川越宗一のレビュー一覧
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日本に約3000基ある灯台の役割や多様な価値について知ってもらおうという趣旨で進められている「海と灯台プロジェクト」。主体は一般社団法人・海洋文化創造フォーラムで共催が日本財団と海上保安庁である。そのプロジェクトの一環として企画されたのが、灯台が果たしてきた地域固有の役割や機能、存在価値を物語化して知らしめようという取り組み。本書はそれに基づき19基の灯台を6人の著名な作家が分担して現地取材し、紀行文集として取りまとめたもの。
灯台の建築技術や歴史、地域との関わりについて様々な観点から語られ、読み進めるうちに少しずつ灯台への関心が高まってくる。
しかし、門外漢の私には歴史作家や描写力のある作家 -
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国父と呼ばれる孫文、こんなになんというか正直パッとしない、始まる前からオワコン感の強い人物だったのか、、、(フィクション部分あるとはいえ)と結構ふふっとしながら読みました。
同作者の『熱源』、また小川哲さんの『地図と拳』あたりを読んで、高校世界史の図説タペストリーを読み読み中国の近代革命については少々勉強してあたので、さらに学びにもなりました。
歴史の教科書だけではどうしても袁世凱がトップに立ったあたりとか??なんでそうなる?と思った記憶がありますが、当事者に近しい梅屋庄吉も“ぽかんと口をあけた”という反応になること、とても納得して歴史が文字だけでなくストンと落ちました。
梅屋庄吉が主人 -
Posted by ブクログ
秀吉の世の終わりのキリシタン弾圧から江戸時代初期のキリスト教禁教が発せられた中、実在した禁教時代の最後の邦人司祭と言われる小西マンショと、禁教の遂行者としてのキリシタン奉行、井上正重という2人の対象的な存在を中心に物語は進む。様々な立場、人種、考え方の人々の人生を多層的に描きながら、事実を交えつつその過程を上等のフィクションを積み上げ、一つの物語に昇華させていく川越宗一氏得意の構成だが、今回は歴史的な知識としても多少はあり、終わりが見えていただけに、途中からどうやって落とし込むのかという目線になってしまい、素直に物語を楽しめない部分はあった。
しかし、小西マンショと井上正重という二極的な存在を -
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『熱源』は良かったのですが、どうも川越さんとは相性は良くないようです。
孫文を支えた日本人が主人公の話と聞き手にしました。孫文という名前は良く聞くけど現実にどんな人だったのかに興味があったのですが、途中からは走り読みになってしまいました。
どうも主人公の梅谷庄吉に魅力がないのです。日活の前身を立ち上げ、孫文に対しては1兆円とも言われる支援を行い、孫文没後、意気消沈した庄吉の為に衆議院議員、華族、社員など大勢が激励会を開いてくれる。そういうエピソードからは商売人としてやり手であるとともに、義侠心が強く、人望が厚かったと思われるのですが、そこらがうまく描かれていません。ただただ、文中で奥さんに評さ