川越宗一のレビュー一覧

  • 見果てぬ王道

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    中国革命の父として知られる孫文を経済的に支援した日本人実業家・梅屋庄吉の破天荒な生涯を描いた歴史大作。と言っても史実を重視した作品ではなく、庄吉の人間的な魅力にあふれており、読んでいてとても楽しかった。日本の映画産業発祥にも深く関わっていたことも知り、とても興味深かった。
    にしてもこの人、運がいいんだか悪いんだか、目端が利くんだか利かないんだかよくわからない。新規事業を興しては成功→失敗を繰り返してばかりいる。稼いだ金は惜しげもなくばらまいてしまう。傍から見ているなら面白いが、身内にいたら堪らないだろうな。

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    2023年01月29日
  • 天地に燦たり

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    守礼之邦。理想を掲げた国づくりがその通りにいかないのは、いつの世も同じと改めて思わされた。久高の男気、明鐘の生きる力に魅了されたが、この物語は真市たち琉球の人々が主人公だと思った。

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    2022年07月31日
  • 天地に燦たり

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    清々しいエンディングだった。
    それぞれの生を必死に生きた3人の心の共鳴を感じた。
    著者はこれが初作で2作目が直木賞を取った「熱源」と知って驚き、その才能の今後を楽しみに感じた。

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    2022年07月14日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    戦国史を足利一族の視点から描くアンソロジー。
    古河公方発足から、喜連川藩誕生までの200年余りが物語の舞台となっています。

    室町から戦国にかけて関東一円の戦乱の原因は、鎌倉公方・管領の足利一族のいざこざのせいだと思っています。なんというか、関東だけに限らず、足利は血族の争いが多い気がする。尊氏と直義から始まってることですし。それでも、240年近く幕府として続いたことは珍しいことでしょうね。

    時代を下りながらのアンソロジー7話。一つの流れとして、関東公方家に仕えた忍びの「さくら一族」の存在があります。「足利の血脈」というタイトルですが、「さくら一族」伝でもあります。
    『嘉吉の狐』『螺旋の龍』

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    2022年01月30日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    室町時代、なかでも鎌倉公方〜喜連川藩の流れは歴史の中で自分が一番興味がある部分です。さくらの里という元ネタバレバレのはじまり方ですが、アンソロジーでそれが貫かれているのがまたいい。「足利の血脈」というからには、いっそのこと足利義兼あたりまで遡ってもよかった。

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    2021年09月08日
  • 天地に燦たり

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    熱源で川越さんのファンになり読んでみた。

    琉球王国、朝鮮、日本の歴史が重なり、
    それぞれの視点から自国に対する思いや攻める国に対する怒りが伝わってくる。

    漢語がでてきて難しい部分もあり、読み進めるのにちょっと苦労はしたものの、それぞれの視点が交互に入ってくるため面白く読み進められた。
    礼を知ることが人であり、日本は禽獣。礼をテーマに戦を読んだのは初めてだったと思う。

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    2021年06月12日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    足利氏の血脈を7人の歴史作家が紡ぐアンソロジー。
    ただ単に足利氏を描くだけでなく、忍びの血脈も同時に描かれており、重層感があった。

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    2021年01月23日
  • 天地に燦たり

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    薩摩と朝鮮と琉球。この三者を礼という儒教視点からこう描くことができるのかと感嘆した。確かに侵略される朝鮮や琉球王朝から見れば、薩摩を含めた倭(日本)の武士はただの禽獣。実力主義の戦国時代から武断の江戸時代への変遷を知っているとこの視点は非常に示唆的で興味深い。

    琉球の謝名親方の言葉、戦に敗けても国は亡びぬ。国が亡ぶのは民が国を厭うた時だという言葉は非常に印象的。高橋克彦氏の『炎立つ』での藤原泰衡の、民が忘れぬ限り蝦夷は滅びないといった言葉を思い出した。歴史が過去から紡がれるものだということを改めて思い出された。

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    2021年01月03日
  • 天地に燦たり

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    「熱源」で直木賞をとった作者の第一作ということで手にとった。面白い。参考文献18冊を元にして史実を交えながら、想像上の人物を加えて、戦いの場面、種々の人物が相対する緊迫する場面等、楽しく読めた。主人公は、武士道を求める島津の家老武士と、朝鮮の若き儒学者と、明国に冊封を受けて貿易で生きる礼の国の沖縄の密偵。時代は秀吉の朝鮮出兵時。3者の異なった生き様が面白かった。孟子のことば『人は覇の力ではなく王の徳に服す』、および『天地に参たり(天地と並び立つ崇高な人としての存在)』という問いかけは、答えがあるような無いような、余韻を持った終わり方だった。

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    2020年12月10日
  • 天地に燦たり

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    「熱源」の著者である川越宗一氏のデビュー作。戦国~江戸時代にかけて、豊臣秀吉の朝鮮出兵を島津、朝鮮、琉球それぞれの場所で生まれ育った三人の視点で描いた歴史小説。
    朝鮮人からの視点での文禄、慶長の役を描くというのがまず斬新だし、薩摩の島津と琉球王国の関係も非常に興味深かった。
    島津家家臣の樺山久高、朝鮮の名もなき白丁である明鍾、琉球の官人である真市、同時代を生きた3人の人生が交錯するラストが痺れる。

