川越宗一のレビュー一覧

  • 熱源
    19世紀、どこの国でもない島はロシアのサハリン、日本の樺太になった。
    激動の時代、文字も持たない、野蛮で滅びゆく民と言われたアイヌの人々と、ロシアに母国語もアイデンティティも奪われたポーランド人の人生を描く。
    自分とはなにものか。主人公たちは何度も何度も打ちのめされながら、民族の未来を託す子らを思っ...続きを読む
  • 熱源
    久しぶりに小説で胸が熱くなりました

    時代や国に翻弄されるアイヌやポーランド人
    蔑まれ、哀れまれ、理不尽に押しつぶされそうになろうとも心に熱を持って生き続ける

    この本の中にはたしかに「人間」がいます
  • 見果てぬ王道
    孫文を支えて 日本人が いたことは

    なんとなく 知っていました。

    その人の 自伝があったので

    ぜひ 読んで見たかったです。

    感想は 良かったです。

    男としては 憧れる生き方ですね。

    しかし 家族から見ると

    やめてほしいと 思いますね。

    もう少し 仕事のことが 書かれているかと思いまし...続きを読む
  • 見果てぬ王道
    とても面白い作品でした。
    孫文のパトロンとして知られる梅屋庄吉の一代記です。時代背景等も綿密に調査されて書かれており、学び多き小説でした。この時代の日本も中国も国作りの黎明期、創成期にあたり、個人が大きな事をし得た時期であったので、男子であれば大変ではあるものの面白い時代だったろうなと羨ましく感じま...続きを読む
  • 海神の子
    明から清にかけての中国と海賊の話。
    中華と夷。親と子。
    実話がベースと知り、エンターテイメントとして成立させた腕に感服。
  • 海神の子
    反清復明のため抵抗運動を続けた鄭成功の幼少期からの物語です。信念をもって自分たちの居場所を作ろうと戦った人の生き様に胸が熱くなる小説でしたが、一方で、長期にわたり抵抗を続ける人生とはどんなものなのだろう、毎朝どんな気持ちで目覚める生活なんだろう、と考えてしまいました。
  • 天地に燦たり
    豊臣秀吉が天下を取り、朝鮮出兵を行った頃。朝鮮国の卑賤の身である明鐘、島津に属する武士である大野久高、琉球国の商人(密偵)である真市のそれぞれが、朝鮮出兵での倭と朝鮮・大明との戦争、そしてその後の倭・琉球との戦争に巻き込まれていく。それぞれの文化や思想に触れながら、人として生きるとはどういうことかを...続きを読む
  • 海神の子
    国姓翁合戦は昔耳にしたことがある。本書の最終章にある浄瑠璃の世界だ。母親の松から生まれた福松の一生だ。波瀾万丈の一生を描いた感動の作品だ。徳川幕府が出来て間もない時代壮大な一生を送った生きざまは凄まじいがこれもまた自分が選んだ道だ。良い作品に出会えて感謝❗️
  • 天地に燦たり
    物語は、薩摩の島津家が豊後の大友家との争いを制して九州全土を傘下に収めようかというような時期から起こる。九州での戦乱は豊臣秀吉の「鎮西入り」で収束する。そして朝鮮出兵の凄惨な戦いが在り、豊臣秀吉が薨去して収束する。やがて関ヶ原合戦を経て徳川家康が天下を取るが、薩摩の島津家は琉球国へ侵攻する。そういう...続きを読む
  • 熱源

    寄り掛かれるもの

    じわじわと自分たちの生活が脅かされていく恐怖。文明的でない自分たちは劣っているのか。子供たちが学校で日本人として教育され「天皇陛下万歳!」などと言うようになっていくさまを見て、アイヌの人々の感じていたであろう寂寥感、屈辱感、無力感を考えると胸が詰まる。

    しかし、そこに共感できるのは今の日本の日常に...続きを読む
  • 熱源

    良かったよ

    久しぶりに、意義深い小説を読んだ気がする。読みやすかったし。
  • 見果てぬ王道
    どう切り取っても思想、政治がが含まれてくる難しいテーマの中で、孫文を陰に日向に支え続けた日本人から語るというのは絶妙な距離感だし、もうそれだけでドラマ生まれてるすな。
  • 熱源
    壮大なストーリー、見慣れない名前の登場人物など読む前には多少ビビった。読み始めるとページがどんどん進む。アイヌのこと、もっともっと知りたくなった。
  • 熱源
     明治維新から、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦までの歴史を、樺太とポーランドを主な舞台として読み直すことができた。アイヌについて、これから色々読むきっかけにしたい。
  • 熱源
    戦争や侵略によって脅かされるアイデンティティ。
    物語の登場人物は、これをもう一度掴み取るため必死に足掻き続ける。その首尾一貫した生き様が非常に熱かった。
    己の信念に真っ直ぐに従って、華々しく生を全うしている姿が輝かしくて羨ましく、自分も少しでもそうありたいと思った。
    タイトル通り大変熱い物語だった。...続きを読む
  • 熱源
    樺太(サハリン)が舞台。

    虐げられるアイヌを中心として、登場人物各々が、熱い思いを持ち生き続けている。
    熱量が、最後まで衰えることはない。
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
    古河公方 足利家と、忍び さくら一族を描いた歴史小説 アンソロジー、連作短編集

    史実の裏側では、こういった暗躍もあったかも知れない。時代に想いを馳せました。
    巻末の系図が有難いです。
  • 熱源
    故郷と誇りを追い求めたポーランド人とアイヌの冒険を描く壮大な人間讃歌
    その願いと決意は、読む人間の心に、静かで力強い熱を宿す。
    確かに現実の歴史に存在した、登場人物達の誇り高い生き様。その過去に僕たちは報いなければいけない
    僕たちが今隣人にできることは一体なんだろう。

    以下印象に残ったシーン

    ...続きを読む
  • 福音列車
    川越さんらしい面白い作品でした。
    短編ながらもそれぞれ歴史に翻弄されながらも逞しく生き切るという人々が美しく描かれていました。
    本流でない歴史に暗かったので、
    教科書で学ばない歴史背景を学び、今回も感嘆しました。また今後の作品も楽しみにしています。
  • 福音列車
    常に世界の何処かで勃発する戦争。戦闘をせずに人間の業が満たされることは無いのか。5つの物語の登場人物は、みな戦争を望まない人たちだ。史実を知る反面、胸が裂ける。