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ダークな性格として、典型的なものは「マキャベリアニズム」「サイコパシー」「ナルシシズム」「サディズム」の四つである。それぞれの特性、測定方法を紹介、また仕事の相性、職場での行動、人間関係、異性との付き合い方等を分析し、どんな問題に結びつきやすいか、さらにその気質は遺伝なのか、環境なのかにも迫る。「悪い」性格が社会に残っていることには理由があり、どんな人にもダークな面はあることも明らかにする。
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Posted by ブクログ
自分の中にあるダークサイドと向き合うにもいい本です。「徳が高い」ということは、自分の中にあるダークな部分を押さえ、折り合いを付けることなんだから。
■ダークトライアドとは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム ■ダークテトラッドとは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズムに、「サディズム」を加えたもの ■各種パーソナリティ症と特徴 A群 ・妄想性パーソナリティ症 他者への猜疑心や不信感、悪意を感じやすい ・スキゾイドパーソナ...続きを読むリティ症 孤立、対人関係への無関心、冷たさ ・統合失調症型パーソナリティ症 妄想や魔術的思考、奇妙な思考や話し方など B群 ・反社会性パーソナリティ症 規範を守らず利己的で衝動的、暴力的 ・境界性パーソナリティ症 見捨てられた感覚、空虚感、自傷行為、自殺念慮 ・演技性パーソナリティ症 注目を集めようとする過剰な努力、被暗示的 ・自己愛性パーソナリティ症 人より優れており特権を持つ感覚 C群 ・回避性パーソナリティ症 否定的評価に敏感、劣等感、社会的な抑制 ・依存性パーソナリティ症 対人関係に依存、保護や面倒への欲求、主体性欠如 ・強迫性パーソナリティ症 こだわりが強く完全主義的、融通が利かない ■マキャベリアニズムの特徴 第一に、対人関係における感情の欠如。 第二に、従来からある道徳の内容に関心を抱かないこと。 第三に、重大な精神病理を持たないこと。 第四に、イデオロギーへのコミットメントの低さ。 ■典型的なサイコパス ①表面的には魅力があり優れた知性を持つ ②妄想やその他の不合理な思考の兆候がない ③不安や緊張など精神神経的な症状が見られない ④信頼できない ⑤不誠実で偽善的である ⑥良心の呵責や羞恥心が見られない ⑦明確な動機づけなく反社会的な行動をする ⑧判断力に乏しく、経験から学ばない ⑨病的な自己中心性を持ち愛する能力が欠如している ⑩主要な感情反応が全体的に見られない ⑪特定の領域で洞察力が掛けている ⑫対人関係全般に無反応である ⑬飲酒を伴う(時には伴わない)風変わりで魅力的ではない行動をとる ⑭自殺はほとんどしない ⑮性生活は非人間的で些細なもので、うまく統合されていない ⑯人生設計に従わない ■ナルシシズムの病理面 ①誇大妄想 成功や称賛や承認への空想に囚われている ②自己犠牲的自己高揚 ポジティブな自己イメージを保つためにあえて利他的な行動を取る ③搾取性 他人を操作する傾向 ④権威的憤怒 特権意識が満たされないときに感じる怒り ⑤随伴的自尊感情 自尊感情が変動しやすく、称賛や承認が得られないと機能不全を起こしやすくなる ⑥脱価値化 自分を称賛しない他社に対して無関心になる ⑦自己隠蔽 自分の失敗を他者に見せないようにする ■5つ目のダークな性格、スパイトとは何か マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムに加えて、「スパイト」も含めることで「ダーク・ペンタッド」という組み合わせによる研究も進められている。 スパイトとは、相手だけでなく自分自身にも危害を加えるような行為を指す。 ■リーダーシップ ・変革型リーダーシップ フォロワーに心理的な影響を与え、感情を揺さぶり、信念や価値観など内面から影響を与えてフォロワーの自己成長を促すようなリーダ−シップ ・交換型リーダーシップ 成功や失敗に対して報酬や罰のフォードバックを与えることで、行動引き起こそうとするリーダーシップ ・放任型リーダーシップ リーダーがあまり関与せずメンバーの自主性や創造性を促そうと試みるリーダーシップ ■共感性の二つの側面 ・認知的共感性 他の人の表情や言動から、その人がどのような気持ちになっているのか、どのような感情を抱いてるのかを推測して認知すること ・情動的共感性 他の人の感情を自分のものであるかのように受け入れて、自分でも同じように感じること ■一つの連続的な心理特性には、とても多くの遺伝子が影響していると考えられる。性格を外交的な方向に進めるように影響する遺伝子は非常に数多く存在している。これをポリジーン遺伝モデルという。 例えば、連続的な量を表す代表的な値に、身長がある。身長の遺伝子を特定する試みも二十一世紀に入ってから行われるようになった。初期の研究では身長に関連する40個の遺伝子が見つかったが、これらを合わせても身長のばらつきの5%しか説明できない。その後身長に影響する遺伝子がどんどん見つかり、2018年には70万人のデータから3300個の遺伝子が見つかった。 ■ダークな性格は成人期を通じて平均値が低下していく傾向が見られる。 人生の中で成人期の生活に有利に働くような心理特性や性格特性を次第に身につけいくことを「成熟の原則」と呼ぶ。社会の中で新しい役割を担うたびに、少しずつ性格特性が変化していくことにより、全体的に平均値として望ましい方向へと変化していく現象が生じるのではないかと考えられている。ダークな性格が年齢とともに低下していく様子も、人々が人生の中で次第に社会へ適応していく成熟の原則を表現している。 ■長所と短所は切り離せない ■現代の世の中はVUCA(ヴーカ)と呼ばれる。これはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、目まぐるしく変化し予測が困難な世界を表現している。 ■ダークな性格の持ち主にはそれぞれ得意な課題領域がある。また、人々の注目を集める可能性があり、自らの行動が名誉や評判などの見返りを得ることができる場合に、ダークな性格の持ち主たちは他者のためになるよう向社会的な行動をする可能性があることも指摘されている。うまく工夫することで組織や集団に役立つ仕組みを考える余地は存在すると言える。 ■ダークな性格の持ち主は制限が少なく自律性が高い職場、また周囲から評価されるような職場で満足度が高くなる傾向がある。 ■どうして人間の集団には、一見して問題を生じさせるような性格が残っているのか。もしも、この性格が社会の中で生存に不利であり、婚姻や子供を残すことに影響するようなことがあり、かつその社会が何世代にも渡って継続するのであれば、この性格を形成する遺伝子は淘汰されていくはず。しかし、実際にはそのようなことは生じていない。人類がこれまで生存してきた歴史の中で、ダークな性格が何らかの形で他の性格よりも有利になる場面が何度も訪れてきたのだろうと想像できる。
どういうことか分かりたくて読んだら後半思いがけず救われた。この本では、ダークな一面を自分や他人の中に見ることがたくさんあって、時に傷ついたりもするけど、必要悪とはよく言ったもので、役に立つこともあるということと、一つの「悪」とされる要因は他のプラスやマイナスの要因とも絡んでるから、嫌だったとしてもそ...続きを読むれだけを排除するのは無理なんだな〜っていう2点を理解した。「悪」が遺伝や環境が起因するのかという研究も載ってて興味深かった。まぁ要因はもちろんないとは言えないけど、その上で自分がどう生きようかってことなんよな結局。
どちらかというと心理学の本に近い。 ダークな性格の解説よりかは、ダークな性格と呼ばれる要因になる要素を深く掘り下げている。 誰かを想像しながら読むと面白い。
周りにいる嫌な人の頭の中のメカニズムを理解しやすかったです。ダークテトラッド(マキャべリアニズム、ナルシシズム、サイコパシー、サディズム)と呼ばれる四つのダークな性格はどんな人でもスペクトラム状に持ち合わせてはいるが、その強度や組み合わせによって心理状態も人それぞれ異なるし、性格が悪いと呼ばれる人た...続きを読むちも出てきてしまうんだなと解釈できました。面白かった!
