柴山桂太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
トリレンマ理論では、国際的な資本移動の自由、為替の安定、各国の金融政策の自律性の3つを同時に確保することはできない。戦前の金本位制では、為替を固定し資本の移動を自由にする代わりに、各国の経済政策は自由にできなかった。この体制下で第一次グローバル化が起きたが、国民生活が不安定になった。戦後のブレトンウッズ体制では、ドルで為替を固定し資本の移動を制限する代わりに、各国の経済政策を自律的に行えるようにした。70年代以降にドルが弱くなると、この体制を維持できなくなった。ニクソンショック以降は、為替の安定化をあきらめる代わりに、金融政策の自律性と資本の移動を認める体制になった。途上国は投資を呼び込むことで発展できるようになったが、お金が1か所に集まりやすくなり、バブルが生まれやすくなった。97年のアジア通貨危機は、外国資本が入りやすい環境を整備して起きたバブルがはじけたもの。これを教訓に、アジア諸国はアメリカの輸出をしても内需を拡大せず、外貨を蓄えるようになった。その外貨を運用するためにお金をアメリカに流し込んだため、アメリカのバブルが膨らみ、リーマンショックを招いた。
製造業の発展には、勤勉さ、人と協力しあう慣習、倹約して将来のために投資する精神などの文化的な条件が必要。
米韓FTAによって、韓国は米を除いた農産品を実質的にすべて自由化した。アメリカが参入しやすいように、自動車の安全基準や排ガス規制を緩和した。協同組合の共済は解体された。投資家が不利益を被った際に政府を訴えることができるISD条項も含まれている。
帝国主義は民間の海外進出から始まるというのが経済史の定説。
日本のGDPに占める輸出の割合は10%台であり、輸出立国というのは間違い。 -
Posted by ブクログ
2012/9初版の新書。2000年以降のグローバル化を批判する本は色々ありますが、淡々とした筆致が逆に好印象。
引用されたケインズの文章に衝撃を受けた。やはり人間は100年経ても何も変わってない。死んでも判らん、てか。
「ロンドンの住民は、ベッドで朝の紅茶をすすりながら、電話で全世界のさまざまな産物を、彼が適当と思う量だけ注文することができた。同じように、彼は自分の富を、世界の天然資源や新事業への投資に好きなように振り向けることができたし、少しも心を煩わせることなく、その果実や利益の分け前にあずかることができた。」
追伸。
最後に、ソーシャルキャピタルの概念と、その価値を定量的に捉えられていない学問の限界が語られている。
正しく、国民総幸福度の議論そのものだ。これがまた、超難しい。
が、ここを頑張らないと我々の未来もないと思う。