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    2020年10月26日
  • 天地に燦たり

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    豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の嵐が吹き荒れる東アジアを舞台に、儒教思想をテーマにした歴史小説。
    ↑ 『解説』より… 丸パクリです(笑)

    んーー難しかった〜。
    始めは…完読できるのか?とも思った。
    何とか完読しました。

    難しすぎて読んでる時は★3ぐらいだなーって
    思ってましたが…
    最後の章でグラグラと感動でございます。
    読んでよかった〜、読めてよかった〜。

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    2020年09月11日
  • 天地に燦たり

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    最後の描写には心を打たれた。
    表紙はどの描写なのかと考えながら読んでいたが、最後の描写やったんか。
    戦乱が止まない時代、何が正義で何が悪か分からない。
    そんな時代だからこそ「礼」が異なった価値観をなんとか繋ぎ、禽獣を人にする。
    主人公の久高と明鍾。
    2人は最悪の出会い方をしたが、真市がいてこそ、最後違う形で再会出来たと思う。 
    一瞬の再会だろうこの後3人は別々の道をゆくだろう。久高は史実によると地頭となる。他の2人は実在者では無いが、おそらく明鍾は朝鮮の故郷に戻り、真市は琉球王国の官人を続ける。だが、3人の心の中の何かは必ず変わった。
    特に明鍾は出会いに恵まれている。

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    2020年09月02日
  • 天地に燦たり

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    「熱源」で直木賞を受賞した作家・川越宗一氏のデビュー作にして松本清張賞受賞作。日本、朝鮮、琉球。東アジア三か国を舞台に、侵略する者、される者それぞれの矜持を見事に描き切る歴史大作。

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    2020年07月10日
  • 天地に燦たり

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     「熱源」で直木賞を受賞した著者のデビュー作。
     豊臣秀吉の島津征伐から、文禄・慶長の役、琉球侵攻までの戦乱を、三人の視点から描く。


     島津の家臣、樺山久高は儒学を学びながらも、戦乱の世では学は意味がなく、人は禽獣と変わらないと考えていた。
     そして、戦乱の世に身をやつしていた


     朝鮮の被差別階層、白丁の明鐘はあるきっかけで儒学者の下で学を学ぶことになる。
     白丁の出自でありながら儒学により聖人を志す。

     真市は商人を装い、倭にも朝鮮にも足を運ぶ海の民たる琉球の密偵だった。
     大国の間で琉球が生き残るため、飄々とした性格の裏には強烈な愛国心があった。

     戦で敗ける者と、勝つ者。
     

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    2020年06月28日
  • 大日の使徒

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    パシヨンのスピンオフ的な作品かな。パシヨンほどのドラマはないが、信仰への渇いた距離感がよかった。権力に翻弄される民を救うのは信仰か生活か。パシヨンの情熱と表裏で読むと面白い。

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    2025年11月11日
  • 熱源

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    なんか、読むタイミングが悪かったのか、あまり入り込めず読み終えました。
    1人1人の物語が浅いような気もして、登場人物が多いせいか。
    名前もやはりあまり入ってこない。
    でも、アイヌって複雑な立ち位置にいたんだなー。日本とロシアの狭間にいて。
    自分がはっきりアイヌを知った(文化)のはゴールデンカムイだし。ただ、熱源を読んで他のアイヌを題材にした本を読みたくなりました。

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    2025年10月25日
  • 大日の使徒

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    フランシスコ・ザビエルと共に日本にキリスト教布教の第一歩を記したヤジロウ。アンジロウとも言われるその出自が明らかでない人物を一人の人間としてその子供時代から想像豊かに描いている。正直少しお話としておあつらえ過ぎる感はあるものの、キリスト教の布教の苦労話的内容ではなく、ヤジロウその人に焦点を当てたことで、読み物としてのおもしろみ、エンタメ性が強調され、ペース良く読み進めることができた。

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    2025年10月07日
  • 大日の使徒

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    言語の異なる日本で布教するにあたり、デウスをダイニチと訳してしまったという誤ち。この間違いがなければ違う歴史になっていたのか。

    フロイスが残した記録はあるものの、ヤジロウについての詳細はどこまでが正しいかいまだに分かっていない。
    あの時代にマラッカに渡りゴアに渡り宣教師と共に帰国した人物がいたというのはすごい。

    装丁とタイトルは文庫化の時に変えた方が売れるのではないかな。

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    2025年10月05日
  • 熱源

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    大国に飲み込まれる樺太に住んでいたアイヌたち、そしてポーランドからの囚人、途中からだんだん辛くなってきたけど最後は未来があってよかった。子孫が脈々と息づいている。それが救い。
    ポーランドの囚人(父)と樺太アイヌ(母)の子供ってゴールデンカムイにも出てきたけど同じモデルなのかな。この本の主人公の一人であるブロニスワフは実在してるようで、史実も織り交ぜられてるとのこと。読み応えは抜群。

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    2025年09月07日
  • 熱源

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    日本人なんだけどアイヌ、ロシアに拘束されたポーランド人。 それぞれに思うことを貫く姿。 3章以降の進行が早くてもう少しディテールが有ってもいいかなと。 あと有名人を登場させ過ぎかなとも…

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    2025年01月19日