大野裕のレビュー一覧
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うつ病について知りたい人におすすめ。
・複数の当事者の体験談がマンガでまとめられており、読みやすい。当事者本人のコメントも掲載されているため、症状や日々の苦しさを具体的にイメージしやすいと思った。
・個人の体験談は実感が伝わりやすい反面、内容が偏りがちだが、この本では複数の事例を扱っているため、イメージしやすさと網羅性を両立している点がよかった。
・「どのような声かけや対応が助けになったか」が複数紹介されている。人によって合う・合わないがあると思うので、複数あるのがよかった。
・当事者だけでなく、家族や周囲の人が抱えやすい悩みや困りごとについてもまとめられている。うつ病は周囲にも大きな負担がかかる病気であるため、支援者側の視点が含まれているのがよかった。 -
Posted by ブクログ
・ 「不安」はシャボン玉ニャ。そのうちなくなる
反すう状態のときには、いくら考えてもこころのエネルギーを消耗するだけで、前に進むことができません。
ぐるぐる思考になっていたら、「これは反芻だ」とつぶやく
・「不安」は現実以上に危険を大きく考えてしまっていることもある。失敗が怖くてとった行動のため、自らうまくいかなかったと考える状況を作り出し、自分を追い込んでしまう。
絶対・いつも、と言い切れることなどない!よいこと、よくないことをしっかり受け止め、その結果をどう生かすかを考える。
・外から内へのアプローチ。気持ちが楽になる行動は、やってみないとわからない。無駄かもしれないが、スモールステップで何でもやってみる。映画見る。草むしりする。
・危険を過小評価するということではなく、かといって過大評価して恐れすぎることもない。的確に判断をすることが、こうしたときは必要。現実に足を踏み入れて問題にとり組むときには、簡単なことから段階的に実施
・こまったときには誰かに話す。人がいちばん幸せを感じるのは、人のためになにかができたときなので、相手もハッピーになる。 -
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今私は鬱病ではないんだけど、いつなるか分からないし、自分の大事な人が鬱になるかもしれないから、ならないように予防しながら生きてるんだけど、この本は鬱病関連の本で一番良いと思った。10年以上前に書かれた本だけど。ちょっとググったら、皇后雅子様の長年の主治医らしい。
大野裕(おおの ゆたか)
精神科医。国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問。一般社団法人 認知行動療法研修開発センター理事長。1950年、愛媛県生まれ。1978年、慶應義塾大学医学部卒業と同時に、同大学の精神神経学教室に入室。その後、コーネル大学医学部、ペンシルバニア大学医学部への留学を経て、慶應義塾大学教授(保健管理センター)を務めた後、2011年6月より、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長に就任、現在顧問。現在、一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。近年、精神医療の現場で注目されている認知療法の日本における第一人者で、国際的な学術団体Academy of Cognitive Therapyの設立フェローで公認スーパーバイザーであり、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、日本ストレス学会理事長、日本ポジティブサイコロジー医学会理事長など、諸学会の要職を務める。2001年からは、日本経済新聞にてコラム「こころの健康学」を連載中。著書に『こころが晴れるノート』(創元社)、『はじめての認知療法』(講談社現代新書)、『マンガでわかりやすいうつ病の認知行動療法』など多数。
はじめての認知療法 (講談社現代新書)
by 大野裕
とくに、うつ病のときには考え方が極端に悲観的になって自分を苦しめています。だからといって、「自分の考え方が悪いからうつ病になっているのだ」と考えないように注意してください。これもまた、自分を責める悲観的な考え方の典型例です。悲観的に考えるというのはうつ病の症状です。うつ病の人が好んでそのように悲観的に考えようとしているわけではありません。
うつ病にかかっている本人が気にするだけではなく、周囲の人が、「マイナスに考えるのが悪いんだよ。考え方を変えないとダメだ」と 諭すことがよくあります。しかし、こうした言葉自体がうつ病の人の気持ちを追いつめることになります。考え方を簡単に変えられるようであれば、その人は、そんなに苦しまないですむはずです。わかっていても変えられないからこそ、苦しんでいるのです。
ここまでに、うつや不安を強く感じるようになっているときには、認知が極端に偏っているということを書いてきました。それでは認知の偏りに、私たちはどのようにすれば気づくことができるのでしょうか。
認知とは、ものの受け取り方や考え方といった意味だということは先に書きました。認知は、自動思考とスキーマの二つのレベルに分けて考えることができます。自動思考は比較的表層的なもので、ある体験をしたときに瞬間的に頭の中を流れる思考やイメージを指します。自然に、そして自動的にわき起こってくる考えやイメージという意味です。認知療法では、この自動思考を手がかりにしてこころの整理をしていきます。
