方ではそのわかりやすさ故に、著者が本書内で指摘した「コメンテーター」の、そして強い言い方を避けようとする本書の姿勢から「専門家」の欠点までも、指摘しつつ自らもまたそれらの欠点を表してしまっているように思う。
加えて、著者は「保守」にも「リベラル」にも与さずにいたいと考えていることが随所から伝わってくるが、本書では体制に迎合する、時には「ネトウヨ」とさえ呼ばれる人々の著書からの引用が多く、本書の性質上仕方の無い部分もあるかも -
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友人から虎ノ門ニュースを勧められて以来、彼らのマインドがどうにも受け入れがたく、そういった気持ちをネットで書いてみると「パヨク」認定されることがあって、自分は何者なのかと思い読んでみた。
本書に書かれてある通り、私に対して「パヨク」認定してきた人たちは対話不能だと感じた。ネトウヨにとって相手を「パヨク」と罵ることは何よりの攻撃あり防御であり、これは逆もしかりなのだろう。そこにはなんの論理もなく、むしろ小学生が言い合いになって相手を「バーカ」と罵る状況によく似ている。
現実ではあまり「ネトウヨ」も「パヨク」も聞かず、しかしネット内ではこの言葉は頻繁に見られる。それも感情的なシチュエーションで使 -
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ネトウヨとパヨクを分析、深堀したものではない。
ネトウヨとパヨクを対話のできない人として定義
対話ができないとはどういうことか
を論じた本。
論理的な対話は
トウールミンの議論モデル
①事実②理由付け(論拠)③主張
から成り立つ。
結論ありきの議論は理由付けがきちんとされていないので、対話にならない。
本人が正義と思っていることで人の意見を聞かないことがある。
対話とは他の意見をロジカルに聞き、自分の主張もあくまで仮定といして、建設的に意見をアップデイトしていくこと。
結論を言い争い、人のロジックを聞かないことは対話になっていない。
ネットだけではなく、実社会の会社の打ち合わせなど -
Posted by ブクログ
主にネット上で「ネトウヨ」「パヨク」と呼ばれている対話不能な人々に対するフィールドワークと社会学的分析の著述です。
個人的に印象に残った部分は、彼らの言論が若年層(中高生)に悪影響を及ぼす危険性を指摘しているところです。
正直に言うと、学校教育ではその性質上、それに十分に対応することが難しいと感じましたが、やはりcritical thinkingを普段からあらゆる場面で実践することが大切であると考えます。
「自分の主張は本当に正しいのか」
「その意見の根拠は十分であるか」
「なぜそのように言えるのか」
私も自戒することを忘れずに生徒たちと接していこうと思います。