川越宗一のレビュー一覧

  • 熱源

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    樺太アイヌの話。
    日本とロシアにはさまれ、未開人と見下され、戦争に翻弄される辛酸の日々を描くストーリーながら、誇りやアイデンティティを失わない生き方には考えさせられる所が大だった。
    ──命、家族、故郷
    自然と限りなく調和した文明だからこその、地球オリジンな熱源を感じとれる。淡々とした語り口もそれを引き立てる。とても好きな話だった。

    余談だけど『ゴールデンカムイ』も節目的な役割を果たしたよね。私の熱源はそこから。樺太アイヌの一部が北海道に移住した、なんてことすら知らなかったけど。より深く知れて良かった。そのなかに中村チヨさんもいらっしゃる。本作でも知里幸恵さんが登場し、リアリティを出している。

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    2024年07月13日
  • 熱源

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    初めて読んだ歴史小説でした。ポーランド人がロシア民に先住民アイヌが日本臣民に組み敷かれる。両者とも差別され独自の文化さえも戦争と差別で奪われていく。史実も伴っていて戦争の悲惨さや人の醜い支配欲が多々、描写されるが先住民アイヌのその土地で根付いた文化と美しい自然が
    描かれており良かったし勉強にもなりました。

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    2024年07月08日
  • 熱源

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    第162回直木賞

    明治初期から終戦まで、極寒の地での壮大な歴史冒険小説。
    樺太に暮らす少数民族のアイヌをはじめ、オロッコ、ニヴフが帝国に故郷と文化を奪われ同化を余儀なくされていく過程は興味深く、またなん度もやるせない気持ちになりました。
    故郷を奪われたアイヌとポーランド人が出会うという設定は面白いし、未知のアイヌの文化を知れることもこの小説の魅力です。
    歴史の中で多くあることですが、先進国が先住民を未開人として蔑み、啓蒙という名の支配をすることには強い憤りを感じます。
    しかしそんな少数民族に寄り添う民俗学者のブロニスワフがアイヌのための識字教室を開く際の押し問答できっぱりと言った一言、
    「劣

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    2024年06月15日
  • 見果てぬ王道

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    どう切り取っても思想、政治がが含まれてくる難しいテーマの中で、孫文を陰に日向に支え続けた日本人から語るというのは絶妙な距離感だし、もうそれだけでドラマ生まれてるすな。

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    2024年04月24日
  • 熱源

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    壮大なストーリー、見慣れない名前の登場人物など読む前には多少ビビった。読み始めるとページがどんどん進む。アイヌのこと、もっともっと知りたくなった。

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    2024年04月04日
  • 熱源

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     明治維新から、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦までの歴史を、樺太とポーランドを主な舞台として読み直すことができた。アイヌについて、これから色々読むきっかけにしたい。

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    2024年03月24日
  • 熱源

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    戦争や侵略によって脅かされるアイデンティティ。
    物語の登場人物は、これをもう一度掴み取るため必死に足掻き続ける。その首尾一貫した生き様が非常に熱かった。
    己の信念に真っ直ぐに従って、華々しく生を全うしている姿が輝かしくて羨ましく、自分も少しでもそうありたいと思った。
    タイトル通り大変熱い物語だった。

    この小説がキッカケでタイトル名しか知らなかったゴールデンカムイも読んでみたが、こちらもなかなか面白い。アイヌ熱い。
    まだまだ序盤だけどアシリパのキャラや表情にツボった。

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    2024年03月05日
  • 熱源

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    樺太(サハリン)が舞台。

    虐げられるアイヌを中心として、登場人物各々が、熱い思いを持ち生き続けている。
    熱量が、最後まで衰えることはない。

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    2024年03月02日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    古河公方 足利家と、忍び さくら一族を描いた歴史小説 アンソロジー、連作短編集

    史実の裏側では、こういった暗躍もあったかも知れない。時代に想いを馳せました。
    巻末の系図が有難いです。

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    2024年02月18日
  • 熱源

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    ネタバレ

    故郷と誇りを追い求めたポーランド人とアイヌの冒険を描く壮大な人間讃歌
    その願いと決意は、読む人間の心に、静かで力強い熱を宿す。
    確かに現実の歴史に存在した、登場人物達の誇り高い生き様。その過去に僕たちは報いなければいけない
    僕たちが今隣人にできることは一体なんだろう。

