川越宗一のレビュー一覧

  • 熱源

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    物語の時代と範囲が広く、全体にまとまっているというより、個別の短編集的な感じの作品。人や民族は簡単には死なない、胸を張って生きていけばいいという言葉には心を打たれるし、未開人だからといって蔑む理由は何もないという指摘には深く考えさせられる。

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    2026年09月14日
  • 灯台を読む

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    全国各地の灯台と、その土地にまつわる歴史、風物、人々の営みを各作家が描き出すエッセイ集
    まさに『文章で読む灯台』
    まずは別の写真集やホームページ等で灯台外観を愛で、それから本書を紐解くと、写真だけでは伝わりきらない人の温度や、暮らしの気配を味わうことができる

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    2026年09月09日
  • 縁切りの宿 桂屋調べ帖

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    直木賞作家川越宗一さんによる連作短編時代小説
    どんなん書くんやろ?思って読んでみたら、なんかひっじょーにきれいな構成でびっくり
    逆に優等生すぎて若干物足りない印象
    わいはほら破天荒タイプやから

    でも本当に無駄なくまとまっている技術?には素直に感心もしました

    全部の文字が最後に繋がっている

    幕末から維新にかけてって時代も得意なのかもしれん
    この激動の時代に夫婦のあり方や女性の置かれた境遇や考え方がちょっとずつ変化していく感じが、上手く表現されていたように思います

    唸りました

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    2026年09月05日
  • 縁切りの宿 桂屋調べ帖

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    トテモ面白かったんだけど、題材が題材なだけに感情移入とまでは行かず。
    時代風景もよく書かれていて、良かった。

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    2026年09月04日
  • 絢爛の法

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    普段は、フィクションで史実が書き換えられているようなものが多いので歴史小説は読まないが、今回は、憲法改正の下準備が進むなか大日本帝国憲法のことを知りたくて読み始める。伊藤博文に引き上げられ、大日本帝国憲法を起草した、肥後の最下級武士であり漢学者だった井上毅の物語。大日本帝国憲法の構造と問題点、明治維新の立役者達のその後の行動を知ることができた。
    小説最後の、大久保利通の子供、井上毅の部下でもあり、吉田茂の義理の父でもある牧野伸顕の回想、”大日本帝国憲法は、いっときに絢爛と輝いた法だった。そして国中のいたるところで起こった憲法の軽視や無視、曲解によって色褪せ、光を失ってしまった。”
    伊藤博文が立憲体制構築を目指したものの、自分たちの藩閥政治を正当化し、政府から下野したライバルたちが起こした民権運動から議会から守るために憲法に仕組んだ仕組みが、政党政治の腐敗、軍部の台頭に利用され、太平洋戦争の惨禍に繋がった。憲法は、やはり大事です。
    ”法を編むとは国家を造ることと同義である。 ”
    ”国家の横暴から人民の権利を守護する。これぞ憲法ただ一つの意。この意を含まぬ法は憲法とは呼べませぬ。 ”

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    2026年08月16日
  • 熱源

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    ネタバレ

    いやーーーこれは、正直ブラックスワンに次ぐ面白さ。基本的に歴史に忠実に沿いながら、樺太で生きたアイヌの人達と、そこに関わる故郷やアイデンティティを揺らぐ人達。
    ロシアと日本の間に翻弄されながら、アイヌそのものの消滅に争いながら生きる人々。
    戦争がいかに不条理か、を形を変えて伝える。だからこの小説は主人公が次々に死ぬ。

    全然知らなかったな。アイヌの人達も、他の先住民族も、ロシアと戦ったポーランドの事も。
    途中、南極に行った話の白洲隊長の事とか事実だと知ってこの小説のすごさを実感した。
    重かったけど読んで良かった。

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    2026年08月15日
  • 熱源

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    主に樺太を舞台に、実在した人物をモデルとして、明治初期から太平洋戦争終焉までの70年間に渡り、アイヌ民族が持つ苦しみとポーランド人の苦しみをその時代と共に描く。
    ヤヨマネクフたちが、疫病や支配、差別など理不尽に苦しめられる中で、葛藤しながらも誇りを持って生きようとする姿に強く胸を打たれる。
    登場人物たちが次第に接点を持って行ったり、著名な歴史上の人物や史実と繋がっていくのが面白かった。

