川越宗一のレビュー一覧

  • 福音列車
    望む望まずに限らず、国やコミュニティの戦いに巻き込まれていく人々の物語四編。自分の意思で戦いに臨んでいく主人公もいいが、巻き込まれ系は逆にリアリティがあるように思う。
  • パシヨン
    秀吉の世の終わりのキリシタン弾圧から江戸時代初期のキリスト教禁教が発せられた中、実在した禁教時代の最後の邦人司祭と言われる小西マンショと、禁教の遂行者としてのキリシタン奉行、井上正重という2人の対象的な存在を中心に物語は進む。様々な立場、人種、考え方の人々の人生を多層的に描きながら、事実を交えつつそ...続きを読む
  • 見果てぬ王道
    中華革命の象徴的存在、孫文を主に金銭面で生涯支え続けた梅屋庄吉と、その家族の物語、と言うと、小難しい革命の話かなと思ったら、ほぼほぼ庄吉の商売繁盛記だった。それはそれでおもしろいんだけど、商売が何度かの失敗を経てだけど、結構サクサク大金持ちになったり、そもそも孫文にそこまで入れ込んだ理由がわからなく...続きを読む
  • 見果てぬ王道
    『熱源』は良かったのですが、どうも川越さんとは相性は良くないようです。
    孫文を支えた日本人が主人公の話と聞き手にしました。孫文という名前は良く聞くけど現実にどんな人だったのかに興味があったのですが、途中からは走り読みになってしまいました。
    どうも主人公の梅谷庄吉に魅力がないのです。日活の前身を立ち上...続きを読む
  • 熱源
    昔の北方領土対決を感じた。
    アイヌは日本に
    ポーランド人はロシア人に
    国の問題は今もあるけど、昔の方が大変そう
    そんな中で、自分を見失いつつもどこかに、熱を感じ、それを頼りに生きていく。
    長かったし、横文字が多くて大変だったけど
    最後はタイトルも回収されて、スラスラ読めましたっ
    熱源、良い言葉
  • 熱源
    史実を元にしたフィクションというのを知らずに読み始めたが、結構しんどかった。
    劇的なことが起きてるのに、なんだか入り込めなかったのは何故だろう?
  • 見果てぬ王道
    歴史を知る小説としては面白かった。梅屋庄吉が孫文の革命への情熱に感化され金銭面で支援するのだがあまりに無頓着で無鉄砲。トクさんや登米さんらの日陰の苦労と比べてしまい庄吉が劣って見えた。
  • 海神の子
    主人公「陸では生きられない者の居場所を作る」
    ???「おまえの作る天下からも、弾かれる者はいるぞ?」

    「国性爺合戦」のモデルとなった英雄・鄭成功を描く……という触れ込みで拝読しましたけど。
    歴史小説というのはアレか?
    キャラの気持ちを3文以上掘り下げたら作者は血を吐いて死ぬ呪いでもかかってんのか?...続きを読む
  • 海神の子
    先日読んだ『熱源』がなかなかだったので、もう一冊。
    日本では近松門左衛門作の人形浄瑠璃『国性爺合戦』で有名な鄭成功。中国人の父・鄭芝龍と日本人の母・まつの間に生まれた鄭成功は、清に滅ぼされようとしている明を擁護し抵抗運動を続け、台湾に渡り鄭氏政権の祖になります。そんな鄭家二代の物語。
    歴史的事件の流...続きを読む
  • 海神の子
    11月-12。3.0点。
    鄭成功の物語。産まれてから、明を復興させる戦い、晩年までを描く。
    スピード感あって読めるが、いかんせん馴染みのない人物だったので、頭への入りが弱めだった。
  • 海神の子
    中国で明から清へと王朝が変わる中、海賊の松(まつ)の子供である福松(ふくまつ)が、中国や台湾を舞台にして成り上がろうとする物語。海神とは福松の母親のこと。その子である福松が、人々と出会い、清と戦をしながら福松の志(民に居場所をつくること)を一貫して実現しようとする。福松が少年時代に出会った甘輝(カン...続きを読む
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
     著名作家のアンソロジー『足利の血脈』ですが、副題で、さくら一族の聖戦と付け加えたい。鎌倉公方〜古河公方・堀川公方の興亡と支える忍者の物語。読後としては足利の歴史よりさくら一族の伝奇。面白い企画かと思いますが、個人的には各作品の波が合わず、一人の作家の連作の方が読みやすかったのでは思います。しかし第...続きを読む
  • 海神の子
    「天地に燦たり」、「熱源」と魂を揺さぶられた川越宗一氏の新作とあって、期待して読み始めた。前2作も被差別民や生まれつきどうしようもないものを背負わされた人々が、諸々翻弄されながらも懸命に生きる姿が印象的な作品だけど、今回も基本設定は似ている。舞台は日本から台湾、中国へと移り、江戸時代初期、中国では明...続きを読む
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
    足利義教は時宗の阿弥を諜報網のように使っていた
    と明石散人先生が書いていた気がする(未確認)

    万寿王丸主役、自分を囮にして赤松満祐邸に義教を
    呼びつけ暗殺した
    本作において阿弥は踊念仏の集団として万寿王丸の
    潜む郷に乗りこみ、義教の手で一緒に斬殺された
    証拠隠滅らしい
    しかし、諜報網を早く手放した...続きを読む
  • 天地に燦たり
    秀吉の唐入りが物語の舞台となる。

    主人公は島津の武将【樺山久高】、靴作りの仕事に着く朝鮮国被差別階級の青年【明鐘】、琉球国の密偵【真市】

    この三人の話が順番に回り次第に絡まり合っていく事になる。


    秀吉の朝鮮出兵について考えさせられた。
    太閤立志伝に感心するものがあったとしても、大義無き侵略戦...続きを読む