    以下印象に残ったシーン

    ブロニスワフの最期
    彼にとっての二つの故郷(或いは、熱源)が重なって滲むシーンには思いがけず落涙した。

    エピローグ
    ヤヨマネクフの言葉が高らかに響き、20年後の樺太に小さな繋がりと熱を生むラストは、新しい時代の到来と未来への希望が仄めかされていると感じた。

    キサラスイとの出会い
    演奏のあまりの美し

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    2024年02月14日
  • 福音列車

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    川越さんらしい面白い作品でした。
    短編ながらもそれぞれ歴史に翻弄されながらも逞しく生き切るという人々が美しく描かれていました。
    本流でない歴史に暗かったので、
    教科書で学ばない歴史背景を学び、今回も感嘆しました。また今後の作品も楽しみにしています。

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    2024年02月03日
  • 福音列車

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    常に世界の何処かで勃発する戦争。戦闘をせずに人間の業が満たされることは無いのか。5つの物語の登場人物は、みな戦争を望まない人たちだ。史実を知る反面、胸が裂ける。

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    2024年01月01日
  • パシヨン

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    人間は幻想を持たないと生きていけないが、それがキリスト教なのは、この時代この地では体制にとって不都合だった。
    これこそが全ての悲劇の原因だった。

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    2023年12月21日
  • 天地に燦たり

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    章立てがコンパクトであり、小さな話のまとまりで読み切りやすい。これは現代的な読み手への工夫か。ややあらすじの先を読みやすい印象

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    2023年11月12日
  • パシヨン

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    ネタバレ

     「熱源」も「天地に燦たり」も、抗えない歴史のうねりでもがきながらも自らの運命を切り開こうとする。
     しかし、歴史の流れには抗えない。
     本書「パシヨン」の構造も同じだ。

     戦国時代が終わり、徳川の治世で世の中には平和が訪れていた。
     しかし、戦国の敗者はまだ恨みを引きずっていた。
     関ケ原西軍の敗将、小西行長には対馬藩主に嫁いだ娘がいたが、子を成した後の関ケ原の敗戦により母子ともども追放されていた。
     行長の孫、小西彦七は旧小西家家臣からは、いつか殿に返り咲くことを期待されながら、本人にはその気は全くなかった。
     
     戦国時代には日本各地にいたキリシダン大名のもとで広がったキリスト教だった

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    2023年11月05日
  • パシヨン

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    「熱源」で、直木賞を受賞した川越宗一さんの歴史小説です。
    何が人々を島原の乱へと駆り立てたのか。
    キリシタン大名小西行長の孫であり、禁教下最後の日本人司祭となる小西彦七(マンショ小西)の生涯を辿りながら物語は進んでゆきます。
    限られた歴史の記録の行間をドラマチックに埋めるのがとても上手な作家さんだと思います。
    こんな展開、まずなかっただろうな…。と思いながらも、もしかしたらと、歴史ロマンに浸れる1冊です。

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    2023年10月14日
  • パシヨン

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    江戸時代のキリスト教徒の話は、遠藤周作さんの沈黙で初めて読みました。いつも、人の残酷さに悲しく辛い思いがします。

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    2023年07月19日
  • 見果てぬ王道

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    孫文を金銭的に支えた梅屋庄吉の一代記。孫文関係でなんとなく知っていたがこんなに面白い人物だったとは驚いた。特に孫文と出会うまでの破天荒ぶりに呆れるとともに、養父母の深い愛と理解にも感服。
    裏話的な歴史も楽しめた。日活の創始者だった事も知らなかったが、南極探検に出資するなどいろんなエピソード満載の人生だ。

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    2023年06月11日
  • 見果てぬ王道

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    史実を元にしたフィクション。孫文が日本にゆかり深かった事は知ってはいましたが、ここまでとは恥ずかしながら認識なかったです。また日本人の個人が孫文をこんなにも支えていたんだという事、フィリピンの独立運動にも関係していた事、これまた驚き&新鮮でした。見方や立場を変えた書籍を色々読んで見たくなりました。それぞれ登場人物が英雄っぽく描かりたりせず、人間っぽく描かれている点も好感。

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    2023年06月09日
  • 見果てぬ王道

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    66兵庫に縁の深い孫文の解放の戦いとあまりにも人間臭い生身の姿を最大の支援者である梅屋庄吉を通して初めて知った。革命とは武力と権力闘争にあらず。市民を中心にしなければ何も成就しないということを歴史が教えている。彼の国はあと何百年経てば変わるのかな。

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    2023年05月18日