柴山桂太のレビュー一覧
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グローバル化とよく叫ばれる中でグローバル化を分かりやすく批判的のとらえた一冊。
読み進める前には国境が取り払われ、規制緩和が進む現代において、保護主義的な政策の重要性を説くのは一見ナンセンスに感じた。でも違った。決して保護主義政策をとって自国を鎖国状態にするということを主張しているのではなく、グローバル化の負の影響にも目を向ける必要性を訴えているように僕は感じた。なぜグローバル化が発生したのか?どうしてこれほど現代はグローバル化を謳うのか?グローバル化の正・負それぞれの影響は何か?こういった点を理解し、グローバル化の本質にせまる理解をしておくことが現代経済を見つめるためには必要だと感じた。
で -
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自由貿易で世界経済が復活するということに対して警告を発する。世界の経済成長率が、新自由主義が勃興する前後で約3%から1.5%へと落ちている事実など、必ずしも寄与していないという。日本では、小泉政権、そして安部政権でも、これを称賛する動きがあったのも事実。企業が儲かれば、法人税も沢山入り、国も潤うかもしれない。しかし、利益の代償として働く者の給料が減ってしまっては、企業栄えて、国滅ぶにならないだろうか。一部の富裕層のために、それはあるというのは、アメリカ、西欧を見て納得してしまう。自由主義という言葉から連想するのは、解放、個人かもしれないけど、成熟した個人ばかりの社会とは限らない。むしろ、大多数
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1章 中野剛志
日米同盟と自由貿易について。冷戦終結前後での意味合いの変化。米中関係の変化。
2章 関岡英之
日米構造協議、改革要望書に始まるアメリカによる日本の構造改革。
6章 施光恒
日本語による近代化の意義、明治日本の近代化における英語による近代化か日本語による近代化かの議論。
TPPによって壊される日本の良さとは
7章 柴山桂太
グローバル化の波。20世紀転換期、第一世界大戦、第二次世界大戦等。
グローバル化と国家主権の制限
などが各章のキーワードかな。3、4、5章は知識不足から少し難しかった。他の4人は他の書籍や講演などで背景知識もあり、とても読みやすかった。 -
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グローバル化は永遠に続かない。100年前の1913年、イギリスを中心に電話が普及し、「全世界の様々な産物を、ロンドン市民はベッドで朝の紅茶をすすりながら電話で好きなだけ注文することができた」とケインズは述べている。英国発のグローバル化がバブルを生み、1930年代の大恐慌、40年代の第二次世界戦争に繋がった。 グローバル化で栄華を誇った英国が「文明国間での戦争は決闘のように時代遅れのもの」と戦争は有り得ないと信じていたのは1913年のこと。その1年後、第一次世界大戦が始まった。ソ連崩壊で始まった第2次グローバル化、インターネットによるバブルが、2008年の米国発の株の暴落、世界的な経済危機に繋が
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安倍政権の「アベノミクス」が声高に叫ばれる日本の現状と、アルジェリアの事件をみて、本書を思い出し、昨年読んだ本書をもう一度読み直してみた。
本書は昨年9月の発行であるから、夏には脱稿していただろから、今年の激動する世界を的確に予言しているようにも思えた。
昨年本書を読後の「レビュー」は以下のとおり。
『本書は、最近読んだ経済書の中で読後に一番印象に残った。
「グローバル経済」が世界を覆っている現在において、マスコミでは「経済危機」という言葉が乱舞している。その対象はヨーロッパ、アメリカ、日本、中国と世界中が舞台だ。
それぞれ「原因」と「対策」も語られているが、本書はその全体像を「そ -
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日本型雇用慣行。終身雇用制と年功序列型賃金制度とOJT、これらが相互補完的に働く。
不況下でリストラが進められる中で広がったのが「高給取ってろくに仕事もできないおっさん達は許せない、こういう連中こそ首を切るべきだ」という論調。
そして年功序列型賃金制度から能力主義的賃金制にという流れ。
これはたぶんに外資の論理だ。
OJTが基本となる日本型雇用慣行では若年労働者を育てるのに金がかかる。
これが投資にあたる訳だが外資はこれを許さない。
そもそも外資はOff-JTを基本としていて、人材への投資という意味でのOJTに理解がないのかもしれない。
雇用の流動化どころか、そもそも雇用がこんな状況なのに外資 -
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資本主義経済の不安定性、それを何とか安定させるため政府機能が肥大化せざるを得ないこと、などが前半では大変分かりやすく説明されています。で、そのことをどのように評価するか、また、どのように克服するか、資本主義経済に代替するどの様な社会を構想するか、という後半部分になると、著者の価値観による説明になっていると感じます。その価値観を全面否定する気はないのですが、現代日本の問題は、著者のような価値観を持つ者とそれと正反対の価値観を持つ者とが併存しており、両者が併存して生きていける社会を構築していくのか、一つの価値観による社会を構築していく方法が果たして存在するのか、という点が最大の課題だと思うのですが