小澤身和子のレビュー一覧
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明るい未来は、たわわに実ったイチジクの樹から好きなだけその果実を取れるように容易に手に入れられると思っていたエスターは、手に取る前にそれらが落ちていくディストピアの現実社会に気付く。ニューヨークのファッション雑誌でインターンをし、作家になる夢に向かい歩き出したエスターは、1950年代のアメリカの期待される善良で勤勉でいい男と結婚するという「女性」の役割を強制されることに抗い続ける内にベルジャーの中に閉じ込められ精神が壊れ始める。この物語が作者プラスが30歳で自ら命を絶つわずか数週間前、まさに死の淵を彷徨いながら急いで、しかも美しい詩的な表現で執筆し出版された事実を知ると、ベルジャーの中で絶望に
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たまたまSNSで訳者の小澤さんが宣伝されているのを見て購入しました。小学生の時に岩波書店の瀬田貞二訳を何回も読んでいました。自分のファンタジー小説好きを自覚したのもナルニアがきっかけだったので思い入れの深い作品です。
過去にあれほど読み込んだのに細かい部分は忘れてしまっていましたが、読み始めた途端に懐かしい自分のナルニア国に帰ることができました。そしてやっぱり面白い!
csルイスの作品はパブリックドメインとなった2013年3月以降、色々な翻訳版が出版されているようです。岩波から馴染み深い瀬田訳、光文社から土屋京子訳、角川から河合祥一郎訳、そして最近出版されたのが本作の小澤身和子訳です。瀬田 -
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翻訳者さんもいらした読書会に参加しました。
皆様ありがとうございました。
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ファッション誌の小説コンクールで優秀賞を得た女子大生のエスターは、雑誌社のインターンとしてNYに滞在していた。雑誌社の用意した女性専用ホテルには他に11人の女性たちがいて、研修やパーティが行われる。ここで認められればNYで執筆しながら華々しく暮らせるだろう。
しかしエスターの心は晴れない。
女性ホテルにいる他の女性は都会育ちで華やかなパーティにも慣れている。エスターは田舎町の出身で父親もいない。デートした男性はいるけれどそれ以上の関係を持つことはない。
彼女たちに馴染みづらい。なかでも賑やかなドリーンとは一緒に -
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Posted by ブクログ
久々にドはまりしたドラマの原作をやっと読んだ。
文体はさっぱりしていて、飾気や情感はほぼなく、すごく丁寧に書いた脚本みたいな印象で、ドラマにしやすかったのではないかと思った。かなり原作に忠実に作られていたことがわかった。
無口な主人公ベスの心情が文字化されてあり、そこはやはり小説の醍醐味だなと思う。
ベスが初対面で嫌いになったり心の中で悪態つく人多くて笑う。特にドラマでは気がつかなかったけど、自分より年下のチェスプレーヤーのジレフに対してあんなに心の中で辛辣に貶しているとは、小説を読まないとわからなかった笑。
チェスがメインの話ではあるけど、チェスを通じて孤児で孤独だったベスが人間関係を展開し -
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