川越宗一のレビュー一覧

  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
    室町時代、なかでも鎌倉公方〜喜連川藩の流れは歴史の中で自分が一番興味がある部分です。さくらの里という元ネタバレバレのはじまり方ですが、アンソロジーでそれが貫かれているのがまたいい。「足利の血脈」というからには、いっそのこと足利義兼あたりまで遡ってもよかった。
  • 海神の子
    国性爺合戦のモデルとなった、鄭成功こと福松の一生を描く。海神の異名を持った母の元に生まれた福松は、母が頭領を務める海賊の一員として、幼い頃に、当時の中国である明に渡る。海賊の一家を守るため、そして一家に貢献するために、官僚になる道を選んだ福松だが、国家としての明が危うくなり、一家を活かすための道を模...続きを読む
  • 海神の子
     天は、人の中より有徳の人を選び、天下を統べよと命ずる。これすなわち天命。
     天命は血脈によって継がれるが、もし徳を喪えば、天は別の人に命を下す。
     天命の革まるを革命という。

     世に名を成す者は決断の連続だ。
     正しかろうが、間違っていようが、その決断は史実に残る。

     幼名を福松、平戸で生まれ...続きを読む
  • 海神の子
    冒頭の海の描写からワクワクして一気に読み終えた。母はとことんカッコいいし、父はいきなりとんでもないことになっちゃうし、史実を基礎にしながらも随所で著者の想像力が炸裂している。そして、その創造部分が何より活き活きとしていて爽快!

    これを読んでから史実に触れる方がワクワクするだろう。ドラマ性に溢れたエ...続きを読む
  • 天地に燦たり
    熱源で川越さんのファンになり読んでみた。

    琉球王国、朝鮮、日本の歴史が重なり、
    それぞれの視点から自国に対する思いや攻める国に対する怒りが伝わってくる。

    漢語がでてきて難しい部分もあり、読み進めるのにちょっと苦労はしたものの、それぞれの視点が交互に入ってくるため面白く読み進められた。
    礼を知るこ...続きを読む
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー
    足利氏の血脈を7人の歴史作家が紡ぐアンソロジー。
    ただ単に足利氏を描くだけでなく、忍びの血脈も同時に描かれており、重層感があった。
  • 天地に燦たり
    薩摩と朝鮮と琉球。この三者を礼という儒教視点からこう描くことができるのかと感嘆した。確かに侵略される朝鮮や琉球王朝から見れば、薩摩を含めた倭(日本)の武士はただの禽獣。実力主義の戦国時代から武断の江戸時代への変遷を知っているとこの視点は非常に示唆的で興味深い。

    琉球の謝名親方の言葉、戦に敗けても国...続きを読む
  • 天地に燦たり
    「熱源」で直木賞をとった作者の第一作ということで手にとった。面白い。参考文献18冊を元にして史実を交えながら、想像上の人物を加えて、戦いの場面、種々の人物が相対する緊迫する場面等、楽しく読めた。主人公は、武士道を求める島津の家老武士と、朝鮮の若き儒学者と、明国に冊封を受けて貿易で生きる礼の国の沖縄の...続きを読む
  • 天地に燦たり
    「熱源」の著者である川越宗一氏のデビュー作。戦国~江戸時代にかけて、豊臣秀吉の朝鮮出兵を島津、朝鮮、琉球それぞれの場所で生まれ育った三人の視点で描いた歴史小説。
    朝鮮人からの視点での文禄、慶長の役を描くというのがまず斬新だし、薩摩の島津と琉球王国の関係も非常に興味深かった。
    島津家家臣の樺山久高、朝...続きを読む
  • 天地に燦たり
    豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の嵐が吹き荒れる東アジアを舞台に、儒教思想をテーマにした歴史小説。
    ↑ 『解説』より… 丸パクリです(笑)

    んーー難しかった〜。
    始めは…完読できるのか?とも思った。
    何とか完読しました。

    難しすぎて読んでる時は★3ぐらいだなーって
    思ってましたが…
    最後の章でグラグ...続きを読む
  • 天地に燦たり
    最後の描写には心を打たれた。
    表紙はどの描写なのかと考えながら読んでいたが、最後の描写やったんか。
    戦乱が止まない時代、何が正義で何が悪か分からない。
    そんな時代だからこそ「礼」が異なった価値観をなんとか繋ぎ、禽獣を人にする。
    主人公の久高と明鍾。
    2人は最悪の出会い方をしたが、真市がいてこそ、最後...続きを読む
  • 天地に燦たり
    「熱源」で直木賞を受賞した作家・川越宗一氏のデビュー作にして松本清張賞受賞作。日本、朝鮮、琉球。東アジア三か国を舞台に、侵略する者、される者それぞれの矜持を見事に描き切る歴史大作。
  • 天地に燦たり
     「熱源」で直木賞を受賞した著者のデビュー作。
     豊臣秀吉の島津征伐から、文禄・慶長の役、琉球侵攻までの戦乱を、三人の視点から描く。


     島津の家臣、樺山久高は儒学を学びながらも、戦乱の世では学は意味がなく、人は禽獣と変わらないと考えていた。
     そして、戦乱の世に身をやつしていた


     朝鮮の被差...続きを読む
  • 天地に燦たり
    沖縄に行きたくなる!
    旧時代の真ん中に生きていた人たちは、時代の変わり目で頭の中の変換を求められるので、大変だよね。
  • 熱源
    おそらく作者の中ではピッタリなんだろけど、タイトルは正直もっといいのがあると思う。タイトルに引っ張られた文章に唐突感があって読者としてはやや強引に感じた。
    162回直木賞受賞作だけあり、読み応えは充分。題材も興味を喚起させられる。ストーリーに適度な緩急があり、行ったことのない土地でもイメージが湧くよ...続きを読む
  • 熱源
    内容は興味深いが、
    不要とも思える登場人物が多い。
    もっとシンプルな構成で、
    内容を掘り下げていたらよかったのに
  • パシヨン
    2024.4 なんとも苦しい本でした。宗教はこれほどまでに人と人の争いの種になるのか、ユダヤとアラブの戦いもそう思う。
  • 熱源
    国家、民族、文明化。
    何が幸せかはわからないけど、一生懸命生き、次代に繋いで行くことが大切だと思いました。
    途中まで、登場人物が史実にある人々だと知らなかった。詳しく調べてから再読したい。
  • 福音列車
    短編集5篇
    アメリカに留学したものの西南戦争に巻き込まれる「ゴスペルトレイン」、ハワイに出稼ぎに来て民族決起に協力する「虹の国の侍」、南洋の島でスパイ活動をする「南洋の桜」、脱走兵が馬賊に加わりモンゴル独立を目指す「黒い旗のもとに」、ひたすらインドを目指す神戸育ちの少女「進めデリーへ」
    思いがけず何...続きを読む
  • 福音列車
    明治から昭和にかけて、望まない戦に巻き込まれ、最後には義を通すために自ら戦いに身を投じる主人公たち。

    第二話などはやや結末に無理があるようにも感じるが、最終話は淡々とした記述が二人の心の交流を逆に浮き上がらせていて味わい深かった。