私たちは、自分なりの思い込みの世界に閉じこめられているとつらくなりがちになります。一方、そうした思い込みの世界から少し自由になってバランスよく考えられるようになれば、こころは元気になってきます。 うつ状態のとき、私たちは、自分を責めるようになっていますし、人間関係にも自信をなくしています。そして、将来についても、どうしても暗く考えてしまうようになってしまいます。
このように、自分自身、周囲との関係、将来の三つの領域に対して悲観的に考えるようになっている認知の状態を、アーロン・T・ベック博士が「否定的認知の三徴」と呼んだことはすでに紹介しました。そのように悲観的になって悪い面にばかり目を向けているようになると、ますますこころの元気がなくなっていきます。そうしたときに考え方を変えて、少しでも良い面に目を向けられるようになると、気持ちが楽になってきます。
ところが、うつの状態になると、自分の良いところが目に入らなくなり、欠点ばかりが目につくようになってきます。私たちは、他の人の前では通常、取り繕って良い面しか見せないものです。ところが、自分に対してはそのように取り繕えないため、欠点が次々と目に入ってきます。
将来の出来事にしても、うつのときには極端に悲観的に考えてしまいます。私たちの生活の中で、これから何が起こるのか、そんなに簡単にはわかりません。良いこと、良くないこと、予想外のことがいろいろと起きてきます。ところが、うつ状態になると、これからずっと良くないことが起きるに違いないと決めつけてしまうようになるのです。
ご自分のうつ病体験を『やまない雨はない』(文藝春秋) という本にまとめた気象キャスターの 倉 嶋 厚 さんは、講演の中で「天気予報も当たらないけど、人生予報も当たらない」とおっしゃっていました。三年前、五年前に自分が予想していたことを思い出していまと比較してみてください。思いがけない出来事が結構起きていることに気づくと思います。
思い切って行動すると、意欲がわいてくる
うつ病は楽しめない病気です。また、動けなくなる病気です。そのために状況はますます悪化していきます。その状態を改善するためには、少しずつでも楽しめる可能性を探り、動くことが大切になります。最近の脳科学では、何もしないでいると、何かをしようという気持ちにならないことがわかっています。何かをしたいという気持ちになるためには、行動を通して報酬系と呼ばれる脳のサーキット(回路) を刺激する必要があるのです。
うつ病のときには、休養が大事だと言われています。それなのに行動をしようというのは、矛盾しているのではないか。そう考える人もいるのではないかと思います。 たしかに、うつ病で体が動かないときには休養する必要があります。エネルギーがなくなっているのに無理に動こうとしても、動けるものではありません。そのようなときに、なんとか動かなくてはならないと考えて、それができないと、いかにも自分がダメな人間のように思えて、ますます落ち込んでしまいます。まずはゆっくり休んで、エネルギーを蓄えることが大切です。
「話はよくわかります。でも……」と考える人は、これまた多いでしょう。「でも、身体を動かせていたら、こんなふうにしていませんよ。何があっても楽しくないから、こうしているんです。何もしないんではなくて、何もできないんです」 そうなのかもしれません。しかし、その一方で、こうした考えが行動を邪魔している可能性もあります。 このような考えを、「自動思考」ということは、これまでに学んできました。とくに、私たちが「でも……」と考えるときには、気持ちが後ろ向きになっていることが多いので注意が必要です。まずは、こうした考えがどの程度当たっているか、現実に目を向けながら確かめることが大事だということはこれまで書いてきたとおりです。 それに、何もしないでいるとつらい状態が続く可能性が高いのです。だとしたら、この自動思考がどの程度正しいのか、どのように考えるのが現実的なのか、確かめてみたほうが良いでしょう。
これまでに好きだったことを、ひとつでも二つでも試してみてください。それも、完全にすべてをするのではなく、できることから少しずつ始めてみるようにします。旅行が好きな人であれば、最初は、観光地の写真集を見たり、旅行に関係したエッセイに目を通したりしてもいいでしょう。これまでの旅行で撮った写真を見たり、旅行に一緒に行った友達と電話で話をしたりするのもひとつの方法です。一人で楽しむのも良いのですが、他の人と一緒に楽しい時間を過ごすことができれば、もっと良いでしょう。
これまでに体験したことがなくても、これができれば楽しいだろうな、充実した時間が過ごせるだろうなと思えるものを選び出してみてもいいでしょう。もしどうしてもそうしたものが思いつかないときには、デパートやファッションストリートをぶらぶらと歩いて、楽しめそうなものや達成感を持てそうな趣味を探すのもひとつの方法です。
このようにして、楽しいことや達成感を持てそうな行動がはっきりしてくれば、それを毎日の計画に組み込むのです。ここでも、一度に多くのことをしようとしないことです。たくさんのことをしようとすれば、混乱して失敗する確率が高くなります。可能性のある行動をいくつか選んだ後は、簡単にできそうなものから優先順位をつけて、ひとつずつ順番にこなしていくようにしてください。
まずは、腹式呼吸です。不安なとき、緊張したとき、気持ちが沈み込んだときに、静かに座るか横になって、お腹でゆっくりと深い息をすると気持ちが落ち着いてきます。それを少し練習してみましょう。右手を胸に、左手をお腹に当て、その左手、つまりお腹だけが動くように、深くゆっくり息をします。お腹で深くゆっくり息をしてください。数を数えるのも良いでしょう。
