小澤身和子のレビュー一覧
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主人公であるエスターが自殺未遂に至るまで消耗する過程は割りかし丁寧に描かれていたと思う。優秀な奨学生から病院のボランティアへと、自分のやりたかったことから大きくかけ離れていき、最後まで自分の仕事の価値を認められず絶望していく主人公の心情は、見ていて苦しかった。
当時のアメリカであれば、上手く良い男を捕まえて結婚すればそれでOKでもあったのだが、それも主人公のプライドが許さない。このように考えられる幸せの可能性(イチジク)をどれも選べずに腐らせてしまうことが、主人公の破滅に繋がっていく。なまじ優秀な人間の悲劇をよく描いている。
星5でないのは、この本を書いてそれほど経たないうちに、著者がオー -
Posted by ブクログ
ナルニア国シリーズ第3作目。
シリーズの中で、各出版社の日本語訳版のタイトル名が最も異なっている(と思う)。これだけでちょっと面白い。(岩波の瀬田貞二訳では『朝びらき丸 東の海へ』、原題は『The Voyage of Dawn Treader』) 岩波版だとシリーズのこの辺から独特なネーミングがあったりして少々つっかえた覚えがあるが、本作は軽快に進む船のようにスイスイ読めた。
前半のユースティスは他者の大事なものを馬鹿にするような いけすかないやつなのだが、彼は冒険を経て変化する。その様子に、自分も良い方向に変われる気がして私は嬉しく思うのだ。 -
Posted by ブクログ
主人公のエスターは、ボストン郊外でシングルマザーに育てられました。誰よりも努力した結果、ファッション誌のコンテストで書いたものが認められ、その雑誌社のインターンに選ばれることができました。
期待に胸を膨らませてマンハッタンに出た彼女は、社会の厳しさや不条理を目の当たりにし、自分の無能さを実感します。ボーイフレンドの裏切りにもあい、実家に戻ったエスターは、作家への道も閉ざされ、自殺を図った後、精神病院に入れられます。
1963年に書かれた、作者 シルヴィア・プラスの自伝的作品だそうです。
60年も前に書かれたこの作品の主人公エスターの生きづらさが、現代の若い人の生きづらさと変わっていな -
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