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    2026年07月28日
  • 灯台を読む

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    「海と灯台プロジェクト」というものがあることを初めて知った。GPSの発達により、役目を終えつつある灯台を利活用していこうという活動とのこと。読むほどに、灯台という施設が日本の近現代史と深く関わっていることが感じられ、使わなくなったからといってただ放置するのは確かにもったいないなと思った。そして何度か文中に登場する映画『喜びも悲しみも幾歳月』にも描かれた、灯台守という仕事の過酷さ。自動化によって現在はなくなったというが、むしろ2000年代まで存在していたことの方に驚く。

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    2026年07月06日
  • パシヨン 最後の司祭

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    心は、理を超える。
    人の心を動かすのは、言葉ではない。
    心から生まれる行動だ。行動から生まれる心なのだ。

    キリシタン「弾圧」という抽象的な表現によって闇に葬られた、人の痛み、そして身体的痛みとともに終わらされた人生。その星の数を想う。

    誰もが知る英雄にはならなかった。けれど、関わった人の心と記憶に残る人たちが、死ねない余生を「生きる」支えになった人たちが、確かにいたのだ。

    どんな場面においても人の痛みを知り、弱者の視点を持ちながら行動できる人間でありたい。
    読み終えて、切に願った。

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    2026年06月24日
  • 熱源

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    熱源』を読み始めたとき、まず感じたのは歴史背景の複雑さだった。アイヌ、ロシア、ポーランド、明治の日本と舞台が次々に変わり、最初は「今どこで何が起きているのか」がつかみにくく、戸惑いながら読み進めた。

    しかし読み進めるうちに、この作品は歴史を正確に追う単なる歴史小説ではなく、「その時代を生きた人間たちの視点」を描く物語だと分かってきた。アイヌから見た日本、帝国の中で翻弄される個人たち、それぞれが葛藤を抱えながら生きている。正しさが一つに定まらない世界の中で、それでも人は選び、生きていかなければならない。

    特に印象に残ったのは、登場人物たちがそれぞれの立場で「何を守るのか」を必死に考えている姿だった。文化や土地、信念や誇りは時代の中で失われていく。それでもなお、人間であることそのものを手放さずに生きようとする姿に、この作品の“熱”を感じた。

    読後に残った言葉は「人と熱と誇り」という、人の物語だったと感じる。何を成し遂げたかではなく、何を残したか。誇りを持って生きられたか。その問いが静かに心に残る作品だった。

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    2026年06月19日
  • 熱源

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    直木賞受賞作です。途中まで全く気づきませんでしたが、実は史実に基づくストーリー。南極点を目指すというあたりからまさかと思い、ジェミニ君に聞いてみると、ちゃんと主人公たちの名前が出てきました。アイヌやロシアに占領され、自国語を話すことを禁じられたポーランドの人などの自分たちの尊厳を守ろうとする熱い物語で、最終章の熱源は、この本のタイトルであるだけに素晴らしい内容で、この本を読んできてよかったと思わせられました!

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    2026年06月13日
  • 絢爛の法

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    もっと彼らは今からはぎょっとするような考えかたをしていそうな気がする。男女や身分や長幼やの縦軸の中で考えてたろうから。
    明治だとその違いをうっかり忘れそうになる。

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    2026年04月17日
  • 熱源

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    人の故郷に対する誇りみたいなものを全然知らなかったんだなあって思った。地震とか戦争とかあると、住む場所を変えちゃえばいいじゃんって簡単に思ってた自分を殴りたくなった。平和に住んでいる時は分からないけど、住む場所には思い出があって文化があって人がいる、そして住んでいることへの誇りみたいなものがあるから、故郷を奪われることとか故郷を捨てなきゃいけないのは単なる引っ越しとは全く異なるんだって気づいたし、それに対する自分の想像力の欠如にびっくりした。
    あと、独裁国家の正義は、やっぱりとんでもなく自分勝手で思いやりの欠片もないんだなって思ったのと同時に、正義を振りかざす側になるか振りかざされる側になるのかは運によるよなとも思った。マイノリティとして虐げられたなら、強くなってマジョリティーになるんだっていう大隈さんは現実的に国民を守るんだろうなと思うけど、そんな理をぶっ壊すんだっていう考えは素晴らしいと思った

