小塩真司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「エビデンスは?」とか「定量的に示せないの?」とか数字上の根拠を求められる場面は仕事でもプライベートでも少なからずある。判断の参考情報であったはずの数値が絶対的な指標になり、数値を改善すること自体が目的化してしまうことも往々にしてある。体重や血液検査の結果、偏差値、資産額などなど枚挙にいとまがない。
本書は「数値化中毒」ともいえる状況がなぜ発生してしまうのか、その弊害は何かを事例を踏まえてわかりやすく解説してくれる。著者のバックグラウンドの心理学における指標や結果との向き合い方も面白い。数字の改善が目的化してしまうことも恐ろしいが、占いや心理テスト、知能テストの結果などを鵜呑みにして自分の特性や未来を確定したものとして理解することも恐ろしい。
論破に代表されるように最近は1か0かを決めたがる。その延長に数値化信仰もあるように思う。グレーゾーンがあったときの方が穏やかで寛容だったと思うが、瞬間的な強さは数値化や論破に分がある。せめて数字を読むリテラシーや人間が本質的に持つ思考バイアスについての理解は深めておきたい。 -
Posted by ブクログ
195ページ、第5章「AIによる個人予測の進展」で、AIチャットボットに「あなたの長所と短所、性格の特徴、10年後の自分はどうなっているか?と質問を打ち込んでみて」とあったので、試してみました。
結果は...当たっている所もあり、ムッとする所もありました(笑)。しかし配偶者に言わせると「全部当たっている」と言われたので、余計に腹が立ちました(苦笑)。なので他人から見れば当たっているのでしょう。
でもAIは私の全てを知っている訳ではないし、納得できない部分に関しては、AIの指示に従ってチャットボットで勉強していた部分もあったので、鵜呑みにしてしまうと著者の言う通り「過去のデータに縛られた未来」を受け入れてしまいそうです。
以前「ファクトフルネス」と言う本が流行りましたが、データや数字もそれが公平性を保っているか、偏りのないものなのかは精査してみないとわかりません。目の前の数字(値)では表せない、「偶然や想像、選択の自由」を手に入れるために、人間は「誤差」や「揺らぎ」という不確実な領域を手放してはいけない、という著者の言葉は心に刺さりました。
さまざまな予測不能な偶然と選択を積み重ねて、人(私)の変化を楽しんで生きて行こう!と思いました。
不確実な現代を生きていくのに、複雑怪奇に設定された数値化社会に飲み込まれないために、参考になる本としてオススメの1冊です。
-
Posted by ブクログ
100ページに満たないので、パーソナリティ心理学の入門書として取っ付きやすい内容である。簡単に性格診断ができるようになることが人間関係に及ぼす影響について、考えさせられる内容であった。
最近、自分の周りでもMBTI診断(おそらく、それらのほとんどは16 personalities)を受けたという人をよく見かける。これまで、ユング心理学に興味はあったので、ユングや河合隼雄の著者はそれなりに読んできたが、MBTIはなぜか全く興味を惹かれず放置したままとなっていた。まず前提として、ネットで診断できる16 personalitiesはMBTIだと明言していないのだという。回答方法が実物と違うらしい。
ネットで回答できるようなものなので信憑性が疑わしいのはわかっていたが、以前に複数人がこの診断を一緒にやっている場面を目撃した際、ある人の回答に対して別の人が「違うだろ」と言っており、自分が思っている性格と他人から見えている性格は一致しないよなぁと思ったのと同時に、この診断テストの信憑性のなさを確信したのであった。
血液型しかり16 personalitiesしかりだが、こういったものは、自分あるいは他人を特定の類型に押し込めてレッテル貼りができるため、容易に自他の性格を理解した気になれて便利な側面はあるのだろう。逆に言えば、自分や他人が何者であるかについて、時間をかけて深く考えることに現代を生きる人々が耐えられなくなってきているのではないか、とも考えられる。
本書に書かれていることを念頭に置いた上で、血液型診断やMBTIもどきで性格を語ろうとする人とどう付き合っていくか。嫌われるのを覚悟で、あえて空気を読まずに啓蒙するのも責務だと思っているところである。 -
Posted by ブクログ
友人が、世の中悪人の方が多いといってることから、悪について考えることが増えたのでこの本を取りました!
性格が悪いというのは個人によって基準が変わることだし、私は一概に悪と言えるほど他人を理解することはできないと思うので、一般的な視点から見た性格が悪いを知りたくてこの本を読みました!
結論、5レベルくらいは頭が良くなった気がします。
主にダークトライアドに基準を置いてるんですけど、四つになった時のサディズムが一番やばくておもしろかったです。ルーキーのくせにしゃしゃりすぎ、圧倒的厨二病感。(褒め)
文が難しくて、読むのに時間がかかりましたがそこはわたしの能力不足として消化します。
わたし的にはめっちゃ面白い事例がいくつかあってそこを読んでる時はすごく楽しかったです。
けど、難しくて適当に読んだところも同じくらいあります、関連するデータの変数がどうたらとかそういうとこです。
そして最後の文に作者の人柄が出てるなと思いました、結構ほっこりしました。やっぱり人間味って大事。 -
Posted by ブクログ
昨今、数値やエビデンスが重視されている世の中ではあるが、それが正義だと主張するあまりに、本質や目的を見失っているケースが良くある。
とくに、SNSでは、写真や数値など、インパクトのあるエビデンスが「バズる」という形で評価されるケースが散見される。
本書では「数値」にフォーカスしているが、少し広げると、「科学的思考」の外にも意味があることを忘れてはいけないのだと気づかされた。
数値で測られた集団最適化と個人の幸福を混同するとの危うさもあり、客観的数値だけが独り歩きせずに、その裏側にある人の顔を思い浮かべて行動・判断することは重要さが説かれている。
論理だてて説明されており、すとんと腑に落ちる内容でした。 -
Posted by ブクログ
私たちはなぜ性格を「タイプで分ける」のか?
流行するMBTI診断。
私たちは、複雑な人間を理解するために、しばしば性格をタイプで分けて捉えようとする。
その方が簡単で、限られた情報の中でも相手を理解した気になれるからだ。
しかし、タイプ分けによる固定的な見方は、その人の本来の豊かさを見失う。
ライフイベントは性格を変えるか?
ライフイベントは、性格を変えてくれる魔法のような存在ではない。
実際に人を変えるのは、その後の日々の選択や行動、積み重ねである。
あなたの性格は変えるべきか?
組織はしばしば、成果を出しやすい「理想の人物像」を掲げ、そこへ人を近づけようとする。
しかしそれは、理想像に当てはまらない人を「変えるべき対象」とみなす危険を孕む。
本当に問うべきなのは、人を理想像へ矯正することではなく、その人が持つ性質のままで力を発揮できる環境をどう整えるかということではないか。
豊かな社会とは、皆が同じ性格を目指す社会だろうか。異なる気質や個性が、それぞれの形で活かされる社会なのだと思う。