あらすじ
挑発的な物言い、過剰なエビデンス主義、旧来の規範の軽視――とかく相手を「論破」することを是とし、かつ煽る「ひろゆき氏的な思想」が若者たちを魅了している。しかし、その行き着く先にあるのは、SNSでの誹謗中傷、過激YouTuberに外食テロ、FIREブームなど、現代特有の社会問題の数々である。ニーチェや三島由紀夫ら先人の思想をもとに、この危うい思考スタイルを乗り越える道を示す。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本のタイトルはなかなか攻撃的であるが、著者も繰り返すように本著は「ひろゆき氏」断罪ではなく、「ひろゆき氏的思想」の功罪を論理的に解いていてとても面白い。
塾経営を通して日々中高生と接する著者だけあり、昨今の学校教育や受験の現状を的確に捉え、そのような社会状況において「ひろゆき氏的思想」が如何に負の影響をもたらすか「信念」を持って解いている。
この「信念」をもつ生き方にたどり着く事の大切さが読後にジワジワとくる。数学的思考をもとに、ニーチェの思想も登場し、隙の無いロジックで個人的にはとても好きな印象だ。もし論理的展開が苦手な方は、その部分は斜め読みでも問題ない。
「それってあなたの感想ですよね」に「感想はとても重要だ」と強い情熱をもって論を結ぶ姿にカッコ良さを覚えた。人生とは決して上手くはいかないけれど、でも暇つぶしではない。自分の人生だ。
Posted by ブクログ
普遍的に正しい数学が構築できないのと同じく、普遍的に正しい論理・データの扱い方は存在しない。できることは、ある仮定の元に、論を進めていくことだけ。そして、仮定の選び方はどこかで恣意的になるしかない。それを広義の感想としてとらえる。個人の感想を否定して、論理を追求すると、感想に頼らざるを得ないという構造がこの本の主張。
その構造が、自由な公理系と演繹規則をもとにする現代数学と類似しているというポイントは面白い。最後「推し活」に活路を見出すところは、若干こじつけ感がある。
Posted by ブクログ
中高生の思考や態度に興味をもっている先生で、けっこうおもしろい。論理だの規範だのっていう言葉使いには問題があるとは思う。まあ「感想」っていうか、態度も大事です。
Posted by ブクログ
丸善にて平積みの新書から目に留まり、読んでみた。
ひろゆき氏的考えの問題に、塾で関わる生徒から出るリアルな言葉は、インパクトがあった。
ひろゆき氏の考えはお世辞にも賛同できない立場だが、中盤で数学の脱落者を考えても、どれだけの人がデータを論理的に正しく読み解けるのか、理解できるかと説く場面は、自分もちょっとハッとしてしまった。
種々の引用を交えつつ、論理的であるために感想が必要になることや、推しを見つけることの良さについて語るなど、感想を持つことの大切さ、必要性が盛り込まれていると感じた。