川越宗一のレビュー一覧
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普段は、フィクションで史実が書き換えられているようなものが多いので歴史小説は読まないが、今回は、憲法改正の下準備が進むなか大日本帝国憲法のことを知りたくて読み始める。伊藤博文に引き上げられ、大日本帝国憲法を起草した、肥後の最下級武士であり漢学者だった井上毅の物語。大日本帝国憲法の構造と問題点、明治維新の立役者達のその後の行動を知ることができた。
小説最後の、大久保利通の子供、井上毅の部下でもあり、吉田茂の義理の父でもある牧野伸顕の回想、”大日本帝国憲法は、いっときに絢爛と輝いた法だった。そして国中のいたるところで起こった憲法の軽視や無視、曲解によって色褪せ、光を失ってしまった。”
伊藤博文が立憲体制構築を目指したものの、自分たちの藩閥政治を正当化し、政府から下野したライバルたちが起こした民権運動から議会から守るために憲法に仕組んだ仕組みが、政党政治の腐敗、軍部の台頭に利用され、太平洋戦争の惨禍に繋がった。憲法は、やはり大事です。
”法を編むとは国家を造ることと同義である。 ”
”国家の横暴から人民の権利を守護する。これぞ憲法ただ一つの意。この意を含まぬ法は憲法とは呼べませぬ。 ” -
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熱源』を読み始めたとき、まず感じたのは歴史背景の複雑さだった。アイヌ、ロシア、ポーランド、明治の日本と舞台が次々に変わり、最初は「今どこで何が起きているのか」がつかみにくく、戸惑いながら読み進めた。
しかし読み進めるうちに、この作品は歴史を正確に追う単なる歴史小説ではなく、「その時代を生きた人間たちの視点」を描く物語だと分かってきた。アイヌから見た日本、帝国の中で翻弄される個人たち、それぞれが葛藤を抱えながら生きている。正しさが一つに定まらない世界の中で、それでも人は選び、生きていかなければならない。
特に印象に残ったのは、登場人物たちがそれぞれの立場で「何を守るのか」を必死に考えている姿だった。文化や土地、信念や誇りは時代の中で失われていく。それでもなお、人間であることそのものを手放さずに生きようとする姿に、この作品の“熱”を感じた。
読後に残った言葉は「人と熱と誇り」という、人の物語だったと感じる。何を成し遂げたかではなく、何を残したか。誇りを持って生きられたか。その問いが静かに心に残る作品だった。 -
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人の故郷に対する誇りみたいなものを全然知らなかったんだなあって思った。地震とか戦争とかあると、住む場所を変えちゃえばいいじゃんって簡単に思ってた自分を殴りたくなった。平和に住んでいる時は分からないけど、住む場所には思い出があって文化があって人がいる、そして住んでいることへの誇りみたいなものがあるから、故郷を奪われることとか故郷を捨てなきゃいけないのは単なる引っ越しとは全く異なるんだって気づいたし、それに対する自分の想像力の欠如にびっくりした。
あと、独裁国家の正義は、やっぱりとんでもなく自分勝手で思いやりの欠片もないんだなって思ったのと同時に、正義を振りかざす側になるか振りかざされる側になるのかは運によるよなとも思った。マイノリティとして虐げられたなら、強くなってマジョリティーになるんだっていう大隈さんは現実的に国民を守るんだろうなと思うけど、そんな理をぶっ壊すんだっていう考えは素晴らしいと思った -
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登場人物が多くて少し難しかった
ほぼ舞台は樺太なんですけど、ロシアとか北海道とか
樺太アイヌとか北海道アイヌとか和人(日本人)とかロシア人とかポーランド人とかオロッコ(樺太の民族)とか色々盛りだくさんでした
長編ほど最後の感動も大きいんじゃないかと思って、この長い小説を選んだんですけど、(あと、ゴールデンカムイ好きが高じてアイヌ系)
長いけどテーマがひとつじゃなくて
あれしたりこれしたり南極調査に同行したり北海道に行ったりロシアに行ったり東京に行ったり
途中、これってもしかしてノンフィクション?伝記?とかって思ったけど、やっぱりさすがに小説みたいです
最後は良い感じに終わった感はあるけど、よく考えたらあの人はどうなった?とか多いし、なんか急に未来に飛んだイメージもあります
でもまあ途中は夢中になれたしこんなに長いのに私が読み切れたってことはそれなりに面白かったのかもしれないです
読んでもいいかもですけどこっちから人に勧めるほどじゃないです(›´ω`‹ ) -
Posted by ブクログ
扇谷上杉、北条氏を描いた富樫倫太郎「早雲の軍配者」の後に読んだ作品として最高だった。非常に混沌としていながら、戦国期の甲信越・関東の土台となった"古河公方"に纏わる連作短編アンソロジー。
1.嘉吉の狐:古河公方初代成氏-唯一の生き残りの前半生。足利義政への恨みと関東公方としての覚悟、それとかの有名な嘉吉の変のリンクが自然で良い。
2.清き流れの源へ:大人しい茶々丸というのが新鮮だったが、途中の豹変の過程が不明瞭で違和感。
3.天の定め:北条に抗い続けた晴氏。子への非情さと情の狭間で揺れ動く心情がよく描かれている。
4.宿縁:他と一線を画す荒山氏らしい独特な作品。源義家から描き、さくら一族の特殊能力というSF要素を加え、北条の乗っ取りを描く。
5.螺族の龍:こちらも独特な作品。荒唐無稽さではダントツ。天海和尚や曲直瀬道三を出す発想には感服するがさすがに突飛がすぎる。
6.大禍時:信長抹殺にさくら一族が関わっていたというストーリー自体は突飛だか、義氏の心情によくスポットライトが当たっており良作。気弱・優しい義氏の人間らしさが同情を誘う。
7.凪の世:江戸期・喜連川藩に足利の血脈が繋がっていく締めとなる物語。主役が高坂長内で、ラストがこれで良いのかとうショックが残る。