どうしても腹式呼吸ができないときには、思い切りため息をついてみてください。お腹の息を吐き出せるので、自然に腹式呼吸を始めることができます。
私たちは、一人で生きていくことはできません。他の人に助けられたり、自分が助けたりしながら生きているのです。それは、現実的な面でお互いに助けあうということでもありますし、そうしたことがなくても、ただそばにいるだけで気持ちが和らいだり、力がわいてきたりという、目に見えない心理的な面での助けあい、支えあいを日常的に体験することもあります。
このストレス評価表を見てもうひとつ気づくのは、良い体験をしたときも私たちはストレスを感じるということです。結婚は五〇点で解雇よりもストレス度が高くなっていますし、妊娠(四〇点) や出産(三九点) も強いストレスを感じるとされています。たしかにこれらは良い体験なのですが、新しい環境の中で新しい人間関係を作り上げていかなくてはならないというストレスもあるのです。しかも、こうした体験はまわりの人たちから祝福されるために、つらい気持ちを抑え込みがちになるので注意が必要です。そのためにも、自分の考えや気持ちを客観的に考える認知療法が役に立ちます。認知療法の創始者のアーロン・T・ベック博士が『Love is never enough(愛だけでは決して十分でない)』という本を書いています。夫婦にとって愛はもちろん大事だが、お互いの気持ちや考えを理解して助けあっていけるような冷静さも大切だという内容の本です。
それにくらべて、ずっと以前にかかっていた歯科医院では、行くのがつらくなる言われ方をされました。「こんな磨き方をしていると歯がどうなると思いますか?」「あなたはきちんと磨けていると思っているんですか?」次々と繰り出される質問は、容赦なく私の罪悪感を刺激するのです。 私は「こんな磨き方をしていると、どうせ歯がダメになるのでしょうね」「きちんと磨けていないからそんな言い方をするのでしょう」とこころの中で反論するのですが、結局は口に出せないままモヤモヤした気持ちばかりがたまっていきます。
その歯科衛生士は一生懸命指導しようと思っているのでしょう。一方的に説教するのではなく、質問しながら指導していくのが良いと教わったのかもしれません。しかし、わかり切ったことを質問されると、見下されているような気持ちになってきます。「絶対言うことなど聞くものか」という反発心さえわいてきます。私はすぐにその歯科医院に通うのをやめてしまいました。
スキーマに挑戦する最終的な目的は、柔軟性のある自分らしいスキーマを作り出すことにあります。たとえば、「何でも完全にできないとダメだ」「すべての人から愛されないといけない」といった極端な考えを、「上手にできるようにすることは大事だが、生身の人間だからできることもあればできないこともある」「人に愛されることは大切なことだが、すべての人と完全に同じように考えることはできない。仲の良い人でも考え方が違うことがある。意見が違っても、必ずしもけんかになるとは限らない。自分の意見を言って、受け入れられる可能性もある。一時的にうまくいかなくなっても、時間が経てば問題が解決することもある」といった柔軟で現実的なスキーマに書き換えることができれば、ずいぶん気持ちが楽になるはずです。また、そのときに、書き換えたスキーマを文章にして残しておいて、後で必要に応じて読み返すようにすると、次第にそれが自分のものになってきます。
適度な運動は睡眠リズムに役立つだけでなく、抗うつ効果や抗認知症作用があります。運動と言っても、つらいときに無理に身体を動かす必要はありません。何もしないで横になっているのではなく、部屋の中で身体を動かしてみるだけでも良いでしょう。 -
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鬱病を経験すると、色彩豊かな世界が灰色に見えます。
「休め」と言われても休み方もうまくわからなくて、美しい風景を見ても何も感じない、ご飯が美味しくない。自信もなく、達成感もうまく感じられず、今日を生きるだけで精一杯なのに明日のことなんて考えられなくて、次第に絶望が押し寄せるようにやってきます。
そんな自分を救えるのは、抗うつ薬でも周囲のだれかに寄りかかることでもなく、自分だけです。
そのためには、鬱病というフィルターを通して見ている世界、そして自分を知ることがたいせつで、この本には当事者の声がたくさん収録されています。
この本を読んでから、「この症状で苦しんでいる人は他にもいて、自分が悪いわけじゃなかったんだ。」と思えるようになりました。
病気に向き合うことは怖いけれど、苦しいことは苦しいと割り切って、できることに少しずつ取り組んでゆくことが、寛解へのいちばんの近道へなると信じています。 -
Posted by ブクログ
作業療法士のコミュニケーション力を見て、会話の基礎となるものが認知行動療法にあるのではないかと興味を持ち、手にした本。
認知行動療法を学ぶにはお得すぎる程の情報量。論文の出所もしっかり記載されていて信頼できるし、簡易型認知行動療法ができる人を増やす目的で作られた本であるため、さらにホームページに必要な資料や動画があり具体的に勉強を進めやすい工夫もされている。
独学ではもちろん難しさはあるが、1度さらっと目を通した後にノートに書きこむなどして本を2、3回読み込む工夫をすれば非常に整理されていることに気づく。これを、臨床やプライベートでも活かせれば、より人に寄り添いやすく、事実を提示しながら冷静に会話ができると思う。