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    2026年03月01日
  • 天地に燦たり

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    3人の主人公の「芯」に沿った行動に心を打たれました。島津の主人公はその「芯」を探す旅だったのかなと。何であれ自分の判断の基準になる核を持っていないと、場当たり的な判断になってしまうから、個人としての魅力は薄まってしまうなと感じました。
    信念に殉じる姿はかっこいいですね。自分もこれだ!というものを見つけたいです。

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    2026年02月03日
  • 熱源

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    登場人物が多くて少し難しかった
    ほぼ舞台は樺太なんですけど、ロシアとか北海道とか
    樺太アイヌとか北海道アイヌとか和人(日本人)とかロシア人とかポーランド人とかオロッコ(樺太の民族)とか色々盛りだくさんでした

    長編ほど最後の感動も大きいんじゃないかと思って、この長い小説を選んだんですけど、(あと、ゴールデンカムイ好きが高じてアイヌ系)
    長いけどテーマがひとつじゃなくて
    あれしたりこれしたり南極調査に同行したり北海道に行ったりロシアに行ったり東京に行ったり
    途中、これってもしかしてノンフィクション?伝記?とかって思ったけど、やっぱりさすがに小説みたいです
    最後は良い感じに終わった感はあるけど、よく考えたらあの人はどうなった?とか多いし、なんか急に未来に飛んだイメージもあります
    でもまあ途中は夢中になれたしこんなに長いのに私が読み切れたってことはそれなりに面白かったのかもしれないです
    読んでもいいかもですけどこっちから人に勧めるほどじゃないです(›´ω`‹ )

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    2025年12月30日
  • 大日の使徒

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    権威ではなく生きるための信仰と教え。デウスが大日とはかなりの意訳ではあるが、宣教の手段として良く知恵が出たこと。結局は組織や教団ではなく、どこまでも人間が大事だということ。大作でした。

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    2025年12月19日
  • 熱源

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    2019年直木賞(下半期)受賞作
    日本とロシアに挟まれた先住民アイヌと
    ロシアの属国となってしまったポーランドの話

    ダブル主役というのかな…
    偉大な義兄チコロビーをもつヤヨマネクフ
    政治犯としてサハリンで囚人となるピウスツキ
    政治(戦争)、文化(病気)に翻弄されていく

    物語は長い、読み応えがある。
    2人は死にその子孫まで話は続く…
    熱源とは人間が発するもの、人間が故に生み出せるもの、時代・周囲の流れのなかでも自分の信念があれば、それが行動に結びつく。人がついてくる

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    2025年11月23日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    扇谷上杉、北条氏を描いた富樫倫太郎「早雲の軍配者」の後に読んだ作品として最高だった。非常に混沌としていながら、戦国期の甲信越・関東の土台となった"古河公方"に纏わる連作短編アンソロジー。

    1.嘉吉の狐:古河公方初代成氏-唯一の生き残りの前半生。足利義政への恨みと関東公方としての覚悟、それとかの有名な嘉吉の変のリンクが自然で良い。
    2.清き流れの源へ:大人しい茶々丸というのが新鮮だったが、途中の豹変の過程が不明瞭で違和感。
    3.天の定め:北条に抗い続けた晴氏。子への非情さと情の狭間で揺れ動く心情がよく描かれている。
    4.宿縁:他と一線を画す荒山氏らしい独特な作品。源義家から描き、さくら一族の特殊能力というSF要素を加え、北条の乗っ取りを描く。
    5.螺族の龍:こちらも独特な作品。荒唐無稽さではダントツ。天海和尚や曲直瀬道三を出す発想には感服するがさすがに突飛がすぎる。
    6.大禍時:信長抹殺にさくら一族が関わっていたというストーリー自体は突飛だか、義氏の心情によくスポットライトが当たっており良作。気弱・優しい義氏の人間らしさが同情を誘う。
    7.凪の世:江戸期・喜連川藩に足利の血脈が繋がっていく締めとなる物語。主役が高坂長内で、ラストがこれで良いのかとうショックが残る。

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    2025年10月12日
  • 大日の使徒

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    「熱源」の著者。苦手な歴史小説だったが、勉強だと思い読んだ。1549年、フランシスコ・ザビエルが布教にやってきた、これは教科書で習ったが、その立役者に日本人が居たこと、島津の殿様との関係など、なかなか面白かった。キリスト教が日本でも広まった原点だと思うと感慨深い。

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    2025年09月16日
  • 熱源

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    サハリンを舞台に、日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人の物語。今の時代に書かれ、読むことに意味がある気がした。

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    2025年07月23日