川越宗一のレビュー一覧
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作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という職業とその過酷な暮らしについて興味が湧いた。 -
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川越宗一『海神の子』文春文庫。
以前読んだ『熱源』が非常に面白かったので期待は大きい。
本作も『熱源』のような熱量を感じる歴史小説であったが、面白さという点では『熱源』の方が一枚上であった。
本作は、後に台湾の英雄となり、江戸の人々を熱狂させた舞台『国姓爺合戦』の主人公のモデルとなった鄭成功の半生を描き出した歴史小説である。
中国の海賊と日本人の間に生まれ、弟と共に平戸に預けられていた福松のもとに母親の松が迎えに来る。松は台湾を根城にする大海賊の頭となっていたのだ。
福松は中国に渡り、鄭成功となると、割拠する海寇たちや東インド会社を下して力を付け、ついには大明国から城と将軍職を与えられるほどの人物になる。しかし、李自成の乱が起こって明は滅亡し、清軍が攻めてくる。鄭成功は、鄭家を守るため、自ら新帝を立てることで『天命』を我がものとしようとするのだが……
本体価格980円
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ネタバレ「熱源」も「天地に燦たり」も、抗えない歴史のうねりでもがきながらも自らの運命を切り開こうとする。
しかし、歴史の流れには抗えない。
本書「パシヨン」の構造も同じだ。
戦国時代が終わり、徳川の治世で世の中には平和が訪れていた。
しかし、戦国の敗者はまだ恨みを引きずっていた。
関ケ原西軍の敗将、小西行長には対馬藩主に嫁いだ娘がいたが、子を成した後の関ケ原の敗戦により母子ともども追放されていた。
行長の孫、小西彦七は旧小西家家臣からは、いつか殿に返り咲くことを期待されながら、本人にはその気は全くなかった。
戦国時代には日本各地にいたキリシダン大名のもとで広がったキリスト教だったが、徳川の世になり弾圧は次第に苛烈になる。
旧小西家の家臣たちも土地柄キリシタンが多く、長崎に身を寄せていたが、次第に長崎にもその弾圧が近づいてくる。
司祭が来日できずに、奇跡を求めるキリシタンたち。
長崎の学舎で学んでいた彦七は洗礼名マンショと称し、救いを求める民のため仲間たちとローマへ行き司祭となり日本に帰ることを誓う。
これは小西マンショが日本を出て、ローマで司祭となり、そして帰国後に処刑されるまでを描く。
小説では悲劇的な終わり方だが、その200年後に信徒発見に至ることは歴史上の記録だ。
マンショの受難は決して無駄ではないことは歴史が証明している。