「やな奴、やな奴、やな奴!」これはジブリ映画「耳をすませば」の劇中で主人公の月島雫が発したセリフだが、おそらくみなさんも社会生活の中で同じような感情を抱く相手がいると思う。 そのように感じる対象のことを仮に「性格の悪い人」としよう。ではそもそも「性格が悪い」ということの定義ってなんなのだろうか? ...続きを読むこの本では一貫して「ダークな性格」と称していて、定義と言っていいのかはわからないが、その人の行動や言動がどのような結果に結びつくかで判断されているとのことだ。 私としてはその人の行動が私利私欲のために故意に誰かに害をもたらすものであればその人は「性格が悪い」と言って差し支えないのではないかと感じる。 しかし、上記のような場合を除いたとして、この本で語られている「ダークな性格」は社会、特にビジネスの面では結構役立つ気質であるものとも思う。 特に後半に書かれていた「人類にとって邪魔なものならその遺伝子は淘汰されているはず」というのはまさに真理なのではなかろうか。 我々は簡単に「あいつは性格が悪い」と言ったりしているが、それって単純にただ自分が気に食わないだけで真に性格が悪い人なんてこの世にはそんなにいないのだ。 この本を読んだからってすぐに「苦手」「嫌い」な人への態度を改められるわけではないが、少なくとも以前より「理解」はできるようになったと思いたい。
マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシズムの共通する特性を待つダークトライアド この言葉を初めて知りました。 まわりをコントロールしようとするマキャベリアニズムは、スティーブ・ジョブズやイーロンマスクの様な人たちにも当てはまるという。確かに、この様な人たちが、常人と同じ様な思考であったなら、今の様...続きを読むな社会にはなっていなかったかもしれない。 恋愛の話やマッチングアプリで、ナルシズムの話が出てきて、興味深かったです。 人にはダークな性格な部分もあれば、人に寄り添うとする部分もある。また常に正しいとをしようと思い上手く行かない時に、ダークな一面で正しいことを否定することで、その人が救われることもあるかもしれない。まわりは、たまったものではないかもしれないけど。そういった気持ちを人は、行ったり来たりすることで、安定するのではと思ってしまう。 誰しも持つダークトライアドに気付き、コントロールすることも大切
結局性格が悪いとはどういうことだったんだ…? 人間だからね仕方ないねみたいなことしか分からなかった 読解力が無くてごめんなさい
性格の要素や用語など分かりやすく説明してくれていて、心理学ミリしら勢は「ほえー!そうなんやー!」と楽しく読みました。 悪いとされている性格のことをまとめて『ダークな性格』と表現されていることに厨二心がくすぐられました。マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズムとかね、厨二心くすぐられる。 2章3...続きを読む章あたりの、ダークな性格の人たちの社会での立ち居振る舞いの傾向の話は、あまり新たな発見もなく…まぁそうやろな…という印象でしたが、ダークな人物の内面以降また面白くて満足度高かったです。ダークな性格の人たちって、創作物ではカッコいいし、現実にも我が道を行ってるイメージでしたが、実は内面で苦悩してて孤独だったりするんだなぁと。 遺伝の話は知らない知識ばかりで、ダークな性格関係なく面白かったです。子育て中なので遺伝と環境の話にめちゃくちゃ興味惹かれてしまう。 ダークな性格のキャラクター造形について理解が深まるかなぁと読み始めたのですが、生身の人間の生きやすさとか社会について考えさせられる読み口でした。
心理学では認知心理学の中にパーソナリティ心理学を研究する分野があるらしい。そして、海外では研究が進んでいて、性格が悪い事自体を否定する訳ではなく、人類の進化の過程で淘汰されてきた訳ではなく残ってきているから、必要だよね、みたいな感じで受け止めた考え方をしている。心理学でいう性格悪いは、マキャベリスト...続きを読む、サディスト、サイコパス、あとなんかもう一個、に分けられるらしい。人を性格で分類分けしたり、この性格はこの傾向がある、みたいな事を研究してることは分かった。で、実生活にどう活かせるか、でいうと、やっぱりそういう性格以外にも色んな性格とか才能とかあるけど、そういうのも成長と共に変化するし、先天性のものじゃないよって認知する事がまず大事って事。それによって、そのメタ認知が働いて、頑張り続ける、やり続けるのが嫌になったりできなくなったりした時に、モチベに繋がるから人生がうまくいくようになるんやと思う。 そういう努力があって、性格悪くても成長遂げたら直る人もおるから、私もへこたれないようにしようと思えた。
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「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学
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小塩真司
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